先生はキモくなってなんぼ(バレストを見て改めて思う個人の感想
(ど、どうしてこんなことに…)
先生は窮地に立たされていた
今すぐにでも逃げ出したいくらいだが、ここが外の世界である以上逃げ場などない
目の前には冷静さを欠き、興奮した生徒が2人
先生へジリジリとにじり寄ってくる
「さぁ、先生!正直に答えて!」
「どっちも好きはダメ、今ここで決めて。」
無意識に少しずつ後ずさる先生へ、セリカとシロコは左右から詰め寄っていく
決して逃さないようにそれぞれ腕を強く掴むと、自身の頭に生えている特徴的なケモ耳を指差した
「先生は猫耳と!」
「狼…もとい犬耳。」
「「どっちが好き!?」」
─先生は今、究極の選択を強いられていた─!
(どちらを選んでも角が立つし、どちらも甲乙つけ難くて選べないよ!?)
先生はどこで間違ったのか、どうすれば良かったのかと後悔しながら今日の出来事を振り返っていく───
「お、お邪魔します…」
「ん、お邪魔します。」
今日は、ホシノ達から事情を聞いたシロコとセリカが遊びに来ていた
アビドスの生徒達に事情を説明すると、彼女達は喜んで協力することを申し出てくれたため今こうして外の世界に来ているのだ
「いらっしゃい2人とも。あまり緊張せずにくつろいでね。」
「わ、わかってるけど…それでも、緊張するわよ!」
普段は明るく元気なセリカだが、今は借りてきた猫のように萎縮してしまっていた
それもそのはず、ここは先生の家
年頃の女子高生が異性の家に訪れて緊張しないはずがない
むしろ堂々とくつろげる方が肝が据わりすぎなのである
「セリカ、落ち着いて。深呼吸して、体を伸ばせば緊張もほぐれる。」
「……シロコ先輩はいつも通りマイペースね。」
「失礼な。…私だって緊張してる。」
そんなセリカに助言するシロコ
自らも緊張しているため、自分に言い聞かせる意味合いも込めてのアドバイスだ
シロコも緊張していることはピンと立っている狼耳を見ればわかる
普段から破天荒な側面が目立つが、シロコだって年頃の乙女なのだ
「じゃあまずは気分転換にゲームでもしてみようか。2人も楽しめそうなものを色々と用意してみたから!」
そうして3人はゲームをしたり、漫画を読んだりして過ごした
楽しく騒いだり、ニュースを見て疑問に思ったことを解決したりして過ごしたことで少しずつ2人の緊張が解けていった
「先生!ちょっとパソコン借りてもいい?」
「もちろんいいよ、何を調べたいのかな?」
「外の世界のバイトはどんなものかな〜、って思って!」
そうして完全に緊張がほぐれ、セリカは元の調子を取り戻したようだった
そうすると外の世界への興味が湧き出してくる
数多のバイトを経験しているバイト戦士セリカは、外の世界のバイト事情についても知りたくなったようだ
「外の世界ではバイトできないよ?」
念のためセリカに釘を刺す先生
外の世界では姿を見られてはいけない都合上バイトをすることはできない
そも面接に行ったとしても、頭の上にケモ耳や光輪をつけた人間を見たら悪ふざけか何かだと思われてしまうだろう
「甘いわね先生。バイトっていうのはどんな種類があるのか、どれくらいの時給なのかを知るだけでも武器になるのよ。
外の世界の相場を調べれば、本当に適正価格かどうかの判断材料にもなるわ。
ぼったくりなバイト先にもっと時給を上げてもらえないか交渉できるもの!」
セリカはちっちっちと指を振った後、得意げに語った
これは色んなバイトを経験したが故の視点であり、キヴォトスでは時に暴力で語りかけないと悪い大人にタダ働きをさせられる恐れがある
弱肉強食のキヴォトスでは常に強気で仕事に挑まなければならないのだ
「ん、セリカ。終わったら次は私に貸して。」
「わかったわ!…さて、こっちの世界じゃどんなものなのかしら…?」
セリカはメモを取り出して、パソコンに熱中していった
そんな熱心な姿を見て、邪魔にならないよう先生とシロコは少し離れた場所に座った
「シロコは何を調べてみたいの?」
「こっちの世界のサイクリングコースについて調べようと思って。」
その間、手持ち無沙汰な先生とシロコは雑談を始める
シロコに何を調べるつもりか尋ねたところ、自身の趣味であるサイクリングが楽しめそうな場所を知りたいようだった
「そっか、シロコはサイクリングが好きだもんね。」
「ん、自転車を漕いで風を感じながら新しい景色を見るのはとても楽しい。先生もやってみるべき。」
シロコは大のサイクリング好きであるためこうして皆のことを頻繁に誘っている
しかし、シロコのサイクリングはとんでもない距離を走るため基本断られてしまい、その度に耳を悲しそうに下げていた
「うーん、私は最近デスクワークが増えて運動不足だからなぁ…簡単なのだったら付き合えるけど。」
そんなシロコのため、前向きに参加する意向を示したい先生
しかし最近は贈り物関連の手続きだったりで、普段以上に書類仕事が多かった
少し体が鈍り始めているため、また引き締め直さないとシロコの体力やスピードに付き合えるとは到底思えない
なので、簡単な所からならと先生は伝えたつもりだったのだが…
「ん、わかった。じゃあ手始めにアビドスの端から端まで走ってみよう。大丈夫、あの辺りは知り尽くしてる場所だから。」
「それはちょっと無理だよシロコ!?」
シロコ基準の簡単な所を返されて、先生は悲鳴をあげた
アビドスは広大な土地であるため、とんでもない距離を走らされることになってしまう
来たばかりの先生ならいざ知らず、キヴォトス中を回る今の先生なら必ずできるとシロコは(一方的に)信じ込んでいる
その信頼が先生には重かった
大人は学生達と違って筋肉痛を治すのにも時間がかかるのだ
「えっと、じゃあ私がサイクリングコースを見つけてくるから!それを一緒に走ることにしよう!」
「ん…わかった、先生の選ぶコース楽しみにしてる。」
先生がコースや予定を考えるということでシロコは納得してくれた
そうでもしないと、半日は余裕でかかる距離のコースを紹介されかねない
「ん、約束。」
「うん、約束。」
先生とシロコは小指を絡ませあって、約束した
…生徒にできる限り配慮しつつ、危機を乗り越えた先生はほっと息を吐いた
「なっ、なな、何よこれ〜っ!!?」
その時、セリカから大きな悲鳴が聞こえてくる
そのまま、こちらに向かって歩いてくる姿も見えた
「せ、先生!どうゆうことなのこれは!?」
セリカがこちらに辿り着くと、先生にパソコンの画面を向けてくる
セリカが見せてきたのは、萌え萌え猫耳メイド喫茶というバイト記事だった
「セリカはやっぱり、こういう可愛いのが好き?」
「ちっ、違うわよ!こういうバイトの方が普通に働くより給料がいいからであって…まあ、ちょっとは可愛くていいなとは思うけど…」
シロコからの質問に素直じゃない返しをしつつも、可愛い衣装にはまんざらでもなさそうだった
だが、セリカが言いたいのはそこではない
「そ、それよりどうして猫耳をつけてるだけでこんなに値段が上がってるのよ!?」
「あー、そっか…外の世界にはケモ耳が生えてる人なんていないからね。」
セリカが気にしていたのはオプションをつけることでバイト代が上がっていることについてだった
同じメイドのバイトでも、猫耳やらなんやらをつけてる方が値段が良かった
キヴォトスでも、そういった特徴持つ人限定の仕事はあるがここまで露骨に給料がよくはない
事情を知らないセリカに先生は説明した
「外の世界では皆私のような姿をした人しかいないんだ。だから、物珍しさというか…可愛い物を求めて猫耳をつけてもらったりしててね。それでちょっと給料がいいんだよ。」
「そ、そうなの…そんなふうに可愛いって思われてるのは照れるわね…」
猫耳はそれほど需要のある可愛いもの、と言われて仕舞えばセリカも照れてしまう
そんなにいいものかしら、と自身の猫耳をふわふわと触り毛並みを整え始める
「先生、先生。猫耳もいいけど、狼耳は?」
「もちろん需要バッチリだよ!狼耳、というより犬耳に括られちゃうけどね。」
じゃあ自身の耳はどうなのか、とシロコはくいくいと先生の袖を引いて尋ねる
狼耳というよりは犬耳になってしまうが、猫耳に負けず劣らず大人気であろうことは間違いないと先生は断言した
「そっか…先生も、私の耳は可愛いと思う?」
「もちろん!もしシロコがこういったバイトをしたらすぐ人気者になっちゃうだろうからね。」
先生は特に何も考えず、シロコの耳をさらに褒めた
満足のいく答えを返されたシロコは照れながら、先生にアピールをかけた
「ん、恥ずかしい…けど、先生が喜ぶならやってもいいよ?」
「うっ!」
ピュア狼シロコの上目遣いに思わず先生は胸を抑えた
シロコは銀行強盗に情熱を燃やす物騒な面ばかり目につくが、ちゃんと年頃の女の子らしい感情は持っている
あっち向いてホイだって怒られたら素直に諦めて我慢できるいい子なのだ
「ちょ、ちょっと!人を除け者にして2人の世界に入らないでくれる!?」
そんなバカップルのような2人の反応はセリカにとって面白いものではなかった
なんだか自分をだしに使われていちゃつかれてるみたいだし、可愛さなら猫耳だって負けてない
シロコもまたそんなセリカの意思を読み取った
「ん、もちろんセリカの猫耳はとても良いもの。
でもそれ以上に狼耳の方が手触りが良くて可愛いだけ。」
「ね、猫耳だって負けてないわよ!」
クール系の見た目からは想像できないほど負けず嫌いのシロコ
セリカのことは大切で可愛い後輩だと思っているが、それはそれとして譲れない部分もある
そんなシロコにセリカも当てられて負けじと対抗を始めてしまい、2人の間にばちばちと火花が散りはじめた
「ふ、2人とも喧嘩は…」
「ん…でも、このまま言い争い続けても不毛。ここは第三者に決めてもらった方がいい。」
「…それもそうね、先生!」
「わ、私!?」
こうして思わぬ事情で2人の生徒は白熱し、冒頭で挙げられた究極の選択へと発展してしまったのだったーーー
そして現在
「ちょっと先生!いつまで遠い目をしてるのよ!」
「ん、現実逃避してないで答えて。」
「はっ!!」
左右から体をゆすられてようやく先生は現実に帰ってきた
正直に言えばこのまま浸っていたかったが、向き合わなければいけない時が来てしまったようだ
(そうは言っても、どちらを選べば…)
先生はどちらを選ぶべきなのか、思考を巡らせていく
もし仮に犬耳を選べばどうなるか
悲しむセリカの姿を思えば、とても心苦しいが納得はしてくれ……してくれるはずだ、多分
(そうなると、犬耳…?いやでも、猫耳生徒はセリカだけじゃない…!)
シロコは好意を隠さない
私の耳を触って癒やされるべき、と先生にアプローチしてくるだろう
その時他の生徒に見られたら、先生は犬耳系の生徒を大変好ましく思っていると堂々言い放つ姿が目に浮かぶ
するとどうなるか
セリカの他にもいる、猫耳系生徒達が嫉妬するのではないか?
(自惚れは百も承知だけど、親愛の情を抱いてくれている生徒は少なくない…!)
先生は親しい生徒達の中から考えられるケースを想定し始めた!
【ふーん……ふぅーん!ま、私も猫嫌いだからいいけどさ。そんなことばっか言ってたら襲われちゃうよ?犬耳系の勘違いした子とかに、さ。それなら気まぐれな猫耳系の方がまだいいと思うけどね?】
【ええと、その…いえ!個人の趣味趣向はそれぞれですから!
…ですが、ごめんなさい…私はわがままです。
先生には、まだ知らない猫耳の良さをもっと知ってもらいたいと思っています…!】
【は?本気で言ってるわけ?
…ああ、そうよくわかった。あんたはこういったことに関してはてんで無知ってことがね。
覚悟しなさい。百花繚乱の参謀を本気にさせたこと、後悔させてあげる。】
(すごくまずい気がする!主に空気が!…じゃあ、猫耳を選べば…?)
想像の中でバッドエンドを迎えてしまった先生
今度は逆に猫耳を選んだ場合を想定する
悲しむシロコの姿を思うと、とても胸が痛いが納得してくれ……してくれるだろうか?
むしろヒートアップする予感がする
それに他の犬耳生徒達も押しの強い子達ばかりだった
【ん、なるほど良くわかった。それは一重に弱シロコの実力不足。私なら狼耳、もとい犬耳の良さを最大限に伝えることができる】
【そ、そうだったんですね…わかりました!では先生に私達の良さを知ってもらうために、犬耳祭りを開催したいと思います!猫耳生徒さん達にだって負けませんよ!】
【大丈夫だよ先生。私が、犬耳の良さを最大限理解するための機械を作ってあげるから。ミレニアムのマイスターの名にかけてね。】
(ギスギスはしなさそうだけど、絶対大事になる!どっちを選んでもまずいんじゃないか!?)
シロコテラーはこちらのシロコを煽るし、ウミカは大々的な祭りを発表し、ヒビキ…もといエンジニア部の作る物には一癖も二癖も変わった機能が付いてくる
どう転んでも騒ぎになるのは目に見えていた
結局どちらを選んでも被害甚大であり、振り出しに戻ってきてしまう
「…答えを返す前に、2人とも聞いてほしい!」
こうなったら、と先生は最後の手段に打って出た
「セリカ!セリカの猫耳はとても感情豊かで本当に愛らしいよ!私もついつい眺めてしまっては、ピコピコ動く猫耳に癒されたよ!」
「ふにゃっ!?急に何言ってるのよ!?」
「シロコ!シロコの狼耳は本当に凛々しくて素敵だね!シロコの美少女っぷりをよく表していて、眼福だよ!」
「ん、恥ずかしい…」
─先生お得意の、いい話風に語って誤魔化す作戦だ!
「本当に2人(のケモ耳)は甲乙つけ難いほどに魅力的なんだ。優劣をつけることなんて、おこがましい…世の中には同率一位というものがあってまさにそれと同じだ。それだけ尊くて素晴らしいものなんだ。みんな違ってみんな良い。
誰が一番なんて決める必要なんてないんだよ。ナンバーワンになる前に、生徒達皆それぞれが特別なオンリーワンなんだからね!」
「「先生…」」
そんな先生の話しを聞き終えたセリカとシロコは……
「…良い感じに話して流そうったってそうはいかないわよ!うやむやにしようとしないで、白黒はっきりつけなさいよ!」
「ん!セリカの言う通り、誤魔化されない。トロフィーを分割すれば全員1位、なんていうのはありえない。競ってる以上、決めることが大事!どちらか絶対に選んで!」
「ひぃん…」
─先生渾身のお話をばっさりと切り捨てた
2人の説得に失敗した先生は情けない声をあげるしかなかった
「…さっき語ったのは嘘じゃなくてね?どちらも素晴らしいものだから選ぶのが本当に難しいんだ。いっときの感情で決めたくない。お願いだからもう少し時間をくれないかな?」
「いや、そこまで悩ませるつもりはなかったんだけど…」
滝のような汗を流しながら、某シスターのような苦渋の表情を浮かべる先生
別に死ぬわけじゃないんだからぱぱっと決めてほしいと思っていたセリカはたじろいだ
「ん…悩む気持ちはわかる。確かに今の先生は犬耳の良さを全て知っているとは言い難い。」
「シロコ先輩は知ってるって言えるの…?」
まるで達人のように腕を組みながら語るシロコ
苦笑いを浮かべるセリカを気にせず、シロコは話を続ける
「だから、私が犬耳ひいては狼耳の良さを先生にプレゼンする。」
「おお…それは心惹かれるかも。」
今でさえ愛らしく感じているシロコの耳がさらに魅力的になると聞き、先生は素直に感嘆の声を上げた
「ということはセリカも…?」
「え?…えっと、わ、私も私の良さをプレゼンするってこと…?いやいや恥ずかしいわよそんなの!」
「ん…そっか、わかった。」
先生から期待の眼差しを向けられて困ってしまうセリカ
自分の容姿がいかに優れているかを自分でプレゼンするのはナルシストでもない限り結構ハードルが高い
羞恥心に顔を染めるセリカにシロコが助け舟を出した
「セリカの代わりに私がセリカの良さ、猫耳の良さを先生に伝える。これならフェア。」
「は、はぁあああっ!!?余計恥ずかしいんだけどそれ!?」
これで解決、とばかりにポンと手を置くシロコへセリカは猛抗議した
アビドス全員のことが大好きなシロコなら、みんなの良さを語るのだって朝飯前だ
だからこそセリカは恥ずかしい
目の前で自分のことについて盛り上がる先輩と先生を前にした時、セリカは正気を保っていられる自信がなかった
「わ、わかった!わかったわよ!私も猫耳のプレゼン用意してくるから!それでいいでしょ!?」
だったら、あらかじめ自分で考えた内容をプレゼンした方がましに決まってる
そんなセリカの答えを聞いてシロコは微笑んだ
「ん、問題ない。待ってる。」
(………嵌められたっ!?)
あっさり引き下がるシロコを見て、嵌められたことを悟ったセリカ
だが今更やめるわけにもいかず、がっくりと項垂れた
「ええい、しょうがない!覚悟しなさいよ先生!2人のプレゼンを聞いたら必ずどちらか決めること!いいわね!」
「わかった、楽しみにしてるよ2人とも!」
「ん、これは次の機会がとても楽しみ。」
こうして2人はそれぞれのケモ耳の良さを伝えるための準備を始め、先生も覚悟を決めた
準備が整い次第、改めてどちらが良いのか決めることとなった、のだが…
「ええと、その、これは一体…」
それから数日経ったある日
先生の家に来ていたのはシロコとセリカ……だけではなかった
アビドスの他の面々に加えて、他の学園の生徒達もまたこの場へと集まってきていた
「その〜…2人でそれぞれ準備してたら、話がどこからか漏れちゃって…」
「ん…」
シロコとセリカはバツの悪そうな顔をしながらぺたんとケモ耳を伏せていた
そんな2人を尻目に生徒達が先生へ詰め寄ってくる
「ふふ、困惑しているようですね先生?この全知の称号を持つ清楚で可憐な病弱美少女ハッカーにかかればどのような秘密も容易くわかってしまうのですから、そう不思議なことではありませんよ。
では、早速本題に入りましょう。私達のような耳についてはいかがですか?
先生とは違うこの形、外の世界ではいわゆるエルフ耳と呼ばれているそうですね?
もし、先生が良ければ触ってもいいのですよ?」
「シロコ先輩やセリカちゃんと違ってもふもふではないですけど…触り心地は悪くないと思います!」
「せ、先生!私の角はどうですか!?角はその、男性の方にはカッコよく見えるって聞きました!
毎日お手入れしてますから、じっくりと触っていただいて構いませんよ!」
「わ、私の角も一緒に触ってみてください!」
「やあ、先生。何やら面白いことをしているようだね。私もぜひ参加しようと思ってこうして足を運んできたよ。
最初はモモトークや通話からとも思ったが…百聞は一見にしかず、とよく言うだろう?何事も体験してみなければわからないものさ。
最も、君となら100の言葉を語るのも薮坂ではないけどね。
何はともあれ先生、私の耳と尻尾に触れてみるといい。遠慮はいらないよ、君にならば数多くの物を捧げても構わない。
無論、触れた以上は良い答えが返ってくることを期待しているからね。」
「だーから、セイアちゃん話長すぎ!勝手に1人でアピールし続けるのはナシだからね!
先生!私のこの白い羽はどう!?昔ほど高い物は使えないけど…毎日ちゃんと綺麗にお手入れしてるから気持ちいいと思うんだけど!」
「ミカさん落ち着いてください。セイアさんも。
コホンッ…失礼しました先生。事情は聞いております。その勝負、我々トリニティも参戦させてください。
淑女としてはしたないことだとは思いますが…何もせず手をこまねいているだけではいられませんでした。先生にでしたら、強く触れられても構いませんので…どうか存分に私の羽を堪能してください。」
「ははっ、相変わらず先生は人誑かしっすね。こんな機会一生に一度あるかないかってレベルっすよ?…全く、自業自得っすからね。これはもう覚悟を決めて触るしかないっすよ先生。当然、私の羽も忘れずに、ですからね?」
「私は、その大きさにはコンプレックスがありましたが…先生に喜んでいただけるなら悪くないと思ってるんです。なので先生、私の翼に抱きついてみても構いませんよ?」
「全くみんな、何を盛り上がってるんだ…
けど、これで戦う前から臆したとか言われても嫌だから仕方なく先生に私の尻尾も触らせてやる。
でも変な触り方したら承知しないからな!」
「うへ〜、皆すごいねぇ…でもさ、確かにケモ耳も翼もいいけど、最終的には自分と同じ特徴のある方が安心するんじゃないかな〜?普通のお耳だって捨てたもんじゃないよ〜?」
「そうです!さらさらと言えば髪の毛だって負けてませんから!さあ、先生。私の髪も触れてみてください⭐︎」
─どこから話が漏れたのか、先生が真剣に考え始めた翌日以降生徒達のアピール合戦が始まった
エルフ耳、角、狐耳、翼、尻尾とそれぞれの良さをここぞとばかりにアピールし、普通の人と変わりのない生徒達はお揃いであることを嬉々として語り続ける
そんなふうに一斉に詰め寄られてしまっては先生も非常に困ってしまう
「せ、選択肢が多すぎるし、どれも魅力的すぎて選べないよ!!?」
結局、犬耳猫耳どころの騒ぎではなくなってしまい先生は目を回して倒れてしまうのだった…
「はぁーっ!!?なんなんですかこの意味のない言い争いは!!
一番はヒナ委員長の角や翼に決まっているでしょう!?」
「…アコ、恥ずかしいからやめて。」
私は強いていうなら翼派です、天使の羽に包まれるやつがやってみたい
でもモフモフのケモ耳も捨てがたいし、エルフ耳も触ってみたいし角もかっこいいんですよねぇ…!
尻尾は某ダークネスな漫画のせいでエ駄死です