キヴォトスの日常、想像するとちょっと楽しいですよね
手榴弾が日用品なのでうっかり落として起爆させて転んでしまう恥ずかしい人がいたり、新しい銃を新調した生徒が自分色にデコったりして、子ども達がスマホ感覚で買い与えられた銃を自慢し合って試し撃ちしてるんでしょうね…
「見て見て私のハンドガン!」
「あたしのアサルトライフルいいでしょー!」
「ふふん、私はグレネードランチャーよ!」
みたいな…
キヴォトス人の耐久度なら撃たれても問題ないので、傘でチャンバラごっこするかの如く楽しそうに子ども達が撃ち合いを始めるんです
「いてっ、やったわねー!」
「このこのー!」
「いいぞ、やれー!」なんて…
微笑ましいですね(白目
「先生、これはここで大丈夫ですか?」
「うん、ありがとうアヤネ。」
とある天気の良い日のこと
先生の家ではいつものように大掃除が行われていた
今回手伝いに来てくれたのはアビドスの一年生、奥空アヤネ
…掃除の頻度が多すぎるのはいろんな生徒が訪れているため、仕方がなかったのだ
今まで1人で使っていたところに何人も集まってくれば自然と散らかってきてしまうのも無理はない
故にこまめに掃除をする必要があった
「ごめんね、わざわざ来てもらったのに片付けの手伝いなんてさせちゃって…」
「気にしないでください!先生にはいつもお世話になってますから!」
そういった事情に加えてもう一つ、致命的な問題が存在した
先生は掃除ができない人間だったのだ
こまめにやるよりもまとめて片付けることが多いため、それまでの間は散らかりっぱなしのことが多い
そのため今までトキなどといった他の生徒たちに手伝ってもらっており…今回はアヤネの番というわけだった
先生としては生徒にそんなことをさせるのは申し訳ないため、断りたかったのだが…そんなことよりも家を清潔に保つことが大事だと正論を言われては断れるはずもなかった
「後はゴミを捨ててくれば完了かな。」
「先生、私もお手伝いします!」
アヤネの尽力もあって、掃除はあっという間に終わってしまった
後はまとめたゴミを捨てるだけ
最後の作業も意気揚々と手伝おうとしたアヤネだったが…
「ありがとう、ぜひともお願いしたい…んだけどね…」
「どうかしたんですか?」
いつもならば手伝ってもらっていたのだが、先生は歯切れ悪く言葉を返した
「いやぁ、今までいろんな子に外まで手伝ってもらったりしてたんだけど、それはよくないって言われてしまって…確かに私も考えが足りなかったと思ってね。」
前まではトキなどについて来てもらったりしていたのだが…人気の少ない田舎ではあるが、人と出会う可能性が全くないわけではない
その時、何かの拍子で離れてしまったり問題が起きてしまう可能性も0ではない
何せ外の世界とキヴォトスでは常識や価値観が違いすぎるから
そういったリスクを考えると、少々不用心すぎたと先生は反省した
「だから、これ以降私についてくるためには常識テストに合格してからじゃないとダメってことになったんだ。」
─常識テストとは─
先生が複数の生徒と協力して作成した外の世界の常識についてまとめたテストである
このテストに合格しなければ誰もついていくことはできない
─普段生徒達は敷地の外に出ないようにされているが、これまでトキやミユといった一部の生徒達が先生と一緒に外出していた
姿を見られないよう隠れながら、というものだったので別に外の世界に直接触れられるものではなかったのだが、それでもついていきたいという生徒が多かった
トキは普段はあれでも仕事モードの時はしっかりしているし、ミユは隠れるのが得意なスナイパーだったため結果的には問題なかった
しかしこのまま何も知らない状態で色んな生徒を連れまわすには不安が残る
そのため話し合いの結果、外の世界へ連れて行っても問題ないと判断されるまでは誰もついていけないこととなった
その判断材料となるのが、常識テストというわけだ
「なるほど…わかりました。確かに知らない場所で知識不足のまま進むのは危険ですよね…」
「うん、だからサッと行ってすぐ戻ってくるから待ってて。」
砂漠が広がるアビドスに住んでいることもあって、知識を持たないまま外出することの危険性を深く理解しているアヤネは素直に納得してくれた
そうして、ゴミ出しを終えて帰ってきた後…
「それじゃあ、早速始めるね。頑張ってアヤネ!」
「はい!頑張ります!」
先生監修の元、外の世界常識テストに挑むアヤネの姿があった
このままこもりっきりでは先生のことを手伝えないし、アヤネ自身外の世界については非常に興味があったため見てみたい気持ちもあった
なので早速チャレンジしてみることにしたのだ
勉強なしのぶっつけ本番だったが、アヤネはそれなりに自信があった
そして先生もアヤネなら問題なさそうだと考えていた
だが、先生達は気づかなかった
問.次の問題を見て正しければ○、間違っていれば×と書きなさい
急いでいたので移動手段にヘリコプターを利用した
(これは…外の世界でもヘリコプターは普通に飛んでますし丸ですね!)
アヤネはキヴォトスにおいて屈指の常識人であり善人であるけれども─
その知識や常識が、外の世界でも同じように通じるとは限らないことを─
「アヤネ、テストの結果だけど…残念ながら、不合格です…」
「そ、そんなっ!?」
テストの結果は不合格だった
それなりに自信のあったアヤネはショックを隠せない
いい点数まではいっていたが、基準値にまでは届かなかったのだ
「ど、どこが間違ってたんですか?詳しく教えてください!」
「うん、もちろんそのつもりだよ。詳しく見直して行こうね」
アヤネは間違えた所をすぐに確認して、覚え直すべく先生に問いかける
─この瞬間、キヴォトスと外の世界とではあまりにも世界が違いすぎることをアヤネは思い知らされることとなった
「えっ、ヘリコプターを運転したらダメなんですか!?」
「うん…外の世界で気軽に使っていい乗り物は基本車だけなんだ。」
外の世界ではヘリコプターは気軽に乗り回せるものではない
キヴォトスではいろんな生徒が使っているが、ヘリコプターを個人で所持するには様々な規則を守る必要がある
そして、それ以上に外の世界にはヘリコプターを気軽に扱えない理由があった
「う、嘘ですよね…?ヘリコプターってこんなに高いんですか!?」
アヤネの目に映るのはキヴォトスからしたら信じられない価格をしたヘリコプターの数々
比較的安いものでも大体9機ほど買えばアビドスの借金と同じ額になってしまう
─キヴォトスでは兵器類が基本的に外の世界よりも安い
でなければ借金地獄のアビドスがヘリコプターを何機も所有できるはずがない
ヘリコプターを買うより、まず借金返済に当てるべきである
今あるキヴォトスのヘリコプターを売れば、と邪な考えが思わずでてしまいそうなほどアヤネにとって法外な価格であった
「元々の値段もそうだし、他にも諸々の資格や整備やらでお金がかかっちゃうからね。だから間違っても女子高生が手を出せる代物じゃないんだ。」
「そうなんですか!?見せてください!
…ほ、本当です、免許を取るだけでもこんなにお金が!!?」
とんでもないカルチャーショックを受けてアヤネは恐れ慄いた
これはヘリコプターを使うにはそれだけ重い責任がのしかかるということでもある
キヴォトスの人達はヘリコプターを撃墜されようと、落ちるヘリに巻き込まれようと普通に生きてるが外の世界ではそうではないのだ*1
「だから、申し訳ないけどアヤネ…今のアヤネが外の世界にでたら非常識な人になっちゃうから不合格です…」
「!!!!!」
先生からの言葉にアヤネは愕然とした表情で膝をつく
そのまま、四つん這い状態にまで崩れ落ちてしまった
「そ、そんな…私が非常識…?
シロコ先輩達と同じような…?」
…割と酷い言われようだが非常識な面があるのは事実である
アビドスにいる先輩達のことは好きだし尊敬しているが、それはそれ
駄目な部分もよく知っているが故に、彼女達と同じカテゴリーに入ってしまうことがアヤネには心底ショックだった
「き、気に病まないで!あくまでも外の世界ではってだけの話だから!キヴォトスではアヤネは素敵な良い子だよ!?」
とはいえ、先生の言う通りこれはあくまでも外の世界基準ではという話である
外の世界の常識を覚えても、最終的に暴力が物をいうキヴォトスでは役に立たないのであまり意味がない
それにアヤネがキヴォトスではとても優しい優等生であることに変わりはないため、無理して覚える必要はないのだ
「……お気遣いありがとうございます、先生。ですが!!」
しかし、彼女はそんな慰めの言葉を求めているわけではない
アビドスの良心として、これからのアビドスを支えていくためにも頑張らなくてはならないのだ
アヤネは強く拳を握って立ち上がった
「アビドスの常識人担当として、絶対に諦めるわけには行きません!必ず合格して見せます!」
その日から、アヤネの猛勉強が始まった─!
「問題!外の世界基準で見た時この写真は何がおかしいのでしょうか?」
「はい!たくさんの戦車が走っていることに加え、自転車がヘルメットを付けていません!」
「正解!もっと具体的に言うと?」
「外の世界で戦車が公道を走るのは、頻繁にあることではないからです!
次に、自転車を漕ぐときはヘルメットの着用が必須です!これはキヴォトスにもありますが、外の世界ではもっと深刻な理由で着用を義務付けられています。外の世界の人々は転ぶだけでも命の危険があるからです!」
外の世界の日常風景について学び─
「外の世界では自動車免許が取れる年齢は18歳からなんですか!?」
「うん、他にもバイクは16以上から、大型のトラックなんかは19歳以上からになるね。」
「外の世界では乗り物は本当に大人の方が運転するものなんですね…」
「うん。外の世界では乗り物に対する責任がとても大きいものだから、成人してないと厳しいものになってるよ。」
免許や道路交通法について学び─
「外の世界では、先生と生徒の恋愛は犯罪…ふぐぅっ…」
「どうしたのアヤネ!?」
「い、いえ大丈夫です…!キヴォトスでは先生と生徒の恋愛は犯罪ではありませんから…!」
外の世界の倫理観についても根気よく学び続けた
そうして、先生と共に学習を続け、ついに─
「それじゃあ、テストを始めるよ。」
「はい、よろしくお願いします!」
ついに再び、アヤネがテストを受ける時が来た
今度は驕りも慢心もない
全力を持って、目の前のテストに挑んだ
問題
次の文章の中で誤っている部分があれば訂正しなさい
○いつものように銃撃音が鳴り響く穏やかなある日のこと
外に出てみればふわりと香る硝煙の匂いに暖かな日差しが差し込む絶好の散歩日和だった
○目の前を歩く人が落とした手榴弾を躱しつつ、足を進めると1匹の野良猫を見つけた
向かいの道では自転車同士が激突したことが原因による銃撃戦が始まっていたので、巻き込まれないように野良猫を追いかけて路地裏へと向かった
○そこでは猫の集会が開かれていて、空薬莢を転がして遊ぶ猫達の可愛らしい仕草に心が癒された
(外の世界では、銃撃戦は日常的にあるものではないので銃撃音があることはおかしいです。手榴弾は日常的に持ち歩くものではないですし自転車同士が激突したら最悪救急車を呼ぶ必要がある、でしたよね!)
キヴォトスでは普通すぎて、どこが間違っているのかわからないことでもアヤネは的確に見抜いて問題を解いていった
今度は慢心せずテストの時間ギリギリまで何度も問題文を見直し、合っているかどうか確認する
そうしてテストの時間を終え、採点した結果は─
「アヤネ…合格です、おめでとう!」
「や、やりましたー!!」
結果は文句なしの合格
先生との勉強の成果が実り、アヤネはテストを突破した
ついに外の世界でも通用するほどの常識をアヤネは身につけたのだった!
しかし、アビドスに戻ったその後─
「ホシノ先輩、深夜のパトロールされてたんですよね?お疲れ様です。ですが、夜遅くに出歩きすぎるのはよくありませんよ。警察に見つかって補導されたりしたら大変ですから!」
「う、うへ〜…気をつけるね…」
「セリカちゃん、いつもバイトお疲れ様。
でも、バイトの掛け持ちしすぎには気をつけてね!バイト掛け持ちは場所によっては減給されたり労働時間超過で注意されることもあるらしいし…何より体を壊さないか心配だから…」
「し、心配しすぎよ!アヤネちゃん!」
「ノノミ先輩!ダンベルなど一つのものを過剰に買いすぎてはいけません!
何事もほどほどに、必要な分だけにしましょう!転売などを疑われてしまうかもしれませんよ!」
「はっ、はいー!」
「銀行強盗は重罪なんですよシロコ先輩!!」
「んんっ!?」
─外の世界の常識も身につけてしまったことによってアヤネの優等生っぷりに磨きがかかってしまい、アビドスの仲間達は少し困ってしまったという
キヴォトスにおける主要な乗り物ヘリコプター
移動も戦闘も基本はヘリで飛行機はほぼほぼ出てきません
輸送船とかは出てきましたが、私達の知ってる姿をしてる飛行機はないですね
でも出てこない理由もわかる気がします、戦闘はありますが戦争やってるわけじゃないので
乗り物として見たら新幹線も襲撃されてる以上普通に不安だし(荷物検査も大変そうだし銃火器類素直に手放すんですかね?)
他には戦闘に使うには燃料代やら高くついて勿体無いし
仮に戦争として使っても、キヴォトス人に有効なのは継続ダメージであって射撃爆撃だけじゃ何往復もしないと絶対死なないでしょうし…