超不定期更新です
なんか書けそうな時と、とことん書けない時の差が激しいです
毎日更新出来る方は凄いです
自称完璧なメイドのお掃除大作戦、開始
あの後無事にシャーレへと帰ってきた先生とトキ
メールを見たC&Cの面々やセミナーのユウカなど様々な生徒達にシャーレに泊まっていったことを問い詰められた
本当はシャーレどころか先生の実家に泊まるということまでしていたのだが、トキはしっかりと真実を隠し通した
…バニー姿だったせいで話がだいぶ拗れてしまったがなんとか場を収めた
トキはC&Cの先輩達に連れて行かれ、次の日はシャーレに来なかった
先生も今回の反省を踏まえて、実家には戻らず地下室のロックをより厳重かつそれでいて不自然ではない形に変えるようアロナプラナと会議した
休日が終わってまた平日が訪れる
今までと違うことは、仕事が終わった先生に時折トキが合流してきて、実家におじゃますることが増えていた
そして数日が経ち、週末に差し掛かる頃…
「先生、あらためてこの間は本当にお世話になりました。ケーキや炭酸ドリンクもおいしかったですし、何よりとても貴重で得難い体験をさせていただきました。」
「いやいやそんな。トキこそ今日は本当にありがとう!明日にならないうちに業務が終わってくれるなんて本当に久しぶりだよ…!!」
『ようやくデスマーチから解放されますね…!』
『今週も苦しい戦いでした…お疲れ様です…!』
休日前の夜、本日のシャーレ当番になったトキからあらためて感謝を告げられる
今日のトキはしっかりとしたメイド姿だった
他のシャーレ当番と協力して業務を進め、目覚ましい活躍を見せたトキのおかげで業務を早く終わらせることができたのだ
他の生徒はすでに帰っており、トキもシャーレから帰ったと見せかけて裏口から素早く先生の執務室へと舞い戻ったのだ
「このままお世話になってばかりではPerfect maidの名折れ。この休日は先生のご実家でご奉仕させていただきたく思います。」
「奉仕って、具体的に何するの?」
「はい、先生のご実家は自室周り等は整っていましたが、それ以外の部屋が怪しいご様子。何よりあれほど立派なお庭が荒れ放題でした。これは由々しき事態です。」
そう、先生の実家は時折帰ってくる先生が整理整頓をしていたもののそれは主に自室付近やキッチン、風呂場など使うことの多い部屋ばかり
使われていない部屋や先生のコレクション置きに使われた部屋はあまり手入れすることができず、庭に関しては完全に自然に呑まれてしまっていた
致命的なほど荒れているわけではないし景色として見れば悪くはないが、あまりにももったいない
「それは助かるなぁ!1人だけだと広すぎるから手がつけられなかったんだ。でも大丈夫?かなりの広さなんだけど…」
「いいえ、むしろ腕がなります。完璧なメイドとして掃除も洗濯も庭の手入れも、全て完璧に仕上げて見せましょう。」
「心強いよ、ありがとう!それじゃ明日は丸々お休みにさせてもらおうかな。」
「アロナ、お願い。」
『はい!明日は緊急時以外、先生は終日おやすみということで設定しておきます!』
『地下室に新しく、今まで以上に厳重な鍵を取り付けましたので安心かと。』
トキはやる気満々だった
最近は先生に甘えすぎたと感じていたのだ
具体的にはキヴォトスで買ってきたポテチと先生が買ってくれた外の世界のポテチを食べ比べしたり、おまんじゅうに舌鼓を打っていたりした
ゆっくりしていいという言葉を間に受け、本当に何もしない、実家でダラダラする子供そのものの動きをしてしまっていた
…生徒達には姿が見えない為わからなかったが、トキが持ち込んできたお菓子との食べ比べにアロナとプラナはとても喜んでいたので完全に何もしていないわけではなかったのだが
「よし、それじゃあ帰ろう。今日はゆっくり休んで明日からよろしくね!」
「はい!……ところで先生お風呂場と一緒に、シャツをお借りしてもよろしいですか?」
「シャツ?仕事用のはもう洗濯機にまとめて入れてあるから、後は洗剤入れるだけで大丈夫だよ。」
「いえ、男性の方々は【彼シャツ】なるものが好きだとお聞きしましたので。」
「それは間違った知識だね。絶対ダメだよ。」
トキ相手にイオリすれば、取り返しのつかないことになると先生は確信していたため、断固として阻止した
トキが色々な荷物を持ち込んでいた先生も手伝って、転送装置の前まで一緒に移動した
『大荷物ですね〜!プラナちゃんチェック手伝ってください!』
『はい、一つももらさずに転送します。』
飛ばし忘れないよう2人に念入りにチェックしてもらってから襖を開いた
無事実家に着いた後、夜ご飯はキヴォトスで当番生徒達と一緒に食べていたので、明日に備えて2人は早く就寝した
そして次の日、休日の朝
本日はあいにくの雨模様
先生は外から聞こえてくる心地の良い雨の音に微睡んでいるとスパーン、と障子が開かれる
「おはようございます、先生。本日はあいにくの雨模様ですが、家の中の掃除に専念すれば問題ありません。早速始めましょう。」
「お、おはよう…早いねトキ…」
しっかりと睡眠をとったトキは早朝から素早く動きはじめていた
お昼過ぎまで寝ていたい、と言っていたバニーとは別人のようだった
「先生、こちらのフィギュアはどうされますか?」
「それは…そっちの棚に置いてほしい!」
「かしこまりました。」
始まった休日の大掃除だったが、想像以上の速さで進んでいた
たった1人、トキが手伝ってくれているだけでマンパワーが段違いだった
トキの手際が素晴らしいこともそうだが、何よりキヴォトス人のパワーが凄かった
キヴォトス人同士で個人差はあるが、基本的に外の世界の人間とキヴォトス人では差が大きすぎるのだ
ティーンエイジャーの少女達が反動を完全に殺して、軽々と銃を振るうのが日常のキヴォトス人だ
2人係でなければ動かせないものも、分けて持っていかなければならないものも、1人で楽々と運ぶことができる
耐久力も凄まじく撃たれても痛かったで済む為、滅多なことでは怪我をしない
普段外に出ることが多いため、腰を痛めて動けなくなることを恐れる先生には非常にありがたかった
いらないもの、古くなったものをまとめて整理して高いところにある埃を落とし、風呂場をスポンジで綺麗に擦る
家具を動かしてその下の埃を掃除機で吸い取ったり、雑巾がけを行ったり、乱雑に置かれていた先生のコレクションを整理する
夢中で進めること数時間、気づけばお昼の時間になっていた
先生は一度手を止めてトキに声をかける
「そろそろご飯にしようか。」
「先生、本日のお昼ご飯は私が作らせていただきます。」
「本当に?ありがとう!何を作ってくれるの?」
昨日持ち込んでいた荷物の中には食料品も数多くあったのだ
トキのためにフウカを呼んだ際、シャーレの冷蔵庫にたくさん食材を補充しており、その中から一部を先生の自宅へと運んだのだ
食材はちゃんと先生のお金で買ったものなので問題ない
「オムライスを作ります。メイドと言えばオムライスだとよく言われているそうなので。」
「あぁー…うん、メイド喫茶とかはそうだね。」
トキはこれまでセミナー会長のリオの専属メイドを務めたり、特殊な任務を遂行していた関係で一般常識に疎いところがあった
今回もまた間違った知識を得てきてしまったようだ
しかし、わざわざ訂正することでも無いし、張り切ってオムライスを作っているトキを止める理由もないので先生は曖昧な相槌を返した
「お待たせしました、先生。」
「おぉー!すごいね、美味しそう!食器とか他の準備はもうできてるよ!」
トキが料理を作っている間先生はテーブルの上を準備していた
お箸スプーンといった食器類、そして簡単なサラダのそばにトキのオムライスがテーブルの上に載せられる
「では最後の仕上げです、美味しくなるおまじないをかけさせていただきます。」
いざ実食としようとしたその瞬間、トキからの突然の一言に先生はむせた
見ればトキはそういった喫茶店で有名なあのセリフとあのポーズをやろうとしている!
「トキ!?待って、それはちょっと恥ずかしいかなぁ!?やらなくてもいいんじゃない!?」
「いいえ、他のメイドにできて私にできないことはありません。完璧なメイドとしてここは譲れませんので!」
流石に生徒にそんな真似をさせるのはまずいのでは、と思い止めようとする先生
しかし、メイドとしてのプライドに火がついたのかトキは頑なにやめようとはしなかった
「おいしくなーれ、萌え萌えキュン。」
…いつも通りのマイペースな声のままだったが、よく見るとその耳は赤く染まっていた
先生は心の底からキュンときてしまったが、生徒相手に不埒すぎることは考えないよう自制した
ふわふわの卵に包まれたチキンライスはコクがあり、オムライスはとても美味しかった
お昼ご飯食べて一休みした後、掃除を再開した2人
午前中に引き続きアロナとプラナも効率的な運び方やルートを示したりして2人をサポートした
あっという間に時間が過ぎていき、そして…
「お疲れ様、休憩しようか。」
「そうですね…流石の私も疲れました…」
『お疲れ様でした、ピカピカになりましたね!』
『すべての部屋の確認完了。埃や汚れもほとんどなくなりました。』
夕方に差し掛かる頃、ようやく家の中の片付けもひと段落ついた
埃がすごかった部屋や、手付かずの二階も手入れし、コレクションもしっかりと整理整頓することができた
家の中にあった汚れや埃は無くなり、ピカピカになっていた
最後に汚れと埃、その他いらないものをまとめたゴミ袋を捨ててくれば完璧だ
「後はゴミを捨てて終わりだね。」
「ゴミ捨て場はどの辺りにあるのですか?」
「ちょっと遠いから徒歩じゃ無理かな。」
先生の指示でゴミを分担してガレージに運んでいく
そこにはカバーをかけられた車が置いてあった
「これでゴミを捨てに行こう。」
「驚きました、先生は自家用車を持っていたのですね。」
「うん。あっちじゃすぐ壊されちゃうから連邦生徒会の借り物かレンタカーを使ってるけど、こっちじゃ自家用車がないと大変だからね。」
ガレージの中にあった銀色のカバーを取ると、ブラウン色をした自動車が現れる
田舎では車は必須級の代物だ
特に先生の家は田舎の中でも離れにぽつんと建っているような家なので、ないと移動が大変すぎる
「私が捨てに行ってくるからトキは…」
「いえ、ついて行きます。」
「うーん…わかった。でもここは外の世界だから申し訳ないんだけど隠れててね。私のようにヘイローがついてない人間ばかりだから驚かれちゃうよ。」
「ええ、理解しています。助手席で椅子を倒していればヘイローは座席の下あたりにいくので見えないでしょう。完璧です。」
『大丈夫です先生!スーパーアロナちゃん達におまかせあれ!』
『ナビゲート開始。人や車が近づいてきた時はすぐに対処します。またドライブレコーダーや監視カメラ映像を問題のないように加工いたします。ご安心を。』
肩をぽんぽんと叩くようにシッテムの箱に触れてから先生とトキは車に乗り込んだ
雨の日の田舎道を車が進んでいく
トキには対向車が来た時や歩行者がいた時はすぐに寝転がって隠れてもらうよう後部座席に座ってもらった
…ヘイローもそうだが、メイド服の少女を連れた男性というのは悪目立ちしてしまう
「あらためて今日は本当にありがとう。トキは本当に仕事熱心だね。昨日のシャーレの仕事もそうだし、休みの日まで働いてくれて申し訳ないな…」
「…別に、積極的に仕事をしたいわけではありませんよ。私だってサボりたいと思う時があります。」
自然に溢れた外の景色を見ながら言葉を返すトキ
トキは一度言葉を区切り息を吸った
「私は、先生だから頑張ろうと思ったんです。私のことを思ってくださるのなら謝るのではなく、迅速に褒めてください。」
「…うん。ありがとうトキ、トキは本当にすごいメイドだね。いつも本当に助かってるよ。」
「はい、私は優秀なメイドですから。…褒められました、いぇーい。」
相変わらず表情が変わらないまま面白いことを言うトキに先生は笑った
そんな先生を見てトキも自然と笑う
「ですから、申し訳なく思う必要なんて無いのです。いつでも頼ってください。先生が望むのであればいくらでも。私は先生のお力になりたいのですから。」
「そっか…ありがとうトキ。これからもよろしくお願いしてもいいかな?」
先生からの、敬愛し恋い慕う主人からの言葉にメイドは胸を張って答えた
「お任せください、これからも完璧な補佐をお約束いたします。…ですから先生、ご褒美やお褒めの言葉を、忘れないでくださいね?」
『先生!私達のことも忘れないでくださいね!』
『トキさんに負けず、我々もサポートさせていただきますから。』
この日から先生とトキはより一緒に行動することが増えた
転送装置を知っているため、遅くまで当番として残らせても問題がなくなり、先生は優秀なトキのおかげで業務が終わるのが早くなり、実は寂しがりやなところのあるトキは先生と一緒にいられる時間が増えたことにとても喜んだ
──深夜、シャーレ近くの路地裏
『それで首尾はどうですか?』
「シャーレの電気消灯、出入り口付近に動き無し。やっぱりシャーレで普通に寝泊まりしてるだけじゃない?」
『いえ、十中八九それだけではないでしょう。この間トキが大袈裟な荷物を運んでいる姿をハッキングしてとうさ─目撃しましたので。シャーレがいくら広いと言ってもあれほどの荷物が必要なのでしょうか?いえ、そもそもあの荷物はガーデニング関係の』
「長い、相変わらず部長は回りくどすぎる。素直にトキも先生も来なくて寂しいって言った方が効率的。」
『い、いいえ!そんなことはありません!このミレニアム生全ての憧れの的である全知の称号を持つ超天才清楚系病弱美少女ハッカーが、そのような感情で動くわけがないでしょう!
とにかく近頃の2人はコソコソと怪しすぎます!シャーレのハッキングを試してみましたが何もなさすぎるのがかえって不自然です!
この世に存在する説明のつかない事象、謎を解き明かすことこそが特異現象捜査部の使命!
シャーレに直接向かい、2人の謎を解明するのです!』
「………はぁ、エイミ了解。これよりシャーレに向かう。」
謎の超天才清楚系病弱美少女ハッカーのシャーレハッキングはアロナプラナコンビに阻止されました
それもただハッキングを防ぐのではなく、ダミー映像を流してあたかもハッキングが成功したかのように偽装しています
彼女が弱いわけではありません、むしろキヴォトス最強のハッカーです
デカグラマトンをくしゃみで跳ね返すアロナプラナが強すぎるだけです
そしてこの小説はほのぼの系なのでかっこいい潜入シーンとかはありません
次も淡々と進んでいくでしょう