果たしてアスナは類い稀なる直感を持ってるから幸運を引き寄せるのか、それとも運が良いから直感が当たるのか…
「ご主人様〜!!今日はよろしくね〜♪」
「むぐぅっ!」
開口一番、アスナは全力で先生に抱きついていた
まるで人懐こい大型犬のような勢いと力強さに先生は倒れないよう踏ん張るので精一杯だ
よく貧弱すぎると言われる先生だが、それでも大人としての意地を見せてなんとか倒れずに堪え切った
「ぷはっ!…今日も元気いっぱいだね、アスナ。」
「うん!ご主人様と一緒ならどんな時だって嬉しくて元気いっぱいだよ!」
アスナは満面の笑みで先生にじゃれてくる
もし彼女に尻尾があったのなら激しく尻尾を振ってそうなくらいの勢いだった
それくらい過激なスキンシップをしばらく行ったことでようやくアスナは満足し、落ち着いてきた
「あははっ!やっぱりご主人様と一緒だと楽しいね!」
「ふぅ…そうだね。でもこのまま触れ合ってるのも悪くないけどさ…せっかく来たんだし、アスナは何かやってみたいこととかない?今日は一日アスナに付き合えるからさ!」
「本当に!?ありがとう、ご主人様!私がしたいことか〜…んーとね…」
このままじゃれ合っているのもいいが、せっかく外の世界に来たのだからやりたいことはないかとアスナに尋ねる先生
最近はお互い仕事ばかりで忙しく落ち着いて会話することもできなかったため、先生はアスナが満足するまで構うつもりだった
─そんな軽い気持ちで聞いた先生はとんでもない返答に驚くこととなる
「あっ!じゃあ私、戦うことが凄く大好きだからどこかで戦闘できそうな所とかはないかな!悪い人を一緒に懲らしめに行こうよ!」
「いやぁ、それはさすがにちょっと…!」
想像以上に血の気が多い返答にとても困ってしまう先生
実は普段の明るく人懐こい姿とは裏腹に、彼女の趣味は襲撃でありプロフィールにもしっかりと記載されている
それを裏付けるように、戦闘中は楽しそうな笑顔を浮かべながら我先に敵の元へと突撃することもある
アスナはネルに次いで荒事が多いC&Cに向いている人物と言えるのだ
「こちらだと気軽に暴力を振るうのは禁止されてるから、別のものでお願い!」
「そうなの?残念…えっと、それじゃあね…」
基本的に生徒のやりたいことは叶えてあげたい先生だが、いくら悪い人でも襲うのは問題になってしまうため別のことにしてほしいとアスナにお願いする
アスナは目を閉じて少し考えこむと、いい案が思いついたのかパッと顔を輝かせた
「あっ!じゃあカジノとか行ってみようよ!ゴールデンフリース号で遊んだのが楽しかったから!」
「それもごめん、この国にはカジノとかはないんだ…!」
またしても叶えてあげるのは難しい提案だった
先生のいる国にはカジノなどのギャンブル施設はまだ存在していない
許されているのは競馬や宝くじといった公営ギャンブルや公営くじのみである
当然ネットのギャンブルも禁止になっている
パ◯ンコ?あれはたまたま偶然近くに景品と交換できる場所があるだけだから…
「ふーん、そうなんだ…残念。遠くから見るよりはゲームに直接参加する方が楽しいから、競馬とかはあんまりかなぁ。」
テレビやパソコンの前に張り付いて競争馬を眺めるだけ、というのはアスナにとって退屈なものだった
観客というよりは参加者としてイベントに参加する方が楽しいからだ
なので競馬などの公営競技も没になった
「あっ!でもご主人様、この〇億円くじっていうのは引いてみたら良いことあるかも!」
「えっ!?あ、ああ、そうなんだ。ありがとう…?」
─ただし、ふと流れて来た宝くじのCMにはアスナは明るい反応を示していたが
「それじゃあこっちの世界のゲームでもしようか?
向こうには存在しないものだから、新鮮で楽しいって皆も言ってたからアスナも楽しめると思うよ!」
「いいよ!こないだリーダーも凄く楽しかったって言ってたし、私もやってみたい!」
やっぱり困った時はこれだと先生は外の世界でも人気のゲームを取り出した
愉快なパーティゲームに対戦ゲームと種類はよりどりみどり
ネルからもとてもよく楽しめた、と聞いていたためアスナは快く承諾した
早速2人はテレビにゲーム機を繋いで準備をする
「ご主人様はどんなゲームしてるの?ご主人様が好きなゲームを私もやってみたいな!」
「私がやってるゲームか…じゃあ比較的最近始まったこれとかどうかな?」
「わっ、可愛い子もかっこいい子もいて楽しそう!やってみたい!」
まず最初に先生とアスナがやるのはインターネットで世界中の人と勝負するターン制の対戦ゲームだった
多種多様な姿をしたモンスターを繰り出して対戦を行い、人々は日々勝ち負けを競っている
先生はコントローラーをアスナに手渡した
「私のデータでやってみていいよ、最初はアスナが気にいった子でプレイしてみよう!」
「ありがとうご主人様!えっとね…じゃあこの子達にしてみる!」
(おお、結構バランス良い…)
簡単にルールを説明して、先生が育成済みのパーティをアスナが使ってみることに
キヴォトスの方にも似たようなゲームはあるし、そのゲームをゲーム開発部と一緒に遊んだこともあるので遊び方はすぐに理解できた
「それじゃ早速始めよっか!このランクマッチなら強ーい人がたくさんいるよね?」
「うん、強い人と戦いたいならランクマッチだね。
通常対戦以上に勝利に貪欲な人が多いだろうから。」
趣味が襲撃ということもあってか、強敵との戦いを好んで自らレートをかけて戦う場所へと足を踏み入れた
「ああっ!負けちゃった。」
「大丈夫大丈夫!最初はそんなものだよ。少しずつ改善して勝ち星を増やして行こう!」
深い知識が試されるヘビーユーザー向けの場所である為、当然苦戦を強いられたが…事態は徐々に好転していく
「え、連続で怯ませ続けて倒した上に回避して一撃必殺ぅ!?うそぉっ!!?」
「あはははっ!やったねご主人様!」
なんとアスナの幸運はゲーム内においても留まるところを知らなかったのだ
勝つ確率が10%にも満たない状況でも当たり前のように引き当てて、か細い勝ち筋を手繰り寄せていく
相手からすればついコントローラーやゲーム機をぶん投げてしまってもおかしくないほどの豪運プレイだった
「わぁ…また一撃必殺当たってる…直感で積み技読みの攻撃も交代読みもバッチリ決めてるし、凄いなぁ…」
「なんだかこの子は変えてきそうだな〜って思ったから!」
その後も戦闘を続け堅実なプレイをする相手は厳しかったが、運要素の強い相手にはアスナの方に軍配が上がった
結果、中々の勝率を維持したまま楽しくアスナはゲームをプレイした
「ご主人様!次はこっちのゲームやってみたい!」
「いいよ!それはちょっと変わってるけど、シューティングアクションの仲間だからキヴォトスの皆向きのゲームだね。」
次にアスナが手に取ったのはイカなどがモチーフのシューティングアクションゲームだった
先生の言う通りこのゲームは変わり種であり、ただ相手を倒すだけでなくインクで相手の場所を奪い合う陣取り要素も持ったゲームである
当然これもランクマッチ形式でプレイを開始した
「ん〜、そこが怪しいかも!」
「わっ、本当に潜伏してた!凄いよアスナ!」
今度は運だけでなく、持ち前の直感で隠れてる敵をあっさりと見つけ出していた
アスナの脅威的な直感は瞬時に最適解を選び出し、一長一短では埋め難い練度の差があっても負けずに喰らい付いている
1人だけで勝てるゲームではないため連戦連勝とはいかないが、それでも決してパーティの足手纏いにはならず大活躍を見せていた
そうして気がつけばまたしてもゲーム内のランクが上がっていったのだった
「ご主人様、次はどんなゲームをしよっか?またランクマッチのあるゲームならこのままどんどんランクを上げちゃおっか!」
「ありがとう、でもなんだか私の方が得してばっかりのような…」
先生はプロゲーマーというわけではないが、やはりゲーム内のランクが上がっていくのは嬉しいもの
アスナのおかげでシーズン終了後のいろんな報酬も獲得することができるだろう
─もしかしてアスナは自分のために色々してくれているのではないかと先生は少し不安になってきた
「もしかして、私のために色々やってたりはしてないかな?…私が楽しいと思うことを強要して、アスナに楽しくないことはさせたくないんだ。だからアスナも心から楽しいと思うことをしてほしい。」
アスナのことを幸運目当てで利用するような真似をしてはいけない
いつだって生徒には心から望む事をしてほしいのだ
「うん!大丈夫だよ、ご主人様!」
そんな先生の心配事は杞憂だった
アスナは暇だったり退屈に思う時間なんてないと楽しそうに笑っていた
「ご主人様の役に立てるのは嬉しいし、自分を蔑ろにしてるわけじゃないから。2人で一緒にゲームしたり遊ぶのはとっても楽しいよ!」
やっぱり勝負事は勝った方が嬉しいよね〜と呟いてる
アスナは本当に気にしていないようだった
アスナ自身の意思でやっているのならそれでいいと先生は胸を撫で下ろした
「あ、でもそうだご主人様、さっきのCM忘れないでね!」
「さっきのって…いやいや!そんな生徒を使ってくじを引くなんて」
「いいのいいの!気にしないで!だって…」
ほっとしたのも束の間、なんと本人からアスナの幸運を利用するようなことを言われて、首を振る先生だったが本人がグイグイと勧めてくる
アスナは渋る先生の手を握ってその目をまっすぐに見つめた
「その方が、もーっとたくさん!楽しいことができそうだから!」
これから皆で楽しい事をする為に、絶対必要なことだと直感が告げている
アスナは輝くような笑顔でそう言い放ったのだった
─後日、先生は結局推しに負けてアスナの言われた通り宝くじを買ってみていた
そしたらなんと……
「宝くじ…本当に当たっちゃった…」
『驚嘆、流石はアスナさんの直感と幸運ですね…』
『でもこれで資金面の問題は完全クリアですよ、先生!これから色々と準備するのにお金は必要不可欠ですから!』
「それはそうなんだけど…地道にコツコツ準備するつもりだったから、やっぱり罪悪感が…それにこれ、実質アスナのお金じゃない…?」
─アスナに再び会う時までお金は使わずにきちんと相談することを決意した先生だった
尚本人に話した所、先生にあげるからもっとたくさん構ってとお願いされたとか…
※なおとんでもない資産を持つユウカだったり、凄いお金持ちのナギサだったりとミレニアムやトリニティの一部生徒からすると宝くじも割と端金
ところでアスナ、この10連ガチャって書かれたボタンをタップしてくれないかな?(ゲス先生)