今更ですが現実来訪というより田舎来訪ですねこれ…
ヘイロー関係無しに、そもそも一般人に格好を見られたらやばい生徒ばかり書いてました…
(まあ、確かに近頃の2人は怪しい。)
特異現象捜査部唯一の実働員である少女は今日も部長たる少女、明星ヒマリの理不尽な命を受けて駆り出されていた
彼女の名前は和泉元エイミ
ミレニアムの一年生でありながら、特異現象捜査部に配属され日夜任務をこなす優秀な生徒だ
これまでにデカグラマトンと呼ばれる脅威を相手に調査を行い、戦闘し生き抜いてきた実績を持つ将来有望な生徒である
そしてその格好は変わった服装をしている生徒が多いキヴォトスの中でも変だと言われるくらい、ゆるいスカートに上半身は下着丸出しというとんでもない格好をしていた
理由として彼女は極度の暑がりで、海が凍るほどの寒さの中水着姿になることでようやくちょうどいいというほどの暑がりなため、普段から服を脱いで体温を下げているのだ
そんな事情のあるエイミはシャーレのすぐそばまでたどり着くと、物陰に身を隠して様子を伺った
「シャーレ近くまで来たよ。」
『ではエイミ、シャーレに入る前にこの通信を切ってポケットに隠してからシャーレに入ってください。』
ヒマリはエイミに通信機を外すように指示を出す
なにかと長く細かな指示を出すことの多いヒマリが珍しく指示を出さず、こちらに任せることに驚いてエイミは理由を聞き返す
「いいけど、どうして?」
『盗聴機の類と疑われるものを堂々とつけて入って、悪印象を与えたくはありません。それにシャーレには説明不能なオーパーツが数多くあります。全てを無力化してから潜入というのはとても難しいでしょう。
あくまでも自然にそれとなくシャーレに入り、2人の秘密を探るのです。私も何か異常はないか観測していますので。
では一度切りますね、吉報を待ってますよエイミ。』
(…要するに丸投げか…)
こんな真夜中に自然と、それとなくなんて難しいことを言うヒマリにぼやきつつシャーレへと歩いていった
結局効率を重視して変なことをせず、入館証をタッチしてシャーレへと入っていったエイミ
中は人の気配を感じさせず、警備システムの放つ光以外真っ暗だった
(外に出た気配はない…となれば中のどこかにいるはず…)
より奥へ進んでいこうとしたその時、誰かが走ってくる音が聞こえてきた
(まぁ、シャーレの警備は厳重だし、入館証で入ればバレるよね。)
立ち止まって待っていると、地下室に続く扉から先生とトキが現れた
「こ、こんばんはエイミ…珍しいね、こんな夜遅くに。」
「お久しぶりですエイミ。何か事件が起きたのですか?」
エイミが入ってきたことをアロナ達によって教えられ、転移をやめて登ってきた2人
エイミは意味もなく深夜に訪れるような生徒ではない
デカグラマトンのような緊急事態なのかと慌てて状況を尋ねた
「こんばんは先生、トキ。そういうわけじゃないから安心していいよ。」
さてどうしたものかとエイミは考える
自然な理由を考える
頭の中でいろんないい訳や理由を考えシュミレートしたがどれもしっくりこなかった
どれもこれも回りくどい上に非効率的だ
「最近2人でいることが多いと思って聞きに来たんだ。何か理由があるんだよね、こそこそ何をしてるの?」
あまり長く黙っていても不審に思われる
結局正面から疑問をぶつけて解決することにした
「う、うんそれはね…」
ついに来たかと先生は思った
普段からシャーレに訪れる生徒は多く、いつか疑問に思う生徒は出てくるだろうと思っていたのだ
そのためのいい訳や誤魔化しはちゃんと考えてきた
「お待ちください先生。私からお話します。」
「トキ?」
それはトキも同じだったようだ
トキもちゃんとこの時のための対策を用意していたことに安堵する先生
自分よりも彼女に任せた方がボロも出さず自然に誤魔化せるだろう
そう思っていた先生だった、が
「この度、飛鳥馬トキは先生個人の専属メイドとしてずっとおそばにいるよう先生から命じられたのです。」
「トキ!!!??」
とんでもない事を言い始めたトキに先生は驚きを隠せなかった
もしこれが信じられてしまえばどちらにせよ終わりなのではないだろうかと嫌な汗が流れる
ちらりとエイミを見ればジト目でこちらを見つめていた
「今先生凄い驚いてたけど。」
「まさか私から言うとは思わず、驚かせてしまったようですね。」
トキのポーカーフェイスはこういう時に強かった
しれっと嘘をついても、顔色がほとんど変わらないためわからない
誰とはいわないが騙されやすい生徒ならコロっと騙されただろう
しかし今回は相手が悪かった
「ですので夜な夜な荷物を持ち込んでシャーレでメイドとしてご奉仕させていただいていたわけです。」
「ガーデニング用品運んでるのを見たって部長が言ってたけど?」
「……先生はガーデニングをしてみたいということで準備させてもらっていました。」
「なんで電気消してわざわざ地下室にいたの?」
「それは…まだ皆様にお伝えするのは早いため黙秘します。」
「いかがわしいことしてたの?」
「してない!絶対してないから!」
「じゃあ地下で何してたの?」
「……家庭菜園でもやしを育てていたのです。もやしは暗い場所でないといけませんから地下でもやしを育てていたのです。」
「専属メイドになってする仕事がそれなの?」
言い訳がどんどんと苦しくなっていく
言いづらいこと聞きづらいこともど直球に聞いてくるエイミも強かった
そもそもここでエイミを納得させたとして、裏にいるだろうヒマリが納得するのだろうか
エイミはずっとジト目になったまま表情が変わらなかった
「はぁ…わかった。全部答えなくていいよ、ただこの質問だけは正直に答えて、私も正直に話すから。その方が効率的。」
エイミは2人が何かを隠していることはよくわかった
しかしそのために、嘘をついて腹の中を探るようなことはしたくない
そんな面倒で非効率的なことをするよりまっすぐ正直に伝えた方が気持ちが伝わる
エイミはこれだけは伝えることにした
「寂しいし、心配だよ。先生、今やっていることはさ、2人にしかできないこと?私じゃ力になれない?」
──つまるところ、エイミもヒマリと同じように寂しかったのだ
エイミもヒマリも本気で2人が悪さをしているだなんて微塵も考えていない
2人だけで楽しそうにしていてずるい、私も仲間に入れて欲しい
どこか楽しそうに過ごす2人を見て寂しさと羨ましさが積もっていってしまった
そんな飾らないまっすぐな言葉が2人に突き刺さって、言葉がつまる
「…仕方ありません、先生。」
「うん、そうだねごめんトキ。ありがとう。」
2人はエイミの悲しそうな顔を見て隠すことをやめた
そこまでして隠し通して得られるものなどないだろう
「リオ会長の元を離れて、どこに向かえばいいのかもわからずに彷徨っていた頃も、そして今もヒマリ部長とエイミにはとても良くしていただきました。悲しそうな顔は見たくありません。」
かつてトキはリオ専属のメイド兼特殊部隊員として動いていたが、突然放り出され途方に暮れていた
そんな時、ヒマリやエイミにはC&Cの仲間や敵対していたゲーム開発部と馴染むことができるようになるまでとてもお世話になったのだ
恩を仇で返すような形にはしたくない
「エイミならば、イタズラに言いふらしたりすることもないでしょう。こうなった以上エイミにも協力者になってもらいます。」
「うんそうだね…エイミ、隠し事しててごめんね。これはどうしても一般に知られたらまずい事だったから。」
「ですのでどうかこのことは他言無用でお願いします。着いてきてください。言葉で説明するよりも私のように、実際に体験してもらった方が効率的ですから。」
エイミは任務や仕事に忠実で大多数に言いふらしてまわるような人間ではない
真実を伝えて彼女も共犯者にすることに決め、地下室へ案内した
「よくわかんないけど、わかった。着いていけばいいの?」
そのままエイミを連れて地下へと降りていく
その間先生は小声で転送装置は3人でも大丈夫なのかアロナとプラナに尋ねた
『全く問題ありません。定員人数にはまだまだ余裕があります。』
『もし不安なら何回かに分けて送ることも可能です!』
一度に飛ばすことのできる人数は思ったよりも多いらしい
一体あの光はどれほどの人数を包み込めるのか
そんなことを考えてるうちに例の襖の前までたどり着く
「…この不自然なところにある襖が2人の秘密?」
「うん。変な形だけどこれは転送装置になってるんだ。」
「そうなんだ…行き先はどこ?」
あまり驚くこともなく尋ねるエイミ
転移装置に関してはリオも作ったことがあるという前例があること、それ以上の原理不明理解不能な事態に巻き込まれたことがあったためだった
これが一般の生徒なら驚きもしただろうが、エイミはすんなりと納得した
「外の世界にある先生のご実家です。」
「外の世界…!?」
しかし、行き先には流石のエイミも驚愕した
外の世界は存在を示唆されているが、外の世界へ行って帰ってきた人はほとんどいないのだ
どうやって外の世界へ行けばいいのか誰もわからなかった
「先生という生き証人がいるから、実在しているのは知ってたけど…それでも、まさか本当にあったんだ…」
先生がキヴォトスに来るまでは半ば都市伝説じみたものだった
まさか銃弾1発で死んでしまうなんてキヴォトスに住むものとして信じられないことだったから
「ちょっと待っててね、今部長にメールする。」
「あ〜…やっぱりヒマリが?」
転移する前にヒマリへ連絡するエイミ
言葉ではとても説明し切れないため、明日直接教えるとメールに書き込み送信する
「うん、2人がこそこそしてて怪しいから調査しろって………よし、送信完了。明日説明するって送ったから大丈夫、いけるよ。」
当然それだけでは納得しないだろうとヒマリの性格を知っているエイミは送信完了した後、すぐに電源を切った
『システム異常なし、先生どうぞ!』
「よし、それじゃあ開くよ!」
全員の準備が完了したので襖を開く
襖から光が溢れ出して3人を包み込む
強い光にエイミは目を閉じた
光が収まると、そこは先生の実家のお屋敷
真っ暗な木造でできた長い廊下に3人は立っていた
「…空気が変わったね。自然の匂いがする?」
周りの雰囲気が変わったことを鋭く察知するエイミ
街中、廃墟、森に氷海とさまざまな場所へ赴いたことのあるエイミは環境の変化に敏感だった
「…うーん、街中に比べればほんの少し涼しくなった。まだ暑いけど。本当にここって外の世界なの?」
「外を見ればわかります、来てくださいエイミ。」
ゆっくりと夜空をみる機会があまりなかったエイミは空を見て違いがわかるのかと少し不安になった
その不安は外に広がる光景を見てすぐに吹き飛ぶことになる
「……星が、すごい。」
「私も初めて見た時はとても驚きました。」
「街の中じゃこんなに星は見えないもんね。」
「…うん、それに上空にあるはずのものがどこにもない。ここは本当に外の世界なんだ…」
夜空を彩る色とりどりの、数え切れないほどの輝きが目に映る
遮るもののない田舎の星空には流石のエイミも魅了された
少し肌寒いほどの夜風がそよそよと吹き抜ける
「…でもやっぱり暑い…ちょっとこれ使うね。」
しかし、そんな中でもエイミにとっては蒸し暑いようだった
火照った身体を冷やすべく自身の愛用品を取り出す
「ストップストップ!」
「ちょっと待ってくださいエイミ!」
エイミが懐から取り出したピンク色の小さな扇風機を見た瞬間慌てて止める2人
これはエイミの秘密兵器、超冷却扇風機
改造を施して作られたこれはかわいい見た目とは裏腹に危険なレベルの強風を生み出すことができる
サイズが小さいため風を出す範囲は限られてはいるが、少なくとも絶対に室内で使うものではない
この暗さで物が吹き飛ばされれば、どこに行ったか絶対にわからなくなるため全力で止めた
「エアコンがあるからそれ使って!」
『この間大掃除の時にエアコンも確認しておいてよかったですね…』
前回の大掃除の時埃を吸い取って、変な匂いがしないか確認しておいて本当によかったと思う先生
まさかこんなに使う機会が来るとは思ってもなかった
エイミをエアコンのある部屋へ連れて行き、エアコンをつける
「うん、マシになった。ありがとう先生。」
「今日はこのままこの部屋で寝るといいよ。あっ、寝巻きはどうしようか?一度戻る?」
「?寝巻きを着る必要なんてないよ、いつも脱いで寝てるから。」
そんなの着るなんて非効率的と服を脱ぎ始めるエイミ
羞恥心が薄く、肌を晒すことに抵抗のない彼女はいつも通り寝る前のラフな格好になるため自然と服を脱ぐ
エイミにとって、就寝前のパジャマ姿になるものと同じようなものなのだ
「待ってくださいエイミ、先生の前で全部脱ごうとしないでください!」
「私向こうに行くから!おやすみなさい!」
トキはエイミのフォローに入り、慌てて部屋を出る先生
その後トキにお風呂場に案内され、その間にしっかりと先生は布団をしき、エイミはエアコンの効いた涼しい部屋で就寝した
この調子だと明日も服を脱いだまま動き回りそうなので、エイミより早く起きるべく2人も素早く就寝した
──特異現象捜査部部室
「おや、エイミから連絡が来ましたねどれどれ……………………………………………は?
ど、どういうことなのですか。エイミもグルなのですか!?わたしだけ仲間外れなんて許しませんよ!!」
──おかけになった電話番号は電波の届かないところにあるか電源が入っていないためかかりません──
「………………………………………ぐすん。」
メール
部長へ
2人の謎を無事解明したよ。
でも説明が難しいから明日のお昼くらいに伝えるね。
今日は2人と一緒に泊まっていく。
また明日。お休みなさい。
この後超天才清楚系病弱美少女ハッカーは諦めてふて寝しました
エイミはいいぞ…
絆でものすごいストレートに好意をぶつけてきてて、すごく驚きました