小学校用務員勤務の俺はなぜか魔法少女になってるわけなんだが、最近児童にバレそうになってる。なあ、どうすりゃいい?   作:境 仁論(せきゆ)

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勘弁してほしいね。


もうやめたいんだけど。

「マジカルミラクル、ピュアっとパープル! 町の平和をれっつメイキング!」

 

 

 

 魔法少女ってのは地域に一人はいる。今こうして淡い紫のツインテールを揺らして、フリフリの衣装で空中を駆け回っている子どももそうだ。

 

 齢は10歳くらいだろうか。こんな歳でよく頑張るもんだ。俺は勘弁だが。

 

 

 

 ……まあ、現在進行形で魔法少女になってるのが俺なわけだが。

 

 

 

「パープルすとらーいく!」

 

 

 

 杖から光線が飛び出て、奇怪な化け物は見事に爆発した。そして体が勝手に動いて、きゃぴきゃぴなポーズをキメる。

 

 

 

「今日もうぃなー! マジカルミラクル☆」

 

 

 

 地上で見ていた子どもの一人がこう言う。

 

「まじかるみらくるー!」

 

 

 

 なあ、もうやめたいんだけど。

 

 

 

—————————————————————————————————————

 

 

 

「昼休み終わりだろお前ら―。さっさと戻れ―」

 

 

 

 わー、と子供たちが教室へと戻って行く。俺は溜息ついて自分の部屋に戻った。

 

 冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し紙コップに注ぐ。これを酒を煽るように口につけ、大きく喉を震わせた。

 

 

 

「きゅふふ、いい飲みっぷりだねパープル♪ 勝利の一杯、わたしも飲んでみたいなー?」

 

「……うっせえ幽霊」

 

「だーかーらー、わたしは元『ピュアっとピンク』だってばー」

 

 

 

 周りをゆらゆらと浮いている小柄な女の子の幽霊。要はこいつが俺を魔法少女に仕立てやがったというわけだが。

 

 

 

「俺だってパープルなんて名前じゃねえよ!? 一介の用務員になんて恰好させんだよ……それに俺はアラサーだ!」

 

「関係ないよー? 変身したら女の子になるじゃない」

 

「そういう問題じゃねえ! あのな、おっさんなんだよ俺は。身体にガタは来てるし、身なりも綺麗じゃねえし、それに……もっと、魔法少女になりたいって子に譲ってあげるべきじゃねえか?」

 

「因子持ってるのパープルしかいないよ?」

 

「ぜーったい嘘だ。お前楽しんでやってるだろ?」

 

「きゅふふ」

 

 

 

 幽霊はぐるぐると回ってからリモコンを持ち上げテレビをつける。

 

 

 

『今日もぴゅあっとパープルが町の平和を守りました! そしてなんと! 突然のインタビューにも答えてくださいました!』

 

 

 

Q 質問いいですか?

 

『うえっ!? えーとあと……まあ五分くらいなら』

 

 

 

Q 今回の怪異はどうでしたか?

 

『簡単……でしたk……(えなに……もっとキャピれって……?)今日も強かったけど、わたしがんばりましたー!』

 

 

 

Q 今回でデビューして二回目の戦闘でしたが、これからもやっていけそうですか?

 

『いやもうやめはい! これからも精一杯がんばりまーす!』

 

 

 

Q ところで、本当のお名前はお伺いできませんかね?

 

『はあ? できるわけなぴゅあっとパープルです! そんな質問は禁制だぞ~?』

 

 

 

Q それにしても本当にかわいいですね!

 

『すみません変身切れるのでここまでで! しゅわっ!』(空へソニックブームの勢いで飛んでいく俺)

 

 

 

 一通りのインタビュー映像が終わると幽霊は振り向き、にやにやと笑った。

 

 

 

「やっぱりかわいいねえパープルはァ」

 

「お前さ。やっぱりそういう趣味あるよな?」

 

 

 

 そして腹を抱えて飛び回るぴゅあっとピンク。俺は虫取り網を取り出しなんとか捕まえようとするも、奴はひらひらと空気のように躱していったのだった。

 

 

 

「すみませーん、ちょっと教室の電灯切れちゃって……ムラキさん? どうかされましたか?」

 

「え!? あ、いやー……セミが飛んでまして……?」

 

「春なのに!?」

 

 

 

 必死に言い訳する俺の様子をにやついた顔で眺めるピンク。どうにもこいつは俺以外には見えないらしく、用務員室にやってきた先生の目の前に立って見え無くしたりすぐ横で変顔をしてみせたりと、全力で俺をからかおうとするのだった。

 

 

 

 これを全て無視して、工具を持ち教室へ向かった。

 

 

 

—————————————————————————————————————

 

 

 

 作業はすぐに終わり、授業中の学校の廊下を一人(+ついてくる幽霊)歩いていた。壁には児童たちが図工で描いたのであろう絵が飾られていて、ちらほらと「ぴゅあっとパープル」の姿が見える。

 

 

 

「すーっかり大人気だぁ。なんか嫉妬しちゃう。わたしのときより人気なってない?」

 

 授業中なので返事しない。

 

「あ、照れ隠しだなー? このこのー」

 

 

 

 そのまま歩くと玄関に辿り着く。そこには体操着の児童が何人かいて、恐らく体育の授業で外から帰ってきたのだろう。

 

 

 

「……あ! 用務員さん!」

 

 

 

 その中の女の子が一人、こちらにタタタと走り歩いてくる。

 

 

 

「やあ詩音ちゃん。こんにちは」

 

「こんにちはこんにちは! ねえねえ昨日のパープル見た!?」

 

 

 

 あーもう勘弁してほしいわー!

 

 

 

「かっこよかったよねーかわいかったよねー! ねえねえ用務員さんはパープルを近くで見たことあるんでしょ!? 昨日はどうだったの?」

 

「昨日は近くにいなかったカラナー? 俺はニュースでしか見てないナー」

 

 

 

 この、詩音という子は魔法少女にやたらと造形が深いオタクじみた女の子だった。歴代の町の魔法少女全ての情報を網羅していて博士と呼ばれることも。

 

 用務員にも話しかけてくれる子どもは多いが、この子は顕著だった。というのも、俺が初めての戦闘をしたとき、現場付近で変身解除したばかりの俺は彼女と鉢合わせてしまい、

 

「今の見た!? どんなだった!?」

 

と質問詰めにされてしまったというのが事のきっかけというわけである。

 

 

 

「この間の怪異、私の研究によると群生型の怪異だから同じタイプのが近くで出てくるはずなの。だから今日からそこに張り込んで……」

 

「や、危ないから行かない方がいいよ?」

 

「パープルが守ってくれるから大丈夫だよ?」

 

 

 

 信頼を貰ってしまって俺は大歓喜だよ。冷え汗ダッラダラ、換気しねえかこの空気。

 

 

 

「……ん、同じところに現れるのか? そいつは」

 

「うん。一カ所に集まって生息する習性があるんだ」

 

「そう……なのか」

 

 

 

 普通にこれは役に立つ情報だ。俺も帰りにそこへ……。

 

 いやいや。なんですっかり自分の仕事みたいに言ってるんだ俺は。

 

 

 

「ナ、パープル。もうちょっと話聞こうよ」

 

「あの怪異、どういったものなんだい?」

 

「あれはね、ハチハチバッチー! 女王様とお仕事バチの二種類いて、女王様を倒さないと全部倒せない集団の怪異なんだけど、今回のはお仕事バチだったねー。でも女王様は滅多に出てこないから、見つけるのも大変かも?」

 

 

 

 ……なるほど、ね。

 

 

 

「そっか。じゃあ俺も気を付けなきゃな。詩音ちゃんも、寄り道して帰ったらダメだぞ?」

 

「はーい!」

 

 

 

 教室に戻る彼女を見送って、俺は用務員室に戻った。

 

 

 

 しゃーねえ、作戦会議と垂れ込むか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

続くかは知らん!!!! でも多分書く!!!!! 

 

気の迷いで書いてるから!!!!




勘弁だよ。
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