小学校用務員勤務の俺はなぜか魔法少女になってるわけなんだが、最近児童にバレそうになってる。なあ、どうすりゃいい?   作:境 仁論(せきゆ)

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第一部、完ッ!!!

※縦スクロールに戻してもええっすよ。

 

 

 

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「おはよーございまーす!」

 

「はいはい、おはよーさん」

 

 

 

 早朝から子供たちは元気なことだ。俺は連戦続きで寝不足気味だが、そんなことはいざ知らず、彼らは挨拶してくれる。

 

 俺がガキの頃は何時に寝ていたか思い出そうとしたが、どうにも曖昧でわからなかった。

 

 

 

「用務員さん、おはようございます!」

 

「お……詩音ちゃん。退院したのか」

 

 

 

 あの戦いから一週間。あれ以降、蜂は丸っきり出現しなくなっていたのだった。

 

 

 

「随分……元気になったみたいだな。なんなら入院する前より絶好調じゃないか?」

 

「へへー! 私、テンション爆上げです!」

 

 

 

 最近のヒーローものが確か、爆上なんたらみたいな名前だった気がする。その影響だろうか。

 

 

 

「それでねそれでね……あ、そうだ、お姉ちゃんのことなんだけど!」

 

「……おう!?」

 

 

 

 詩音ちゃんの前ではできるだけその話はしないつもりでいたのに!

 

 まさかそっちからふっかけてくるとは!

 

 

 

「お姉ちゃんね……謝ってくれたの」

 

「ほー……」

 

 

 

 ピンクの話では、蜂に憑かれた人間は生まれた頃から怪異の意識に呑まれるらしかった。怪異の人格と人間の人格は常に一体——だから、あの子の身体から蜂だけを切り裂いたときも、植物人間にしてしまったと思っていたのだが。

 

 

 

「お姉ちゃんね、どうしてこんなことしてきたのか申し訳ないーって。お母さんとお父さんにも告白して……無事に仲直り!って感じ!」

 

 

 

 詩音ちゃんの笑顔が、それは小さな心配だったということを証明してくれていた。

 

 

 

「そっか。よかったじゃないか」

 

 

 

 そう返すと詩音ちゃんは、「あ、そういえば!」と切り返してきた。

 

 

 

「入院してたときにピュアっとパープルが来てくれたんだけど、雰囲気が違ってたの! いつもはカワイイのに、そのときだけ男の子みたいで……」

 

「おーっとぉ……」

 

 

 

 うん、俺も後悔してた。感情的になりすぎてすっかり言葉遣いを忘れていた。

 

 

 

「そのときね、思ったの。パープルの話し方、なんだかね……用務員さんに似てたなって」

 

「そーんなバカなことあるかなあ!?!?」

 

 

 

 いやわかるか!? おっさんと女の子じゃ全然声質違うだろ!?

 

 

 

「その、言葉のイントネーションとか、怒り方とかが結構似てるなーって。もしかしてさ、用務員さん知り合いだったりしない?」

 

「しないしないしないしないしないしない竹刀」

 

 

 

 なに? 喋り方で聞き分けてるの? なんなのこの子怖いんだけど。オタクってそこまで変態なの?

 

 確かに特撮ものだと体型を見ただけでスーツアクターがわかるという変人がいるらしいが……。

 

 

 

「ほらほら早く行かないと朝の会始まっちゃうぞ!」

 

「はーい」

 

 

 

 詩音ちゃんと別れ、逃げるようにそそくさと部屋に帰っていった。

 

 

 

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「きゅふふ! このパープルもカワイイ! ねーねーちゃんと家のテレビ録画してるよねー?」

 

「お前が勝手に録画してんだろーが」

 

 

 

 幽霊はすっかり元の騒音魔に戻っている。しばらく話も聞かなくなるかと思っていたが、翌日にはこうだ。

 

 こええよ、この幽霊。

 

 

 

「……おいピンク。女王蜂の子さ、普通に生活できてるらしいぞ」

 

「だろーねー」

 

「はあ?」

 

「だって、わたしたちが攻撃できるのは怪異だけなんだもん。身体だけじゃなくて、中身もそう」

 

「中身……つまり、心とか?」

 

「そっ。刀……つまり一刀両断。一つのものを二つに切り離すモノ。例え粘りついて合体しちゃってる相手でも、刃の前じゃ意味はナシ! これはね、パープルの心がそうさせたの。魔法少女としての力だけじゃない。きみだけの特権だよ。だからきみじゃなきゃ、鉢蜂罰は倒せなかった。ありがとね」

 

 

 

 珍しくまじめな顔をする少女。だが……

 

 

 

「ぜんっっぜん嬉しくねえ!」

 

「バッ!?!?」

 

 

 

 なんだよ「バッ」て。

 

 

 

「だって最初からお前が仕組んだ罠だったろーが。それでハッピーハッピーハッピー♪ってか? アホかよ、頭ピンクで埋め尽くしてんのか」

 

「なんだその言い方ぁ! 先輩に向かってー!」

 

「絶対お前よりマシだわ!」

 

 

 

 そんなカスみたいな喧嘩を今日も続けていると、テレビからアラームが鳴りだした。

 

 二人で画面を見てみると、女性キャスターが切羽詰まった顔で

 

『ただいま市内に怪異が現れた様子です!』

 

と、建物を破壊する怪異の姿を実況していた。

 

 

 

 俺たちは互いに顔を見合わせて同時に頷く。

 

 

 

「午前は美術室の壊れた椅子の修理がある。朝の会はとっくに始まってるし……五分で終わらせる」

 

「いいね、様になってるじゃん」

 

「うっせえ……『魔法転身! ミーラミラ、マジクール!』」

 

 

 

 つい反射で言い返したが、俺も転身には慣れてきていた。30近いおっさんの身体から10歳かも怪しい少女の身体に変わってしまう感覚もすんなり受け入れている。

 

 用務員室は光り、紫色のキラキラに包まれる。

 

 いつものようにフリフリのドレスを身に纏うと、俺は窓からマッハの勢いで飛び出していった。

 

 だって、俺しかいないんだろう? 怪異とやり合える奴ってのは。

 

 だったら……何が恥だ。

 

 恥を捨てろ恥を。

 

 戦えよ、魔法少女ピュアっとパープル。そして————俺。

 

 

 

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「————協会に未登録の魔法少女を確認。確かに違法技術で転身をしているようです。送れ」

 

 

 

 紫の戦いを、陰から見る誰かがいる。

 

 彼女は、吟味するようにその姿を眺めていた。

 

 

 

「初代の姿を模倣している、か。公認の魔法少女が協会から送られるまで一か月。それまで奴の調査を行うのが今回の任務。でも……」

 

 

 

 溜息をつくと、ソレは懐から装置を取り出し腰に巻き付けた。

 

 

 

『オカルドライバー!』

 

 

 

「衛星フォックス。転身認証を」『ラジャー』

 

 

 

 ドライバーのレバーを弾くと、待機音声が流れ始める————

 

 彼女はカードを一枚装填。

 

 

 

『オカルト 化け提灯 SET』

 

 

 

 手を回し、指を回し、彼女は呟いた。

 

 

 

「武装転身」

 

 

 

 瞬間、天空から赤の光線が降りかかる。そして彼女の姿が、瞬く間に異形へと変わっていく。

 

 

 

『Brust of Flame! エンシャントランターン!』

 

 

 

 鬼の仮面に炎の装甲——人型の怪異と大差ない戦士が、そこに立っていた。

 

 彼は、一人指を鳴らした。

 

 

 

「鬼面レイダー バージョン1……記録を開始する」

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

まあ、これで第一部終わりってことでね。ひと段落つこうって話です。

 

 

 

続きぃ? まあ気が向いたら書くよ

 

魔法少女の世界に男物ヒーローが紛れ込んでる世界もあるわな

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