小学校用務員勤務の俺はなぜか魔法少女になってるわけなんだが、最近児童にバレそうになってる。なあ、どうすりゃいい?   作:境 仁論(せきゆ)

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なんです、これ。


はちみつ狩りだオラァ!

「あれあれ? 新聞なんて開いちゃってどうしたのー?」

 

「詩音ちゃんが言ってた蜂について調べるんだよ」

 

 

 

 用務員室に戻って早々今日の朝刊を開くと、早速先日の魔法少女の活躍が大見出しで飛び込んできた。

 

 

 

「俺が初めて戦った時も同じ蜂だったよな? 詩音ちゃんの言ってたことも踏まえると、この町には蜂タイプの怪異が立て続けに出てきてるかもしれねえ。図書室にそれらしい資料でも探しに行くか……?」

 

「すごいパープル! 大正解!」

 

 

 

 ピンクがうざったらしくふわふわと騒ぐ。

 

 

 

「パープルは最近こっちに戻ってきたから知らないよねー。そう! ハチハチバッチーはたーくさんいるの!」

 

 

 

 戻ってきた、という言葉が気になったが無視する。そもそも俺はこの町に去年初めて来たんだ。

 

 

 

「知ってるのか、幽霊」

 

「あったりまえじゃん! だってわたし、この町の初代魔法少女なんだよ?」

 

「……あー、そんなこと言ってたっけな。いや、てことはお前の代から蜂はいたってことか? 具体的には何年前だ?」

 

「んー、あまり覚えてないや。十か二十年前じゃない?」

 

「範囲広すぎ……」

 

「でもでも、蜂のことはよーく知ってるよ。だって、」

 

 

 

 幽霊は机の向かい側に頬杖をついて座った。

 

 

 

「だって、あの怪異に名前をつけたのはわたしなんだから」

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 俺は腑抜けた声を出す。そしてゆっくり立ち上がった。

 

 

 

「それを早く言えよ!? じゃあ弱点もわかってるんだろ!?」

 

「さーてねー?」

 

 

 

 こいつわざとらしい……!

 

 

 

「それなら初めての時も教えてくれればよかったろうが……! あんなに苦戦しなくて済んだかもしれないのに……!」

 

「ちゅーとりあるでネタバレはキャピってないでしょー?」

 

「ざけんなお前……」

 

 

 

 心を落ち着かせて座ると、ピンク頭は自慢げに語り始めた。

 

 

 

「ハチハチバッチー、って言われてるみたいだけど、わたしはあれを、

 

鉢合わせるとバチに当たる、という意味で、鉢蜂罰(はちはちばち)と名前をつけた。

 

 詩音って子の調べた通り、女王バチと働きバチの二種類いて、今まで戦ったのが働きバチ。でもそれだけ倒しても壊滅することはできない。女王様が無尽蔵に子どもを産み続けちゃうんだから」

 

「つまり……女王を倒せばいいんだな。そいつはどこにいるんだ?」

 

「さあ? わたしも一回しか見たことないよ。そもそも表にはなかなか出てこないみたいだし。でもね、女王様は、人間の姿をしている」

 

「人間……それってつまり」

 

 

 

 幽霊は無言で頷いた。

 

 

 

「だったら巣を探すしかねえな。詩音ちゃんが言ってた場所を隈なく探すぞ」

 

 

 

 立ち上がると奴は「きゅふふ」と笑った。

 

 

 

「やる気出てきたー? 魔法少女としての自覚も出てきたみたいだねー?」

 

「勘違いすんなよ。蜂を野放しにしたら、下校中の子どもたちがどうなるかわからねえ。だからこれは、魔法少女かどうかっていう問題じゃない。俺の仕事だから行くんだ」

 

 

 

 俺は部屋を出る。後ろを案の定幽霊がついてきていたのだった。

 

 

 

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夕方。

 

地図を頼りに区画内を歩き回る。

 

 

 

「何か感じるか」

 

「あのねー、わたしはお宝探知機じゃないんだよー? 怪異が自分から出てきてくれなきゃわかんないよ」

 

「じゃあどう出現するんだ。地面から出てくるのか、空から降りてくるのか」

 

「色んなパターンがあるねー」

 

「つくづくガイド向かないなお前」

 

 

 

 学校のチャイムが聞こえて既に三十分。ちらほらと下校中の生徒が見え、挨拶を返すのだった。あまりにも平穏で今日は出てこないかと踏んでいたところ、突然ピンクが頭突きを喰らわせてきた。

 

 

 

「だぁっ!? お前何すんだよ!」

 

「きたきたきたきたきたアレアレアレアレアレ!」

 

 

 

 ピンクの指差す方を見ると、巨大な蜂の怪異が家々の上をゆっくりと移動しているのが見えたのだった。

 

 

 

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 蜂から私は必死に逃げる。

 

 今日から張り付こうとした矢先にこれで内心興奮していたけど、今は恐怖でばくばくだ。

 

 大きなハチハチバッチーはお尻の針を向けてどんどん迫ってくる。

 

 

 

「はっ、はっ、はっ」

 

 

 

 まずい、このままじゃ追いつかれる、やばいやばいやばい……!

 

 

 

「たすけてぇ!」

 

 

 

 そう叫んでも返ってくるのは羽音だけ。すぐ背中にまで聞こえたそれに、ついに身体を貫かれ……そうになったところを、私は抱きかかえられた。

 

 

 

「あっぶねええええええええ!!!」

 

 

 

 全力でスライディングしながら叫ぶのは用務員さんだった。

 

 

 

「詩音ちゃん、だいじょぶか、ぜえっ、ぜえっ」

 

「う、うん……」

 

「は、早く、帰りなよ……寄り道はダメでしょ……」

 

「でも、用務員さんは……」

 

「……はは、おじさんが引き付けておくから。どうせ、魔法少女が助けてくれるさ」

 

 

 

 それなら私もついていきたいと思ったけど口にすると絶対に怒られてしまいそうなので黙った。

 

 

 

「ごめんなさい、用務員さん! 誰か呼んでくる―!」

 

「いや呼ばなくていいからぁーーー!」

 

 

 

 私は走った。おじさんが危ない。魔法少女はどこだろう。早く、教えないと……!

 

 

 

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 コンクリートを次々と抉る針の連撃を転がりながら躱す。

 

 

 

「ピンク! 周囲に人は!?」

 

「いないよー? だからもうやっちゃって、大丈夫☆」

 

「ホントか!? がっつり住宅街だけど! お前俺が正体バレるように仕掛けてるわけじゃねえよな!?」

 

「だいじょぶだいじょぶ! 転身は一瞬だし、この辺りの人はみんな避難したし! ……あれこの匂い。ああカレーだあ! あそこの家の人、今日はカレーなんだー! いいなー!」

 

「いるじゃねえかよ!? だあーもう仕方ねえ!」

 

 

 

 転身は本当に一瞬だ。見られないなら、別にどうってことはない!

 

 

 

 袖をまくってマジカル☆ブレスを出す。スイッチを押すとこれまたファンシーな音楽が流れ出した。

 

 そして両腕を回し、十字に重ねて叫ぶ。拳を握りしめて。

 

 

 

『魔法転身ッ! ミーラミラ、マジクールッッ!』

 

「だからもっと可愛く言ってよー!」

 

 

 

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説明しよう! ムラキが腕時計型転身アイテム、マジカル☆ブレスを起動させると、0.0000001秒のうちに転身することが可能なのだ! それでは転身シークエンスをもう一度ご覧いただこう。(しなくていいわ変なナレーションつけんなピンク!)

 

 

 

※脳内映像でお楽しみください。

 

 

 

『れっつトランシング!』

 

三十代男性の身体を、十代女子の身体へとトランスフォーム!(ここ実は裸。光に包まれてるけど)

 

 

 

※脳内映像でお楽しみください。

 

 

 

『ファッショニング!』

 

フリフリドレスを纏っていく!

 

 

 

※脳内映像でお楽しみください。

 

 

 

『メイキング!』

 

お顔にお化粧、そして髪の色が薄紫色に変わって伸びっていって……はいツインテールどーん!

 

 

 

はい、転身完了! 現場に戻しまーす。

 

 

 

「カメラ回すよパープル決めちゃってー!」

 

 

 

「マジカル☆ミラクル ピュアっとパープル! 町の平和をー……! れっつメイキング!」

 

 

 

「はいかわいい~~~~~~~! ねえ結婚しない? わたしと」

 

 

 

ここで一つ釈明しておこう。

 

これは、俺が自分の意思で言ってるわけじゃない。口と身体が勝手に動くのだ。

 

俺だって最初は抗ってたが、ピンクにバレると鬼の形相で睨まれてしまうので、もう諦めてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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なんでこんなのでいきなりレビューが増えるんですかね?

 

俺は不服ですよ。

 

 




なんですか、これ
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