影縫人形   作:神代愛

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最初の犠牲者

「くそっ!ふざけやがって!」

カランカラン、と蹴り飛ばす空き缶の音は

夜の公園に響き渡った

「由真の野郎…バックレやがって…」

「今度会ったらただじゃおかねぇ!」

独り言を続ける男

大体成人して間もない歳だろうか

酒に酔った様子でいた

その様子を一人の警察官が見かける

夜中の公園、ふらつく人影

どうみても不審者にしか見えなかったのだろう

警察官は男に近寄った

「こんな所でどうなさったんですか?」

慣れた口調で話す警察官

「あぁ?…って、何でお巡りがこんな所に」

一瞬焦りを見せる男

「ん?君…何だ酔ってるだけか」

「もうこんな時間にうろついてたら危ないよ」

「早く帰りなさい」

背を押しながら支える警察官

「あぁ…はい、すみません…帰ります」

少し弱腰になった男

が、あるものを目にした

「…ん?」

「ん?どうしましたか?」

警察官も男の視線に気づきその先を見つめた

そこには人

人の姿があった

「お友達かい?」

「し、知りませんよあんな奴…」

「全く…見た限り身長じゃまだ子供じゃないか?あれは…」

その人の姿をしたソレは真っ白な服に身を包んだ

身長は大体150代後半であろうか

帽子を被った、背を向けた人の姿であった

「君!こんな時間に何をしているんだい?」

「早く家に帰りなさい!」

警察官が男を置いてソレに近づき話しかけた

ソレは一向に顔を向けず背を向けていた

聞こえていないのだろうか

男はただその様子を後ろから見ているだけだった

「君!おい!聞いているのか!」

警察官が肩を掴む

するとソレはやっとこちらを向いた

男が見たのは、少女の顔だった

まだ幼く綺麗な肌が公園の外灯で照らされていた

しかしその少女の目はどこか

寒気を覚えるような、深い闇を抱えてるような

そんな気がした

「君、名前は?家は?」

「もしかして…家出かい?」

警察が背を低くして目線を合わせる

少女は口を開けた

 

「今日は満月、影が綺麗にウツる日」

 

同時に、満月が

雲の切れ間から顔を出した

すると少女は手に何かを握り締めていたのが見えた

暗くて見えなかったがあれは…ペンダント?

丸くて、手のひらサイズで、まるで

昔の時計のようなそんな形

そんな品じゃない、そう分かったのは

その少女の顔が満月が完全に

その公園を光で照らした瞬間にとった行動

そのペンダントらしきものが形を変えた

よく見ると蓋をあけたようになっていた

「な、何だ?」

警察官は突然動いた少女に動揺する

その様子を見ていた男は、不可思議な光景を見た

警察官の後ろに、誰かいる

いつの間にか人影が立っていた

いったい何処から

そう考えた直におかしなに気づいた

ソレは人影だけだった

立体的なのだが影だけだった

いや、むしろ

影そのものが立っていた

その影が腕を警察官の肩に回した

「なっ!?だ、誰だ!?」

警察官は表情を強張らせながら振り返る

行動を、とる筈だったのだろう

瞬間、影の肩に回した腕はありえない方向に曲がり

警察官の首を絞めるように巻きついた

「っ…あ”、がぁ、っぇ…!?」

警察官は突然の事に対して混乱状態に陥りながら

振りほどこうと締め付ける首元に手を伸ばす

しかし一向に解ける様子はなく

むしろ余計に締め付けれられていく

警察官の目が白目になっていく

男は何が起こっているのか状況が把握できず

ただ震えながら立ちすくんでいた

少女は手に持ったペンダントを持ったまま

その光景を冷たい目つきで見ていた

「だ、づ…げぇ…ぁ…」

段々と警察官の声が聞こえなくなると共に

明らかに顔色が青ざめていく様に

男はこれまでにない恐怖心を持った

影は顔が無いのだが、何故か笑った様な

そんな感じが頭に直接伝わった

何故か、そんな気がした瞬間だった

影の巻きついている右腕と反対の左腕が

異型の形に変化していく

その形は先が尖っていたまるで

物語に出てくるような大鎌のような

 

予想はできていた、その後起こる出来事

影は左腕で警察官の腹を貫通した

 

抜かれた腹からは血しぶきが舞った

男にも付着したその血は生暖かく

鉄の匂いで鼻がおかしくなりそうで

一気に男を恐怖のどん底に落とす仕上げになった

影が右腕を解く様子が見えた

警察官はその場で力なく足から順に倒れていく

まるで糸が全部切れた操り人形のように

分かっていた、これも予想できていた

この後、俺は

 

こいつに殺される

だって

 

今俺の後ろに、誰かいる

誰かが俺の後ろで俺を見ている

さっきと同じ、光景が頭を過ぎる

 

男がそんな事を瞬時に判断したと同時に振り返った

予想通り、目の前にはさっきの影と同じく

黒い立体的な影が立ちはだかっていた

その影は身体中真っ黒で

でも、あれ?さっきと違うのは

人の姿にしては顔が何だか

変な形をして

 

…あぁ、そうか

さっきの影と一緒で

形が変わっているだけじゃないか

段々丸まる顔

そして上下に別れていき

段々と尖った物に変形していく

丸で虎バサミ、いや…牙が妥当か

男はこの後の出来事も分かっていた

分かっていたから、涙を流して

こう呟いた

 

「…俺が、何したって言うんだよ」

 

影は男の顔を、無残に喰いちぎった

 

 

 

少女がペンダントに付いている

ねじらしき物を巻いていた

すると先ほど血にぬれた場所にいた

2つの影が少女のペンダントの中に入っていく

入りきると少女はペンダントの蓋を閉じて

その公園を去った

 

 

 

次の日、その公園で2つの遺体が発見された

警察官の腹部をナニカで抉られた遺体

それから顔を切り取られた遺体

何故、こんな事件が起きたのか

警察は無くなった頭を頼りに操作を続けた

しかし全く証拠なども掴めず今もなお解決してない

ただこの事件で不可解な事に気づいた

 

この遺体を移動してる時に

 

何故か遺体の下に影ができないんだ

 

 

 

 

 

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