ラブライブ!デスティニー!!〜赫翼の鬼神と9人の女神達〜   作:疲れた斬月

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『前回のラブライブ!デスティニー!!』

シン「メサイア戦役終戦後、世界平和監視機構コンパスの隊員として戦い続けていた俺に国際手配されているブルーコスモス盟主の逮捕、或いは抹殺という特殊任務が下される」

絵里「任務を受けたシンは国立音ノ木坂学院に留学生として転入する事に。でもいざ転入したら周りは女子ばっかりだわ、廃校目前である事が発覚するわで大騒ぎ!…あら、シンってピアノ弾けるのね?」

シン「あの曲だけな。そして皆お待ち兼ね、今回は東京での俺の初出撃!」

絵里「何でネタバレしちゃうのよ!」

シン「サブタイで何となくわかるだろ?って事で」

シン&絵里「さぁ、どうなるPHASE-02!」


PHASE-02「私がヒーローと出会った日」

「学校が無くなる…学校が無くなる…」

 

その日、2年生の教室で高坂穂乃果がまるで呪詛の様に何度も何度も呟いていた。

 

誰かに声を掛けられても心ここにあらずと言った具合で、目元には涙が浮かび、青ざめた顔はまるで病人の様。

 

「穂乃果ちゃん、凄い落ち込んでる…そんなにこの学校好きだったなんて…」

 

「違います。あれは多分勘違いしてるんです」

 

「勘違い?」

 

海未の発言にことりがどういう事?と聞こうとすると同時に.穂乃果が机をバン!と叩いて背を起こす。

 

「どうしよう!?全然勉強してないよ〜!!」

 

「え?何で勉強?」

 

首を傾げることりに、涙ながらに捲し立てる穂乃果。

 

「廃校になったら別の高校行かなきゃいけないんでしょ!?受験勉強とか、編入試験とか!!」

 

「やはり…」

 

「穂乃果ちゃん落ち着いt」

 

「ことりちゃんと海未ちゃんは良いよ!そこそこ成績良いし!でも私は〜〜〜〜!!」

 

ことりが宥めようとするも全く意に介さず、遂に大声で泣き出してしまう。

 

「落ち着きなさい。私達が卒業するまで、学校は無くなりません!」

 

「…ふぇ?」

 

 

 

 

 

 

「無くなるって言っても、今いる生徒が卒業してからだから。早くても3年後だよ」

 

「良かった〜!いや〜、今日もパンが美味い!」

 

校庭の木陰に作られたベンチに座って昼食を取る3人。

 

穂乃果はことりの説明にホッとしながら、ランチパックを齧る。

 

「ちょっと良い?」

 

そんな彼女達に声を掛ける存在が1人。

 

3年生の証である緑色のリボンを付けた金髪の女子生徒…絢瀬絵里だ。

 

「誰?」

 

「生徒会長ですよ」

 

「南さん…理事長、何か言ってなかった?」

 

恐らく、廃校の件だろう。

 

「いえ、私も今日知ったので」

 

「そう…ありがとう」

 

背を向けて歩き出す絵里。

 

「あの…本当に学校、無くなっちゃうんですか?」

 

「…貴女達が気にする事じゃないわ」

 

穂乃果の問い掛けにそっけない態度で答えると、絵里は今度こそ3人の前から立ち去った。

 

 

 

 

 

「入学希望者が定員を下回った場合、廃校にせざるを得ないって発表にはあったよね?って事は、入学希望者が集まれば廃校にはならないって事でしょ!?つまり、この学校の良い所をアピールして生徒を増やせば良いんだよ!」

 

絵里と別れた後、3人はどうすれば廃校を防げるかのアイデアを模索していた。

 

「良い所って…例えばどこです?」

 

「え〜っと、歴史がある!」

 

「他には?」

 

「他に!?え〜っと…伝統がある!」

 

「それは同じです」

 

「え〜!?じゃあ…じゃあ…ことりちゃ〜ん!」

 

良案が何も浮かばず、遂に穂乃果はことりに投げ出す。

 

しかし…

 

「う〜ん、強いて言えば…古くからある、って事かなぁ」

 

「ことり…話、聞いてました?」

 

今までのやり取りをまるで聞いていなかったかの様なことりの答えに、思わず苦い顔になる海未。

 

その後も部活の成績等でアピールポイントを探すが、目ぼしいものは見付からず、この日はお開きとなってしまった。

 

 

 

 

「ただいま〜…」

 

学校が終わり、家へと帰宅する穂乃果。

 

2階へと繋がる階段を上がり、襖を開けて居間に入ると、中に妹の高坂雪穂がいた。

 

「お帰り〜…チョコいる?あんこ入りだけど」

 

「ありがと…」

 

何処か元気の無い穂乃果の様子を見兼ねた雪穂が、手に持っていたチョコを手渡す。

 

穂乃果はチョコの包みを開け、口の中に放り込んで2、3回咀嚼し…目の色を変えた。

 

「これあんこ入ってんじゃん!」

 

「言ったよ!」

 

「あんこ飽きたぁぁぁ〜〜!」

 

「白餡もあるよ?」

 

「もっと飽きたーーーーーーーー!!」

 

ぎゃーぎゃーと騒ぎ出す穂乃果。

 

実家が和菓子屋を経営している為に、幼い頃から和菓子に触れて来た彼女にとってあんこは最早ワードを聞くだけでうんざりする程のものだった。

 

そこへ2階に上がって来た母が穂乃果を叱る。

 

「穂乃果!和菓子屋の娘があんこ飽きたとか言わないの!お店に聞こえるじゃない!!」

 

「ごめんなさぁい…」

 

母がレジへ戻った所で、穂乃果の視界に雪穂が見ていた資料が入る。

 

「雪穂、それ…」

 

「あ〜、UTX?私、来年受けるんだ〜」

 

視界に入ったその資料を手に取り、開いて中を読み始める。

 

UTX学園の特色や魅力をPRする内容が各ページに記されている。

 

「こんな事やってるんだ…」

 

「知らないの?今1番人気のある学校で、どんどん生徒集めてるんだよ」

 

「へ〜、凄いなぁ…」

 

感嘆の声を漏らした所で「ん?」と穂乃果がある事に気付く。

 

「って、雪穂ォ!あんた音ノ木坂受けないの!?」

 

「時間差すぎだよっ!!」

 

余りにも遅すぎる反応に、思わずツッコミを入れる雪穂。

 

穂乃果は勢い良く襖を開き、店番をしている母に叫ぶ。

 

「お母さんお母さーん!!雪穂、音ノ木坂受けないって言ってるよ!!」

 

「知ってる」

 

「そんなぁ!だってウチ、お母さんもお祖母ちゃんも音ノ木坂でしょ!?」

 

何故そんなにあっさり受け入れられるんだ、とでも言う様に母に詰め寄る穂乃果に対し、雪穂が呆れた様に口を開いた。

 

「って言うかさぁ…音ノ木坂、無くなっちゃうんでしょ?」

 

「っ…もう噂が!?」

 

自分も今日知ったばかりの話が既に広まってしまっている事に驚愕を受ける穂乃果に追い討ちを掛ける様に、雪穂が更にばっさりと言い放つ。

 

「皆言ってるよ。そんな学校、受けてもしょうがないって」

 

「しょうがないって…!」

 

「だってお姉ちゃんのクラス、2クラスしか無いでしょ?」

 

「でも、3年生は3クラスあるもん!」

 

何とか反論しようとする穂乃果。

 

「1年生は?」

 

「…1クラス」

 

勢いの無い穂乃果の返答に雪穂ははぁ、と溜め息を吐く。

 

「ほら…それってもう来年は0って事じゃん!」

 

「そんな事無い!今海未ちゃんとことりちゃんとで無くならない様に考えてるの!だから…無くならない!」

 

穂乃果の反論に頑固だなぁ、と気だるげに返す雪穂。

 

「でも、どう考えてもお姉ちゃん達でどうにかできる問題じゃないと思うよ」

 

まだ何か言いたげな表情を浮かべながらも何も言い返して来ない穂乃果を見て、雪穂は議論の終わりを悟り、居間を後にした。

 

 

 

 

 

「ことりちゃんも?」

 

『うん…』

 

その夜、風呂から上がって寝る準備を終えた穂乃果は、スマホでことりと連絡を取っていた。

 

『お母さん、かなり落ち込んでるのかと思ったけど、寧ろ明るいくらいで…どこに旅行行こうかな〜、とか言ってて…』

 

「そんなもんなのかなぁ…」

 

落ち込んでいる筈の理事長(ことりの母)があっさりと受け入れている現実に、穂乃果も「なら自分達も受け入れるしか無いのだろうか」と考え始める。

 

『でも…やっぱり寂しいよね…』

 

 

 

 

 

「…ん?」

 

ことりとの通話を終え、風呂に入ろうと一階へ下りると、居間の中から襖越しに光が漏れているのが見えた。

 

中へ入ると、母がテーブルの上に置かれた一冊の本を開いていた。

 

「お母さん…?」

 

入って来た自分の姿に気付いていないのか、書物のページをゆっくりと捲って行く。

 

「お母さん」

 

「っ!何よ、急に」

 

漸く存在に気付いた様で、目を見開きながら穂乃果の方を見る。

 

「さっきからいたよ?お風呂、先良い?」

 

「良いわよ、先入っちゃいなさい」

 

母はそう言って読んでいた書物を閉じ、居間を出て行く。

 

テーブルの上に残された書物の表紙には『memories』と書かれている。

 

どうやら卒業アルバムの様だ。

 

何気無くその書物を開くと、学生時代の姿の母や、音ノ木坂学院の制服を纏った女子生徒達の写真が貼られていた。

 

授業中の写真。

 

部活動中の写真。

 

体育祭や文化祭、学校行事の写真。

 

その中に、生徒会長として壇上に立つ母の姿が写った写真もある。

 

写真の1枚1枚が、母にとって大切な日々の記憶を綴った大切な宝物だったのだろう。

 

アルバムをそっと閉じ、穂乃果は唇をきゅっと噛み締める。

 

―――――やっぱり、お母さんも寂しいんだ…。

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝。

 

「行って来まーす!」

 

登校するにも早い早朝から制服に着替えて家を出る穂乃果。

 

そして、欠伸をしながら外の空気を吸おうと窓を開けた雪穂に声を掛ける。

 

「雪穂ー!これ借りてくねー!」

 

その手に握られているのは、昨晩雪穂が持参していたUTX学園の資料。

 

「お姉ちゃんがあんな早起きなんて!」

 

「遠足の時以来ね…!」

 

遅刻ギリギリまで寝ている穂乃果の彼女らしからぬ行動に、2人は目を見開いたまま遠ざかる穂乃果の背中を見送っていた。

 

 

 

 

「お〜…!これが、学校…!?」

 

彼女がやって来たのは、秋葉原駅前に佇む雪穂の志望先…UTX学園である。

 

空へと真っ直ぐ伸びるその建造物は、最早とても学校とは思えない。

 

雪穂はこんな所を受けるのか、と開いた口が塞がらなくなってしまう。

 

改札口を通って中へ入って行く生徒達をガラスに顔をくっつけてまでまじまじと眺めていると、中から歓声が聞こえる。

 

何事かと思い視線を移すと、そこには大型モニターに3人の女子生徒の姿が映し出されていた。

 

白を基調とした衣装を纏い、ステージの上で歌い、踊るその姿はまるで…

 

「あれって確か…」

 

雪穂から借りたパンフレットを捲り、モニターの中で歌う3人が写った写真が掲載されているページを開いた所で穂乃果の手をが止まる。

 

「…この人達だ…ひっ!?」

 

パンフレットの写真とモニターを照らし合わせる穂乃果だが、その隣に現れた少女の姿を見て思わず小さな悲鳴を上げる。

 

季節に合わぬロングコートに、顔にはマスクにサングラスと、「私は不審者です」と自称しているかの様な格好をしていたからだ。

 

モニターに映る3人を食い入るように見つめる怪しい少女。

 

…そして、気になるものを見掛けると首を突っ込んでしまうのが高坂穂乃果という人間だ。

 

「あの〜…」

 

「何?」

 

険の籠もった返事に思わず肩を跳ねさせる穂乃果に追い討ちを掛ける様に、少女は更に言葉を続ける。

 

「今忙しいんだけど?」

 

「あの、質問なんですけど…あの人達って、有名人か何かですか?」

 

「はあ!?」

 

顔がものの見事に隠れているが、その身振りと全身から立ち上るオーラが彼女の強い怒りを表現していた。

 

「あんた知らないの?そのパンフレットに書いてあるわよ。どこ見てるの?」

 

「す、すみません…!」

 

「…A-RISEよ、A-RISE」

 

「A-RISE…?」

 

「スクールアイドル」

 

「アイドル…」

 

モニターを食い入るように眺める少女を見詰めながら呟く穂乃果。

 

「そ、学校で結成されたアイドル。聞いた事無いの?」

 

 

「へぇ…」

 

モニターに映るA-RISEなる少女達に視線を向ける。

 

画面の中で華やかな衣装を纏い、歌い、踊る3人組。

 

容姿、歌、ダンス…その何れもが高い水準で完成されており、最早プロの領域に達していると言っても良いだろう。

 

それだけではなく、歌っている楽曲も聴いた事の無いものであり、有名なアーティストのものをカバーしているという訳でも無さそうだ。

 

オリジナルの楽曲を1から作詞、作曲しているのだろうか。

 

そしてもう1つ、よくよく考えてみれば、学校で結成されたアイドルという事は彼女達は学生であるという事だ。

 

通常の学業と並行してこれ程までのパフォーマンスを作り上げるのは、並大抵の努力では不可能だろう。

 

 

モニターを暫く眺めた後、フラフラと貧血でも起こしたかの様に人混みから離れ、近くの手すりにもたれ掛かる穂乃果。

 

「これだ…!」

 

 

 

 

 

 

「あれ?君は…」

 

「ほぇ…?あ、留学生の人!」

 

ふと、背後から掛けられる声。

 

振り向いた視線の先にいた声の主…赤い瞳が印象的な男子生徒。

 

シン・アスカだ。

 

「あ、そうだ!昨日はありがとうございました!わざわざ保健室まで運んでくれて!」

 

海未とことりから聞かされた事を思い出し、穂乃果は頭を下げて感謝を伝える。

 

「気にしなくて良いよ、そっちこそ大丈夫だったか?」

 

「あ、はい!お陰様で!」

 

「なら良かった」

 

そう言って安堵の息を漏らすシンに、ふと穂乃果が尋ねる。

 

「先輩は何でこんな所に?」

 

「あ〜、登校がてら散歩してたんだよ。まだこの辺の土地勘無いから、慣れておこうと思って」

 

「そうなんですか?良かったら今度、この辺の事紹介しますね!」

 

「そっか、じゃあその時は宜しく頼むよ」

 

 

 

 

 

次の瞬間、遠くから爆発音が響き渡った。

 

「!」

 

「え?何?」

 

どよめき出す周囲の人々。

 

その中で、シンだけが異様な空気を纏っていた。

 

音が鳴り響いた方向にいたのは…

 

「あれ…地球軍のダガー?演習かな」

 

「違う、あれは…!」

 

呑気な事を言っている穂乃果に状況を説明しようとするシンだが、そこへスマホに着信が入る。

 

表示された着信先の名前はキラ・ヤマトだ。

 

「もしもし?隊長ですか?」

 

『シン、今どこにいる!?』

 

「今、UTX学園の前です!それより、もしかしてあれって…!」

 

『ああ…ブルーコスモスだ!ヤツらが動き出したんだ!』

 

降り立ったダガーは合計で5機。

 

既に破壊活動を開始しているらしく、事態を察した周囲の人々が徐々に逃げ始める。

 

『シン、MSの場所は把握してある!?』

 

「いや、今から確認に行こうとしてた所で…!」

 

『わかった、じゃあ今から指定する場所へ向かって!幸い、そんなに離れてないから!』

 

「わかりました!…穂乃果、お前は先に逃げろ!」

 

「えっ!?」

 

「ここにいたら危ない!俺も後で追い付く!!」

 

「ちょっ、先輩!?」

 

制止を呼び掛ける声を振り切って走り去ってしまうシン。

 

残された穂乃果は遠くなるシンの背中を見つめて…

 

 

 

 

 

 

「この場所で合ってますか?」

 

『うん、足元が開くから気を付けて!』

 

キラに案内されたポイントに到着するシン。

 

足元の路面には、地球連合軍の緊急用MS輸送ルートウェイのハッチがある。

 

今回の任務では東アジア共和国からの許可を得ており、この下にコンパスが開発した新型MSを待機させている。

 

キラに指示された通りにMSを待っていた…その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩、何やってるんですか!?速く逃げなきゃ!!」

 

「ッ!穂乃果!?」

 

自分の腕を掴む存在に気付き、振り向くと、そこには慌てた形相を浮かべた穂乃果がいた。

 

周囲を警戒しながら進んで来た自分と違い、何も考えずに走って自分の後をつけて来たのだろう。

 

「お前、危ないから逃げろっつったろ!!」

 

「だって先輩が!!」

 

『シン、どうしたの!?もしかして近くに誰かいる!?』

 

スマホから響いたキラの声が、シンの意識を連れ戻す。

 

「はい、民間人…音ノ木坂での後輩が1人、俺の後つけて来たみたいで…!」

 

『っ!…仕方無い、その娘も乗せるんだ』

 

「何言ってんですか!?民間人を戦いに巻き込むなんて!!」

 

『そのまま外に放置するより、君が操縦するMSの方が100倍安全だ!時間も無い!シン、肚を決めてくれ!!』

 

キラの鬼気迫る声に押し黙るシン。

 

瞑目し、深呼吸して、自身を落ち着かせてから再び口を開いた。

 

「…わかりました。MS、出して下さい」

 

『うん!じゃあ、後は頼んだ!』

 

通話が終わると同時にゴゥン、と音が響き、道路の一部が蓋の様にゆっくりと左右に開いて行く。

 

そして、道路の下から鉄灰色の装甲を纏ったMSがゆっくりと姿を現す。

 

「これって…!?」

 

「…穂乃果、乗れ」

 

「えっ?」

 

「良いから早く!このままここにいたら死ぬぞ!!」

 

その言葉に穂乃果は冷や汗を浮かべ、シンの手を取ってワイヤーリフトに足を掛ける。

 

先にコックピットに乗り込み、次いで乗り込んで来たシンがコンソール端末を操作すると、背後から緊急用サブシートがせり上がって来る。

 

「…座って、ベルト付けろ。そうしないと、MSのGで潰されるからな」

 

そう伝えながら前部の操縦席に座り、穂乃果には目もくれずに発進シークエンスを開始するシン。

 

専門用語の様なものをブツブツと呟き、その最中に「ジャスティス…?よりによってあいつの機体かよ!」と不満らしき言葉を吐きながらも機体のセッティングを凄まじい勢いで完了させて行く。

 

穂乃果は言われた通りにシートに座り、ベルトで身体を固定して…そして、意を決してシンに問いかけた。

 

「あの…」

 

「何だ?」

 

緊迫した状況ゆえか、ぶっきらぼうな口調で返される返事に、穂乃果は僅かに肩をびくんと跳ねさせる。

 

しかし、一息置いて己を落ち着かせてから、続きの言葉を紡ぎ出した。

 

「先輩って…一体、何者なんですか…?」

 

「…世界平和監視機構コンパス所属大尉、シン・アスカ。それが俺だよ」

 

「コンパスの…大尉…って、ええっ!?」

 

「話は後だ、しっかり掴まってろ!!」

 

発進シークエンスが完了し、機体がゆっくりと立ち上がる。

 

機体の装甲が鉄灰色から真紅に変わり、ツインアイが光を放つ。

 

「シン・アスカ、ジャスティス…行きますッ!!!」

 

シンの気合いの叫びと共に、真紅のMS…『STTS-808 イモータルジャスティス』は大地を蹴った。




東京での初陣。

余談ですが、実はシンの乗機をハイネ専用デスティニーにするかイモータルジャスティスにするかで迷ってましたが、前半の機体はシンにデバフ掛かる方が面白くなりそうだなと思って芋者にしました。

また、本作のシンはキラに対して「この人も俺を都合の良い駒として利用しようとしているんじゃないか?」と無自覚ながらも警戒心を抱いており、それも2人のわだかまりに繋がっています。

キラにそんなつもりは無論ありませんし、シンもキラの平和への想いを嘘だと考えている訳ではありませんが、「僕達はまた花を植える」という発言がシンの心に引っ掛かってしまったせいです。

次回もお楽しみに。

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