ラブライブ!デスティニー!!〜赫翼の鬼神と9人の女神達〜   作:疲れた斬月

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『前回のラブライブ!デスティニー!!』

穂乃果「音ノ木坂学院の廃校を阻止する為に色々考える私達。でも何も思い付かない!って事で雪穂の志望校、UTX学園へ!そこで見たスクールアイドルを見てビビっと来た!と思ったらブルーコスモスがやって来て大ピンチ!」

シン「何でジャスティスなんだよ〜…」

穂乃果「やる気出して!敵が来てるから〜!」

シン&穂乃果「さぁ、どうなるPHASE-03!」


PHASE-03「この手で守れたもの」

「はぁぁぁぁッ!!」

 

スラスターを吹かし、発進するジャスティス。

 

眼前にいたダガーがこちらの存在に気付き、ライフルの照準を合わせて来る。

 

トリガーを引こうとした刹那、その手に握られたライフルが右腕ごと消えた。

 

懐に飛び込んだジャスティスの一閃が、ダガーの右腕を跳ね飛ばした。

 

振り上げた刃を、今度は袈裟懸けに振り下ろす。

 

ダガーの胴体が両断され、機体が爆散した。

 

「くっ…!」

 

「きゃああああああああああーーーーー!!!」

 

爆発の余波が周囲の建造物にも及び、ビルの窓ガラスが割れる。

 

被害を出してしまった事に苦い顔を浮かべるシン。

 

何とかして爆散させない様にしつつ、穂乃果を極力怯えさせない様に激しい動きを控えて戦う。

 

はっきり言って、ここまで難易度が高いのは初めてだ。

 

歯噛みすると同時に、後ろから来た2機目のダガーがサーベルを振り下ろして来る。

 

「っ!このォ!!」

 

反射的にその一撃をシールドで受け止め、空いている腹にドロップキックを打ち込み、体勢を崩す。

 

「でぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そこに袈裟懸けに刃を振り下ろすジャスティス。

 

光刃はダガーのハッチを抉り、内部のコックピットを焼き尽くした。

 

パイロットを喪ったダガーのカメラアイから光が消え、その巨体が地に伏せる。

 

これで残り3機。

 

「!!」

 

コックピット内に響くロックオン警報。

 

9時方向から3機のダガーが隊列を組み、ライフルを向けながら接近して来る。

 

シンはすかさず右手に携えていた刃を投擲し、3機のダガーの頭を纏めて撥ね飛ばす。

 

怯んだ隙にライフルを連射し、両腕を撃ち抜いて無力化しつつ、盾の先端から刃を展開する。

 

「うおおおおおおおおおおおおッッ!!」

 

逆袈裟に振るった刃で真ん中のダガーのコックピットを抉る。

 

更に右脚の刃で左隣にいたダガーの脚を蹴り砕き、戻って来た刃をキャッチしてコックピットを貫く。

 

「これで…終わりだぁッ!!」

 

抜いた刃を横一閃に払い、最後の1機の腹部を抉る。

 

戦闘不能になった3機のダガーが、ズシンと音を立てて地に伏した。

 

 

 

 

 

 

「これで全部か…穂乃果、大丈夫か?」

 

「はぁ…はぁ…こ、怖かったぁ…!」

 

「…よく耐えたよ」

 

敵機が全機、戦闘不能になったのを確認したシンは穂乃果を気に掛ける。

 

涙目になりながら肩で息をする穂乃果。

 

機体を元の発進地点に戻そうと、シンは操縦桿を再び操作する。

 

すると、コックピット内に電子音が響く。

 

付近に生体反応を検知した様だ。

 

「…!」

 

「あれって…」

 

倒れているダガーの内、最後に倒した機体のコックピットから出て来る人影。

 

抉られたハッチから、中のパイロットが這い出て来る。

 

どうやら、最後の一撃が少々浅かった様だ。

 

パイロットは此方を見ると、一目散に背中を見せて逃げ出す。

 

「…」

 

「先輩…っ!?」

 

その様子を眺めるシンの視線が、夥しい殺気を放っている事に気付く穂乃果。

 

モニターに映るパイロットを、レーダーがターゲットとして捉える。

 

そして、トリガーへと掛かったシンの指に、微かに力が込もり…

 

 

 

 

 

 

「ダメぇぇぇぇーーーーっ!!」

 

突如、シートから離れた穂乃果が横から割り込んだ。

 

「っっ!!?」

 

突然の自体に手がぶれ、ジャスティスは姿勢を崩し、尻餅を付く。

 

「ぐっ…!」

 

「あぐぅっ!!?」

 

コックピット内を襲う衝撃に苦悶の声を上げる2人。

 

特に、シートから降りて体を固定するものが無かった穂乃果は揺れでモニターに叩き付けられてしまう。

 

頭をぶつけてしまったらしく、頭部からは血が流れていた。

 

「っ…穂乃果…何で…っ!」

 

攻撃を中断され、思わず穂乃果を咎めようとするシン。

 

しかし、穂乃果は頭から流れる血を気にする様子も見せず、シンに涙ながらに訴え掛ける。

 

「先輩は…ヒーローなんです…私を、守ってくれた…」

 

「…っ」

 

「だから…だから…っ!こんな哀しい事、しないで下さい!!」

 

そう言って嗚咽を漏らす穂乃果。

 

嘗ての上司…【アスラン・ザラ】から言われた言葉が頭を過る。

 

―――――戦争はヒーローごっこじゃない!

 

「…」

 

そんな事はわかっている。

 

でも…否、だからこそ…

 

「…?」

 

ふと、制服のズボンに入れていたスマホのバイブレーションの感触が太腿に伝わった。

 

取り出して画面を見ると、記されていたのは『絢瀬絵里』の名前。

 

「…もしもし?」

 

『シン!今、ブルーコスモスが…!大丈夫なの!?』

 

「ああ、今全部片付けたよ。そっちは?死傷者は?」

 

『それが…2年生が1人、行方不明になってるみたいで…!連絡が取れないの!!』

 

「…高坂穂乃果か?」

 

『え…知ってるの?』

 

「ああ…丁度今一緒にいる。逃げ遅れたみたいでな、外に放り出しとく訳にもいかないから、MSのサブシートに乗せた」

 

『そう…彼女に怪我は無い?』

 

「頭を打ったみたいだけど…大丈夫か?」

 

スマホを耳元から離し、尋ねて来るシンに首を縦に振って答える穂乃果。

 

それを見てシンは再びスマホのマイクを口元に当て、絵里に返事を送った。

 

「…大丈夫らしい。意識もはっきりしてる」

 

『…わかったわ。今日は臨時休校にするらしいから、シンは一旦学校に来て報告をお願い』

 

「あ〜…それ、少し遅くなるけど大丈夫か?」

 

『まだ何かあるの?』

 

「…実行犯を1人、取り逃がしちまったんだ。まだ奴が近くに隠れてる可能性がある。こんな状況で穂乃果を1人で帰らせるのは危険すぎる」

 

『家まで護衛するって事ね。理事長には伝えておくわ』

 

「ああ、頼む」

 

そう言って通話を終了するシン。

 

一方の穂乃果は、酷くバツの悪そうな顔でシンに質問する。

 

「あの…まさか、さっき撃とうとしたのって…」

 

「…だからあそこで仕留めておきたかったんだけどな」

 

溜息を吐きながら答えるシンに、穂乃果は思わず謝罪する。

 

「ごめんなさい!私、余計な事しちゃって…!」

 

「…」

 

シンは何も答えずに、鞄から包帯やガーゼ、薬等を取り出す。

 

そして、穂乃果の顔を汚す血をハンカチで拭き取り、手当てを始めた。

 

「…ありがとな」

 

「え?」

 

不意に投げ掛けられた感謝の言葉に戸惑う穂乃果。

 

シンは穏やかな表情で、更に言葉を続ける。

 

「…俺の事、ヒーローなんて言ってくれてさ。嬉しかった。俺も…穂乃果を守れて良かったよ」

 

「…っ」

 

胸の奥がドクン、と1つ大きく脈を打つのを感じる穂乃果。

 

傷口に薬を含ませたガーゼを当て、頭に包帯を巻いて、シンは穂乃果の頭から手を離す。

 

「さてと…取り敢えず応急処置はしといたけど、念の為にちゃんと病院には行くんだぞ」

 

「あ…はい」

 

穂乃果の返事を聞いてシンはにこやかに微笑むと、再びシートに座って機体を元の発進地点に戻した。

 

そして、機体を跪かせ、コックピットから穂乃果を連れて降りた。

 

「…穂乃果、俺がコンパスの兵士だって事は絶対に誰にも言うなよ」

 

「え?」

 

首を傾げる穂乃果に、シンは淡々と説明する。

 

「…ブルーコスモスが活発になってるこんな状況で、コンパスの兵士がいるなんてバレたら、奴等は間違い無く音ノ木坂を攻撃対象にして来る。そうなったら廃校どころの騒ぎじゃなくなるぞ」

 

「っ!」

 

思わず穂乃果の背筋が凍り付いた。

 

瓦礫の山と化した学校や、生徒や教師達が死体となって辺りに転がる様子が頭の中に浮かんで、自分が如何にとんでもない秘密に関わってしまったのかを自覚する。

 

そんな穂乃果には目もくれず、改造した制服の内ポケットに忍ばせたコンパス式拳銃と右手の袖口に仕込んだ対人戦闘用ナイフ(どちらも教師陣や生徒会の許可を得て持ち込んでいる)のチェックを終え、穂乃果に「行くぞ」と声を掛けた。

 

先導するシンに家までの道順を教えながら、彼の背中を追って穂乃果も歩みを進める。

 

―――――ほんとに軍人なんだ…

 

自分と1つしか変わらない歳の少年。

 

しかし、その背中から立ち上る覇気が、彼が自分とは違う世界で生きている人間なのだという事を否応なしに感じさせた。

 

 

 

 

 

「…あ、あそこです!」

 

シンの護衛の下、何とか家に辿り着く事ができた穂乃果。

 

警戒を解き、ふぅ、と息を1つ吐いて銃のロックを掛け、制服の内ポケットに仕舞う。

 

「へぇ、和菓子屋やってんだな」

 

穂乃果に案内されて着いたのは、趣と風情溢れる、如何にも老舗ですといった感じの和菓子屋。

 

入口に掛けられた暖簾には『穂むら』と書かれている。

 

「穂乃果!!!」

 

「お姉ちゃんっ!!!」

 

ふと、後ろから声が掛かる。

 

「お父さん!お母さん!雪穂!」

 

此方に向かって駆けて来る声の主。

 

作務衣姿の巨漢と、穂乃果にどこか雰囲気の似た女性と、穂乃果よりも歳下と思しき少女。

 

どうやら、穂乃果の家族の様だ。

 

「どこ行ってたの!?学校から、貴女と連絡取れないって言われて…!」

 

「ごめん、逃げ遅れちゃって…この人に助けて貰ってたんだ」

 

「あらまぁ、何とお礼を言ったら良いか…!」

 

穂乃果の母がお辞儀をする隣で、物珍しそうにシンを観察していた雪穂が口を開く。

 

「…もしかして、噂の留学生さんですか?」

 

「え?知ってるの?」

 

穂乃果が尋ねると、雪穂はうん、と頷いて答える。

 

「共学化のテストケースでプラントから留学生が来てるって、噂になってるよ。すっごいイケメンの人だって」

 

雪穂の返答に、シンは困惑しながら頭を掻く。

 

…音ノ木坂に編入した当日もキャーキャー騒がれたが、俺は言う程イケメンなのだろうか?

 

自分の容姿について考える余裕も無い人生を送って来たせいで、そういったものに無頓着なシンにはさっぱりわからなかった。

 

「…」

 

そんな中、作務衣の巨漢…穂乃果の父だけは、2人とは違う眼でシンを見つめている。

 

まるで羆とでも出会ったかの様な威圧感に気圧され、シンも反射的に覇気を返してしまう。

 

それを数十秒程続けた後、穂乃果の父は1人、店の中へと姿を消して行く。

 

「何だったんだ…?」

 

その背中を見送りながら首を傾げるシンだったが、理由はすぐにわかった。

 

中に入ってから数十秒程で、彼は1つの箱を手に持って再び店から出て来る。

 

彼はそれをおもむろにシンの前に差し出した。

 

意図が読めずにシンが困惑していると、雪穂が父の意思を翻訳する様に口を添える。

 

「お姉ちゃんを助けてくれたお礼だ、持ってけ…って言ってますよ」

 

「え…良いんすか?」

 

穂乃果の父は何も言わず、ゆっくりと頷く。

 

「…ありがとうございます」

 

折角のご厚意を無駄にする訳にもいくまいと、シンは受け取る事を選択する。

 

蓋を開けると、饅頭が6個入っていた。

 

どうやらこの店の名物の様だ。

 

「じゃあ、俺はこの辺で失礼します」

 

「色々とありがとうございました!」

 

頭を下げる穂乃果の母。

 

シンもそれに返す様に会釈して、理事長への報告の為に音ノ木坂学院へと向かって歩き始めた。

 

「…」

 

その背中を、まるで容疑者を調査する探偵の様な眼で見送る穂乃果の父。

 

―――――あいつ、何者だ…?

 

言葉にこそ出さないが、彼はシンが只者ではない事を本能的に察知していた。




考えてみたら、えりちのお祖母ちゃんってロシア在住なんですよね。

…モスクワにレクイエムぶち込むのまずくね?

何とかシナリオ考えねば。
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