ラブライブ!デスティニー!!〜赫翼の鬼神と9人の女神達〜   作:疲れた斬月

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『前回のラブライブ!デスティニー!!』

穂乃果「本格的にアイドル活動を開始した私達!でも練習場所探しも曲作りも中々上手くいかない!」

シン「何なら先生に思いっきり笑われてたな」

穂乃果「掘り返さないでよ〜!」

シン「それでも学校存続の為、やれる事から始めていく俺達」

穂乃果「ライブまでもう少し…一生懸命頑張るぞー!」

シン&穂乃果「さぁ、どうなるPHASE-06!」


PHASE-06「START:DASH!!」

「…で、どうだった?」

 

昼休み、2年生の教室を訪れたシンが穂乃果、海未、ことりの3人から経過報告を聞いていた。

 

登校後、3人は1年生の教室へ行き、真姫に作曲を頼もうとしていたのだが…

 

「…断られました」

 

穂乃果がしょんぼりとした顔でそう答え、やっぱりそうなるかとシンは舌打ちをする。

 

俺からも少し真姫と話をしてみるべきか、と考えながらも、シンは3人にもう1つ質問をぶつけてみた。

 

「…他にも何かあったのか?やけにしょんぼりしてるけど」

 

シンがそう尋ねたのは、3人の目に迷いの様なものを感じ取ったからだ。

 

「実は…」

 

穂乃果の話によると、真姫に断られた後、絵里に屋上へと呼び出され、スクールアイドルは諦める様に諭されたらしい。

 

失敗した時のリスクを考えろ、本当に学校を守りたいのなら安易な考えで動くなと。

 

「成る程な…でも、それは俺も1回言っただろ?」

 

「はい…でも…私、そんなに簡単に考え過ぎてたのかなって思うと…やっぱりショックで…」

 

「今頃気付いたのですか?」

 

落ち込む穂乃果にやんわりと苦言を呈する海未。

 

「でもふざけてやろうって言った訳じゃないよ!海未ちゃんに言われたメニューもしっかりこなしてるし。お陰で脚は筋肉痛だけど…」

 

「お前らが頑張ってるのはよく知ってるさ。でも…頑張ってるからって、絶対に認めて貰えるとは限らない。お前らの…いや、俺達のやろうとしてる事は、傍から見たらそれだけ無謀な事なんだよ」

 

穂乃果の言い分を認めながらも、シンは事実を的確に突きつける。

 

一生懸命頑張っているからというだけで、認めて貰えるか、成功するかはまた別問題だと。

 

無論、穂乃果達もその事をちゃんと認識した上で取り組んでいるつもりだったのは事実だろうが、些か見誤っていたらしい。

 

「残り1カ月も無い…ライブやるなら、まずはそれまでに曲を何とかしないといけない」

 

「でも…断られちゃったし…」

 

シンの言葉に対し、ことりががっくりと肩を落としながら言う。

 

どうやら必殺技(お願い!)は使わなかった様だ。

 

…まぁ真姫なら逆に突っぱねそうな気がしなくも無いが。

 

「…今から作曲者を探している時間はありません。歌は他のアイドルのものを歌うしか無いと思います」

 

海未が苦い顔でそう言うと、穂乃果とことりも渋々納得する。

 

しかし、シンは違った。

 

「…じゃあ、お前らはそれで進めておいてくれ。真姫とは俺も話をしてみるから」

 

「先輩が…ですか?」

 

若干疑わしげな視線を送って来る海未に対して、シンは頷く。

 

「アイドルグループとしての個性を出すなら、やっぱりオリジナルの曲があった方がいい。お前らは俺が断られた時に備えて、他のアイドルの曲で良いヤツが無いか探しておいてくれ」

 

そう言ってシンは2年生の教室を後にする。

 

3人は素直に頷くが、その顔に宿る不安そうな表情は消えなかった。

 

 

 

 

 

1年生の教室へ向かう途中、廊下に置かれた投票箱の前に1人の女子生徒が立っていた。

 

「…あれ?」

 

茶髪に眼鏡を掛けた1年生の女子生徒…小泉花陽だ。

 

投票箱をじっと見詰めて佇んでいる。

 

「…なぁ、君」

 

「ふぇっ!?」

 

花陽は変な声を上げながら身体をびくりと跳ねさせる。

 

「ごめんな、急に声掛けて。アイドルに興味あるのか?」

 

「え、あ…は…はい…」

 

「…そうか」

 

穂乃果達のファーストライブの観客候補が1人見つかった事で、シンの心の中に安心感が芽生える。

 

「…あ、そうだ。君、1年生だよな?西木野真姫さんって知ってるか?」

 

「え?西木野さん…ですか?」

 

「ちょっと用事があってさ、探してるんだけど…」

 

「あ、多分…音楽室だと思います」

 

そう答える花陽に、そう言えば自分も初めて会ったのは音楽室だったなと思い出すシン。

 

やはり彼女は本当は音楽が好きなのだろう、と悟り、シンの目に勝利を確信した様な光が灯る。

 

「ありがとう、えっと…名前は?」

 

「こ、小泉花陽…です」

 

「花陽か…うん、ありがとな」

 

そう言って立ち去ろうとすると、花陽から呼び止められる。

 

「あ、あの!」

 

「?」

 

立ち止まり、振り返るシンに、花陽はもごもごとした口調で、それでいてはっきりとした声で言葉を発する。

 

「アイドルの先輩達に、伝えて下さい…!応援してる、頑張って下さい、って!」

 

一瞬、拍子抜けした様な顔になるが、ふっと微笑みながら返す。

 

「…ありがとう、ちゃんと伝えとくよ」

 

 

 

 

「…何の用ですか?」

 

音楽室でピアノを弾いていた真姫は、訪れて来たシンにぶっきらぼうに問いかける。

 

「あいつらの作曲、どうしても頼めないかな…って思ってさ」

 

「しつこいですね」

 

はぁ、と溜め息を吐きながら呆れた様子で拒否の意思を見せる。

 

「…流石に一から作曲するのは難しいか?」

 

「そうじゃないですけど…私、普段からああいう曲は聴かないから。クラッシックとか、ジャズとか…」

 

15歳で聴くには珍しいな、と思いつつもシンは更に質問を投げてみる。

 

「アイドルとかポップスとかは聴かないのか」

 

「聴きませんよ。ただ遊んでるみたいで、薄っぺらくて…」

 

「…ま、言いたい事はわからんでもないけどな」

 

あんまりな言い草に、シンは思わず苦笑する。

 

…それと同時に、ちょっと悪戯してみるかという考えが浮かんだ。

 

「…なぁ、腕立て伏せできるか?」

 

「はぁ!?何でいきなり…」

 

「いいからやってみろって。アイドルに対するイメージ、ガラッと変わると思うぞ」

 

言われた通りに姿勢を取り、腕立て伏せをする真姫。

 

「お〜、あいつらよりできるんだな」

 

「当たり前でしょ?私はこう見えても…」

 

真姫の言葉を遮り、シンは更に要求を突き付ける。

 

「じゃ、そのまま笑顔作れるか?」

 

「えっ…何でよ」

 

「いいからやってみろって」

 

意図が読めないながらも、言われた通りにやってみる真姫。

 

…しかし、その笑顔はすぐに崩れてしまう。

 

「…な?アイドルって大変だろ?」

 

「何の事よ!全く…」

 

「何曲も何曲もずっと、歌って踊って、でも疲れを絶対に顔に出しちゃいけない…結構体力勝負だろ?あいつらはこんなのに挑戦しようとしてるんだよ」

 

そこまで説明された所で、やっと真姫はシンの言おうとしている事の意味を理解した。

 

アイドルは決して軽くて薄っぺらいものなんかじゃないのだと。

 

腕立て伏せの姿勢を解いて立ち上がる真姫に、シンは1枚の紙を渡す。

 

「…これ、歌詞な。良かったら、もう1回考えてみてくれ」

 

渡された紙を受け取りながら、真姫はふてぶてしく答える。

 

「考えが変わる事は無いと思いますけど」

 

「それならそれでいいよ。でも、あいつらもあいつらなりに本気なんだって事だけはわかって欲しくてさ。朝と夕方に神田明神で練習してるから、答えが決まったら伝えに来てくれ」

 

そう言って音楽室を出ようとするシンの背中に、真姫が問いを投げかける。

 

「…ただの留学生の先輩が、何でそこまでするんですか?」

 

シンは真姫の方を振り返ると、にっこりと微笑みながら答える。

 

「…この学校が気に入った…ってだけじゃ、理由にならないか?」

 

じゃあな、と手を振って音楽室を後にするシン。

 

残された真姫は、渡された紙に書かれている歌詞をじっと眺めていた。

 

 

 

 

「どうでしたか?」

 

その後、シンは2年生の教室で再び穂乃果達と合流し、ことりに進展を尋ねられていた。

 

「やれるだけの事はやった。後はあいつの気分次第…って所かな」

 

「そうですか…」

 

不安げな表情を浮かべる海未に対し、シンは励ます様に言葉を掛ける。

 

「ま、ダメならダメで仕方無いさ。俺達は俺達でやれる事やっとこうぜ」

 

「…そうですね。時間もありませんし、立ち止まってはいられませんから」

 

3人の目に光が灯ったのを見て、シンもうんと頷きながら微笑む。

 

「あ、そうだ!先輩、私達のグループ名も決まったんですよ!」

 

そう言って穂乃果が1枚の紙を差し出して来る。

 

投票箱に入っていたものの様だ。

 

「『μ's』…?」

 

「神話に出て来る音楽の女神様の名前の様ですね」

 

「ああ、『ムーサ』の事か」

 

「ほぇ?」

 

首を傾げる穂乃果に、シンが説明する。

 

「国や地域によって名前の読み方って結構変わるんだよ。訛りみたいなもんだ」

 

「おおっ、先輩って博識なんですね!」

 

感心する穂乃果だが、そういう訳でもないんだけどな、とシンは苦笑する。

 

「…何はともあれ、これで少し前進したな」

 

そう言って顔を見合わせて笑顔を浮かべる4人。

 

「よし!じゃあ早速放課後の練習だー!」

 

穂乃果が勢い良く宣言し、4人は神田明神へ向かう。

 

 

 

 

 

「もうダメ〜!」

 

「足が動かない…!」

 

「ダメです!まだ2往復残っていますよ」

 

放課後の神田明神。

 

へとへとになって座り込む穂乃果とことりを、海未が厳しく叱咤している。

 

「もう!海未ちゃんの悪代官!!」

 

「小判の箱でも渡すのか?」

 

穂乃果の文句に冷静にツッコミを入れるシン。

 

その様子を、男坂階段下の建物の陰から覗いている真姫の姿があった。

 

…そして、その更に後ろから迫りくる手が。

 

 

 

 

 

「きゃーーーーっ!!」

 

突然の悲鳴。

 

4人が何事かと顔を見合わせる裏で、その様子を下から見届けていた真姫が背後から現れた手…希に胸を鷲掴みにされていた。

 

「何するのよっ!!」

 

「まだ発展途上と言った所やなぁ」

 

「はぁ!?」

 

慌てて離れる真姫に、希は更に言葉を続ける。

 

「でも望みは捨てなくて大丈夫や。大きくなる可能性はある」

 

「何の話!?」

 

「恥ずかしいなら、こっそりという手もあると思うんや」

 

そう言って立ち去る希。

 

真姫はその背中を、ぽかんとした表情で見送っていた。

 

 

 

 

 

「行って来まーす!」

 

翌朝、朝練の為に家を出ようとする穂乃果。

 

その後ろ姿を、二階にいた雪穂が呼び止めた。

 

「お姉ちゃーん!」

 

その手には1枚のCDが握られている。

 

「これお姉ちゃんの?宛名が無くて、μ'sって書いてあるんだけど」

 

その言葉に穂乃果はハッとした顔になる。

 

送り主の名前はわからない。

 

だが、心当たりはあった。

 

 

 

 

「行くよ…」

 

登校後、4人は屋上に集まり、雪穂から受け取ったCDを再生する。

 

次の瞬間、流れ始めてる曲と歌声。

 

「この歌声…!」

 

穂乃果が思わず声を漏らす。

 

流れる曲に併せて歌詞を語る声の主。

 

それは、シンもよく知っている人間の声。

 

間違い無い…真姫が作ったのだ。

 

シンの口元に笑みが浮かぶ。

 

穂乃果が立ち上がり、声を張り上げる。

 

「よし、練習しよう!!」

 

遂にできた、μ'sだけの曲。

 

遂に動き始める、新たな物語。

 

その先に待ち構える未来は、どんな色をしているのか…

 

それはまだ、誰も知らない。、




ここ最近プライベートで色々ありまして、軽い鬱を患う羽目になりました。

仕事を休職して実家で療養しながらの執筆となるので、投稿ペースが極端に落ちる可能性が高いです。

ご迷惑をお掛けしますが、何卒ご理解の程宜しくお願いします。
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