ブルアカ妄想   作:桜花=サン

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サオリの誕生日(2)

 

"じゃあ改めて、サオリの誕生日パーティーを始めようか!私はケーキを取ってくるよ"

 

そう言って部屋を出ていく先生

 

「ケーキとかの甘いものにはやっぱり紅茶!と言う訳で私が淹れたよ!」

 

ミカがそう言って皆の前に紅茶を一つずつ出す

これは……

 

「だ、大丈夫なのか…?」

 

「サオリひど〜い!私、元とはいえ『ティーパーティ』の一人なんだけど〜!」

 

「そ、そうだな。すまない、有り難く頂くとしよう」

 

こう…失礼だが彼女の粗暴な面ばかり印象に残ってしまっていて、少しばかり先入観が先走ってしまった

反省して謝罪を述べつつティーカップを受け取る

 

"ミカが淹れた紅茶は美味しいから大丈夫だよ"

 

別の部屋から出てきたケーキを1ホール持ってくる

先生が言うならそうなのだろう

受け取ったティーカップに口をつけ、紅茶を飲む

 

「…うん、美味しいな。流石だ」

 

そして先生が持ってきたケーキに目を向ける

…お、大きいな………

 

"さぁ、皆で遊んだりお喋りしながらゆっくり食べよう。気を抜いて、のんびりしてくれて良いからね"

 

そうして、私の誕生日パーティーは始まった

 

 

ケーキを食べつつ近況を報告していたら、姫が近寄ってきた

 

「サッちゃん、私達からプレゼントがあるの」

 

「プレゼント?」

 

ヒヨリに声をかけ、面倒くさそうな表情をしているミサキも引っ張ってくる

 

「ほら、ミサキが渡して?」

 

「はぁ?なんで私が…」

 

「いいからいいから」

 

「なにも良くないんだけど……はぁ」

 

ため息をついて此方に歩いて来るミサキ

ヒヨリもそれに続く

 

「誕生日おめでとう、サッちゃん(サオリ姉さん)」

 

「ほら、私にリーダーを押し付けて自分探ししてるリーダーにプレゼントだよ」

 

と言われつつも梱包されたプレゼントを受け取る

 

「それは…すまない……だがそうしなければ…」

 

『リーダー』としての立場。それがミサキを繋ぎ止める楔になってくれるかもしれない…そういう考えでリーダーを任せた…だがミサキは賢い。私なんかよりも、ずっと。既に私の思惑にも気付いているだろうし、アズサとはまた別の答えを既に得ている。しかし、その答えは私には認められないものだったんだ。ミサキを生かすため、私のエゴで彼女には現世に居てもらっている

 

「…サオリ姉さんの考えなんてわかってるよ。ちょっと意地悪言いたくなっただけだから。目論見通り、私はもう【そういうこと】、考えてる暇もないよ。プレゼント、さっさと開けたら?」

 

「あ、あぁ…」

ジトッとした目で見つめられ、言われた通りに梱包を開く

そこにあったのは、新品の…

 

「メモ帳……いや日記帳か…?」

 

ペラペラと何も書かれていない真っ白なページを流し見する

 

「そう。日記をつけていれば、忘れないでしょう?『今日はこんな良い事があった。』『今日はこう少し反省しようと思う。』そして今度会ったら先生に、私達に、サッちゃんが体験した事、聞かせて欲しいな」

 

微笑みつつ姫はそう言う

 

「…あぁ、そうする。大事に使うとしよう」

 

パタンと音を立てて真っ白な日記帳を閉じ、ポケットへしまう

早速今日から日記をつける習慣をつけておくか

 

「えへへ…雑誌を売り払って、皆でお金を出し合ったかいがありましたね…サオリ姉さんが喜んでくれたみたいでなによりです…」

 

にやけながらそう呟くヒヨリ

ヒヨリが雑誌を!?

 

「…ヒヨリ、そこまでしてくれたのか。うん、このお金で好きな雑誌を買うといい」

 

「あ、いえ…サオリ姉さんの誕生日のためですので、私が貰うわけには…」

 

「良いんだ、むしろ…貰い過ぎだろう。少ないから1、2冊買えれば良いぐらいのお金だが…」

 

「え、えへへ……い、いえ、駄目です!今日は誕生日なんですから、貰い過ぎぐらいが丁度いいんだと思います…そうですよね、先生…?」

 

一瞬伸びた腕をすぐに引き戻して先生にそう問うヒヨリ

 

"うん、そうだね。サオリ、今日は皆の好意に甘えるといいよ"

 

「……そうか…本当に、ありがとう」

 

ヒヨリとミサキと姫を一人ずつ抱きしめる

 

「え、えへへ……」

 

「ふふ」

 

「ちょっ…暑苦しいんだけど…」

 

抱きしめる時に、それぞれのポケットに少しだが、お金をこっそり入れた

先生が此方を見ていたので、シーっと指を口に当てて黙っていて欲しい、というサインをする

すると、やれやれといった感じで肩を竦めて困ったように笑い、それ以上は口に出さないでいてくれた

皆だって、逃亡生活で苦しんでいただろうに、ここまでしてくれたんだ。私だけ得をしては不公平だろう

 

「日記をつけるため、ペンを買っておかなければ」

 

"その心配はないよ、サオリ。誕生日おめでとう"

 

先生から梱包が差し出される

 

「せ、先生まで……」

 

正直、先生なら用意しているだろうとは思っていたが

 

"まぁまぁ、開けてみて"

 

ニコニコと人の良い笑みを浮かべる先生に言われ、梱包を開くと

 

「やはりペン…か。しかしこんな上質そうな物、本当にいいのか?」

上質そうな青いペンが入っていた

 

"うん、そのペン、コンパクトで書きやすいし頑丈だし、長持ちするんだ。私のオススメだよ"

 

先生の胸ポケットから私に渡した物とは色が違うが、同じ形状をしたものを取り出し、私に見せる

確かに持ち運びしやすいサイズで、素材も頑丈そうだ。これも大事にしようと心に決め、ポケットへ丁寧にしまう

 

「はいはーい!次は私から☆」

 

ミカがそう言って手を上げ、私に近付いてくる

 

「はいこれ、プレゼント!」

 

「これは…髪を纏めるゴムか」

 

小さめの袋の中に入っていたのは装飾がついたゴム

 

「サオリ、髪長いでしょ?ポニーテールとかもできるんじゃない?って思って!」

 

「なるほど、ポニーテール…」

 

髪型の事なんて気にした事が無かったな

 

「試しにやってみよ!ほらほら、私がやってあげる!そこ座ってて!」

 

「あ、あぁ…頼む、ミカ」

 

私の後ろに行ったミカが大人しく座った私の髪を弄る

 

「はい、出来た!先生、鏡ある?」

 

"あるよ。どうかな?サオリ。気に入った?"

 

手鏡を持ってきた先生がそう言う

 

「あぁ、動きやすくて良いな。これは」

 

激しく動いても髪が邪魔になることが無いだろう

中々気に入った

 

「サオリ姉さん…そういう事じゃないと思うけど」

 

ミサキにそうツッコまれる

 

「似合ってるよ、サッちゃん」

 

「ふ、普段と印象がちょっと違って新鮮ですね…」

 

「あぁ、私もこういうのにはまだ疎いが、更に綺麗になった感じがする」

 

姫とヒヨリ、アズサからそう褒められる

 

「そ、そうか…?似合っているのか…」

 

なるほど、機能面ではなく見た目の印象か…

今までそんな余裕は無かったが、お洒落…というのに興味は無くはない。化粧品やアクセサリーなどを見かけるとつい目で追ってしまう

 

「感謝する、ミカ。とても嬉しい」

 

「喜んでもらえたみたいで良かった!」

 

そう言ってにっこりと笑うミカ

私達がお互いを理解する前は自分の事を『魔女』などと言っていたが、やはり彼女の持つ善性は確かなもので、彼女もまた、私と同じで『間違えた』だけなのだろう

 

「最後は私だな」

 

「…アズサも用意してくれたのか…」

 

「当然。ほら、これだ」

 

そう言って私に渡されたのは…

 

「これは……ストラップか?」

 

見覚えのあるストラップには、あの妙な顔をした鳥のキャラクターがついていた

 

「ペロロのストラップ。私も持ってるから、お揃いだ」

 

「そうか…ありがとう、アズサ。これも大事にするよ」

 

紛失したりしないように気をつけておかなければ…

そういった会話をしたり、アズサが持ってきていたモモフレンズの映画のDVDを再生し、皆で鑑賞会をしたりして、時間はどんどん過ぎていき───

 

 

日が落ちだしてきて、先生の"名残惜しいけど、そろそろ解散にしようか"という言葉に頷きシャーレの出入り口まで皆で歩く

 

「またね、サッちゃん」

 

「さ、サオリ姉さん…お元気で…」

 

「はぁ、まだ帰ってこないの?」

 

「すまない…まだ私は……」

 

「……はぁ、まぁ…いいよ。…待ってるから」

 

「あぁ。姫、ヒヨリ、ミサキ。…またな」

 

そうして歩いていく姫達を見送る

 

「私達も帰るね〜☆今日は楽しかったよ!」

 

「何か本当に困ったりしたら、私か先生を呼ぶといい、サオリ。私も力になるし、先生もきっと助けてくれる」

 

ミカとアズサは一緒にトリニティへ帰るようだ

彼女達の戦闘力なら心配はしなくて大丈夫だろう

アズサの言葉に先生は頷いていた

 

「…わかった。一人ではどうにも出来ないと判断した場合、頼らせてもらう」

 

他人に頼る…というのはあまり慣れないな

なるべくそんな状況にはならないようにしなければ

 

「またね〜サオリ!」

 

「またな。サオリ」

 

「あぁ。今日はありがとう、ミカ、アズサ」

 

トリニティ学園へと帰っていく二人を見送った

 

本当に、今日は私には勿体無い程沢山のモノを貰ってしまったな

先生と二人になり、先生が口を開く

 

"…騙すような事をしてごめんね、サオリ"

 

「全くだ。あの時は本当に焦ったぞ」

 

ドアを開けたらあのメンバーは本当に驚いたし心臓に悪すぎる

 

"ごめんね、でも、楽しめたでしょ?"

 

「……あぁ。感謝する、先生。本当に楽しかった」

 

まだ答えは見つかっていないが、私は私を許容することができるかもしれない

戻ったら日記をつけ始めるとしよう

 

"無理はしないようにね?じゃあ、またね、サオリ"

 

「あぁ、またな、先生」

 

シャーレに背を向けて今日の寝床へ向かった

 

 

 

 

深く沈んでいた意識が浮上し、瞼を開く

 

「朝、か。日付が…【9月4日】……と」

 

ペンと日記帳を取り出し、沢山の文章が書き記された隣のページの日付を書く場所へそう書き込む

ジャケットの内ポケットへ丁寧にしまって、そのまま羽織る

 

「予定は…中々動く事になるか」

 

ゴムを使って髪を後ろに纏める

帽子を被り、マスクを装着

立て掛けていたペロロのストラップがついた銃を持つ

 

「さぁ、今日も足掻くとしよう」

 

太陽が明るく照らす未来へ今日も足を踏み出した

 

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