ブルアカ妄想   作:桜花=サン

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サオリ、ゲームセンターでバイトする(1)

 

「ふぅ、今日の仕事は中々ハードだったな…」

 

日が沈みかけ、周囲が暗くなってくる頃、私は歩を進める

一陣の冷たい風が吹き、チクリと鋭い痛みが走る

 

「ッ…銃弾が掠めていたか…」

 

気付けば左手の甲から血が流れ出していた

まぁいい、放置しておけば……とも思ったが先生の言葉を思い出す

 

"傷口はちゃんと処置しないと駄目だよ、サオリ。消毒…は難しい時もあるだろうけど、せめて水で洗って綺麗にしておくといいよ。はいこれ、絆創膏。渡しておくね。好きな時に使って"

 

ジャケットの内ポケットを探ると、絆創膏を発見する

 

「……公園か何処かで処置をしておくか」

 

そのまま歩を進め、公園を見つけて傷口の処置を行っていると、軽快な音がスマホから聞こえてきた

 

「ふむ?先生か」

 

ロック画面を解除し、モモトークを起動する

やはり先生からのモモトークで、内容は…

 

"私の知り合いがやってるゲームセンターの人手が足りないらしいんだ、数日間の間、バイトとして行くことはできる?お給料も結構出るみたい"

 

なるほど…幸い、大事な仕事も入っていない。断る理由は無いだろう

そう考えつつ承諾の意思を込めて文字を打ち込む

 

『あぁ、大丈夫だ。場所は何処だ?』

 

"ありがとう!場所は───"

 

その後、場所や時間の詳細を聞いて、モモトークを閉じる

そういえば、最近は傭兵として戦闘しか行っていなかったな…と考える

 

「ゲームセンターか……見かけたことはあるが…行った事は無いな。私にできる事があると良いのだが」

 

そう呟いて傷がついた手の甲に絆創膏を貼り、拠点としている場所へと再び歩を進めた

 

 

───翌日───

 

 

日が昇りだした頃

ミレニアム自治区にあるゲームセンターへと足を運び、入口で待ってくれていた店長と合流する

 

「シャーレの先生からの紹介で今日から数日間、バイトとして働かせてもらう。錠前サオリだ。よろしく頼む」

 

「なるほど、君か。よろしく頼むよ、サオリさん」

 

ニコニコとした表情を浮かべる店長に挨拶をし、業務内容の確認を行う

その途中、気になる事を聞いてみる

 

「その…本当にいいのか?私は…」

 

「シャーレの先生とは仲良くさせて貰っててね。シャーレの先生からの紹介なら信用できるよ」

 

「……そうか。感謝する。私も全力を尽くそう」

 

本当に、先生には世話になってばかりだな

期待に答えられるように尽力せねば

 

「業務内容は把握した。任せてくれ」

 

「うん、頼んだよ。サオリさん」

 

 ─────────────────────

 

コインゲームのコインの補充に、クレーンゲームの景品の設置。稀に来る迷惑な客を叩き出すなど、黙々と業務を進める

すると───

 

「クッッッッッソ!!!もう一回!もう一回だ!」

 

「入力をしっかりしないからです!ガチャガチャしてるだけじゃコンボが繋がりません!」

 

「わぁーってるって!コンボさせる気があるならテメェのそのズルい技やめろ!」

 

「手加減しろという事ですか?」

 

「そうではないけどよぉ……」

 

そう大きめな声が聞こえてくる

少しばかり注意はしておこう

とても長い髪の少女と、メイド服の上に派手なジャンバーを着た少女に声を掛ける

 

「すまないお客様、他のお客様の迷惑になる為、もう少々声を抑えて頂けないだろうか」

 

「あ、悪い。ちょっと熱くなり過ぎた」

 

「うわぁん!ネル先輩のせいで怒られちゃいました!」

 

「お前なぁ……」

 

脳裏にヒヨリの姿が思い浮かぶような反応をした少女と、一見ガラの悪いように見える少女も素直に謝罪してくる

 

「ん?というかテメェ、どっかで見覚えが…」

 

ガラの悪いように見える少女がまじまじと私を見つめ、何か思い出したようであぁ。と納得する

 

「錠前サオリ…だっけか?こんな場所でバイトしてて良いのか?お前」

 

少々、心臓が跳ねる

 

「……知っているのか」

 

「当たり前だ、そもそも指名手配されてんだろお前。あたしはC&Cの部長だし、流石に色々と目は通してる」

 

C&C。ミレニアムの特殊部隊の名称だったか

その部長と言えば…約束された勝利の象徴、ミレニアム最強のダブルオー

先生が"かっこいいよねぇ"と言いつつ教えてくれた

 

「美甘ネル……か。…そう。私は錠前サオリだ。先生の紹介でここでバイトとして働かせて貰っている。本当に害意は無いんだ。信用できないかもしれないが……」

 

「あ、いや別にあたしは今からお前を捕まえたいとは思ってねぇよ。先生から時々話も聞くし…ただ──」

 

ただ?とその先の言葉を待っていると……

 

【ドカァァァァァァァァン!!!】

 

「……っ!なんだ!?」

 

「…へぇ?」

 

「緊急クエストですか!?」

 

ドアが弾け飛び、ゾロゾロと人が入ってくる

 

「おらぁ!金をよこせ!!逆らえば撃つぞ!!!」

 

悲鳴が上がり、周囲は混乱に包まれる

 

「強盗か………二人共、私がなんとかする、裏口はあっちだ。早く出るといい」

 

ゲームセンターの機械を遮蔽物にして隠れ、二人に向かって声を掛ける

 

「C&Cの部長に向かって逃げろたぁいい度胸じゃねぇか。ええ?ミレニアム自治区で好き勝手できると思うんじゃねぇ!わからせてやらねぇとな!!」

 

「ちょっ、待て!」

 

「アリス、光の剣はできるだけ使うんじゃねぇぞ。今回は隠れてろ。さて……ゴミは掃除しなきゃなァ!!!」

 

凶悪な笑みを浮かべた美甘ネルがそう言って飛び出し、両手に持ったサブマシンガンで強盗を蹂躙する

 

「うぅ、場所の相性不利です…アリスは本来の力を発揮できません……」

 

「まぁ……その銃…?の大きさならばな…大丈夫だ。私と……美甘ネルがなんとかする。さっき言われた通り、ここでじっとしておくといい」

 

そう会話をしている間にも美甘ネルは強盗をかなり追い詰めていた

 

「ぐっ!お前は……!C&Cのダブルオー!?何故ここに!」

 

「ハッ!運が悪かったなテメェら!!!」

 

……前線は一人で十分そうだ。ならば支援に徹するとしよう。死角から美甘ネルに襲いかかろうとする敵を一人ずつ撃ち抜いて気絶させていく

 

「ハハハ!やっぱ先生が言う通り、中々やるじゃねぇか!後で手合わせしてくれよ!!!」

 

あれは手合わせしてくれと言いたかったのか

 

「……今度、バイトが終わった後で頼む」

 

そう返答し、再び補助を再開する

次々と倒れていく強盗の仲間を見て、リーダーと思われる奴が大声を出す

 

「クソッ!!!アレを出せ!!!」

 

強盗がそう叫ぶと外に少々大きめの兵器が現れるのが見えた

 

「……見たことねぇ兵器だな。おい錠前サオリ。何か知らねぇか?」

 

美甘ネルがその姿を観察しながら私に問いかけてくるが、良い答えは返せそうにないな

 

「いや、アリウスにいた頃も、ブラックマーケットでも、あんなものは見たこともない……っ!横に避けろ!」

 

メイン武装であろうガトリングが火を吹き、真横の壁に穴を開ける

あまり店には被害を出したくないというのに……!

 

「ハッ、デカブツは的にしかならねぇぞ!」

 

美甘ネルが銃弾を浴びせかけるが……

そうか、あの装甲は…!

 

「チッ、弾力装甲かよ!めんどくせぇな…だが…」

 

流石C&Cのリーダー、知っていたらしい

何か考えがあるのだろうか

 

「装甲を貫くまで銃弾ブチ込めばいいだけだよなァ!!!」

 

そう言って再び飛び出し、次は一点に集中して銃弾を浴びせ始める

 

「おいおい、デカいから動きがトロいじゃねぇか!」

 

縦横無尽に周囲を駆け回りガトリングを回避しつつ同じ場所に銃弾を当て続ける

そうか、単純に力押ししようという訳では無く…

ならば合わせるとしよう

そしてついにゼロ距離まで距離を詰めた美甘ネルは張り付いて二丁のサブマシンガンを掃射。装甲にヒビが入ると、車体を蹴って美甘ネルは距離を取った

 

「錠前サオリ!」

 

「あぁ、言われずとも!」

 

取り出した拳銃で狙いをしっかりと定め、射撃

追撃でアサルトライフルの銃弾も叩き込む

ヒビの入った場所へとクリーンヒットし、装甲が砕ける

 

「っしゃあ!アリス!!派手にやっちまえ!!!」

 

アリス、と呼ばれた生徒は巨大な銃……?に光を収束させ、照準を合わせる

静かだと思っていたが、ずっとこの時を待っていたのか

 

「魔力充填100%……行きます!!!」

 

光の剣、と呼ばれたそれは輝きを増し

 

「悪を打ち砕く正義の一撃───」

 

 

「光よ───!!!!!!!!!!」

 

 

放たれた強烈な一撃は兵器を粉砕した

そうか。彼女…アリスの事も聞いたことがある

先生が言っていた"勇者"

名字は天童……だったか?

 

「そ…そんな馬鹿な……」

 

強盗は膝をつき、項垂れる

戦意を失ったらしい。先程まで美甘ネルの戦闘に言葉を失っていたし、頼みの綱の兵器さえ破壊されれば当然ではあるか。

 

「ふぅ、コイツはあたしが連行する。それでいいな?サオリ」

 

「あぁ。そうしてくれると助かる、美甘ネル」

 

「ネルで良い。じゃあな!手合わせの約束、忘れんじゃねぇぞ!!」

 

そう言って美甘…いや、ネルは戦意を失った強盗と、気絶している強盗を全員纏めて縛り上げ、引き摺って去っていった

 

「パンパカパーン!緊急クエストクリアです!」

 

天童アリスが突然そう告げた

 

「き、緊急クエスト…?」

 

「はい!アリスはレベルアップしました!ネル先輩の戦いに合わせられる人と一緒に戦えて嬉しいです!」

 

そういえば、"ちょっと独特な喋り方をする子だけれど、本当に良い子なんだ"と先生が言っていた覚えがある

 

「…お前も、格好良かったぞ。天童アリス」

 

「えへへ、ありがとうございます!アリスと呼んでください!アリスはサオリ先輩……と呼ぶのがいいでしょうか?」

 

「そうか、なら今後はアリス、と呼ばせてもらう。私の呼び方は…好きにしてくれ」

 

「ならサオリ先輩です!あっ、そろそろ戻らないと!モモイ達を心配させちゃいます!」

 

「気を付けて戻ると良い。残党が残っている可能性も考えられるからな」

 

「はい!拠点に戻るまでがクエストです!また会いましょうね!サオリ先輩!」

 

「……あぁ。またな、アリス」

 

……眩しいな。勇者というのも頷ける

善性の塊のような笑みを浮かべて、そのまま店を後にするアリスを見送った後、散らかった店内の掃除をしつつ、用事で外出している店長へ連絡を取る

 

『サオリさん?どうしたんだい?』

 

「すまない、店が強盗に襲われた。幸い、私と、その場に居合わせたC&Cの部長、美甘ネルと天童アリスが協力してくれたお陰で全員捕縛したが、ドアは破壊されて、少し壊れてしまったゲーム機も数台ある。申し訳ない、私が居ながら……」

 

『えぇ!?怪我は大丈夫!?』

 

「あぁ、現場に居合わせた客は全員無傷だ」

 

ネルが飛び出して強盗を引き付けている間に全員逃げ出せたようだ。そこまで考えているとは…

 

『サオリさんも大丈夫かい?』

 

「私?私も大丈夫だが……すまない、身を挺してでもゲーム機を守ればよかった」

 

『そんな事しなくていいよ!?自分の身を最優先でね!すぐに戻るから、ガラス片などの掃除を任せていいかな』

 

「了解した」

 

そう言って切れた通話

ここの店長は先生と仲が良いんだろうな…と思いつつも掃除のスピードを早めた

それにしても初日でコレとは…明日からもしっかりと気を引き締めなければな…

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