透き通る青の仮面(ペルソナ) 作:仮面をつけた一般キヴォトス人
時刻は昼前時で、そろそろ休憩に入ってもおかしくは無い時間なのだが
「……」
「……」
ゲヘナ風紀委員会行政官、天雨アコとゲヘナ風紀委員会ヘイロー無しの風紀委員、有馬コトネは書類仕事に追われていた。
「修繕の報告書と被害報告書……今月の予算との照らし合わせはどうですか?コトネさん」
「も、もうすぐ終わるよ……!アコ、そっちに回した会議録の確認は?大丈夫なら、ヒナに回すけど!」
「その確認なら今、終えました…!渡します!」
必死の形相で書類の山を片付けんと目を通し、サインを書き、判別を行っていた。それを見ていたヒナは二人の元へ行き
「アコ、コトネ……流石にこの量の書類は二人は……もう少し私に回しても大丈夫y――」
二人を気遣い書類を持っていこうとするが
「委員長は―――」
「ヒナは―――」
2人が同時にヒナの方を向き
「「ゆっくりしてて(ください)!!」」
「わ、分かったわ……」
二人の謎の圧に押されて、おずおずと下がり、自身の机の書類に目を通し始める。
現在、ゲヘナ風紀委員会では委員長の業務の見直しが行われている最中である。負担が委員長に集中しすぎていると、コトネが言い出し、それに賛同した他の風紀委員達で少しでも書類仕事を請け負うと言う形になり、書類の難しさ、頻度で種別分けを行い仕事を割り振る様になって来ているのだが……。なかなかそうも上手くいかないのが現実である。
種別分けが案外上手くいかず、仕事はアコとコトネの二人に集中しているのである。しかし、当初のヒナの負担軽減は成功はしており、睡眠時間は確実に増えてきている。アコとコトネも二人で行っているのもあり、時間遅くまではかからず、それなりの時間で帰ることは出来ている。ただ、帰ったら、シャワーを浴びて死んだように眠るだけである。
(しゃ、社畜時代より、社畜してないか?)
コトネ作業に取り組みながらも考えていた。しかし、考えても目の前の書類の山は消える事無く残るのでやりきるしかないのだ。
そして、更に1時間が経過した所で、
「お、終わった……!」
「か、片付きましたね……!」
コトネとアコは少し燃え尽きそうになりながらも書類をやり切ったのである。その様子を仕事を終えたヒナが燃え尽きている二人に手拭きを渡し、自身の弁当箱を手に持ち
「二人ともお疲れ様、一段落ついたんだしお昼、食べましょう?」
「ありがとうございます!ヒナ委員長!」
「ありがと、よし、お昼出そ」
アコとコトネもそれぞれ昼食の準備をする。アコの方はサンドイッチをいくつか持ってきていた。コトネも自分の用意してた昼食を取り出し、口にしようとした。が、二人の視線を感じる。
「どしたの?そんな顔して…言っとくけどあげないよ?」
「そうじゃないわ、お昼毎食それなのか……気になって」
「ええ、時間が遅くなることもありますが、お昼をそこまで削らないと行けないほどでは無いと思いますが」
コトネの持っているのはゼリーとカロリーバーである。
これは忙しくてそうなったというより、習慣づいているものである。キヴォトス、"有馬コトネ"と言う少女に憑依(?)する前は昼はゼリーとカロリーバーで済ませて、ゆっくり一服をしたり、昼寝をしたりをしていたのだ。その名残でしかない。たまに、同僚に誘われて社内の食堂を利用したこともあった。今現在も後輩に誘われれば、学食を食べることもあるが、そうでは無い時はゼリーとカロリーバーである。
「そうだけど?だって、楽だし。買いだめもできて、保存もできるし」
そう言いながらに食べるコトネ。本人が良いならとは思った。だが、アコはその様子を見ていられないと思い、大きなため息を吐きながらサンドイッチを差し出す。
「そんな量じゃ栄養が足りていてもお腹が空きますよ。倒れられてアレなんで、サンドイッチひとつどうぞ」
それを見たヒナも唐揚げ、卵焼き、その他おかずを蓋にのせてコトネに差し出す。
「私からも、口に合うかは分からないけど……。昼からも風紀委員の仕事あるんだし、食べないといけないわ」
コトネは断ることが出来ないと悟りと同時に、味気ない昼食と差し出されたおかずとサンドイッチの誘惑に負けて
「ありがたくいただきます……」
そして、アコと見回りに出るコトネ。アコはサポート、コトネが前線に出るという形なのだが
「不意打ちとか気をつけてくださいよ?何度も言いますけど、今の貴女は弾丸一発でも致命的な怪我を負うのですから。そうなれば――」
「分かってるよ、ヒナや皆にあんな顔させたくないし」
コトネが思い出していたのは初めてペルソナ出して1週間眠り、みんなを心配させ、ヒナに涙を流させたこと。それから、皆に鍛え直されてきた。コトネは真剣な表情でアコに向きそう答えた。アコは驚きながらも
(そうでしたね、記憶を失おうとも……貴女は真っ直ぐな人でしたね。まぁ、何故か記憶を失ってからの方が書類仕事に対する抵抗が無く行っているのですけど……人が変わったと言うべきなんですかね?)
そう思ってコトネを見ていた。そんな時、コトネが足を止める。アコは何かを察して、足を止めて小声でコトネに尋ねる。
「どうかされましたか?」
「アコ、あそこ見て」
コトネが指さす方には、不良生徒が数人がかりで一般生徒を囲んでいた。不良の人数は4人。アコは息を吐き、
「見過ごせませんね……サポートします。コトネさんはペルソナを!奇襲を仕掛けて手早く済ませましょう」
「了解!ペルソナ!」
コトネは右手でホルスターから召喚機を出し、自身の頭を撃ち抜き、ペルセポネを召喚する。左手でベレッタ92に酷似した銃をホルスターから取り出して飛び出す。ペルセポネが"ブフ"を放ち不良生徒一人を後ろから氷の塊をぶつける。
その躊躇いなく自身の頭を撃つ一連の動作を見てアコは慣れていないのか顔を青くする。撃った反対側から血飛沫のように出る青白い光とその一瞬、目の光が消え意識が飛んだのではと錯覚する。しかし、次の瞬間には頭にはヘイローが出現し、ペルソナも姿を現す。その次の瞬間にはコトネはペルセポネと一緒に飛び出していた。
(ああ、もう!慣れないと行けないと分かっているのに……!良い気が全然しない!)
アコは内心悪態を着きながらもサポートに動く。そしてペルセポネが放ったブフが、不良の一人を捉える。
「なっ!?なんだ!?」
「どこからだ!?」
「ここからだよ!!」
混乱している気に乗じて距離を詰め、
「イオリ直伝の蹴り!」
銃を向けられたタイミングで懐に潜り込むように腹を蹴りを入れ、近くの不良に銃を向け引き金を引き、気絶させる。
「コトネさん、3時のと6時の方向から敵が銃を構えてます。3時の方向は妨害するので、手早く処理をお願いします」
アコがインカムでそういうと、アコもホットショットを構えて、コトネを狙う不良の手元を狙い撃つ。予想外の所からの射撃により銃を落とす不良、拾うには数秒掛かる。だが、それだけの時間があれば
「ペルセポネ、スラッシュ。そして、チェックメイト…!」
6時の方向の敵はペルセポネがそして、アコの妨害により銃を落とした不良に銃を突き付けて、決着が着く。四人を縛り上げ、応援を呼び連行してもらう。
「助けていただき、ありがとうございます!」
「風紀委員として当然のことをしたまでです。お怪我はありませんか?」
アコが丁寧に対応する。助けてもらった生徒は頷き
「はい、おかげさまで」
「そりゃ、良かった」
コトネの安心そうに笑っていた。そしてその生徒を見送り、パトロールの続きを歩きながら、それ以降何事もなくパトロールを終える。
「本日もお疲れ様でしたコトネさん」
「うん、アコもお疲れ様。今日はサンドイッチありがとう」
「いえ、気にしないでください。……気にするのでしたら、今度からまともな昼食を用意して欲しいですね。ヒナ委員長に心配をかけないためにも」
「はは……努力するよ」
コトネは苦笑いをしながらに答える。そしてアコは戻りながらに話す。
「貴女はもう、覚えていないでしょうが、私は過去、貴女に助けて貰ったことがあるんですよ。今日のあんな風に」
「え?」
コトネはアコの方を向き足を止める。それに気づいたアコの足を止めて話を続ける。
「同じ1年ながらも前線に出ている貴女の事はその時から知っていまして、風紀委員として初めてのパトロールの時に力不足で囲まれている時に、貴女が来たんですよ。それはもう、今よりも鮮烈な印象を受けるような動きで」
「そうなんだ……」
「ですから、今回の様に協力して一人の生徒を助けることが出来たのは私にとっては意味のあることなんですよ。まぁ、貴女のことは少しヒナ委員長に関しては嫉妬しますけど」
そういうアコの表情はどこから楽しそうだとコトネは思った。そしてコトネも
「私もだよ。ヒナの役に立っていると言えば、アコの方なんだから。私は助けられてばかりだしね」
そういうとアコは驚いた表情を浮かべ、込み上げてくるものに耐えきれず。
「ぷっ、ふふふ……アハハ!何ですか!言うに事欠いて……!でも、そうなんですね。隣の芝生は青く見えるという訳ですか」
笑った。久々に笑った可笑しくて笑ったと思うアコ。
「な、なに!?べ、別に笑わなくても」
笑われたことに不服そうにコトネが言うとアコは手を差し出しながら
「改めて、今後ともよろしくお願いしますねコトネさん。委員長を支えて行きましょう」
「そうだね、今後ともよろしく、アコ!」
二人が握手をした時、コトネの頭で声が響く。
『我は汝…汝は我… 汝、新たな絆を見出したり。 汝『魔術師』のペルソナを生み出せし時、我ら、更なる力の祝福を与えん…』
そう、新たなコミュが解禁されたのであった。
「それじゃあ、戻って今回の一件報告しますよ」
アコが一足早く先に行く。コトネもその後を追いかけようとした時、視界の端に何かが映る。その何かに吸い寄せられるように近づくと、そこには青白く光る一枚のカードがあった。手にしてよく見てみるとそこに書かれていたのは
「0?愚者のタロットカード?」
手に取った存在感を放つカードを不思議に感じながらもポケットに入れる。そして、アコに置いていかれないようにその後を追いかける。
その横の通りの路地裏に青い扉が出現する。その扉は鍵を持つ者の到来を待つように静かに存在する。
アコのコミュは魔術師でした!風紀委員メンバーも残すところ約二名!