透き通る青の仮面(ペルソナ) 作:仮面をつけた一般キヴォトス人
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評価9ありがとうございます!
間に割って入る様に姿を現したのは、ゲヘナ風紀委員会委員長、空崎ヒナと風紀委員の有馬コトネ。コトネは周りを見ながら風紀委員のやられ具合に頭を抱えそうになった。
(便利屋と……アビドスの生徒!先生含めても9人なのにここまでやられるなんて……。やっぱり"先生"の指揮は異常で、それをこなす彼女達も手練という事か……!)
左手にタブレットを持つ優男を見据えながらに内心悪態を着く。
「アコ、この状況……きちんと説明してもらう」
「そ、その……!これは、素行の悪い生徒達を捕まえようと……」
ホログラムのアコが慌てた様子でヒナに説明をする。しかし
「便利屋68のこと?どう見てもシャーレとアビドスと、対峙しているように見えるけど」
そう言われてアコがアビドスの生徒の方に視線を戻すとアル、カヨコは姿を消していた。
「クソ!アイツ何処に……委員長!?」
「すみません、形勢は不利で……委員長!?」
イオリとチナツも戻ってくるがヒナの姿を見て驚いていた。
「便利屋は何処にも居ない見たいね」
「いつの間に逃げたのですか!?さ、さっきまでそこにいたはず……!」
アコがホログラム越しでも分かるくらいに冷や汗を流しているのが見える。コトネが苦笑いを浮かべ、ヒナは沈黙している。イオリとチナツは固まっている。
「え、えっと……委員長、全て説明致します!」
「いや、もういい。だいたい把握した」
そう言いながらアコとイオリ、チナツを見ながら
「ゲヘナにとっての不安要素の確認及び排除。そういう政治的活動の一環でしょう?」
「……」
アコは沈黙している。コトネは数日前のアコとのやり取りを思い出しながら、あの時忙しくてしっかりと相談に乗ってやれなかったこと、この事態が起きると察することが出来なかった事に、密かに無力感を感じていた。
「アコ、私達は風紀委員会であって、生徒会じゃない。それこそ、万魔殿のタヌキの領分よ。今はコトネも出入りしてるから多少はこっちも事情は知れるのは確かだけど」
そう言いヒナは目を伏せて
「詳しい話は帰ってから。通信を切って、校舎で謹慎をしてなさい」
「……はい」
アコは落ち込んだ様子で返事をして通信を切る。二人のやり取りを見ながらコトネはイオリとチナツに近づき
「派手にやったみたいだね」
「うっ……」
「申し訳ないです……」
と言う。多少なりともボロボロの二人を怒る気にはなれず、やってしまった事は取り返しはつかない。
「やってしまったことは仕方ない、反省文は免れないだろうけど……。とりあえず、大きな怪我がなくて良かった。二人は負傷してる子たちを1箇所に集めておいて。手早くお願いできる?」
二人の肩を叩いてそう言う。二人は頷き他の風紀委員に指示を出しながら動く。
「こちらアビドス対策委員会です。ゲヘナの風紀委員長ですね、初めまして。この状況については理解されてますでしょうか?」
アビドス側の眼鏡の少女――おそらく奥空アヤネだろう人物がヒナに対して確認を取る。
コトネは他の風紀委員の指示をイオリ達二人に任せ、そっとヒナの後ろに立つ。
「もちろん。事前通達無しでの他校自治区における無断兵力運用、及び他校生徒たちとの衝突」
「はい、つまり!」
アヤネが何かをいう間にヒナがピシャリと差す。
「けれども、そちらが風紀委員会の公務を妨害したのも事実。違う?」
空気が重くなる。アビドス対策委員会とシャーレの先生に緊張が走る。それでも
「それで?」
「私たちの意見は変わりませんよ?」
「ちょっと待ってください!」
アヤネは猫耳の少女とガトリングを持った少女――こっちは確か、黒見セリカと十六夜ノノミだろう二人を止める。
便利屋が姿を消した今、対策委員会だけで風紀委員会とやり合うのは厳しいものがあり、それに無傷の風紀委員長と謎のバイクを駈り、シロコのドローンを落とした無傷の謎の人が居るからである。
アヤネはこの場に居ない先輩が一人居ないことに嘆くが、
「うへ~、こいつはまた凄いことになってるじゃん。何があったんだか」
ピンクの長髪のヒナとあまり変わらない体躯の少女が緊張感なく歩いてくる。
「ホシノ先輩!?」
「い、今まで何処に!?」
「ごめんごめん。ちょっと昼寝しててねぇ~、少し遅れちゃった」
(こんなに激しい戦闘の最中に昼寝してた?騒ぎになってるだろうに……いや、確か黒服という奴と会っていたはず。しっかし、ゲヘナ最強のヒナとキヴォトス最高の神秘の小鳥遊ホシノが向かい合っているのは壮観だな)
ホシノを注意深く見るヒナとコトネ。
「うへ~、ゲヘナの風紀委員会かあ……。便利屋を追ってここまで来たの?まぁ、来たばかりで事情はよく分からないけど、対策委員会はこれで勢揃いだよ。あらためてやってみる?風紀委員長ちゃん?」
「……」
ヒナは沈黙をしながらも、ホシノの様子に少し驚いていた。そして口を開く。
「……1年の時と随分変わった、それも人違いかと思うくらいに」
「……ん?私の事を知ってるの?」
「情報部にいた頃に、各自治区の要注意生徒たちはある程度把握していたから。小鳥遊ホシノ、貴女を忘れるわけが無い。あの事件の後、アビドスを去ったと思ったけど」
「……」
その言葉に何も言わずにホシノはヒナとコトネを見据えていた。コトネもそんな最強格の二人の会話に入る気は全く起きなかった。
「……そうか、そういう事か……だから、シャーレが」
何かを納得したヒナは
「コトネ、皆に撤収を呼びかけて。帰るよ」
「分かった。皆、撤収!ゲヘナに戻る準備を整えて!!」
「え!?」
「帰るんですか!?」
コトネはヒナに言われた通りに風紀委員に撤収を呼びかける。イオリとアヤネが驚きの声を上げる。
そして、ヒナが対策委員会に少し近づく。ヒナが謝罪しようとしてると察し、コトネも並び二人頭を下げた。
「事前通達無しでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。このことについては私、空崎ヒナより、ゲヘナの風紀委員会の委員長として、アビドス対策委員会に対して公式に謝罪する」
アビドス対策委員会の面々は驚き何も言えずにいる。
「今後、ゲヘナ風紀委員会がここに無断で侵入することは無いと約束する。どうか、許して欲しい」
「あの校則違反者達、便利屋は……!」
そういうイオリにヒナは睨んで黙らせる。
「あ、う……」
それ以上は何も言えないイオリは引っ込む。
「ヒナ委員長、この場には多少なりとも怪我人が居るから、応急処置だけさせて貰っていい?」
「……ええ、お願いするわコトネ」
コトネはその言葉を聞き、ヨハンナに再び乗る。そしてその場でアクセルターンを決め、怪我人が集められた方に手を向けて
「メディア!」
優しく小さな鮮やかな緑色の光がこの場にいるゲヘナ風紀委員全員とアビドス対策委員会を包む。
「傷が……!?」
「痛みが軽くなりました!?」
「アンタ何をしたの!?」
アビドス対策委員会の面々も驚きコトネを問い詰めるが
「今回の騒動の私からの謝罪だよ。まぁ、本当ならこの場にいるみんなの傷を治してあげたいけど、今の私じゃこの程度が限界かな」
ヨハンナから降りてアビドス対策委員会の面々に言う。その時、視界が歪む。
「え?は?」
頭を抑えながらふらつき片膝を着く。
その異変に気づいたヒナがすぐさま近づく。
「大丈夫!?」
「急に、視界が歪んで……あ?」
鼻から何かが出る感触を覚える。ポタリ、ポタリと地面に落ちるそれは赤かかった。鼻血が出ていたのであった。コトネの顔色も悪くなっていた。
ヨハンナも溶けていくように姿を消し、残った光の残滓はコトネの手元に集まりカードの形になった。
「バイクが消えた……?」
「それよりも大丈夫ですか……!?」
アヤネが心配して近づこうとした瞬間それを見る。いや、アヤネだけではなく、その場にいる全員がそれを目撃する。
コトネのヘイローが消えたのだ。鼻血を出して気絶したとなれば病院に搬送しないといけない。アビドスの医療施設を伝えようとした時
「あ、ありがとうヒナ……。多分、消耗しただけだから……。大丈夫、無問題」
コトネは鼻血を拭いながらもヒナに大丈夫と言うが足元が安定しておらず、ふらついている。
「……イオリ、チナツ」
「「はい、委員長」」
「コトネをお願い」
「勿論です!」
「任せてください」
二人の後輩に肩を貸されて運ばれるコトネ。そんな、ゲヘナのやり取りを見ながらもアビドス対策委員会の面々は驚いていた。
「あの人、意識があるのに」
「ヘイローが消えたまま……」
ホシノですら驚いていた。皆の傷を癒したこともそうだが、ヘイローが消えている状態で意識をがあるコトネにアヤネは
「体調が落ち着くまで休んで行ってはどうでしょうか!?鼻血もヘイローも消えているのにそのまま返すなんてできま……」
休んでいかないかと言うがヒナが
「申し出はありがたいけど、それこそこっちの問題よ」
そう言い撤収をする。そんな中、シロコが気づく
「ん?これ、何?」
拾い上げたモノは女教皇の絵が描かれていたカードだった。
「ゲヘナ風紀委員会の落とし物でしょうか?」
「届けるにしても誰が落としたか分からないわよ?」
「預かっていたらいいんじゃない?」
ホシノがそう言うとシロコは頷きポケットに入れる。
路地裏では
「あの子……目が覚めたんだ……」
コトネの姿を見て懐かしさで込み上げてくる感情を押し殺し、その場から離れていく人物の独り言が宙に消えていった。他の三人の誰の耳に入ることなく。
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