透き通る青の仮面(ペルソナ)   作:仮面をつけた一般キヴォトス人

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KOBASIさん
如月サグメさん
評価9ありがとうございました!
気づけば1ヶ月空いてしまいました!遅れて申し訳ございません!
年内最後のですが楽しんでいってください!




真実を知る友と知らぬ友

「今日の所は安静にしていてください」

 

「どうしても?」

 

「はい、ペルソナ?なる力に目覚めて昏睡状態になった時ほどでないですが、激しく消耗してます。それとも、あの二人を押しのけて行くつもりですか?」

 

淡々とセナから出る小言を受け止めながら、コトネはベットで寝かされていた。

 

こう怒られるのも無理もない。ヨハンナへの覚醒、ゲヘナからアビドスへの横断。あの場にいた大勢へのメディアの行使。そんな無茶をすれば当然、ガス欠(PS切れ)にもなる。

その結果が、ヨハンナもヘイローも維持できず、挙げ句鼻血を出して片膝を着くという結末である。

 

それでも、コトネは後処理や書類ならと言う意味でセナに聞くが、セナは行くなら、セナの後ろにいるイオリ、チナツを押しのけて行くのかと問う。

 

「コトネ先輩、お願いですから休んでください。ここ最近もそうですけど、今回の件でかなり無茶をしたのは分かります。私自身は初めてですけど、先輩が鼻血を出してペルソナの維持が出来ずに崩れ落ちるのは見てて……胸が苦しかったです」

 

「そうだよ!私はもう……あんな、コトネ先輩を見たく……無いんだ!あの時だって、無理をして1週間も眠ったんだよ!?委員長は勿論皆心配したんだよ!」

 

チナツとイオリに言われてコトネは少し困った表情を浮かべる。正直、そこまで心配されるような物でも無いしなぁ、とも思っていた。が、よくよく考えてみると二人の心配も当然かと考える。鼻血出して倒れた人間が『自分は大丈夫だから』とか言って動こうとしたら誰だって心配するし、休めとも言いたくなる。

 

それに気づいたコトネは、気まずげな表情を浮かべて頭を掻きながら二人に告げる。

 

「……分かった!私もそこまで言われて、それでも何て言わない!言われた通りゆっくり休むよ。ヒナにも連絡は入れておくから。二人もゆっくり休むんだよ」

 

「はい」

 

「分かりました」

 

その言葉に満足したのか、イオリとチナツは部屋から出ていった。セナと共に足音が遠ざかったことを確認したコトネは、小さく溜め息を吐いた。

 

「はぁ……。いや、まぁ、鼻血出してふらついたら今日休めって誰でも言うよなぁ」

 

「客観視が出来ているようで何よりです。コトネさん……いえ、"琥暁さん"」

 

セナから“コトネ“とは異なる名前が溢れたことに、当人は少々ばつの悪い顔を浮かべる。

 

「うん、わざわざそっちの名前出さくていいからな?セナ」

 

「でも、貴方の本当の名前ですよね?」

 

「そうだけども……。それでもなぁ……」

 

苦い顔をしているコトネにセナは表情を変えずに言葉を続ける。

 

「まぁ、コトネさんの声で貴方の素の口調を聞くのは別に違和感はあんまり無いので、寧ろ似てますね」

 

「それって、今、演じているのがわざとらしいという事なのか?」

 

琥暁がセナに質問をするとセナは首を傾げながらに答える。

 

「いえ……ただ、新鮮だなとは思います」

 

悪意無しにそう言う。琥暁は苦笑いを浮かべながらに

 

「そうかい……。でも、まさか最初の会話から直ぐに違和感を覚えられて、勉強教わった時にいきなり詰めて来るとは思わなかったよ」

 

初めてバレた時のことを思い出した。セナもその言葉を聞き、思い出すように言葉を返す。

 

 

「記憶が無いにしては……私達の名前を知っていると、記憶に偏りがある。単に記憶喪失として片付けるには違和感がありましたから」

 

「でも、あんまり驚いていなかったよな?」

 

琥暁が聞くと、セナは首を横に振り

 

「驚きましたよ。目覚めた友人に別の魂が入っているなんて……。医学的にどうなのかとかも」

 

「はは……。オレは君やヒナ、アコやマコトを騙している気がして罪悪感があるよ……一応大人だしなオレ自身は……」

 

肩を落としながらに言う琥暁。

成り行きではあるが、女子高生の体に社会人の男性の心。さらに、彼女たちを悲しませないためとはいえ、記憶喪失のフリをして交友関係にあーだこーだしている訳だ。

 

嘘をつき続けていることに罪悪感を感じるなというのも無理な話である。

だが、セナは微笑みながら言葉を返す。

 

「そうだとしても、貴方は有馬コトネとして風紀委員会に復帰し風紀委員会の人達を支え、ヒナを支え皆さんと親交を絆を深めてきているじゃないですか。コトネさんの体と名前はありますが、そこまでに至ったのは貴方の人柄ですよ。私も、そんな貴方だから色々と協力したいと思えました。ですから、あまり彼女達を悲しませるような無茶は控えてください。私とて、親しい友人が倒れる姿は何度も見たいものでは無いのですから」

 

そこまで言われて琥暁は天井を見上げる。そして、コトネがヒナやセナ、同級生組にとって色々と影響を与えてきた人物であった事や強い繋がりが会ったことを思い出す。それぞれが大小あれど"有馬コトネ"の少女の鮮烈な印象を持っている。それこそ、風紀委員会では語られる人物だったり、ヒナの幼馴染だったり、セナの友人だったり、マコトには……ビビられたり。

 

だが、今のコミュを築いて立っているのは過去のコトネではなくて今のコトネである。

そう気づくと、少し肩の荷が軽くなった気がした。目覚めてからこれまで様々な不安が彼の中にあったのは事実。だが、今のセナの言葉で、重石が取れた感覚があった。

 

「……そうか、なんて言うか。上手く言葉に出来ないな、けど何か嬉しいな。そんな風に言って貰えると」

 

言って、心の底からむず痒くなる様な気恥しさから思わず笑ってしまっていた。セナもそんな琥暁を見て少し微笑む。

 

「そうやって笑うのは本当に似てますね」

 

「そ、そんなに?」

 

「はい、似てます」

 

琥暁は天井を見上げながら頬を掻きセナに向き直り。手を差し出しながら言う

 

「皆に話すまでは協力……改めて頼むな、セナ。まぁ、色々と迷惑はかけると思うけど」

 

「善処はしてください。ですが、協力は惜しみませんよ」

 

二人が握手をした時、頭で声が響く。

 

『我は汝…汝は我… 汝、新たな絆を見出したり。 汝『死神』のペルソナを生み出せし時、我ら、更なる力の祝福を与えん…』

 

死神のコミュが解禁されたのだ。医療従事者が死神かと内心不謹慎だなと思いながらも新たなコミュを得たことで内側から力が漲るのを感じる。これまでで得たコミュは7つである。近いうちに新たなペルソナが姿を現す可能性もある。それだけではなくカードを介した召喚もある。密かに可能性が広がる度に心が踊るのはファン故なのかと言う葛藤があった。手を離したあと寝転がり

 

「とりあえず、下校時間まではここで休むよ。そして、風紀委員会の仕事も様子を見に行くだけにする。明日からは復帰するけど。ヒナにもモモトーク入れておかないとだし」

 

「分かりました。私は見回りに行くので、ゆっくり休んでください。それでは、また、コトネさん」

 

切り替えるようにコトネと呼びセナは一足先に部屋から出る。コトネと呼ばれて息を吐き自分の中でも少し切り替える。夕焼を見ながら今日のことを振り返る。ヨハンナの覚醒は可能性を広げるには大きかったが、その分消耗も大きかった。この分では同じように他の人のペルソナを出せば消耗するだろうと思った。だが、

 

「そう何回も鼻血とか出してたら格好がつかないだろ」

 

そう零して下校時間までベットで過ごすつもりだったが気がついたら寝てしまい、次に起きた時には外は暗く、丁度ヒナが迎えに来た時だった。

 

「ゆっくり休めた?」

 

「ああ、想像以上に寝てしまった……何時以来だ?休むかーのノリで寝て寝てしまったの……」

 

手で顔を覆いながらに本気で反省するコトネ。それを見るヒナ。ヒナはコトネの口調に少し違和感を持つ。それは今の口調とは違う、記憶失う前と重なって見えたからだ。コトネは帰宅する準備を整えいざ帰ろうとした時にヒナが立ったままなのに気づき

 

「ヒナ、どうしたの?大丈夫?」

 

「っ!な、何でも……ない」

 

ヒナは首を横に振りコトネの隣に立つ。その時のヒナの表情が寂しそうに見えたコトネ……琥暁はその表情に言い知れぬ無力感を感じる。そんな表情を見たい訳じゃない。そんな表情させたい訳じゃないと。

 

(なぁ……これはオレ(琥暁)の思いか?(コトネ)の思いなのか?それとも、両方なのか?)

 

気づけば拳を強く握りしめていた。大切に思うのは相手だけでは無い。彼にとってもゲヘナで築いた絆はもう、彼女達の為だけのものでは無いのだから。




死神のコミュは氷室セナでした!

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それでは皆さん!良いお年を!!!
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