透き通る青の仮面(ペルソナ)   作:仮面をつけた一般キヴォトス人

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shinmeruさん評価9ありがとうございます!!


救いを求める手に

コトネはゲヘナに帰り、先日アビドスで起こった戦闘と顛末を話す。もちろん、自分の過去やペルソナについて話した事も含めてである。だが、先生、黒服の件については一言も話す事は無かった。

 

「なるほど。まぁ、聞かれたら話した……。仕方ない、コトネなら。お人好しだし」

 

「そうですね、お人好しですから聞かれたら部外者でも話しますね」

 

「あのー、二人揃って私をお人好しで結論付けないで」

 

コトネはヒナとアコに怒られるとは少し思った。しかし、"お人好し"だから仕方ないと片付けられたのだ。

 

「でも、お人好しと言われても仕方ないと思うよコトネ先輩。忘れ物取りに行っただけなのにほっとけないから戦闘に加わって」

 

「その日の内に帰って来れない程に消耗したんですから。仕方ないですよ」

 

イオリとチナツからも言われて受け入れるしかないとコトネは半ば諦めたように溜息をつく。

 

「それで。現状、アビドス対策委員会は小鳥遊ホシノを欠いた状態でカイザーPMCと事を構えている状態という状況で良いんですよね?」

 

アコの確認にコトネは頷く。

 

「そうだよ、自分を捨て石にしてアビドスを何とかしようとしてね……。でも、状況を見る限りは向こうの方が上手だったと言う雰囲気だったね」

 

相手が黒服だった以上、契約に関しては向こうに利があった。それだけの話ではある。しかし現状黒服は小鳥遊ホシノを手放している。それは、黒服とのやり取りでコトネがペルソナを召喚した事で黒服を妥協させたからである。

 

「それで、コトネはどう思う?」

 

ヒナがコトネを見ながらに尋ねる。親友としてでは無く、風紀委員長として、同じ組織のコトネに尋ねているのだ。その空気をコトネは察して少し息を吐く。

 

「ゲヘナ風紀委員会としては、アビドス対策委員会より公式な応援要請が無い限りは、助ける手段は無いです。勿論、救出に人員を出そうにも風紀委員会も通常業務が有り余ってて余裕は無いし、生半可な人員では返って粒揃いのアビドスの足を引っ張る。それに、温泉開発部、美食研究会が暴れたとなれば……現場はイオリやヒナ。アコとチナツのサポートが無ければ対応するのが難しい」

 

口にして思うゲヘナの治安の悪さと、ヒナの一強の風紀委員会。イオリもコトネとの勉強や経験を積む事で、単純な罠に掛かるのは劇的に減ってきているが、ヒナ程の圧倒的な制圧能力は無い。

 

「結論を言うと……小鳥遊ホシノの救出の為の応援要請が来ても、即答は出来ない」

 

コトネは肩を落としながらそう結論を話す。個で言うなら助けに行きたいが、組織の人間としては難しい話である。それに、自分が心配をかけやすいと言うのも理解している為迷惑は掛けたくないと考えているのだ。

 

「そうね。コトネの言う事は間違ってない。現状ゲヘナ風紀委員会(私達)がよその学区の問題に応援を出すのは難しい。校則違反者の対応だって無視できないし万魔殿の連中が代わりに機能してくれる訳でも無い」

 

ヒナは難しそうな表情で言う。アコも資料を見ながら色々と思案している。イオリとチナツもどうなるんだろうと話を聞いていた。ヒナは少し息を吐き

 

「それじゃあ、コトネ。貴女個人としてはどう?」

 

「え?」

 

予期していない質問に抜けた声がもれる。コトネはヒナを見ると、ヒナの表情は風紀員会委員長の顔ではなく、友人に向ける表情だった。コトネは小さく息を吐きその場に居る皆を見ながらに言う。

 

「私個人としては、何とかしてあげたい。前の一件を帳消しとかそういうのじゃなくて……。例え誰であろうと、それに助けを求めて来た時に助けられなかったら……絶対に後悔する。私は……そう言うのでは後悔はしたくないから」

 

コトネが言い終えるの聞き、その場に居た全員は息を小さく吐く。そしてヒナは嬉しそうに小さく笑みを浮かべ。

 

「分かった、コトネならそう言うと思った。皆、もしも、アビドス廃校対策委員会が救援要請に来た際は―――要請に応じると返答して」

 

ヒナはアコとイオリとチナツを見ながらそう指示を出す。コトネは驚いた表情を浮かべながら言う。

 

「ヒナ!?確かに私は個人的に助けたいとは言ったけど!風紀委員会だって余裕が!」

 

コトネが先程言った通り、ゲヘナは治安がお世辞にも良いとは言えない地域であり、温泉開発部、美食研究会が暴れたとなればイオリやチナツだけではどうしても押されることもあり、ヒナが出張らない限り、抑えるのが困難な現状である

 

「そうですね、コトネが言っていた通りです。ですが、私達だって助けてと言われたら何とかしたいと感じるのは一緒ですから」

 

「そうだよコトネ先輩!」

 

「だから、コトネ先輩が言ったからという訳では無いですよ」

 

三人に言われてコトネは少し心が軽くなる。自分が言ったから無理して救援を出すことになったのだとすれば罪悪感があるというものである。

 

「救援に行くメンバーについては、行く直前まで考えなければ行けませんね。ゲヘナの風紀とアビドスの救援の両方を成立させる為に」

 

アコがそう言うとヒナは

 

「アコ、メンバーの選出任せてもいい?アコなら最適なメンバーを選ぶことが出来ると思うから」

 

アコに真っ直ぐな瞳を向けながらに選出を頼む。アコは嬉しくなる気持ちを精一杯平静を抑えるようにして答える。

 

「はい、わかりました」

 

顔に出ているが誰も言わずにスルーする。

 

その時、コトネの頭に声が響く。

 

『我は汝…汝は我… 汝、絆の新たな力を見出したり。汝、『真実を見極めし者』の力を解放せん……』

 

その直後、ノイズ混じりに映像が頭に浮かぶ。とある田舎町の少年少女の一年の記憶。真実を求めて歩き続けた人物達の光景である。

 

(これは……もしかして)

 

何か確信めいたものを感じるコトネは皆を見ながら微笑んで

 

「ありがとう!」

 

そう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の昼過ぎ、アビドス対策委員会と先生がゲヘナ学園に尋ねに来ていた。要件は小鳥遊ホシノの救出の件である。因みにコトネは万魔殿に呼び出しをされて対応中のため離席していた。

 

そんな中、イオリと先生が外で話を行い。ホシノを除く対策委員会のメンバーはアコが対応を行っていた。

 

「すみません、私一人でお相手することになって」

 

「いえ、全然……」

 

アビドス対策委員会の前には紅茶が入れられていた。

 

「せめて、チナツさんかコトネさん居れば良かったのですが……少々風紀に問題がある学校でして」

 

そういった直後慌ただしくチナツが入ってくる。事態を終息させて来たのだ。

 

「お疲れ様です、チナツさん」

 

「お、遅く……なりました……」

 

それを見かねたシロコはセリカの紅茶を取り、チナツに渡す。

 

「そ、それ私の……」

 

「お待たせしてしまい申し訳ございません。ようやく片がついたので……」

 

そう言い終わるのと同時に

 

「休憩中申し訳ございません!今度は食堂でトラブルが!」

 

それを聞いたチナツはすぐに仕事モードに切り替えて

 

「了解です!これありがとうございました!バタバタしてすみません!ごゆっくり!」

 

シロコにコップを渡し立ち去る。騒然としながらセリカが

 

「何時もこんな感じなの?」

 

「今日はまだまともな方です」

 

アコは落ち着いて紅茶を飲みながらにコップを置き。

 

「貴女達の要件は大凡は予想が着きます。カイザーPMCと一戦交えるにあたって救援要請に来たという所でしょうか?」

 

アコはそう言うとアビドス対策委員会の面々は驚いた様子で

 

「はい!ホシノ先輩を助けるためにゲヘナ学園に協力をお願いしたいのです!」

 

アヤネがアコを見ながら真剣に話す。

 

「お気持ちは分かりますが、私の一存ではどうにもなりません。シャーレの先生が委員長と話をして委員長の判断次第と言う他無いです」

 

アコも落ち着いて堂々と話す。

 

「それに、先程も見た通り、ゲヘナ学園は少々風紀に問題がある学校でございまして、それの対応にも人手が必要なのです。今でこそ万魔殿からの横槍がコトネさんの対応のお陰で殆ど入らないとは言えど、温泉開発部、美食研究会……それ以外のトラブルの対応があります。その事はご理解頂きたいと思います」

 

それを言われた四人は黙るしか無かった。チナツが慌ただしく来て、慌ただしく出て行ったのは目にしていたから。

 

四人が落ち込んでいるとアコは息を吐き

 

「ですが、私達はそちらの事情も知って居ます。貴女達は助けを求めてここに来た。例え同じ学校の生徒では無かったとしても、助けを求める手を振り払う様なことをしたら……これから先私たちは胸を張ることが出来ない」

 

「という事は……」

 

アコは四人に向かって笑みを浮かべて言う。

 

「追って正式に通達しますが……。ゲヘナ風紀委員会はアビドス高等学校・アビドス廃校対策委員会の救援要請を受理し、アビドス高等学校所属小鳥遊ホシノさんの救出作戦に加わります」

 

四人は驚いた様子で互いの顔を見合わせる。アヤネが心配そうに

 

「ありがとうございます!ですが、大丈夫なんですか?そのここでほぼ決定みたいな感じになってますが……」

 

「心配してくださるのですね。大丈夫です、委員長から『アビドス廃校対策委員会が救援要請に来た際は―――要請に応じると返答して』言伝を受けていますので」

 

その言葉を聞いてアヤネの表情は明るくなる。そして四人が頭を下げて礼を言う。

 

「応援の件ありがとうございます!!」

 

「礼ならコトネさんに言ってください」

 

「コトネさんに?」

 

ノノミがアコの言葉に首を傾げて尋ねる。

 

「はい、コトネさんがアビドスの置かれている状況、小鳥遊ホシノさんの件を伝えてくれたのです。そして、風紀委員会としては難しくとも、一個人としては助けたいと仰ってましたから」

 

「コトネが……」

 

シロコもコトネの事を考える。過去を知り、共に共闘した他校の上の学年の人が助けたいと思ってくれたことが嬉しかったのだ。

 

「うん、会った時に伝える」

 

そう言い、ゲヘナ学園からアビドス対策委員会は立ち去る。

 

立ち去った後、万魔殿での用事を終えたコトネが帰ってくる。アコは気が付き

 

「おかえりなさい、コトネさん。万魔殿から無茶なこと言われませんでした?」

 

「まぁ、大丈夫。頭が痛い話ではあったけど……現状はどうしようもないと言うことで切り上げてきたから……。それより、イオリとヒナはどうしたの?何か顔が赤いけど」

 

イオリはそのコトネの言葉を聞いて

 

「聞いてよコトネ先輩!シャーレの先生私の足を躊躇なく舐めたんだ!しかも……!!」

 

「……い、イオリ、それ以上は何も言わない」

 

ヒナはイオリを止める。その光景が鮮明に残っているのだろう。コトネは少し遠い目をしながら。

 

(そこまでする……よなぁ、あの先生なら……でも、プライド捨てて何とかなるのなら……割とやる価値はあるのかもな。オレもホシノの情報の引き換えにペルソナ出したし。もしも、風紀委員会の皆に何かあった時は……)

 

コトネがそういう風に考えているとイオリが身を乗り出しながら

 

「いくら大人でもおかしいと思わないですか!?コトネ先輩!!」

 

不意をつかれたコトネは驚いた声を上げる。

 

「え!?それ俺に振る!?え!?ちょっと待って」

 

いつもと違う一人称にイオリは首を傾げて聞き返す。

 

「うん?オレ?」

 

「ああ、いや!なんでもない!確かに舐めるのはアレだよね!」

 

コトネは急いで誤魔化してその場を切り抜けるが、アコは思い出していた。

 

(以前にも、俺という事がありましたね……。何かあるんでしょうか?)

 

そんな風に疑問に思いながらも救援のメンバーの選定を行う。

 

「アコ、決まった?」

 

ヒナが確認を行うとアコは頷き。

 

「はい、メンバーは決まっています」

 

ヒナもメンバーを確認し頷く。そして

 

「分かった。当日はそのメンバーがアビドス廃校対策委員会の救援を担当してもらうわ。……アコ、よろしくお願いね」

 

「はい!勿論です!ヒナ委員長!」

 

ゲヘナ風紀委員会はこの日アコが選んだ少数のメンバーでアビドスに向かう。

 

救援要請に応じて小鳥遊ホシノ奪還の援護の為に。

 




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