透き通る青の仮面(ペルソナ)   作:仮面をつけた一般キヴォトス人

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にゃっく13号さん評価7ありがとうございます!


アビドス対策委員会編エピローグ

小鳥遊ホシノ奪還作戦から3日が経過し、報告書を読みながらヒナは休憩を行っていた。

 

「カイザーPMCの基地から爆発の中救出……便利屋68、トリニティ総合学園の生徒との共闘。先生やアビドス対策委員会に助力する勢力が多かったのね。それにしても……」

 

ヒナは天井を仰ぎながら大きく溜息をつく。ホッとした感情と肝を冷やしたと言う感情で書類から目を離していた。

 

「爆破されている建物から、小鳥遊ホシノを救出……今回は無事に帰ってこれたから良いもの、一歩間違えたら……2年前の……」

 

口に出して拳を強く握りしめる。記憶を失ってからのコトネは別人とは言えるくらいには変わったが、それでも同じ委員会の仲間であり大切な親友である。それこそ目の色を変えてまで守りたい人でもある。

 

「何はともあれ……三人とも無事に帰ってきて良かった」

 

アコとイオリも何事も無く帰ってきたことにも安堵の声を一人執務室にてこぼす。そして、今回の一件、今までの働きを考えて一つの考えが浮かんだ。

 

「……それを決めるにはアコとイオリ、チナツにも話を聞かないとね。過保護はコトネが望むところじゃないでしょうし……私も信じると言ったからには任せないといけないし」

 

ヒナは休憩を終え、仕事をしながら同時に段取りも組み始めた。

 

一方のコトネは万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)に足を運んでいた。

 

「この間のアビドス高校の応援ご苦労だったなコトネ!」

 

議長であるマコトがコトネを労っていた。情報に関しては万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)も独自の網を持っているため秘密裏に動いたとしても必ず掴まれるのである。

 

「どうもです。あ、イブキちゃんほっぺたにクリーム着いてるよ。拭いてあげるから」

 

「ありがとうございます!コトネ先輩!」

 

二パァと笑うイブキに癒されながら世話を焼くコトネ。

 

「イブキは可愛いなぁ」

 

「そうでしょ?イブキは可愛いですし癒されるんですよね。……そういえば、どうだったんですか?アビドスの件は」

 

イロハがコトネの隣に座りながらに聞く。

 

「どうって……無事にアビドス高校の生徒を救出して事もなしだけど……」

 

「まぁ、そうなんでしょうけど……ペルソナについては風紀委員会が把握している範囲なら万魔殿も把握はしてますよ?使えば消耗する、ペルソナが受けたダメージはコトネ先輩にもフィードバックされる。傷を癒す力はあれど体力、精神的消耗、ダメージは回復は出来ないもので、使えば使うほど疲労が蓄積される。……あまり、無理はしない方が良いとは思いますけど」

 

「そうだよーコトネ先輩は頑張りすぎだからぁ!」

 

イブキがひょこんと間に入ってコトネに言ってくる。コトネはイブキの頭を撫でながらに

 

「大丈夫だよ。しっかり寝て休めば大丈夫。それに、風紀委員会と万魔殿で色々鍛えられているから、初めての時よりかは全然大丈夫なんだよ」

 

「まぁ、本人が大丈夫と言うならそれ以上は何も言いませんが……そういえば、マコト先輩、コトネ先輩に何か話があるんじゃないんでしたっけ?」

 

イロハは思い出したようにマコトに言う。マコトは静かに笑いながらに言う。

 

「キシシ、よくぞ言ってくれたイロハ!コトネ!今回私が呼び出した理由だが、万魔殿手伝いをしてくれているお前に役職を与えようと思ってな!それで呼び出したのだ!」

 

大々的に言うマコトにコトネは眉をひそめながらに尋ねる。

 

「役職?ただの手伝いじゃ無かったの?」

 

「これほどの人材をただの手伝いのままにする方がどうかしているとは思わないか?それに、今回の件では他校の連中と共同で事に当たったではないか?」

 

「それは、アビドスから応援要請があったから……」

 

コトネがそういうがマコトは

 

「そうは言うが、始まりは、向こうと風紀委員会の衝突。そして、コトネ自身が肩入れし、今回の救出作戦になったではないか。他校生とのやり取り、その尽力する姿はこれから与える役職としても相手に良い印象を与えやすく、コトネなら上手くやれる筈だ!」

 

受けるとも言ってもいない内に受けること前提で話が進んでいることに頭が痛くなるを感じながら小さくため息を吐きながらコトネは質問をする。

 

「き、聞くだけ聞くけど……その役職って何なの?」

 

マコトは笑いながらに高らかに言う。

 

「その役職とは!万魔殿の外交官だ!もちろん、風紀員会との兼任を認めよう!!」

 

その役職名を聞き、コトネは頭を抱えた。万魔殿の外交官。つまり、他校との取り決めや連携を行う重大な役目である。それに加えて現在ゲヘナとトリニティの間にてエデン条約締結に向けての動きがある。必然的にそういったことにも首を突っ込まないといけないことになる。

 

「マコト先輩、コトネ先輩が万魔殿の手伝いをしてくださっているのは風紀委員会への仕事をいやがらせ……風紀委員会の予算削減を撤回する代わりにだったはずですよ。外交官をしてもらうなら万魔殿として何かメリットを提示した方がいいんじゃないですか?」

 

イロハが珍しくまともにマコトに意見を言う。コトネは助け船じゃないことにフリーズするが、それを聞いたマコトは

 

「毎日イブキと遊べることが褒美じゃないのか!?私は癒されるぞ!」

 

「ぐっ……癒されるけども……!」

 

外交官を受けるには些か理由が弱い。イブキと遊ぶのはコトネにとっても癒されてリフレッシュはできているのはまた事実なのだが。何より

 

「コトネ先輩が外交官にならないとイブキと遊べないの?」

 

「そ、そんな事ないぞ!いっぱい遊んでもらったらいいからな!」

 

ウルウルと涙を目に溜めたイブキの表情にマコトが即座に陥落してイブキと毎日遊べると言う条件は棄却された。もとより風紀委員会の仕事があるので毎日は厳しいものがあるのが現実である。

 

しかし

 

(外交官か……他校が気になると言えば気になる。元の世界に居た時は大雑把にしかブルーアーカイブは知らなかったし。同僚が勧めてくれて、プレゼンは聞いていたけど……現状はアビドスと便利屋、ゲヘナ学園……他校の生徒なんて詳しくは知らないしなぁ。この世界で生きている以上、ある意味これはいい機会かもしれないな。まぁ、過労死するかもしれないけど……)

 

苦笑いを浮かべながらもコトネ……琥暁は目を瞑り

 

(何が……過労死だよ……やっても無い内から言うなんて……ヒナやアコ、先生に笑われるな)

 

少し笑みを浮かべながらマコトに返答する。

 

「マコト……外交官の件、私、受けるよ」

 

その言葉を聞いた時、マコトは嬉しそうに笑みを浮かべ、イロハは心底驚いたという表情を浮かべ、イブキは花開いたように笑みを浮かべた。

 

「あの、コトネ先輩本気ですか?まぁ、こっちとしてはありがたいと言えばありがたいですけど、そっちにメリットはあまり無いですし、風紀員会の仕事と同時並行でするとかなり辛い仕事になると……まぁ、こっちは普段はそこまで忙しくは無いとは思いますけど……」

 

イロハは少し心配そうに忠告する。コトネは頷きながらマコト、イロハに視線を向けながらに忠告を受けたうえで返答する。

 

「確かに、普段の風紀員会の仕事と万魔殿の外交官の掛け持ちとなったら辛いとは思うよ。でも、他の学校の人や目の前に控えているエデン条約を考えるとね。上手くいけば、風紀員会の仕事の負担、ヒナ、アコ、私たちの負担も減らせるから……やってみたいんだよね」

 

その言葉を聞いたイロハは少しあきれながらため息を吐く。マコトは口角を上げて高笑いしながら両手を仰々しく広げて言う。

 

「キキキ!キヒヒ!!ようこそ!コトネ!万魔殿へ!!」

 

この日コトネは万魔殿の外交官の役職に就くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうことですか!?万魔殿の外交官になったって!?」

 

アコの悲鳴にも見た声が執務室に響き渡る。コトネは万魔殿での本日の出来事を共有していた。共有されたヒナの形相は険しいものとなっており、アコは頭を抱え、イオリとチナツは「またか」と苦笑いを浮かべていた。人の良さと引き受けてくる苦労に関してはいつものことだと歳下の二人は内心「らしいなぁ」とも考えていた。

 

「説明をしてくださいコトネさん!」

 

「ま、待って!説明するから!アコ!ストップ!揺らさないで!脳まで揺れるから!目が回るぅぅぅ」

 

ブンブンと揺らされながらコトネはアコに止まるように懇願する。コトネは見回り以外ではペルソナを出さないので神秘の守りが無い状態で脆いのである。

 

アコから解放されてコトネは話し始める。

 

「別に無理矢理押し付けられたわけでも親切心だけで動いた訳でもないよ。他の学校の事も知りたい、引いては外交官という立場でトリニティ総合学園と関わることになればエデン条約にも必然的に触れていく事になる。上手く締結出来たら風紀委員会、私達の負担軽減にもなるから……向こうから言われたのはそうだけど、受けたのは私の意思だから……。それに上手く行けば皆の負担も減らせるしね」

 

説明を終わったあとにヒナを除く三人に囲まれて

 

「自分の意思とか親切心じゃないと言っておきながら最終は風紀委員会の為じゃないですか!」

 

「コトネ先輩休む気とかある!?」

 

「ただでさえ風紀委員会で多忙なのに万魔殿の仕事も本格化したら倒れますよ!」

 

再び説教される事となる。ヒナは小さく溜息を吐きながらも

 

「自分で決めたのなら良いわ。ただ、無茶はしないことと風紀委員会優先でお願いね。コトネ」

 

「勿論だよ私の所属は風紀委員会だから」

 

コトネは笑顔で頷く。ヒナも頷く。そして、ヒナは本来の目的の話を話し始める。

 

「コトネ、万魔殿で役職を貰ってきた所悪いけど……本当にあのタヌキはタイミングが悪いんだけども。風紀委員会も貴女の功績を認めて役職を与えようとなったの」

 

「え?」

 

コトネが固まる。復帰してそこまで経って無いが役職が与えられる事となったのだ。固まるコトネを差し置いて話は続く。

 

「アコ、イオリ、チナツと意見交換をして、他の風紀委員にも聞いて満場一致で了承を得たからその立場を与えるわ」

 

アコ、イオリ、チナツはヒナの近くに立ち、コトネを見る。コトネは緊張に固唾を呑む。そして、ヒナは言う。

 

「風紀委員会の業務の見直し、見回り、万魔殿との交渉での風紀委員会の予算削減を撤廃させた。アビドス対策委員会の救援、それによるアビドスとの関係修復と小鳥遊ホシノの直接の救出、アビドス対策委員会の護衛完遂。復帰して特異な神秘を持っているとはいえここまでの功績を上げるのは容易じゃない。それに、風紀委員に対してもサポートをしたり協力的に取り組んだことにより皆からの信用、信頼も得ている。よって、有馬コトネ。貴女をゲヘナ風紀委員会・副委員長に任命する」

 

とヒナは宣言する。

 

「は?はぁあああ!?ちょっと待って!私が副委員長!?アコじゃないの!?」

 

アコは少し笑いながらに言う。

 

「私は行政官ですよコトネさん」

 

「でも!」

 

食い下がるコトネにヒナは言う。

 

「アコとコトネの二人がナンバー2よ。アコには今まで通りに行政官として動いてもらうし、コトネには副委員長として動いてもらう。コトネ、貴女は十分に私達に力を示したし、守られるだけじゃないって証明した。副委員長の称号は貴女が頑張ったから得たもの。誰一人として贔屓や忖度無しで話し合った結果よ」

 

そこまで言われるとコトネは首を横に振る気は無くなった。自身の力が認められたからこその地位に立ったと。自身の成長も感じられた。

 

「受けてくれる?」

 

ヒナは最終確認を行う。コトネは三人の目を真っ直ぐに見て頷き

 

「勿論、受けるよ。副委員長としてこれからも頑張って行くよ」

 

こうして、ゲヘナに万魔殿の外交官と風紀委員会の副委員長を兼任する生徒が現れたのであった。不仲の組織の橋渡し的な存在としてコトネはゲヘナで過ごしていく。

 




次回は幕間を投下予定です!

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