あの日、全兄さんが本性を現してショウタロウ兄さんを倒した。
その日から色々変わってしまった。
まずこんな世界になってしまった原因であるあの力の名前が「超常」から「個性」という呼び方になったらしい。
全兄さんは手始めと言わんがごとくにこの地域を支配した個性持ちの奴らを兄さん自身の個性で蹂躙したり、個性を欲した無個性の人々にいらない個性を押し付けたり、個性を捨てたい人の個性を手に入れたりする。そうして関係を持った人々を駒を使う様に他の地域を襲撃させる、全兄さんは玩具の様に人で遊んでいる。
だがショウタロウ兄さん曰く支配している所は他の所よりも秩序があると言ってた。
全兄さんはただみんなを玩具で遊ぶ感覚で支配しているのに、そんな扱いを受けている人がそこに安全を感じている。
そう思うと僕は何とも言えない気分になった。
僕の暮らしも変わった。どうやら兄さんは僕の事を自分が初めて与えられたものと思っているらしく、大事な物だから「金庫」という部屋にしまわれてしまった。アメコミと明かり以外何もない部屋に僕は監禁されている。ただずっと閉じ込められているわけではない。毎日昼になると
ガチャン
「おーい与一、飯できたよー」
こうやってショウタロウ兄さんが扉を開けて呼んでくる。
そして、ショウタロウ兄さんが一番変わってしまった。倒される前の威勢はどこかに消え。
「全も用意出来たぜ」
「ああ、今行く」
全兄さんにこびへつらう腑抜けになってしまった。
パクパク
「腕を上げたね兄さん」
ショウタロウ兄さんが作った料理を今食べている実際に美味い
ちなみに、兄さんは片腕で料理したわけではなくあの時とんだ腕をくっつける事は成功して今何不自由なく使用できている
「いやーそれほどでも」
モッチャクッチャ
「しかし、いい所だなー」
「フフ、一番見晴らしが良い所を手に入れたんだ」
僕たちは今ここら一体を一望できるビルの上階に暮らしている、全が多くの人々を支配して獲得したビルだ。
今までの宿無しの楽しくはあったが大変だった生活をしなくていい
でもこれじゃダメなんだ。
「与一、ずっと考えたような顔をしてどうした?」
図っと思い詰めている僕に気づいてショウタロウ兄さんは心配してきた。
「…ごめん、何でもない」
「きっとオーラがない兄さんに今も慣れてないんだよ」
「あーいい加減慣れろよー」
そう、個性を与えられてからのショウタロウ兄さんの周りにはオーラが出ていない。個性を与えられた代償としてなのかはわからないがオーラが消えた。身体能力は変わらないみたいだが。
「兄さん昼飯作るのめんどくさいと思っているでしょ?」
「…ついに心を読む個性を手に入れたのか!?」
兄さんは驚いた顔をした。
それもいつもよりもガチ目に怒っている気がする。
「いいや、そんなのは持っていないよ。顔に出ているぜ」
出てる?と聞かれて僕はうなづいた。
兄さんはどこか安心していた
「…まぁともかく面倒なら僕に勝ってみなよ。」
「無茶言うなよあんな痛みはこりごりだ」
僕の好きだった兄さんはもうどこにもいない。
もうだめかもしれない
「あの時の威勢はどうしたんだろうだね」
「風と共にに消えちゃいました~」
「フフ、君もこんな風になってくれたらうれしいんだけど、与一」
「…」
僕は何も答えない
「力も与えたのに何が不満なんだろうね」
「ねー」
そう僕も個性を手に入れてしまった。全兄さんによって。
『力をストックする個性』どうやらこれから全兄さんはいろんな個性を僕に譲渡させて力に屈服させようとしているらしい。
多分最初に与えられた一番大切な物を綺麗にしようみたいな理由もあると思う。
その個性を手に入れてしまった。他の人の物を手にしてしまった。
「まぁ金庫に戻りな。とにかく僕は期待して待っているよ。」
「全、俺外に出て本屋で面白い物ないか探すは」
「30分後に戻ってね」
「おー」
ショウタロウ兄さんも金庫に入るのを強いられているのだがある程度の自由は聞いていた。
あの時、全兄さんに昔かすかに感じていた優しさはもうない。僕はその兄さんを倒すチャンスがいつか必ず訪れると信じてこの日々を過ごした。
折れかけた事もあった、力に屈服しそうになったこともあった。だけど、それでも、諦めきれなかった。
『ヒーローってのは諦めずに勝機を探すことだと思うんよな。ま、お前はそれ以外にもヒーロー以上の才能があると思うんだ』
諦めようとしたときいつも過去のショウタロウ兄さんが言っていた事が頭に浮かんだ
昔のショウタロウ兄さんに僕はよく元気づけられている
まだ、ショウタロウ兄さんは僕の中で生きている.
全兄さんは元に戻せないかもしれないけどショウタロウ兄さんはきっと戻せるはずだ。
そのためにできる事をしたいのだがこの金庫の中じゃ何もできない。そんな間に全兄さんは支配下を増やしている。それを止められないとても悔しい。
グラグラ
…?ビルが揺れている、地震かな?
ガチャ
そんなことを考えていたら金庫の扉を開いた。
「よっす、与一今いいか?」
その先にはショウタロウ兄さんがいた。
「…兄さんどうしたの?」
「与一さっそくで悪いんだけどさー…脱走しよう」
?????????
「…もしかして不安か?」
あまりにも突然すぎて言っている意味が分からない
ここが安全まで言っていた兄さんが脱出を提案している?!
「な、な、な、なんで?!」
「質問に質問で返すなよ…お前には俺がどう見えたか分からないけど、俺はまだ諦めてないんだ。だけど正面きって戦うのは馬鹿がすることだからな、色々と策を練った。とは言ってもこんな風にチャンスが来やすいように調整しただけだがな。今不満を感じているであろう人々に呼びかけたり、この建物に襲いこみやすく全には気づかれないレベルの小さな改造したりしてな。」
よく見ると兄さん以外にも二人いる事に気がついた
「…そして今、そのチャンスが来たってな!!」
ボウ!!
あの時の兄ちゃんは個性に押しつぶされたと思っていた。
1人で戦っていると思っていた
けど違った兄ちゃん死んでいなかった。
以前以上に輝きを増したオーラが再び燃え初めうごめいている。
「さぁ始めようぜ悪の魔王に対する反撃をな!!」
やっぱり兄ちゃんは僕のヒーローだ
「ショウタロウ」
何とか手に入れた自由時間を使い色々と準備してきた。全に何回もバレかけたがこんな状況になっているのでうまくいったらしい。正直心を読める個性が手に入ったと思った時はガチ目に焦った・