「じいさん!!」
敵が住処に向かっているのを見て猛ダッシュで来たが
どうやら悪い予感ってのは本当になるのだな
我ながらよく冷静にいられるものだ
まぁそれもこれも
「…」
隣のこえーやつがいるからかもな
「全、聞こえてないかもしれないが俺は与一とじいさんの状態を確認する、お前はそのまま突っ込め」
バッ
全は俺が指示したらすぐに飛び出した
「殺すなよ!…さて」
俺はじいさんや与一を担ぎ安全なところに運んだ
じいさんは周りに電気が発生している事から感電したと考えられる。
カハ ハァーー ハァーー
が息がある、けど治療方法が分からない
「…」
与一の方は気絶していた。
見た感じケガはない
与一の方も大事だが、じいさんには絶対に治療が必要だ
嫌がりそうだがじいさんを与一と一緒に鳴海さんの所に持っていく
今の黄色いオーラなら30分は掛からないだろう
んで、全の所に戻る、あいつは強いが不安な要素がある
これが俺の最善だ
全…持ちこたえてくれよ
許さない
ザクッ
僕は弟を気づ付けたあいつを許さない
全は怒りのまま個性を使用した
ガガガガ
(棘の速さが上昇している)
そう思考しながら本義は地面を伸ばし壁を作ったが
ボコッ
すぐさま棘で破壊された
(硬さもさっき以上、だが)
バシュッ
「狙いが定まってないぞ」
全の棘には先ほどの正確性はなく、大雑把に本義を目掛けて棘を伸ばしていた
(これなら至近距離で毒薬の記憶も打てるな)
そう考え、本義は手にその記憶を抽出しタイミングを計った
対して全は
殺してやる 与一を傷付けたお前を殺してやる
未だ、怒りで周りを見ていなかった
そうして、全は団地を破壊する勢いで棘を発射した
雑な狙いで普通に避けられるのだが
ザシュ
本義はかすり傷程度にくらった
「っこれでも痛いな、聞こえてないと思うがこれには理由がある」
「俺の力は記憶の再現だ、お前の力は十分に見せてもらった」
「そして先ほどの攻撃でその力の痛みを理解した、故に」
バシュン
ドス
本義が棘を放出し、全の腹に刺した
「一部再現可能だ」
「っ…」
「俺の記憶だから、お前の力と同じ位の威力はないが動きを止めるには十分だ、これでとどめを刺してやる」
そう言い本義は毒薬の記憶が仕込まれている腕を前に出した
「お前を殺せば俺の想定じゃないその力の本質を手に入れられる、そうして俺は神の期待にまた一歩応えられる」
そう言って本義は近づいた、だがこの後このまま棘で殺せばよかったと本義は後悔した
ーー僕の力の本質?ーー
棘を出すこと?
いや違う、理由はないが僕自身がその答えを否定する
こんな危険な時に痛みで冷静になった僕は思考を巡らす
先ほど感情のままに力を振ったが自分の力を振った気がしなかった
まるで自身の拳で戦うのではなく道具で戦っている感覚だ
僕の力は…僕はいったい何なのだろう
そんな事を考えながら、ふと出会って間もない頃兄さんに言われた事を何故か思い出した
『全員がエスパーじゃないんだよ何も言わずの奴が何してほしいかなんてわかんねーんだよ』
『してほしい事ちゃんと言葉や姿勢に出さないと少なくとも世界はお前に何もしてくれな
いぞ』
ーー僕がしてほしい事?ーー
与一は一緒にいる事を望んだ、兄さんは多分相手に感謝される事を望んだ
僕の望み、それは
ーー欲しいーー
与一も兄さんも思い通りに動かせる
ーー力が欲しいーー
…そうだ、力だ。僕はこの世界を思い通りにできる力が欲しい。その記憶を再現する力が欲しい。
だから、その力を僕によこせ
ガシ
本義が出した棘を全は握った
「…?何を」
バシュ
そして、全はもう片方の腕から棘を出し、距離を取らせた。
「チッ、まだ抗うか?」
(こうなれば、もう一度奴の記憶で)
バッ
シーーン
何も起きなかった
(…?なら爆弾で)
ヒュッ
コツン
記憶を事前に入れた石も反応しない
(!?!?もしや力が使えない?!)
驚きながら全の方を見た
ニィヤ
全は笑っていた
(もしやあの時触れられたのが原因か…!)
「返せ!その力は神が私に与えてくれた奇跡の力だぁー!!」
本義は焦りと怒りのままに突っ込んでいった
だが無個性が個性にかなうはずがなく
ザシュ
「ガッ…」
容赦なくとどめが刺された
「くくく…」
そして
「あはははははははははは!!」
巨悪が産声を上げた
今俺は取りあえず鳴海さんに二人を預かってもらい、全の所に向かっている
もうすぐ着くはずだ、無事でいてくれよ…!
そして全を発見した
「全!無事…じゃねぇなこれ!?」
全は横になって、腹から血が出ていた
「うるさいですよ兄さん」
返事をしてくれた辺り生きてはいるようだ
「ちゃんと会話ができる辺り何とかなったみたいだな…あのおっさんは?」
そう聞くと全は少し間を開けて答えた
「…さぁ」
分からないって事はどっかに逃げたって事なんだろうか?それとも…
「兄さん」
「?」
「早く安全な所へ運んでください死んでしまいます」
「あ、悪い」
取りあえず担いでこいつも鳴海さんの所へ向かう事にした
「…しかし」
出発する前辺りを見回した
大宿のじいさんの団地はおっさんの個性のせいか全の個性のせいか半壊していた
「超常ってのは恐ろしいな」
そんなことを言いながら出発した
「シガラキ全」
実はショウタロウと出会って少しずついい方向に変化していったが今回の与一のダメージによりほとんど帳消しになった、自分に与えられたものは二つあると考えている。
改めて確認してみて「ニイヤ」ってなんだ「ニイヤ」って