パルデア道中食い倒れ   作:オボンの実

1 / 1
DLCで主人公だけにしか捕まらないポケモンを捕まえるオリ主...なんて極悪非道なんだ...


新たな王の誕生

「うぅ...ぐ や じ い~!!」

 

「わやじゃ...ついに姉ちゃんに勝っちまっただ...」

 

 

目の前に佇む2人の姉弟。姉の方であるゼイユは瞳にうっすら涙を浮かべ先程から地団駄を踏みながらこちらを睨み付けている。技を外したわけではなさそうなのに威力は2倍以上ありそうだ。あまり近づくのはよそう。

 

そんな姉から少し距離をおいてこちらに称賛の眼差しを送っている弟の名はスグリ。ゼイユと違い内向的な彼であるが姉弟仲は決して悪いわけではない。ではなぜ姉が勝負で敗北したのにも関わらず、姉への慰めはなくこちらに対して感嘆しているのかというと理由は2つある。1つはスグリ本人がこの勝負が得意ではないむしろ苦手な分野であることにより、それを華麗にこなした【彼】を素直に尊敬している点。そしてもう1つはこの数年間の彼の努力の姿であった。

 

 

「毎日、毎日色んな所で練習している姿、おれだけじゃなくみんな見てた。だからミズナラが勝ったの本当に嬉しい...姉ちゃんには悪いけど」

 

「ちょっとスグッ!姉ちゃんが負けて、なんでアンタ喜んでるのよ!手ェ出すよ!」シュッシュッ

 

「姉ちゃんイジワル...もう出してる」

 

 

怒りの矛先がスグリに向かったゼイユを見ていると突然、拍手の音が響き渡った。振り向くと受付のお姉さんがおそらく微笑えみながら(お面で素顔は見えない)声をかけてきた。その手にあるものを携えながら。

 

 

「キタカミ鬼退治フェス歴代最高得点おめでとう、ミズナラ君!今日から君が❰オニバルーン割りキング❱だ!」

 

「おっしゃーっ!厳選キタカミモチ 全 制 覇ぁ~!」

 

 

「あ”ぁ~称号取られだ~!ぐやじい~」

 

 

喜びに打ち震えているといつの間にかスグリへの粛清を終えたのか、ゼイユが再び地団駄を始めた。身近にアンコールを使うポケモンは居ただろうか。

 

 

「鬼退治フェス上級編をクリアする人はここ最近いなかったから今年もゼイユちゃんの記録は破られないと思ったんだけどね。本当におめでとう。そしてこれが最高得点報酬【厳選キタカミモチセット】だ!」

 

「ありがとうございま~す。オドシシお前のお陰だ、よく頑張ってくれたな」

 

 

相棒に礼をしながら受け取った桐箱に入っているモチは普段食べてるモチと比べ色、艶、香り等が段違いであった。一瞥しただけでこの情報量だ。実際に口にしたらどれだけの感動が呼び起こされるのだろうか。ああ駄目だ、ヨダレが出そうだ、早く食べたい。

 

 

「キタカミモチよりもキングの称号が剥奪されたことが悔しい。...スグも黙ってないで何か言ってやりなさい!」

 

「姉ちゃん本気でぶった...痛い」

 

 

この厳選キタカミモチはモチ職人が米粒一つ一つを、相棒のオーロットと共に厳選に厳選を重ねてやっと作られる極めて希少価値の高いモチだ。キャッチコピーは❰食えば死人も甦る❱

 

 

「そして今年のキングにはさらに、このポケモンもプレゼントだ!」

 

「え?」

 

 

モチをもらって今にも竜舞を舞いそうな自分の眼前に1つのボールが写し出される。それはこの世界の住民にとって馴染み深い紅白ボール、モンスターボールである。お姉さんがボールの開閉ボタンを押すと眩い光が辺りを包んで1匹のポケモンが出現する。それは1度でも鬼退治フェスに参加した人間なら誰でも知っている、いや忘れることなど出来ないそんな悪名高いポケモンであった。それにいの一番に反応したのは別の意味で村で悪名高い姉であった。

 

 

「あ~コイツよくフェスの木の実強奪するゴンベ!」

 

 

そうなのだ。このキタカミ鬼退治フェスをクリアするためには指定された木の実を鬼バルーンを割ることで手に入れ、それを制限時間内に台に置くことが求められる。勿論、木の実の個数や立地、ライドポケモンとの息を合わせる等様々な技術が求められるが何よりも恐ろしいのは台に置かれた木の実を野生のポケモン達が食べに来ることだ。食べられた木の実はカウントされずにまた集めないといけない。そのため参加者は度々やってくる彼等を追い払わなければいけないのだ。そのなかでも一際面倒なのは眼前にいるこのゴンベだ。

 

 

「そういえば今年はコイツ見かけなかったな。去年はゼイユにあと1歩まで迫ったのにコイツのせいで集めた木の実半分以上食われたっけ...今、思い返すとムカついてきたな」

 

「わやじゃ...このゴンベその後、屋台の焼きそばスゴい食べてた...」

 

「そのせいで私、去年焼きそば食べれなかったんだけど!」

 

 

ゴンベというポケモンはお世辞にも素早いとはいえない。それが一般常識でありポケモンスクールでもそのように習うだろう。だがコイツは違う。コイツは一瞬でも目を離すと集めた木の実を根こそぎ食べられる。そのため最近の鬼退治フェスは、コイツが現れないことを祈る運ゲーと成り果てている面がある。

 

 

「そのゴンベをたまたま管理人さんが捕まえたので今年のキングに押し付...受け取って欲しいと思ってね。」

 

「自分、コイツに辛酸舐めさせられた経験しかないんですが...」

 

「でっ、でも君とゴンベ似ていると思うなぁ、特に食べ物に目が無い所とか...ああ後、キングとゴンベ 字面も似ているし」

 

「なんですかそれ」

 

「...お願い、貰ってくれない?フェスへの苦情が大分無視できないところまで来ててさ。このままだと」

 

 

そうは言われても、自分はライドポケモンのオドシシしか持っていない。新しい手持ちとしてゴンベを迎えることは悩ましいことだ。

 

 

「...分かりました。知らない仲ではないですしね。有りがたく受け取らさせていただきます。なぁゴンベお前もそれでいいだ...あれ、いない?」

 

「あぁ!ミズナラ、あれ!あれ!」

 

 

珍しく大声を挙げたスグリの示した方向へ視線を向けると薄暗い神社の境内の上でゴンベが一心不乱になにかを食べている。それはつい先程まで自分が持っていたはずの桐箱でありそれが指し示す内容は1つであった。

 

 

「おまッテメッ!いつの間に取ったんだ!この狡猾め!おい逃げんな厳選モチ返せ!オドシシいくぞ!」

 

「あれ、姉ちゃんさっき買ってた焼きそばは?」

 

「...ああっやられた!スグ!うちらも行くよ!」

 

 

 

ホーホーやヨルノズクの合唱が響く夜、キタカミの里で両キングによる大鬼ごっこが開催された。その姿はまるでともっこ伝説のようだったという。

 

 




ミズナラ:本作の主人公。ゼイユに変わる新たな鬼バルーン割りキング。悪いやつじゃあないんだが これといって特徴のない……影のうすい男さ。

手持ち
▪オドシシ
▪Newゴンベ(色違い)


皆さんはこのゴンベ貰えましたか?作者はリアルが亜空切断されているのでネットの力(友情パパワー)でクリアしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。