そういえば最近気づいたんですが穂むらとたちばなってロケ地一緒なんですね(笑)
なんて偶然だ・・・。
高坂家・穂乃果の部屋
「じゃあ皆ゆっくりしててね。穂乃果お茶入れてくるから」
「ねぇ穂乃果ちゃん、アルバム見ていいにゃ?」
お茶を入れに一階におりようとする穂乃果にショートカットのボーイッシュな少女【星空凛】は本棚のアルバムを指差し訪ねる。
「大丈夫だよ。じゃあ待っててね」
穂乃果がその場を離れると凛と共に大人しげな少女【小泉花陽】、一年生の中でも大人な雰囲気を持つ【西木野真姫】がアルバムを見始める。
「うわ〜〜、穂乃果ちゃん可愛いにゃ〜〜〜」
「浴衣似合ってる〜〜〜。あ、ことりちゃんと海未ちゃんもいるよ。皆可愛い〜〜〜」
「ち、ちょっと見ないでください。恥ずかしいです!」
「忘れてたね。私達も結構写真取られてたの」
赤面する青髪の長髪【園田海未】、脳を溶かしそうな甘い声の【南ことり】。
すると真姫がある写真に注目する。
「あれ? この写真の穂乃果、なんで男の子の上着握りしめてるの?」
その写真には海辺をバックにする穂乃果。その手には男子が着る上着をシワが出来るほど握りしめている。
「懐かしいなぁ〜〜〜。この写真」
「この写真は8年前の穂乃果が海に旅行に行った時のものです。あの時は帰ってきた時の穂乃果の作り話を毎日聞かされてました」
「「「作り話?」」」
一年生三人が声を揃えると穂乃果がお茶が乗ったお盆を手に戻ってきた。
「ん? どうしたの?」
「ねぇ穂乃果ちゃん。この写真の時の作り話ってなんにゃ?」
「え? それは・・・・」
凛の質問に困る穂乃果。しかし他二人も知りたげに見つめる。
「えっとね・・・。穂乃果ちゃんの10歳の夏なんだけどね・・・・」
〜〜〜〜8年前〜〜〜〜
「はぁ・・・、だれか・・・、助け・・・」
調子にのって足の届かない深さまで泳いできてしまった穂乃果は溺れていた。
しかも天気も急に悪化し出てきた風で波も荒くなり、体力が限界の穂乃果には到底乗り越えられない環境に。
「誰・・・か・・・」
ついに力尽きた穂乃果は海に沈む。
(穂乃果死んじゃうのかな・・・・、やだよ・・・、穂乃果まだやりたいこと沢山あるのに・・・。もっと海未ちゃんやことりちゃんと遊びたいよぉ・・・。もっと美味しいもの食べたいよ・・・。お母さんみたいに大好きな人と結婚したいよぉ・・・。やだよぉ・・・、死にたくないよぉ・・・)
流した涙も直ぐに海の一部となる冷たい世界で穂乃果の意識が途切れる。
その時だった。
10歳程の少年が穂乃果の腕を掴むと浮上、近くの座礁に穂乃果を寝かせる。
「待ってろ! 今助けるから!」
少年は穂乃果の左胸を組んだ両手で押していく。そして気道を確保し人口呼吸をする。
少年はそのサイクルをひたすら繰り返す。
「起きろ! 返ってこい!」
「・・・・・ゴホッ! ケホッ、ケホッ・・・」
「よし!」
水を吐き意識を取り戻した穂乃果の目に入ってきたのは笑顔を見せる少年。
「・・・・・穂乃果を助けてくれたの?」
「鍛えてるからこれぐらいは出来ないと♪」
「・・・・・うえ〜〜〜〜ん!」
敬礼のようなポーズをする少年に穂乃果は急に泣き出し抱きつく。
「? えっと・・・・」
「怖かったよぉ〜〜〜〜! 穂乃果死んじゃうかと思ったよぉ〜〜〜!」
「・・・・大丈夫。俺が護るから」
少年は優しく穂乃果の頭を撫でる。
穂乃果も少年の言葉に安心したのか落ち着いて静かに離れる。
「とはいえ・・・」
少年が見る海は荒れに荒れていた。
「この海を女の子一人背負って泳ぐ自信はないな。仕方ない」
少年は穂乃果を背負うと座礁にある小さな鍾乳洞へ向かった。
「仕方ない。明日になったら海も落ち着くだろうからそれまでは一晩ここで籠城かな」
少年は鍾乳洞の中で穂乃果を座らせると近くの枝を集め始めるや否や木片に枝を押し付け回し始める。
「なにするの?」
「火を起こすんだよ。いくら夏でもこのままじゃ凍えちゃうしね」
「で、でもそんなんじゃ。ライターとかマッチとかじゃないと」
「大昔の人はこうやって火起こししてたんだよ。ほら」
穂乃果と喋りながらも枝を回す少年。
すると煙が上がってくる。
「よし!」
少年は火種に空気を当て火を大きくすると枝の山に火をつけ焚き火に。
「よし! これで火元は出来た! ほら。暖まるよ」
「う、うん」
焚き火近くに座り焚き火に手をかざし身体を暖める二人。
「・・・・・あのぉ・・・」
「ん?」
「お名前は? 穂乃果はね高坂穂乃果って言うんだ。小学四年生!」
「僕? 僕は日々輝。日向日々輝(ひゅうがひびき)って言うんだ。僕は五年。なんだか変な名前でしょ」
「凄ぉい! カッコいい!」
穂乃果に名前を誉められた少年【日向日々輝】は照れくさそうに頬をかく。
「ねぇヒー君! ヒー君はなんで穂乃果を助けてくれたの? あ、ヒー君って言うのはね? 日々輝君とヒーローから取ってヒー君だよ」
「ヒーローって・・・。僕そんな立派なものじゃないよ。そりゃあ鍛えてるから助ける自信があった。だから助けに行ったってのもあったけど・・・・」
「けど?」
「僕のお師匠様だったら絶対に助けに行ってた。だから真似てみたんだ。それにこんなに可愛い娘だもん。将来幸せになってもらいたかったし」
「そ、そんなことないよぉ。穂乃果なんて。お友達のことりちゃんとか海未ちゃんの方がもっと可愛いよぉ」
「そっか。穂乃果ちゃんは優しいね」
笑顔で誉められた穂乃果は頬を赤くし日々輝と目線を反らす。
「くしゅん!」
すると穂乃果は小さくくしゃみをする。
「! やっぱり冷えるかぁ。はい」
「え?」
日々輝はなんの躊躇いもなく自分の上着を穂乃果の肩にかける。
「でもヒー君が風邪ひいちゃうよぉ」
「大丈夫! 鍛えてますから♪」
「そ、それじゃあ!」
穂乃果は日々輝の腕を掴み自分の身体に抱き寄せる。
「寒いときは人肌? だっけ? そんな感じに暖めあった方がいいってテレビで言ってたんだよ。だからこうすればきっと暖かいよ」
「ありがとうね穂乃果ちゃん」
左腕を掴まれているため日々輝は右手で穂乃果の頭を撫でる。
「ねぇ、穂乃果も何かあだ名で呼んでもらいたいなぁ」
「え? それじゃあ・・・・・ほのちゃんは?」
「うん。ヒー君♪」
「ほのちゃん♪」
「ねぇヒー君。ヒー君は誰と来たの? 穂乃果はね、雪穂とお母さんとお父さんと来たんだぁ」
「へぇ〜〜。いいねぇ。僕はお師匠様と来たんだ」
「お師匠様?」
「うん。僕にとってその人が家族なんだ」
「お父さんとお母さんは?」
「・・・・・ちょっと前に死んじゃったんだ・・・」
「ご、ごめんなさい! 穂乃果気づかないで・・・」
「気にしなくていいよ。父さん母さんがいないけど今の僕には京介さんって言う兄弟子さんもいるしイブキさんやトドロキさんっていうカッコいい人たちもいる。なんにも寂しくないよ」
「そ、そうなんだ。良かった」
「そろそろ時間も遅いし寝ようか」
「うん・・・・。ねぇ・・・・、ヒー君・・・」
「ん?」
「もし・・・・、もしだよ? また穂乃果が怖い目にあったら助けてくれる?」
「うん。だって僕はほのちゃんのヒーローでしょ?」
「うん! ありがとヒー君! だ〜〜〜い好き!」
不安げな表情から一転、満面の笑顔を見せた穂乃果は日々輝の頬に唇をつける。
「ほ、ほのちゃん?」
「穂乃果ね? なりたいもの一つ見つかった! ヒー君のお嫁さ〜〜〜ん♪」
「・・・・・ありがとねほのちゃん。僕もほのちゃん大好きだよ」
「うん♪」
二人は焚き火の暖かさに眠気を誘われながら、互いの身体に寄り添いながら睡眠、一夜を過ごした。
───────────
翌朝
「ふぅ。ついたついた」
鍾乳洞から穂乃果を背負い泳いできた日々輝。
浜辺にあがると穂乃果を丁寧に座らせる。
「ありがとヒー君♪」
「鍛えてますから♪」
お馴染みの敬礼を笑顔でする日々輝に穂乃果もつられて笑顔になる。
「ねぇヒー君。また会える? ずっと友達?」
「うん。お師匠様が言ってたんだ。どんなに離れてても絆っていうのは途切れないって。だからほのちゃんともずっと友達だ」
「約束だよ?」
「男に二言はない♪」
二人は互いの小指を結び合う。
すると。
「お〜〜〜〜い! 日々輝〜〜〜〜!」
浜辺を一人の男性が走ってきた。
更に遠くではあるものの反対側の浜辺からも三人の人影が。一つの人影に至ってはかなり小さい。
「ヒビキさん! どうやらお別れだね」
「ヒー君・・・・」
涙ぐむ穂乃果に日々輝は同じ目線までしゃがむ。
「大丈夫! 必ずまた会えるよ。それまで元気でね」
「・・・・・うん。でも会えなかったら後悔するんだからね! 穂乃果絶対、ぜ〜〜〜〜〜ったいいい女になってモテモテになってるんだからね!」
「そいつは楽しみだ♪」
日々輝は穂乃果の頭を撫でるとそのまま男性に向かって走り去ってしまった。
「またね・・・・。また会お〜〜〜〜〜〜ね〜〜〜〜〜〜! ヒ〜〜〜〜〜〜く〜〜〜〜〜ん!」
声をあげる穂乃果に日々輝は振り向かずに敬礼のポーズを返し男性と共に浜辺を後にした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「「「・・・・・」」」
穂乃果の話を聞き終えた一年生たちは唖然とする。
「まぁこんな感じなんだけど」
「でも11歳にしてはそこまで出来るのはちょっと嘘くさいわね。いくらなんでも」
「そうなんだよぉ。皆、そう思って当時は信じてくれなかったんだよぉ」
「それでその後ヒー君はどうなったの?」
真姫から感想を聞いた穂乃果に花陽が気になり続きを気にする。
「翌日その辺りに行ったんだけどさっぱり・・・・。それ以降ヒー君には会えなかったんだ」
「切ないね・・・・。ひと夏の恋かぁ・・・」
しみじみ思う花陽たち。
「穂乃果ちゃんは今でもヒー君に会いたいと思うにゃ?」
「・・・・・うん・・・」
凛の質問に静かに、だが強く答える穂乃果。
「すいませ〜〜〜ん」
すると玄関から声が聞こえる。
「お客さんかなぁ。ちょっとごめんね。まだお母さん達帰ってきてないからちょっと降りてくるね」
穂乃果はお茶を置き再び一階へ。
───────────
穂むら前
「う〜〜〜ん。やっぱりまだ帰ってないかな。たぶん夕方だから買い物してるんだろうけど」
手には洋菓子店シャルモンの土産を持ったヒビキが。
「ケーキだからすぐに冷やさなきゃなんだけど・・・・。仕方ない・・・。また来よう。これは持ち帰って皆で・・・」
「あの・・・」
「?」
振り返り帰ろうとしたヒビキ。しかし呼ばれて振り向くとそこには穂乃果の妹【高坂雪穂】と絵里の妹【絢瀬亜里沙】が。
「もしかして穂むらさんの方?」
「もしかしても何もそうですけど? どちら様ですか?」
「ああ、俺はたちばなの者なんですけど今日新メニューの試食会に参加できなかったんでお詫びに来たんだ。これつまらないものだけど」
ヒビキは雪穂にシャルモンの紙箱を見せる。
すると雪穂、更には亜利沙の目の色が一気に変わる。
「ゆ、雪穂! これってあの高級洋菓子店シャルモンのロールケーキだよ!」
「お、落ち着いてよ亜利沙! と、とりあえず中にどうぞ。うちたいしたものないですけど」
「えっと・・・・・。じゃあ・・・お邪魔します」
目を輝かせながら生唾を飲む女子二人にヒビキはやや怯むも、誘いをうけ穂むらの中へ。
───────────
雪穂は階段をかけ上がり穂乃果の部屋へ。
「お、お姉ちゃん! ケーキだよケーキ! シャルモンのケーキ!」
「おおお〜〜〜〜〜! ホント!? でもなんで?」
「たちばなの人が持ってきてくれたんだよぉ! ほら今日お母さん達が一緒に新しいメニューの試食会するって言ってたじゃん。それに参加できなかったんでお詫びにって。とにかくお姉ちゃんお茶! お茶出して!」
「い、イエッサー!」
目を輝かせる穂乃果の口からヨダレがたれる。
穂乃果は敬礼すると一階に降りお茶を入れた茶飲みをお盆に乗せ客席に座るヒビキの元に。
「ど、どうもお待たせしましたぁ〜〜〜♪ これ粗茶ですが〜〜〜」
「お。どうもどうも」
その直後穂乃果は自分のスリッパにつまづき転がりかける。
しかしヒビキは直ぐ様駆け寄ると穂乃果を受け止め、落ちる茶飲みを溢さずにキャッチする。
「おおおお〜〜〜。ハラショー!」
「あ、ありがとうございます」
「鍛えてますからこれぐらいは出来ないと♪」
それなりの距離があったにも関わらず穂乃果を受け止め茶飲みも保護したヒビキに亜利沙は拍手、穂乃果も礼を言う。
対しヒビキも敬礼。
(・・・・あれ? このポーズに鍛えてるって・・・・、まさか!)
しかしヒビキの言葉に敬礼、これらに反応した穂乃果は静かに起き上がる。
「・・・・・ヒー君?」
「へ? まぁ前に助けた女の子にそう言われ・・・・・、ほのちゃん!?」
「・・・・・ヒー君〜〜〜〜!」
「おわっ! 熱っ!」
満面の笑顔を浮かべるや否やヒビキに抱きつく穂乃果。ヒビキはとっさのことで後ろに押し倒される。そして手に持っていたお茶が手にかかる。
「ヒー君だぁ! ヒー君! 会いたかったよぉヒー君〜〜〜〜!」
「ほ、ほのちゃん・・・・。ちょっと離れ・・・、!」
抱きつきすりつく穂乃果を優しく離そうとするヒビキ。
しかしその光景に二階から降りてきた直後直面した海未達は言葉を失う。
「ただいまぁ。でもなんでお店が開いて・・・・・」
更に穂乃果達の両親までも現れ、目の前の光景にフリーズする。
「は、破廉恥です穂乃果! 殿方を押し倒すなんて!」
「穂乃果ちゃん、大胆・・・」
「凛ちゃんにはまだ速いよぉ」
「にゃにゃにゃ! かよちん見えないにゃ〜〜〜!」
「・・・・・べ、別にそういう相手がいるからって羨ましくなんかナインダカラ・・・」
「お姉ちゃん・・・・」
「ハラショー・・・・」
「お、お父さん落ち着いて! ちょっとなにそのホッケーマスクとチェーンソー! どっから出したの? み、皆お父さん止めて!」
顔を赤くする者、黙って見つめる者、ジェイ〇ン装備で襲いかかる者など大騒ぎの穂むら。
その後状況が落ち着くのは約一時間後のことになる。
気になっている方もいるかもしれませんがイブキさんたちもだします。
ちなみに今作は2014年の設定です。去年に一期がやったので。後8年前というのは響鬼の世界観ではちょうどオロチを沈めてから最終回まで一年間あくこの空白期間という設定にしてます。