ポケットモンスター剣盾二次創作シリーズ   作:dwwyakata@2024

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第三話はポケモン剣盾のDLCであるヨロイ島の物語です。
チャンプに就任後、スランプになっていたユウリ。
そこに、前チャンプであるダンデからの連絡が入ります。
スランプ解消のために、18年の防衛記録を持つ伝説の元チャンプに会いに行くユウリ。
ヨロイ島での冒険が始まります。


鋼砕く拳
序、招待状


たくましくなったな。

 

ガラルに帰ってきたポケモンリーグチャンピオン、ユウリは。そう知人から、揃って言われた。女子としてそう言われることは嬉しいのかはまだ分からない。だけれども、それもそうかも知れない。

 

不思議な生き物たち、ポケモン。そんなポケモンと共存するこの世界。だが、決して平和な世界という訳では無い。

 

現に若くしてポケモンリーグのガラル地方チャンピオンになったユウリは「武力」として、世界に必要とされている。

 

海外に出向いて、国際警察が手に負えない悪の組織を散々叩き伏せてきた。

 

ガラルがどれだけ豊かだったのか。

 

スラムでの生活がどれだけ過酷なのか。犯罪組織が他地方でどれだけ邪悪なのか。

 

現実に自分の目で見てきた。

 

別地方のチャンピオンとも手合わせをした。ガラルにはいないポケモンが普通に繰り出されてくるし。戦術もまるで違った。とにかく、あらゆる意味で新鮮な経験を幾つも積ませて貰った。

 

公式試合には殆ど出られなかった。

 

汚れ仕事も多かったし。何より忙しかったからだ。国際警察が如何に手が足りていないのか、側で見てよく分かった。

 

相手は人間ばかりでは無かった。凶暴で、人を殺すことを何とも思わないポケモンと、何度も対峙しもした。度が外れて強くなったポケモンは、生半可なトレーナーでは手に負えない。そんな強力な存在から、小さな村や町を何度も守った。

 

人とポケモンが共存するこの世界でも。

 

良い人ばかりでは無いし。

 

人間に友好的なポケモンだけでもない。

 

天変地異を起こすようなポケモンもいるし。あからさまな悪意を持って、人を傷つけようとするポケモンもいる。

 

悪辣な人間の詐欺師も見たし。

 

文字通り、その場で叩き潰す事をなんら躊躇しない、いや出来ない悪党も何人も見てきた。

 

やり過ぎないように今はある程度自制が出来るけれど。

 

それでも、少し心のブレーキが外れたら、不要に殺してしまう。

 

現在の世界では、「国」は主流ではなくなり。「地方」で世界が分けられている。

 

そんな色々な地方を渡って戻って来たユウリは。

 

久々に実家に戻ろうと思い。

 

その矢先に、知り合い達にあって。色々もみくちゃにされて。それでやっと先ほど解放して貰ったのだ。

 

少し疲れた。

 

今度こそ実家に戻ろうと思ったのだが、スマホロトムにメールが届く。スマホロトムはデバイスにロトムというポケモンを憑依させた便利な道具だ。

 

仕事かも知れない。

 

ポケモンリーグのチャンピオンは、その地方で最も強いポケモン使いという事を意味している。だからポケモンに関する荒事の依頼かも知れない。余所でやってきたように。ガラルでも、ユウリは既に多くの実績を上げてきている。そして10歳で大人と見なされるこの世界では、チャンピオンなら大人と同じ仕事を当然する。11歳を過ぎているユウリならなおさらだ。

 

メールを確認すると、幸い各地の抑止戦力になっているポケモンジムのリーダーや、警察からではなかった。

 

その代わり、妙な内容だった。

 

「ダンデだ。 ガラルに帰ってきたようだなユウリくん。 君に紹介したい人がいる」

 

ダンデさん。前チャンピオンであり、ガラルのアイコニックヒーローだった人。

 

10歳でチャンピオンになり、以降無敵無敗を誇ってきた、他地方と比べても圧倒的と言われた文字通り最強のチャンプ。

 

ユウリの師匠でもあり。

 

文字通り超えるべきだった人。

 

ガラルのチャンピオンリーグに行く際に、色々問題が起きたけれど。ダンデさんをはじめとする大人がしっかり対応してくれたから。ユウリはチャンピオンリーグへの参加に専念できた。

 

隣の家のお兄ちゃんだったダンデさんは。

 

今、大人としての仕事をするようになったユウリには、以前と違う偉大な存在に思えていた。

 

そんな人が紹介したい相手。

 

誰だろう。

 

結婚は流石に早いか。一応法的には出来る。10歳から大人と見なされる現在の世界では、普通に早々に結婚している人もいる。

 

だけれどユウリはまだチャンピオンとして忙しいし。

 

何より国際警察にも、ガラルの彼方此方でも頼りにされている。

 

世界は思ったほど平和では無かった。

 

ガラルの一部が例外的に平和だっただけだった。

 

それをチャンピオンになってから一年ちょっとの経験で、ユウリは思い知らされていた。

 

とりあえず、メールの続きを見る。

 

「俺の師匠である人が、君に興味を持っている。 是非一度顔を出して欲しい、と言う事だ。 気が向いたら顔を見せてあげてほしい」

 

「分かりました。 善処します」

 

メールを返す。

 

なお、メールには電子チケットもついていた。

 

チケットの内容を確認。

 

ガラルの東に存在する島。そこそこ大きな島だが、無人島だったものを、数年前に何処かのお金持ちが買い取ったらしい。

 

通称ヨロイ島。

 

調べて見ると、現在は道場が存在しており。

 

門下生は少人数だが、真面目で禁欲的な修行をしている様子だ。

 

現在ガラルでの交通手段は主に二つ。

 

一つは鉄道による陸路。

 

一つは大型の鳥ポケモン、アーマーガアによる空輸タクシーだ。

 

ガラルの中央には巨大なポケモンの保護区域、ワイルドエリアが存在し。其所以外にも多数の保護区域が存在しているため、現在は車を使う人はあまり多くはない。

 

今回は空輸を用いる。

 

ガラルは飛行機を使って別の場所に行くような他の地方に比べると比較的内部が狭い。これは大陸から外れた島だから、というのもあるだろう。だから空輸タクシーで充分だし、電車でも充分。故にマイカーの保持率は低い。かといって生活が貧しいかというとそうでもなく、田舎は相応に、都会は便利に、幸福度が高い地方だ。

 

色々対立した結果道を別ってしまったが。ガラルを此処まで発展させた経済的雄、ローズさんの偉大さも、今はユウリにも分かる。前はどうしてこんな事をとも思ったが。今は色々仕方が無かったのだろうと、割切っていた。

 

いずれにしても、飛行機に乗ると疲れる。これは何に関係もせず事実である。

 

久々の空輸タクシーは有り難い。

 

とりあえず今日はここまで。久々に実家に戻る。

 

あまり前は疑問に思っていなかったが。ユウリは母子家庭の娘。お母さんはそれなりに苦労しただろう。それも今は、申し訳なく思っている。

 

だから現在はチャンピオンとしての収益と、各地で国際警察に協力して得た資金を仕送りしている。

 

なお家には、手塩に掛けたポケモンを何体かおいている。

 

これは悪い人が来たときに追い払うためである。いずれも極限まで鍛えたポケモンであり、マシンガンを持った犯罪組織の一団くらいなら秒で畳む。

 

昔は、世界に悪意など感じていなかったけれど。

 

今は目つきも鋭くなったと言われている。

 

世界を見ると言うことは、世界を知ると言う事だ。

 

今後ユウリは、どんどんこうやって、性格も厳しくなっていくのだろうか。

 

明るく、そして地域の誇りであり続けたダンデさんのすごさが分かる。

 

同じような環境にいながら、理想のようなヒーローであり続けられたのだから。

 

自宅に戻ると、母が喜んでくれた。

 

家を守ってくれたポケモン達に礼を言う。皆、手塩に掛けて育てたポケモン達ばかりである。

 

ずっと同じメンバーに守らせるのも問題だし、面子は時々交代させているのだけれども。

 

勿論意思は確認している。

 

護衛任務だけは退屈だと思う子もいる。そういう子は話を聞いてから連れて行くようにしているし。

 

護衛任務が性に会うと考える子には、そのまま家に残って貰っている。

 

近くには修練に丁度良い施設も幾つかあるし。そこでなら鍛錬も出来る。

 

母と夕食を取るが。実はガラルに戻って来た時に、たくさん食べたので。本当はあまり食べたくない。

 

ただ張り切った母がたくさんごちそうを用意してくれていたので。

 

断るわけにも行かなかった。

 

胸焼けするほど食べてから、風呂に入って。後は髪を乾かして寝る。

 

何度か髪を切ったが、少しずつプラチナブロンドの髪は長くなってきている。

 

前に比べて、戦闘で邪魔にならなくなったからだ。

 

髪くらいはハンデにもならない。

 

それくらい、力がついてきたのである。

 

ベッドに転がって、しばらくぼんやりする。出立まで少し時間がある。ヨロイ島と言ったか。滞在できるのは、精々二週間という所か。

 

チャンプは生半可なビジネスマンよりずっと忙しい。

 

ダンデさんが、本当に頑張って時間を作っていたんだなと、今なら分かる。今だって、誰かから緊急の連絡が来て、叩き起こされてもおかしくないのだから。

 

眠るのも、何処でも出来るようになっている。

 

ポケモンのチャンピオンリーグに参加する過程で、野宿に近い事は何度もしたし。野宿をする時、必ずしも安全な場所で行うとは限らなかった。

 

ベッドで寝る事だって安全とは言えない。

 

国際警察の仕事を手伝う時なんて、いつ犯罪組織が武装して乗り込んでくるか、或いはホテルごと爆破するような火力を持ったポケモンを投入してくるか、分かったものじゃなかった。

 

今では寝たふりも、無理矢理眠る事も、即座に起きる事も。

 

全て出来るようになっていた。

 

一晩だけ、実家で過ごした後。

 

母に説明。

 

ヨロイ島という所に出向くことを話すと、母は少しだけ心配して。そして、無事に帰ってくるようにと言ってくれた。

 

リュックを背負い直すと、家を出る。

 

このリュックが最高級品である事も、最近までは知らなかった。母がどれだけ愛情を注いでくれたのかも。

 

盲目的だったり一方的な愛は毒になる事もあるが。ユウリの母は違った。今では、感謝はしてもしきれない。

 

空輸タクシーの駅に向かう。

 

基本的に、空輸タクシーはガラルの至る所を飛んでいるので、何処にでも駅がある。ユウリの家は田舎だが。それでも少し歩くだけで駅に着く。

 

駅には丁度アーマーガアと運転手がいたので、手を振って乗る意思を示し。

 

ヨロイ島と告げると、すぐに運転手は飛び立ってくれた。

 

アーマーガアは巨大な鴉に近い姿をしたポケモンだ。ユウリも育てた事がある。頑強極まりない体を誇り、ガラルの空の王者とまで言われている。翼の羽ばたきはとても力強く、この空輸タクシーが名物になっているのも頷ける。

 

ダンデさんがどういう意図でヨロイ島なんて場所、更には師匠を紹介してくれたのかは分からない。

 

ダンデさんの師匠となるとさぞや凄い人なのだろうと思うのだけれども。

 

ユウリも調べた所によると、ダンデさんの前には、数名のチャンピオンが、短い期間だけ就任している。

 

中にはとても評判が悪く、明らかに悪の組織と癒着していたチャンピオンも存在していた。

 

その前には、盤石と言われるくらいの長期間、ダンデさん以上の長期不敗記録を誇った人がいたらしいのだけれど。

 

詳しくは知らない。

 

或いはその人だろうか。

 

だとすると、会うのが楽しみではある。

 

海が見えてきた。

 

まあ、ガラルは島なのだから当たり前だ。

 

当然のように、アーマーガアは海を越えていく。運転手さんは、時々話しかけてきた。

 

「いやあ、チャンプを載せられるなんて光栄でさ。 うちの娘があんたのファンでね、後でサイン貰えないか?」

 

「はい、喜んで」

 

「いやあ助かるよ。 それにしてもあんな小島に何の用で?」

 

「私も呼ばれただけなので、よく分かりません」

 

守秘義務があるだろうに。

 

タクシーの運転手は、色々話してくれる。

 

最近、ジムリーダークラスのポケモントレーナーを、ヨロイ島に何度も運んでいるのだという。

 

力強いアーマーガアでも、一羽だけでガラルを横断できるわけでもない。縄張りが決まっていて、乗り換えを行う事は多い。

 

この運転手さんの縄張りの中に、ヨロイ島があるのだろう。

 

だとすれば、ジムリーダークラスのポケモントレーナーを、何度も島に運ぶのも頷ける。

 

勿論同じ縄張りにいるのはこの運転手だけではないだろうが。

 

必然的に、機会は増えるのだろう。

 

ほどなく、見えてくる。

 

「孤島」というよりは、「群島」というのが近いか。大きめの島を中心に、小さな島が点々としている。

 

これがダンデさんの話によると、丸ごと個人の所有物だとか。

 

スマホロトムで調べて見ると、十数年前にある人が購入。それ以降は、この島には道場が出来。

 

ずっと所有物は変わっていないのだとか。

 

島を丸ごと買うなんて、剛毅な人だ。

 

十数年前というと、ダンデさんがチャンプになる更に前。ユウリが産まれる前である。ガラルのポケモンリーグにヒーローがおらず、毎年のようにチャンピオンが交代していた時代だ。

 

ローズさんのマクロコスモス社がガラルを発展させる前後だから、多分治安も凄く悪かっただろう。

 

ユウリは別の地方で見て来た。

 

弱い立場の人達が震えながら襤褸を着て、影で身を縮めている所を。

 

親兄弟ですらそう言った人から更に奪い取り、むしり取る様子を。

 

犯罪組織が気持ちよくなる代わりに体を壊すクスリを売っていて、その利益だけで成り立っている街も。

 

悪事にばかり使われ、ご飯もろくに貰えずすっかり心が荒んでいるポケモンさえも。

 

悪徳は決して路地裏にだけあるのではない。世界の彼方此方に満ちている。

 

十数年前までは、ガラルだってそうだった。

 

そんな時代に、この島は買い取られた。

 

どんな風な状況だったのだろう。

 

やがて、アーマーガアが高度を落とし始める。駅は存在しているが、小さくて、とても質素なものだった。

 

着地する。慣れたアーマーガアだったから、とてもすんなりとしていた。

 

砂浜が拡がっていて、しかしながら野生のポケモンが少なからず彷徨いている。獰猛な品種はそこまで多く無い様子だが、駅の側にはレンジャーが数人駐屯しているのが見えた。要するに、危険なポケモンもいる、という事である。

 

運転手に言われた通りサインをして、更に料金も払う。

 

既に金銭感覚は、幼なじみのホップと二人で、ガラルのチャンピオンを目指して旅をしていた頃とはかなり違っている。タクシーの料金を惜しむようなことは無い。

 

駅のレンジャーに敬礼をして、外に出ると。

 

見た目通り、踏むといい音がする砂浜が、かなり遠くまで拡がっていた。

 

ただし、砂浜そのものはそれほど広くは無く、すぐに野原に切り替わっている。

 

また島の地形も険しい様子で、中央部にはそり立つような山岳地帯もある。

 

海を見ると、高速で飛ぶように泳いでいるポケモンの姿が目立つ。

 

アレは確かサメハダーか。

 

高速で海を泳ぐ危険なポケモンで、あれがいる場所での海水浴は厳禁。獰猛で、何でも襲うからである。

 

確かにサメハダーがたくさんいるのなら、此処がリゾート地にならなかったのも頷ける話である。

 

他にも、ガラル本土では見かけないポケモンが、少なくない数いるのが見受けられた。

 

スマホロトムを操作してざっと調べて見るだけでも十数種類か。

 

ゴーストポケモンは、可愛い見かけの者ほど危険。

 

ポケモンは見かけと能力や性格が一致していないものが非常に多い。

 

初心に返って、それらを思い出す。いずれにしろ気を付けて歩かなければいけないだろう。

 

駅から踏み出すと、ふと気付く。

 

此方に歩いて来る女性がいる。

 

派手な服に大きなお胸。蝶のような髪飾り。何よりど派手な化粧に、ど派手な顔。ただし、テレビで話題になるほどでも無さそう。ピンクの目立つ髪。染めているのだろうか。

 

視線があったので、にこりと笑みを浮かべる。

 

相手は、あまり好意的な笑顔を返してこなかった。

 

「誰、あんたぁ」

 

「ユウリと言います。 此処にある道場に用があって来ました」

 

「へぇ……」

 

値踏みするように此方を見てくる目。

 

別地方では珍しくもなかった。だが、ガラルでは久しぶりに向けられる目だ。

 

チャンプになり、防衛にも成功して。更に彼方此方で問題を解決。10歳でチャンプになったダンデさん以来の逸材と言う事で、一時期はマスコミにもみくちゃにされた事もあった。

 

そんなユウリを知らないという事は、この島にずっといて、外界の情報を遮断していたか。何かしらの理由で他の地方から来て、この島にいるのか。どちらかということだろう。

 

いずれにしても、名乗っても名乗り返してこない無礼はいちいち咎めない。その程度の事、気にしていられない。

 

「貴方のお名前は?」

 

「ああ、失礼したわねぇ。 アタシはクララ。 此処の道場の門下生よぉ」

 

「そうですか。 道場はどこでしょうか」

 

「入門するなら、まずはアタシに勝ってからだけれどぉ?」

 

モンスターボールを取りだすクララさん。内部にポケモンを格納できる、ポケモントレーナー必須の道具である。そして他人の前でコレを出すと言う事は、勝負を挑むという事を意味する。まあ彼女は言葉で宣戦布告してきているが。

 

ふっと、笑みがこぼれた。

 

チャンプになる前は、いろんな人からこんな風に野良試合を挑まれたっけ。ガラル以外の地方では今でも野良試合を挑まれるけれど。ガラルでは久々だ。

 

手加減をするのは、相手に対して却って失礼に当たる。

 

故に、ユウリは初手から、最強の手札を切っていた。

 

ユウリの主力として活躍し続けた、炎のポケモンエースバーン。精悍なサッカー少年と兎を足したような姿をしたポケモンだ。

 

既に極限まで鍛え抜かれている。別の地方では、その地方のチャンピオンが繰り出すポケモンすら撃破してきた実力者である。

 

今回に限らず、もしもを考慮し、ユウリは常に最強の手札を持ち歩いている。

 

今は、そういう立場だからだ。

 

クララさんが出してきた三体のポケモンを、エースバーンがひねり潰すまでほとんど時間が掛からない。決してクララさんが出してきたポケモン達が弱い訳では無かった。毒を用いるポケモンを中心に、弱点を相互補完した面白い組み合わせだった。鍛え方が足りなかっただけである。

 

愕然としたクララさんは、もの凄い表情をしていた。だから、笑みを崩さず、そのまま続ける。

 

「道場に、案内して貰えませんか?」

 

「ちょ、ちょっと今道場は改装中でぇ、また今度……」

 

「……」

 

見え見えすぎる嘘だ。

 

何かしらの理由で、ユウリを道場に近づけさせたくないのだろう。

 

笑顔を保つままのユウリをおいて、クララさんはその場を逃げるように離れる。モンスターボールから、空を飛ぶことが出来るポケモンの一体。バタフリーを出す。大きな蝶の姿をしたポケモンで、鱗粉に様々な毒をもっており、相手の動きを止めることに特化している。戦術的な運用を上手く行えば、ポケモンとの戦闘を優位に進められる種だ。

 

バタフリーに追跡を指示。

 

後はクララさん自身が、勝手に道場に案内してくれるだろう。

 

さて、ダンデさんはどうしてユウリを今更師匠にあわせようとする。それはユウリだって強い人とポケモンバトルが出来れば勉強になる。しかし、チャンプになって一年以上が経過し。スランプも抜けたユウリが、何故今。

 

ダンデさんの事だ。意味はあるのだろう。だが、その意味がよく分からない。

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