ポケットモンスター剣盾二次創作シリーズ 作:dwwyakata@2024
やがて彼女は世界でもトップクラスといわれるガラルリーグで、誰にもひけを取らない力量でバトルの場に立つようになります。
毒ジムのリーダーに就任してからは、とても忙しくなった。
まず、ヨロイ島から引き上げた。マスタードに礼を言い。ミツバに礼を言い。門下生達全員に礼を言って、更に謝罪もした。今まで失礼な態度を取ったかも知れないと。皆、笑って許してくれた。
荷物を持って、毒ジムに。少しタイミングはずれたが、マイナーリーグにいるエスパージムでもジムリーダーの交代が起きたらしい。そっちも身内人事で酷い経営をしていたらしく、妥当だと言う事だった。
委員会が人員を派遣してくれた。堅物のお姉さんで、何だか芸能事務所の敏腕プロデューサーみたいだったけれど。実際に堅物そのもので、ジムの経営の仕方から、トレーナーの集め方まで、色々指導してくれた。
警察が毒ジムに何回か来て、聞き取りも行われた。あのジムリーダー、クララに対する虐めだけではなく。他の入門してきたトレーナーにもパワハラをして、部下をイエスマンで固めていたらしい。ダンデも言っていたが、此処まで聞き込みが本格的と言う事は、事実だったのだろう。
クララも証言した。復讐心もあるが、それ以上に他にも被害者がいたことが許せない。ポケモンまで虐待していた証拠が彼方此方から出てきたと言う事で。あの豚野郎は10年くらい牢屋行きだそうである。牢屋から出ても、もうポケモントレーナーとしては再起不能。社会復帰も厳しいだろう。
何人か、トレーナーを迎える。そうして理解した。ヨロイ島での鍛錬が如何に厳しく、彼処に強力な人材が集まっていたのか。周囲が落ち着いてきたのは、ジムリーダーから交代してから、一ヶ月ほど。両親に連絡を入れたのもそのくらいだった。
もうクララが生きていないかも知れないと思っていたらしい両親は、毒ジムに押しかけて来かねない勢いだったが。
電話して、泣く母と父に今までの事を説明。
どうにか落ち着いて貰えた。
後は経営だが。
やっぱり、余罪がボロボロ出てきた前ジムリーダーのこともあって。すぐには毒ジムに仕事は来ず。委員会側から手を回して貰って、やっと色々と仕事が来た。
マイナーリーグでの試合は、緒戦から勝利。
だが、メジャーリーグのトレーナーの実力を知るクララは、とても今の実力では無理だとも理解していたので。
徹底的に鍛錬を続けた。
そして、その頃だろうか。
チャンプが来た。
トレーナー達が固まる中。これから別の所に行くため、あまり時間がないらしいチャンプを軽くもてなす。
チャンプも紅茶一杯だけという条件で、もてなしを受けてくれた。
何でも、今ガラル南部で面倒な案件に対応しているらしく。もう少し先に開かれるらしい全ジム、野良トレーナー、参加大歓迎のお祭りのようなリーグに参加するために、今は殆ど時間が取れないとか。
「クララさん、以前に比べてお化粧が自然になりましたね。 それと言動が柔らかくなったと思います」
「そう?」
「ええ。 素での自分に自信がついた……じゃないですか」
「ふふ、そうかもねぇ」
言われて見れば、前ほどブランド品とかに興味が無くなった気がする。
後、アイドルもどうでも良くなったし。ちやほやされたいとも思わなくなった。
一応、それなりに派手な格好はしているが。
インディーズアイドルで失敗したときのような、ものの価値もロクに考えず、高級品ばかりで身を固めていた時代とは意識が変わっているようだ。
チャンプを見送る。
今では、敵意も悪意もない。
ただ、勝ちたいとは思う。
多分勝てない事も分かっているけれども。
それでも、毒ジムのリーダーにはなれた。これからもう少し進んで、メジャーリーグにまで昇格できたら嬉しいし。
ダンデが言うように、メジャーマイナーのリーグの垣根が無くなった場合には。現メジャーリーグの強力なトレーナー達と肩を並べたい。
その時には、チャンピオンと対戦する日も来るかも知れない。
勝てないかも知れないが。
あのチャンプ相手に、今度はハンデ無しでやり合える。
遠い世界だったと思えるけれど。
今は、もう。
遠い世界の出来事では無くなっていた。
仕事が来る。頷くと、出る事にする。
荒事にも慣れてきた。相棒のヤドランも、前よりずっと動きが機敏になった。
今、クララは。
生きていると実感できていた。
(終)
原作ポケモン剣盾DLC1ヨロイ島にて登場したクララさんの物語、如何だったでしょうか。
原作ではどうやって毒ジムのリーダーになったのかの描写がありませんので、その辺りの深掘りを描いた作品でもあります。
いずれにしても、簡単にジムリーダーになれる筈もなかったのです。相当な苦労があったのは間違いない。
その辺りを、彼女の半生とともに描いて見ました。
楽しんでいただければ何よりです。