ポケットモンスター剣盾二次創作シリーズ   作:dwwyakata@2024

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親友との圧倒的差をみて、怖がるだけではダメだと奮起するマリィ。

彼女もまた、ガラルを背負う次代の光の一人なのです。


5、いずれ先には

スパイクタウンの悪ジムに戻ったのは夜になってから。

 

ここ一年で、開発から立ち後れていたスパイクタウンは、色々ダンデが手を回してくれたらしい。

 

インフラが整備されて、前よりかなりマシになって来ている。他の街から、余剰エネルギーも回して貰っていて、電気なども使いやすくなった。

 

以前は、住んでいる人達がまともでなければ、きっと悪い人達の巣窟になっていただろうほど貧しかったのだけれど。

 

今はそこそこ、皆が他のガラルの都市と同じく、まともな生活が出来るようになっている。

 

兄貴のネズが無言でココアを淹れてくれる。

 

疲れ切っているマリィを見て、何があったのかは察したらしい。

 

「大変だったね。 ココア淹れたよ」

 

「有難う兄貴」

 

「あのユウリちゃんと一緒に行くの大変だっただろう。 俺が行く事も考えたんだが、ちょっと色々と仕事が入っていてね」

 

「兄貴も最近忙しいもんね」

 

机に突っ伏していたマリィだが。

 

ココアを貰って、漸く人心地つく。

 

普通のココアでは無くて、少し砂糖を多めに入れているらしいと聞いたのだけれども。そういうブレンドの仕方はまだ聞いていない。

 

花嫁修業だと言えば教えてくれるかも知れないが。

 

なんというか、マリィはおにいちゃん子で。

 

まだ今のうちは、このココアは兄貴に淹れてほしいのである。

 

まだ今は。

 

もう何年もしたら、そんな事は言っていられなくなるのだから。

 

ココアを飲み終えると。

 

スマホロトムに連絡が来る。ダンデからだった。

 

「マリィくん、大変だったね。 今回の必要書類は既に其方に届いているはずだから、出来るだけ急いで出して欲しい。 伝説のポケモンの処理となると、地方を挙げて色々しなくてはいけないんだ」

 

「分かりました。 出来るだけすぐに取りかかります」

 

「声に疲れが出ているね。 明日仕上げてくれれば大丈夫だから、今日はもう休むと良いだろう」

 

「お心遣いありがとうございます」

 

ダンデに礼を言う。そして、兄貴が書類を持って来ていてくれた。

 

明日で良いとダンデは言っていたが。

 

今日中に仕上げてしまう。

 

こればっかりは筆跡などの問題もあって、自分で書かなければならない。

 

字は綺麗な方が良い。

 

そう兄貴に言われて、昔から文字の練習はしていたから、それほど困る事はない。ユウリからげぼくと化した三鳥の写真はさっき送って貰ったので、

 

後はそれをスマホロトムから印刷し、貼り付ければ終わりだ。

 

更に、ジムリーダーに就任したときに貰ったハンコをぺたん。

 

このハンコは金庫に入れている。

 

チャンピオンリーグなどの、一杯使うタイミングもあるが。このハンコに関しては、本当に大事なものなのだ。

 

今マリィはチャンピオンリーグの時には、挑戦者の査定をしなければならない立場にある。悪タイプジムは挑戦者が最初の方に行く草ジムや水ジムほど人はこないが。それでも忙しい時には忙しい。ましてやマリィはジムリーダーとしていつ仕事をしなければいけないか分からない身だ。

 

ハンコは、それ以外の時や。

 

大事な仕事の時以外は、金庫に入れる癖をつけていた。

 

書類が仕上がって。

 

ジムリーダー専用のポストがあるので、其所に入れておく。後は委員会直属の専門の護衛がついた配達員が取りに来て、書類をダンデの所に送ってくれる。

 

全てが片付くと、精魂が抜けたように机に再び突っ伏す。

 

「お風呂に入って寝てしまいなさい」

 

「うん……」

 

「力の差を実感したかい?」

 

「あの子はスペシャルやけん。 でも、いつか……」

 

目を擦る。

 

相手がスペシャルだと言う事は分かっている。

 

どんだけ鍛えても、マリィがユウリと同じ事が出来るとはとても思えない。

 

それでも、食らいつきたい。

 

食らいつきたいのだ。

 

これでも十一でジムリーダーをやっているのだ。才能がない筈が無い。同世代には、同じ年でマリィと良い勝負が出来るのが他に二人もいる。ユウリは更に別格だが、それでも。普通の年だったら。

 

いや、ダンデには勝てないか。

 

言われたまま風呂に入り、後は死んだように眠った。

 

散々怖い目にあったけれど。

 

今はそれ以上に、力の差を痛感してそれがただマリィには悔しい。

 

ユウリは余裕を持って三鳥に対応していたが。

 

マリィだったら手持ちを全力で出して、半分以上死なせる覚悟で戦わなければならなかっただろう。

 

目が覚める。

 

モルペコが側にいて、すりすりと身を寄せてくる。

 

頭を撫でる。

 

幼い頃から、ずっと心の支えになってくれた相棒だ。

 

マリィの気持ちも分かってくれているのだろう。

 

ずっと昔は泣き虫で、人と話すのも怖かった。

 

だが、相棒がいてくれたから。

 

決めた。

 

もっと強くなろう。

 

マリィは身を起こすと、スマホロトムから、メールをサイトウに入れる。

 

まずは体を少しでも鍛えることからだ。

 

何かしない限り。

 

絶対に差は埋まることがないのだから。

 

 

 

(終)




比較的重い話を扱ったこのシリーズですが、たまにはコメディよりの作品を用意しても良いかなと思って、この作品を書いてみました。
楽しんでいただけたでしょうか。
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