ポケットモンスター剣盾二次創作シリーズ 作:dwwyakata@2024
ポケモン剣盾主人公であるユウリからポケモンSV主人公アオイへとバトンが渡される話となります。
なおこの作品に出てくるフレア団残党は、原作XYフレア団とあの偉大なポケモン漫画であるポケスペのフレア団を足して二で割らないくらいの凶悪組織と思ってください。まあそういう世界線もあると言う事です。
楽しんでいただければ何よりです。
序、決戦開始
軍用輸送機に乗っていたポケモントレーナー。ガラル地方最強のチャンプであり、無敗の記録を更新し続け。五年間の無敗記録を誇る世界でもトップクラスのトレーナーであるユウリは。
顔を上げ、プラチナブロンドの髪を掻き上げると、運転手に声を張り上げる。
もうすぐ目的地だ。
だからこそ。降りなければならない。
「此処で降ります。 側面の扉を開いてください」
「気をつけてくださいチャンプ! 奴らはもはや手段を選ばずに抵抗に来ています!」
「分かっています。 貴方たちも気を付けて。 すぐに高度を下げてください」
輸送機に乗っているのは、特務の兵隊達。国際警察の中でも、特に重武装の人達である。連れているポケモンも強力で、いずれもが真正面からの敵との戦闘を想定している。そう、戦闘である。
これから行われるのは、トレーナー同士のポケモンバトルでは無い。
殺しあいだ。
国際警察に頼まれて、世界中で悪の組織を潰してきた。
それら悪の組織の中でも、もっとも凶悪でしぶとい組織と、今から決着を付けようとしている。
夜陰の中、森の上を飛ぶ。
この森の中で、この地方で戦い続けてきたあの人は。何年も雌伏の時を過ごさなければならなかった。
豊かな自然。
豊かな土地。
だけれども、この土地には三千年前に作られた最悪の戦略兵器「最終兵器」が眠っていて。
およそ10年ほど前に、一度世界を滅ぼしかけた。
他にも世界に多大な被害を与える寸前まで行った悪の組織は幾つもあるが、此処の地方の悪の組織は、邪悪さ組織力科学力、いずれも群を抜いていた。
しかもそのしぶとさは尋常ではなく。
組織のトップを失ってなお、実質上この地方を掌握し続け。
あまりにもたくさんの血と涙と慟哭が流れ続けたのだ。
終わらせなければならない。
世の中には、純粋な正義と悪なんて存在しない。そんな事は分かっている。だが、これから潰す相手はそれらとは別問題の存在だ。
そろそろ、背が伸びるのが止まるとユウリは思っている。だが身体能力はまだ上がり続けているし。体格だって今後色々と変化していくだろう。
だが、変えてはいけない考えもある。それを守り抜かないで、何が大人か。
モンスターボールから取りだしたのはカイリュー。
ドラゴンポケモンの中でも、比較的扱いやすく。普段はそれほど早く飛行しないが。その気になれば音速を超える速度で飛ぶ事も可能だ。
何よりからだが大きく、乗りやすい。
輸送機の外に出現させたカイリューに飛び乗ると、ユウリは凄まじい向かい風を怖れず、顔を上げる。
輸送機が離れていく。
カイリューの上で、更にポケモンを数体展開。カイリューと一緒に飛行するものは手塩に掛けた鳥ポケモン達。そしてユウリの前にちょこんと座るエスパーポケモン、ニャオニクス。
カイリューも含めて、この子らは二線級の戦力だ。
主力は温存しつつ。敵の最後の抵抗を受けきらないといけない。
さっきから、ビリビリと感じる殺気。
輸送機から離れたのは、輸送機が狙われると非常にまずいと判断したからである。
高度を下げていく輸送機。
地上から攻撃作戦を開始する。
ユウリは真正面から行く。作戦で、そう決めたから。
真正面から全火力を突破出来る自信があるから、正面から乗り込み、他の人の負担を減らす。
それが目的だ。
閃光。
巡航ミサイルが数発、向かってくるのが分かる。
一緒に飛んでいる鳥ポケモン達に迎撃を指示。ニャオニクスもサイコパワーを用いて応戦開始。
ミサイルがねじ切られ、爆発。
別のミサイルが炎を浴びて消し飛ぶ。
それでも更にミサイルが飛んでくる。
この最後の拠点に追い詰めるまで、ユウリは随分とこの悪の組織。フレア団の拠点を潰して来た。
それだけじゃあない。
フレア団が地方外に持っている財源も。
フレア団の影響下にある企業も政治家も。
軍基地も。
国際警察と、この地方でフレア団と戦い続けたあの人と一緒に、幾つも幾つも制圧してきた。
その結果、やっと。
この地方、カロスの全てに根を張っていたフレア団は弱体化し始め。
国際警察でもどうにもならなかった組織力もほころびが見え始めた。
いままで圧倒的な組織力でこの地方に根を張り。
組織トップのフラダリが消息を絶った後も邪悪の限りを尽くしていたこの組織は、ついに最後の抵抗をしている。
今もこうしてフレア団が掌握している最後の軍部隊が、ミサイルで攻撃してきている。だが今まで戦闘機も戦車もミサイルもユウリと手持ちの前には無力だった。もう手札がなく、焼け鉢の抵抗をしているだけだ。
もうミサイルしか飛んでこない。それも型落ちの奴だと一目で分かる。
手持ちのポケモン達がミサイルを叩き落とし続ける中、目を細めたユウリは。懐から取り出した石を投擲する。
投擲と同時に音速を超えた石は、空気の壁をブチ抜きながらミサイルを真正面から貫通。ともに爆発していた。
ひゅうと口笛を吹く。
皆の弾幕を抜けてきそうな一発があったので、地力で処理した。
前も人外と言われていた身体能力は。
悪の組織とやりあい続けた事で、カントー出身の伝説の人物である「彼」ほどではないが。
それでも、強者揃いのレンジャーすら青ざめる程にまで昇華していた。
だが、なおも。そうであっても、死ぬときは死ぬ。
だから、油断は一切しない。
ミサイル、沈黙。代わりに対空砲火が来る。
曳光弾の光が、次々に此方に向かってくるが。それ以上の数の実弾が飛来している。カイリューが綺麗に回避運動を取る。
鳥ポケモン達も弾が何体かを掠めるが、それでも致命傷にはならない。
そのまま、真正面から行く。
拳を振るって、顔に直撃しそうになった弾丸を弾く。
まあ、当たっても平気だけど。それでも無駄な消耗は避けたい。
そのまま、速力を上げ、カイリューが地面に突っ込む。
わっと、対空兵器に群がっていた者達が散るのが見えた。
地面にカイリューが突っ込み、辺りの地面にひび割れを作る。その程度でどうにかなるような柔な鍛え方はしていない。
地面への強烈な一撃で、対空砲がひっくり返り。吹っ飛ぶ団員もいる。
一時期のフレア団は暗殺目的の凄まじい使い手がまだいたのだけれども。そういう人間はみんなユウリが片付けた。
昔は殺さなければならない事もあったけれども。
いまは捕まえて制圧する事が出来る様になっている。
少し遅れて着地。
カイリューが地面に突撃する寸前に跳躍し。
そして着地しただけだ。
周囲を睥睨する。
ざっと、150人という所か。
ここまでフレア団も落ちぶれたんだな。そう思うと、これが最後の戦いだと分かって色々感慨深い。感慨は深いが、それ以上に不快感が強い。此奴らは、許さない。
森の中で爆発。
規模から言って、多分この地方で戦い続けたあの人だ。
だったらユウリが、負担を減らさなければならない。
周囲に展開する多数のポケモン達。ここからが、本番だ。
「蹂躙せよ!」
その言葉一つだけで充分。
これは、殺しあいだ。
しっかり鍛えているポケモン達だが、それでも力量が拮抗していたり。相手が殺すつもりで来ればどうしようもない場合もある。
銃弾が飛んで来る中、ユウリは突貫。
正面にあった大きめの銃座にジグザグに走りながら突撃し。跳躍。
砲手をけり跳ばすと、銃座そのものに手を掛け。
気合いとともに、引っこ抜いていた。
要塞になっている拠点だが、規模は大した事がない。この銃座も、そんなに大きなものではない。
敢えて相手を怖れさせるために、苛烈な攻撃を続ける。
それだけだ。
そうすれば、一番被害も減る。
引っこ抜いた銃座を、敵の中に放り込む。
ひいっと、生き残っているフレア団の団員達が悲鳴を上げる。昔は赤スーツで統一していた彼らも。
最後にカロスで彼らが掌握していた軍事基地と、その基地を影から動かしていた財界の要人を潰してからは。
ついに赤スーツで動くのを止めたっけ。揃いの赤スーツすら用意できなくなったのだ。
国際警察が、カロスの情報を一手に握っていたフレア団の現ボスであるパキラの事を告発し。カロス全土に向けて報道したのはその後くらいだった。
つまり、そのくらいのタイミングで、フレア団はカロスの支配者ではなくなったということだ。
大型のポケモンが突貫してくる。
とはいっても、鍛え方が足りないのが一目で分かる。
カイリューが上から押し潰して、更に破壊光線まで叩き込む。
ユウリはもう、細かな指示など出さない。
アサルトライフルを手に必死に抵抗を試みる団員を、片っ端から体術で黙らせていくだけ。
それも手練れだけを相手にする。
雑魚は、ポケモン達が対応。
十把一絡げに、片付けて行く。
さて、要塞の周囲はこれでほぼ片付いたか。落下傘がたくさん見える。国際警察の本隊が到着したのだ。
残敵。ボロボロのアーミースーツを着込んだ男が、必死にナイフをかざして突っ込んでくるが。
ユウリは余裕を持って切っ先をかわしながら、ひょいと相手を真上に放り投げる。
四メートルほど頭上に飛んだ男を、落ちてきた所で「軽く」払う。120㎏はありそうな相手だったが、まあ今のユウリなら簡単だ。というか、本気で払ったら肉袋として破裂してしまう。
上下逆さに木に叩き付けられて、ぎゅうと声を漏らして黙り込む最後に抵抗していた敵。これで、一通り片付いたか。
手持ちを集合させる。
一線級の子達は温存したままだ。此処から何が出てくるか分からない。
損耗はゼロ。
負傷している子はいたが、充分に治る範囲の手傷だ。負傷した子はすぐにボールに戻した。
森の中から、手だれた人達が来る。
国際警察のレンジャー。さっきの輸送機に乗っていた人達である。重武装の彼らは、最終進化形のポケモン達を護衛につれていて。
そして、一人。
この場にいなくてはならない人を連れていた。
ユウリよりだいぶ長身で、だけれどもとても疲れた印象を受ける綺麗な女性。
左手には大きな義手のようなものをつけている。
長期間の潜伏期間の間に散々襲撃されて。左手は小指と中指を失ったのだ。足の方も何本か指を欠損しているらしい。
彼女こそ、セレナ。
フレア団の頭目、フラダリを打ち破ったこの地方の英雄。チャンプに勝って殿堂入りしたこともある。
だけれども、栄光は文字通り一瞬。
政治経済軍事情報全てを掌握しているフレア団は、彼女の事を許さなかったのだ。
仲間達もろとも、セレナは森の中に潜伏せざるを得ず。
そして、長い間苦しい戦いを続けた。
フレア団が強い間は、国際警察も最低限の手助けしか出来なかった。
多くの犠牲を払いながらレジスタンスとして戦いつづけて。
やっとこの時が来たのだ。
敬礼をかわす。
実年齢はユウリより10歳程度しか上でないと聞いているのに。セレナはとても疲れ果てているように見えた。
それほどに、厳しい人生で、体を摩耗させてしまったということだ。
貧しい地域では、30で老人のように老けてしまうこともあると聞いている。
彼女も、そういう人生に近いものを送ってしまったという事である。
「周囲の敵は片付けました。 もう逃げ道はありません。 恐らく中に幹部が潜んでいるでしょう」
「やっと、本当の意味での決着が付けられるわ……」
「周囲は私が始末します。 決着は……お任せします」
帽子を下げるセレナ。
本当だったら手入れして、とても綺麗だっただろう髪の毛は。激しい戦いの続く生活では長くは保てなかったのだろう。
今は短く切りそろえてしまっていて、そんな髪の毛でも痛々しい程荒れていた。
セレナの顔にも向かい傷が幾つもある。服もぼろぼろ。手足の肌が見えている場所にも、一生ものの傷が幾つもあるのが見えた。
連れているポケモン達も、みんな一生ものの傷を全身に受けている。それだけ、組織の顔に泥を塗ったセレナをフレア団は追い回したのだ。
その過程で、限りない数の命を奪い。数え切れない悪事を働いた。
中には、セレナが潜んでいる森を、ミサイルで飽和攻撃したなんてものまであったらしい。勿論ポケモンや周辺の住民ごと、である。
伝説級のポケモンを従え、組織トップを打ち破ったセレナを、フレア団はそれだけ激しく憎んでいたということだ。
勝手な話である。
そんなものは逆恨みだろうに。
そもそも自分達以外の人間を皆殺しにするつもりだった組織の人間が、何を勝手な事を抜かすと言うのか。
怒りを押し殺し。
ユウリは無言で前に出る。
要塞の入口には、この森に最後の拠点を作ったフレア団が隠れ潜むための大きな鉄の扉がある。
国際警察のレンジャー達が、既に黙らせた敵を逮捕して、拘束して後送していくのを横目に。
ユウリは前に出ていた。
ポケモン達は温存したい。
鉄の扉を何度か軽く拳で叩く。爆発反応装甲の類はないか。
頷くと、ユウリは腰を落とすと、気を練り上げ。
踏み込むと同時に、拳を介して気を鉄扉に叩き込んでいた。
充分。
一瞬の間の後、扉が拉げ、内側に砕ける。扉の残骸が、激しい音を立てながら吹っ飛び、ついに要塞の入口がこじ開けられた。
「行きましょう」
「ええ。 何度か見たけれども、本当に人間離れしているわね貴方」
「時々言われますけど、ただ鍛えた結果ですよ。 それにカントーの伝説の人に比べたら、私なんかまだまだ」
「……」
この人が。セレナが。そのカントーの伝説の人と同年代で。
一時期一緒に旅をしたらしいと言う噂を聞いている。
セレナは、とても寂しそうな顔をした。ユウリは、敢えてそれを見ないようにした。
今なら気持ちがわかるからだ。こんな傷だらけの体で、好きだった人と会いたくないのだろう。
前衛にカジリガメを出す。
ユウリがもっとも信頼するポケモン達の一体。要塞としての強さを持つ、前衛を任せられるポケモンだ。
セレナも手持ちを出す。
カロスの御三家と言われるポケモンでは無く、エルフーンだ。いいポケモンだと思った。とても鍛えこまれている。
だが、ユウリは一目でそれが、恐らくセレナがフラダリを打倒したときに使っていたポケモンでは無いとも見抜いていた。個体の年齢くらい、今はすぐに見分けられる。そしてそれが意味する事は、一つしかない。
そうか。
帽子を下げると、無言で前に行く。
要塞の中は冷たく、周囲にはトラップの気配もない。
それどころか、周囲にあるのは腐臭。
腐敗した食べ物。汚物。そういったものの臭いばかりだ。
こんな森の中の拠点だ。
まともなインフラもなかったのだろう。
追い詰められた悪の組織というのは、全盛期が強力で悪辣だったほど惨めに落ちぶれる。幾つも悪の組織を潰してきたユウリは、それを知っていた。
無言で扉を蹴破る。鉄製の扉だったが、さび付いていたし余裕。何より今は機嫌が悪い。
中で被害者ぶってふるえている何人か。
ついてきている特殊部隊の人が、声を張り上げた。
「武装を放棄して、両手を地面に。 確保する。 抵抗すれば射殺する!」
「ひっ! こ、殺さないでくれ! 降伏するから撃たないでくれ!」
「何を勝手な……」
ミサイルと対空砲火で出迎えてくれたのに、随分な話である。あのまま輸送機に乗っていたら、ミサイルが輸送機を直撃して、大勢死人だって出たはずだ。
勝手な事をほざきまくるフレア団残党を、ユウリは多分氷点下の視線で見ていただろう。
少し前は、圧倒的な力で蹂躙してしまうと敵が哀れだなとも感じた。
だが、この手の連中に何体か手塩に掛けた子が殺されたり。
哀れぶって命乞いをしていた奴が、同じように命乞いをした相手を笑いながら惨殺したことを知った今では。
もう掛ける同情は見当たらなかった。
殺そうとは思わないが。許そうとも思わない。
足早にいくつかの部屋を調査する。抵抗する相手には容赦を一切しなかった。
前に、ユウリが全力で激怒し、フレア団を許さないと誓った事件。
あのことがあったような設備は、見て回る限りもうないか。
それはそうだろう。
あれがあったのは、まだフレア団が他の地方の悪の組織と関わりがあり。
誰も告発も出来なかった頃。今は、もうそれもない。
最後の部屋を蹴り開ける。
ふっとんだ鉄製の扉が、ガンと石の床で音を立て。
そして、奧では青ざめた女が立っていた。
昔は現役のニュースキャスターをしていた程美しかった事もあった。今では、追われる立場に転落し。化粧をする余裕も、着飾る金もなくなった者。それでも赤の服に身を包んでいるのは、最後の矜恃か。赤いサングラスを愛用していたらしいが、今はそれもなかった。
この者こそ、カロスの情報の全てを握っていた邪悪の権化。国際警察の最重要手配人物の一人。
パキラだ。
フレア団の現トップであり、カロスの元四天王の一人である。今はもうリーグから地位を剥奪されている。フレア団が好き勝手している時は、リーグも分かっていても手出し出来なかったのだ。
セレナが前に出る。ユウリも頷くと、一歩下がっていた。
此処で戦う権利があるのはセレナだけ。もしもセレナが負けたら、ユウリが相手をしてやるが。その必要はないだろう。
手を横に。ついてきていたレンジャー達に、これ以上前に出ないように指示。
この戦いに部外者が関わるのは許されないし、何より巻き込まれるからだ。
「セレナぁ! この疫病神! とうとうこんなところまで来たか! あの時殺しておけば良かった!」
「あの時ってどの時? 私の相棒を殺した時? 私の仲間を殺した……ああ、それは何度もあったわね。 それとも、罪もないポケモンや、何も知らない住民もろとも、森を吹き飛ばした時かしら?」
「黙れっ! 其処の化け物さえこなければ、今でもカロスはワタクシ達のものだったんだ!」
「彼女は確かに強い。 でも、私は彼女がいなくても、一人であったとしても、何年かかってでも貴方ののどを食い千切った。 それは、事実として変わらない。 今、これからそうするようにね」
パキラが喚きながら手持ちを展開。昔は美しかったらしいが、今は鬼相しか残っていない。
それにセレナが答え、手持ちを展開した。
パキラはフラダリの愛人だったという話がある。他の幹部よりも、明らかに格上の扱いを受けていた。だからカロスの情報全てを握る最重要の立場にいたし。フラダリがセレナに倒されたことを、凄まじい憎しみで心に焼き続けたのだろう。
死闘が始まる。ユウリは生唾を飲み込む隊員達に、もう少しさがるように指示。思った以上に激しい戦いだ。まだこの辺り、見極めが甘いか。
たまに飛んでくる流れ弾を、手で払い、或いは掴んで握りつぶす。
文字通り、己の憎悪と怒りの全てを叩き込んだ死闘は小一時間ほども続き。
全てが終わった後。もはや廃人になったパキラが、其処に倒れていた。
これで、終わった。
フレア団の残党は全滅。
ユウリは、声を殺して泣き涙を拭っているセレナに言葉を掛けられなかった。
彼女はあまりにもたくさん失いすぎた。レンジャーが、もはや調度品すら残っていない部屋に困惑しつつ、倒れているパキラを拘束。もう、何も喋る事すらできないだろうが、それでも必要だ。
時間を告げ、確保と唱える。
この瞬間。世界最悪の悪の組織の一つだったフレア団が消滅した。