なんか俺のヘイロー砕けてね?   作:つヴぁるnet

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土曜日分

誤字脱字報告に感謝の正拳突きをする毎日。



ごめん毎日はしてない。
気が向いた電車の中でしてるくらい。

今回は息抜き回。
ケモ耳しかおらんぞ。



第15話

 

 

 

「あるじぃどのぉぉぉぉ…」

 

「破門は冗談だから泣くなって…」

 

 

 

夏の季節。

 

エアコンなんて日用品を開発した発明者に多大なる感謝を毎秒込めながら涼しい自分の部屋で俺は胡座を掻いて手元でとある作業中。

 

そんな俺の側… …と、いうよりゼロ距離密着という形で俺の胡座の上で対面座りしながら抱きついてはケモ耳でペシペシと訴えてくるは久田イズナ。数日前に俺から破門を受けて忍者研究部から弾かれてしまった…と、勘違いしてこの状態である。まあつまり泣きついている。

 

ケモ耳は好きだが、冷房が無ければこの上なく暑苦しいシチュエーションであり、流石に遠慮もしたい。尻尾すら太ももに絡みついて一部分は夏場なのに厚着している気分だ。そろそろ離れてほしい。作業もしづらい。

 

 

「破門を撤回してほしいならこのヘイローに紐を通す作業を手伝えイズナ。穴がかなり細くて糸を通すのに苦労している」

 

「手伝います!!」

 

 

そう言ってパァ!と表情を明るめて飛び引くバカ弟子、耳をピーンとさせている。

 

あと何度も言うけど俺は道場なんて開いてないし、あと忍者研究部なんてのはイズナが勝手に命名しただけでコチラからは特に認可していない。気づいたらそうなっていただけ。

 

こうなったのも2年前の百鬼夜行総合訓練で壁に張り付いてしまうような瞬間を見せてしまったからだろう。それ故に忍者の末裔だとか勘違いされてからは「頼もう!」と神秘研究中に乱入からの「主人殿ぉ!」と着いてくるようになったこの2年間、あっという間である。

 

 

「ヘイローの穴に紐を通すのですね!」

 

「そうだ。三重に紐を回して束ねたら、束ねられた紐の輪っかにまた紐を通すなどして、吊り下げれるようにする」

 

「ふむふむ!」

 

「そうすればアクセサリー…いや、ひとつの付属品としてこのヘイローを通した神秘を活用できるようになる。まぁ、クナイとかにこのヘイローを括り付けることで敵とかに刺せば俺の神秘で悪さできるって事だ。忍具みたいだろ?」

 

「もしや気爆札にも…!」

 

「いや、爆発はしないからな?」

 

「でも心躍るでありますよ!主人殿!」

 

「そうだな。俺も正直コレで何かできると思うとワクワクしてくるよ。砕け散って廃れるだけと思われた証すらも月雪カナタとしての強みだと言うのなら…俺は嬉しく思う」

 

 

錆色に染まっていたはずのヘイロー。

 

しかし手に持って近くで覗いてみれば琥珀色に見えなくもない。

 

これは気のせいだろうか。

 

砕け散る前のヘイローは何色だったのか覚えてない。ただ塗装が剥がれ落ちたように錆色が顔を出してこのみすぼらしさを助長させていた… …が、そこから錆色すらも剥がれ落ちると琥珀色が見えるようになってきた。

 

ヘイローは趣味の一環として磨いてきた。

これは『俺』だから。もしくは自分磨き。

 

しかし同時に月雪カナタとしての成長と繰り返す正当化があったからこそ、砕け散ったヘイローという新たな形として生まれ変わろうとしているのだろうか。わからない。()()()()()()()()()などあまり見た事ないからだ。

 

いやでも惑星のようにくるくる回ったりするから動いていると言う意味では、変化しているのだろうけど。やはりわかんないな。クズノハの言う通り規格外として受け止めるべき象徴なんだろう。コレが月雪カナタとしての形。

 

 

 

「主人殿!できました!」

 

「手先が器用だな。より忍者っぽい」

 

「えへへ」

 

「あとは紐と紐を括らせてアクセサリーのように吊そう。そうすれば一度完成で良い」

 

 

大中小4個ずつ。

 

そのうち1つずつが穴あき。

 

偶然ながらも均等である。

 

それを頭の上に浮かせる。

 

そして指を通せるくらいの輪っか付きヘイローが頭の上でくるくると回り、ふよふよと浮く。

 

また個性的に浮いた代物だ。

 

 

 

「ちょっと試すか。外に出るぞ」

 

「はい!お供します!」

 

 

冷房の電源を落として外を出る。

 

既に夕方で涼しい風が舞い込む。

 

外出にはありがたい環境だ。

 

 

そしていつもの場所。

 

人気が薄まった町外れの池。

 

俺が神秘研究のために利用している場所だ。

 

 

 

「クナイにヘイローを括り付ける。そしてコレに神秘を付与する。あとは投擲だが…」

 

「主人殿!板を持って来ました!」

 

「ありがとう。そこの岩に立てかけて」

 

「はい!」

 

 

俺はクナイ…の、形をしたオモチャをくるくると指で回す。殺傷性は皆無だがそれでも神秘を込めれば先端にわずかな鋭利性が込められて貫通力が上がる。実物ほど鋭くはないだろうが木の板を刺すには充分な貫通力だ。

 

 

 

「……よし、離れてくれ。今から試す」

 

「!」

 

 

オーバースローで振りかぶり、リリース時に先端を木の板に向けるようにクナイを投擲する。

 

するとクナイは木の板に刺さる。

 

 

そして……肌がヒリ付く感覚。

 

これは電車

 

 

 

「___繋がった…!」

 

 

俺は手のひらを木の板に伸ばし、引き込むように神秘を反応させると、木の板は月雪カナタ特有の神秘によって浮き始める。

 

少し離れたところで見ていたイズナは目をキラキラさせ、俺はその期待に応えるが如く木の板を遠隔で操りコチラの方に引き寄せる。そしてクナイを取っ手代わりに掴んで木の板を受け止めた。不具合は…無しだ。

 

 

 

「よし、実験は成功だ…!」

 

「うおおおお!主人ィィィ!!」

 

 

ケモ耳をピコピコ、フサフサ尻尾をブンブンと回して興奮を隠しきれないイズナに俺は思わず笑みが溢れる。それから木の板に刺さったヘイロー付きのクナイを取り外し、木の板は神秘から解放されたのか効力をなくして地面にパタンと倒れた。クナイ越しでもちゃんと俺の神秘が流れて機能した証拠だな。

 

 

 

「そういや、どこまでの重さならコレで浮かせれるのだろうか?もし浮遊力が足りなければヘイローを増やすか、もしくは先ほどの小サイズよりも大きなヘイローを使って浮かせれば良いのかな、恐らく…」

 

 

クズノハの言葉を思い出すなら、俺が成長するごとに神秘量も高まるし、それに見合った規格外にも手を出せるようだから、レベルを上げて物理で殴る理論で俺自身を成長させれば良い話だろう。

 

ならもっと神秘を理解して、身体中に浸透させて、練度を上げて、いずれは大きなヘイローを使わずとも最小サイズで戦車のような重量物を浮かせる。そんなことも可能になるだろうか。

 

 

 

「イズナ、お祝いにお蕎麦でも食べに行くか?奢るよ」

 

「本当でありますか!?やったー!」

 

 

ピコピコするケモ耳の勢いは止まらない。

 

俺は木の板を回収して歩き出す。

 

まるでサーフボードを持ち帰るように…

 

 

 

待てよ??

サーフボード???

 

 

 

「ちょい待ち、イズナ」

 

「ふぇ?」

 

 

 

俺は木の板を床に置き、クナイに再び神秘を流してから、真下に振り下ろして、投擲。

 

足元の木の板にクナイが刺さる。

 

 

「もしも、俺の考えが正しければ。コレって出来るじゃないのか?」

 

「え?え?」

 

「なぜ、思いつかなかったんだろうか……水の上に浮くってのはつまり接触しているからこそ可能とした神秘の応用。それは物理的干渉があるからこそ神秘に浮くことができる意味……ならば…」

 

「あ、主人殿…?」

 

 

俺は手元に神秘を纏い、そして床に落ちている木の板の上に乗りながら跪く。

 

それからクナイを支え代わりに掴み、それと同時に神秘を流し込む。

 

月雪カナタの神秘が浸透する。

 

 

 

そして____規格外に浮いた。

 

 

 

 

「!!」

 

 

 

 

木の板が____俺を乗せて。

 

 

浮遊感と共に___空に浮いた。

 

 

 

 

「………は、ははっ……」

 

 

「ぁ……と……とっ……」

 

 

「ははっ……ははは……」

 

 

「とっ!…とぉっ…!!?」

 

 

「あはっははは…!はっははは!」

 

 

「飛んでいるでありますかァァ!!??」

 

 

「あっはっはっはっは!!やった!!浮いた!浮いたぁ!俺っ!今っ!板の上に乗って浮いているぞ!!イズナ!イズナ!見ているか!?俺は今浮いているぞ!!この箱舟から足が離れて浮いているんだぁぁぁあ!!」

 

 

「すごい!すごい!すごいであります!!

本当に浮いてます!!飛んでますよ!!」

 

 

 

 

彼女ようにもし俺にもケモ耳とか、フサフサの尻尾があったら、はち切れんばかりに振り回しては喜んで居たのだろうか。そんな想像が容易浮かび、そして俺は今まさに浮かんでいる。

 

月雪カナタだからこそ規格外に浮いた存在通りに俺は箱舟から浮いている。

 

 

こんなだ。

 

こんなにも。

 

ああ、こんなにも…!

 

 

神秘が神秘的に心踊らせているのだ。

 

思わず涙すらも片目から湧き出てしまう。

 

それを親指で拭いながらイズナを見下ろす。

 

 

 

「高さは1メートルくらいかな。もし使っているヘイローが倍に大きい中サイズのヘイローなら2メートルは浮くだろうか?もし大サイズのヘイローなら三倍の3メートルは高く浮いてくれるのか?そうしてわかりやすくこの神秘を表してくれるだろうか??…

ッ、ッー!やばいなぁッ!

これは是非試さないと…!」

 

 

 

そう意気込んで、ぐぅ〜、と下から聞こえる。

 

 

 

「!?……ぁ、ぁぅ…」

 

「…っと、悪い。そうだな。もう夕時だもんな。お腹も空いておかしくない時間帯だ」

 

「ぅぅ…ご、ごめんなさいぃぃ…」

 

「気にするな。ちょうど終わり時を迎えたと言うことにしよう。実際に俺もお腹空いて来たからな?ここまでにして行こうか」

 

 

と、宥めてもイズナは恥ずかしそうに耳をへなりとさせて身をすぼませる。

 

俺は木の板から飛び降り、神秘を解除して今度こそ撤収準備を行い、再びサーフボードのように脇に収めながらイズナに背を向けながら…

 

 

「ほれイズナ、お供しろ」

 

「!!

 

「今の俺は両手が塞がっている。となれば護衛が必要だ。頼めるか?」

 

「ッ〜!!もちろんであります!!」

 

 

耳をピーンとさせると軽い足取りで俺の前に立って先導する。単純な子で助かる。しかし今こうして賑やかなのは彼女のお陰なんだろう。

 

ならばこうして喜怒哀楽豊かに元気を分けてくれる後輩にお蕎麦を奢るくらいなんてことない。是非今回の成果を祝うとしよう。

 

 

 

「俺が住んでる近くのお蕎麦屋さんにしよう。場所は知ってるな?」

 

「はい!もちろんです!」

 

 

ケモ耳も尻尾も足取りもピョコピョコとご機嫌にさせる彼女の跡を着いていく。

 

ふと、クナイに括り付けられたヘイローに視線を移す。そこには夕焼けに照らされた事でまた一段と琥珀色に光る俺のヘイロー。やはり月雪カナタとしての完成を目指すほど『俺』を証明するヘイローも変わろうとしているのだろうか。

 

 

「あの、主人殿!」

 

「?」

 

「えへへ、なんだかその木の板…!

忍者研究部の【看板】みたいですね!」

 

「!」

 

 

純粋さの先にある、なんて事ない着眼点。

 

しかし、クナイという忍具によって刻まれた木の板はまさにその意味を表しているように感じられるから、これには俺も目を見開き…

 

 

 

「ははっ、そうだな!かもしれないな」

 

「!」

 

 

と、肯定してしまう。

 

忍者研究部と、道場であること、俺が師範である事を否定しても、繰り返し言い放つ彼女の押しに対して耐え忍べなかった俺の根負けなのだろう。

 

なら今日くらいは、認め___いや。

 

_____継ぐか。

 

 

 

「イズナ。この看板をさ、もしイズナが今よりも忍者に近づけたら、俺が特別に忍者研究部と大きく書いて君に譲ってやる。どうだ?」

 

「!!?」

 

 

その言葉や聞いたイズナはこれまで以上に耳をピーンとさせて反応し、その眼の中は喜びと期待に満たされている。

 

 

「欲しいみたいだな?なら」

 

「!」

 

「頑張れよ?___久田イズナ」

 

「ッーー!!主人殿ぉ!!」

 

「うおっと!ちょい待て。イズナ?いま両手塞がっているんだが…?」

 

「ありがとうございます!主人殿!イズナは!このイズナは!必ずや!主人殿から受け継がられるほどの忍びになって見せます!だから!どうか!イズナの行先を見守ってください!!」

 

 

まったく、やれやれ。

 

コレはまだ、先が長そうな忍び候補だ。

 

俺はクナイごと木の板を手放し、ヘイローの神秘で浮かばせると、空いた手でコチラに抱きついているイズナの頭を撫でる。

 

嬉しそうに動かすケモ耳ごと手のひらで触れながら未来のクノイチの行先を密かに願う。

 

再び、彼女のお腹から可愛い音が鳴るまではしばらくその頭を撫でていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、この『木の板』は__

 

いや、違う。

 

この『看板』は__クナイの傷跡と共に【忍者研究部】と大きく書き刻まれる。

 

それは忍びを目指す彼女の原動力として立て掛けられることになるらしい、が。

 

 

それはまだ彼方(かなた)と、先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今年もボランティアの一環として夏祭り前の、河川敷の雑草刈りが始まった。

 

河川敷で伸びすぎた雑草を処理することで大型のブルーシートを何枚も敷き、来客用として腰掛けれるスペースを作る自治体運動であり、毎年こうして花火大会の数日前くらいに準備を始める。

 

このボランティア活動には毎年、俺も参加しており、また自治体は手伝ってくれた人にお団子券を配ってくれるので、俺はそれを目当て花火大会の下準備に貢献している。

 

もちろん俺の他にも参加者は多く、お祭り好きの百鬼夜行として来訪者にも楽しんでもらうために積極的な参加はよくある話。

 

なにより百鬼夜行の生徒も多い。それは日頃何かしらを鍛錬の一端として取り組む百鬼夜行連合学院生徒のことだ。この雑草刈りも足腰を鍛えるための一端として受け止め、このボランティア活動に身を投じている。

 

周りを見渡せば修行部とか全員参加だ。部活名の通りにこれも修行として勤勉に勤勉を重ねているようだ。

 

大人も若者の力を借りれて嬉しそうである。

 

 

 

「よいしょ…!よいしょ…!」

 

「手慣れてるな___ウミカ」

 

「はい!私の住んでいる場所はもう、それはドが付くほどの田舎なので、雑草とかもよく処理するんですよ」

 

「なるほど。しかしよく遠くからボランティア参加のために来たな。百鬼夜行内とは言え、聞く限りだとココからかなり離れてるぞ?」

 

「はい、そうですね。確かにココからだとかなり町外れたところに住んでいます。でも私!お祭り好きなんです!このボランティア活動だってお祭りのための下準備!そして百鬼夜行に来るお客様に楽しんでもらうための活動!なら参加しない手は有りません!」

 

 

この娘は、里浜ウミカ。

 

本人が言う通り、ドが付くほどの田舎住まいであり、通っている学校も全校生徒10人と両手で収まってしまう規模の学舎で学生生活を行っていたりと、生徒の数が少ない辺りちょいと親近感が湧いてしまったりする俺がいる。

 

まあ俺の通いは寺子屋だから決まって小規模なんだけど。

 

それで、彼女とは去年もこのボランティア活動で一度会っている。

 

過去に班分けとして彼女とは同じグループに分けられたことがあり、そして今年もまた彼女と同じグループに分けられたので見知った顔同士に一緒に行動している…… と、言うより一緒に行動せざるを得ない状態になった。

 

その『せざるを得ない』ってのが、まずこの班のグループは基本的に学生で構成されている。

 

まずこのグループは学院のリーダー的存在の生徒が仕切っており、それで学院のやり方をこの場でも通しているのか「いまからペア作ってくださいね!」とボッチちゃん特攻の指示を下してペア作りを言い渡した。マジぃ?

 

どうやら作業効率のためにもペアを作った方が良いとの事だとか。

 

それでこの自治区に住んでいる者たちは見知った顔が多いだろうからペア作りに苦戦はしないだろうけど、里浜ウミカのように外からの参加者はまぁ悩ましい…と、言うより里浜ウミカしか居ない。

 

まぁかく言う俺もそう身内は多く無いためペア作りに苦戦していたところ、同じ状態の里浜ウミカを見つけてこの状態である。

 

あと垂れてるケモ耳が可愛い。

 

 

「じゃあつまり?水色の法被を着て、こう…わっしょぉぉぉい!!と、バンザイする訳?」

 

「します!」

 

「あ、するんや」

 

「なんなら先週はチーズ転がし祭りでわっしょぉぉいしちゃいまして!そしてらその地方の新聞に載っちゃいました!」

 

「この子、世界の果てまでイッてるやん」

 

 

なんというか、道場破りの宇沢レイサとか、パスタリーグの杏山カズサとか、あとココにいる里浜ウミカもだけど、年齢が初等部だろうが関係なくフットワーク軽すぎなんだよな。コンビニ感覚で普通に遠出するし。

 

アレよ。関東住まいの小学生がその日に札幌までラーメン食べに行って日帰りで感覚と変わらんぞ。これ。

 

 

やはりコレも未成年の段階だろうと銃を持つようなる環境だからこそ、備わった胆力と適応能力なのかな。両手で数えれる程度の年齢だろうと外に対してあまり恐れというものはあまり無いらしい。キヴォトスの子供って逞しすぎる。

 

そんでもってこのお祭り娘。

わっしょーい!するために遠出も躊躇わない。

 

 

「この花火大会に参加したらまたすぐに何処かのお祭りに行くのか?」

 

「はい、その3日後はトマト祭りです!皆でぶつけ合うんです!えへへ!たくさん着替えを持っていかないと!」

 

「キヴォトス人の腕力でトマトぶつけられるのは流石に怖いなぁ…」

 

「あとトマト色のペイント弾も使って良いみたいです!」

 

「やっぱキヴォトスだわ、ココ」

 

「?」

 

 

やめろ。首かしげんな。垂れたケモ耳が動いて可愛すぎんだろ。めちゃくちゃ撫で回したくなる程に神経が苛立つ…!

 

 

 

「あと秋にはカボチャ頭を被って全身黒タイツで踊る祭りも見に行きます!レビューの限りだと昂るあまりに神経が苛立つとか!!」

 

「その苛立ち表現は前向きの意味でなんだよな??そうだよな??」

 

 

 

なんならそのままトリカスに向けて反省を促すダンスにしないか?

 

こちとら前任者(カナタ)が自壊してんやぞ?

 

 

 

「コレで終わりかな?」

 

「みたいですね!お疲れ様です!」

 

「ウミカの方が頑張ったろ。君の方がお疲れ様だって」

 

「いえいえ、慣れている事なので!」

 

 

ゴミ袋パンパンに詰まった雑草はウミカのお陰だろうか。垂れ耳とタレ目で無害そうに見える彼女だけど作業速度半端なかったわ。俺なんさ3割しか役割果たせていない。田舎育ちのキヴォトス人ってフィジカルすごいな。

 

 

 

「去年同様にお団子券は何処でも使えるから好きなところで食べると良い」

 

「はい!……ええと、ちなみに何処のお団子が良いですか?」

 

「百鬼夜行なら何処でも美味しいけど…まあ、そうだな。俺的には黒柴大将が運営しているお団子屋さんだな。あそこなら確実」

 

「なるほど、です…………それで、その、ええと…」

 

「………あー、また一緒に行くかい?」

 

「!」

 

 

ケモ耳と尻尾がわかりやすく動く。

 

フットワークの軽い子供と言えど、まだまだ感情に素直だ。

 

 

 

「でもその前に汗を流したい。近くに銭湯があるし、タオルもレンタルできるから去年みたいにそこでサッパリさせよう。着替えは持っているんだろ?」

 

「っ、はい!」

 

 

ボランティア活動を終えた夕方。

 

俺たちはお団子券を受け取るとボランティア参加者によって銭湯が満員になる前に駆けて…

 

 

「おらぉ!おらぁ!」

「どうしたどうしたぁ!」

「もし利用したければ通行料を置きな!」

 

 

「ひっ!」

 

「また、スケバンがこんなところに…」

 

「……わ、ぁ…」

 

「あ、泣いちゃった」

 

 

 

ウミカを泣かせたな??コイツらぁ…

 

 

 

ダン!ダン!ダン!

 

 

「ぐぇぇえ!」

「ぎゃぁあ!」

「ぐはぁっ!」

 

「邪魔だ!退け!不良共!ケモ耳泣かせるとは良い度胸だな!お前ら!」

 

 

 

ボランティア活動後は銭湯まで汗を流しに訪れる人達が多いと考えた不良達は入り口を封鎖して通行料を取ろうと構えていたが、俺はとっととサッパリさせたい上にお団子でお腹を満たしたいので不良達を雑に一掃した。

 

やはりキヴォトスだわ。

 

 

 

「まったく馬鹿共が。バリケードも無しに堂々と構えたって仕方ないだろ」

 

「カ、カナタさん、とても、お強いんですね」

 

「そこらの奴にはもう負けんよ。俺を倒せるのはほんの一部の奴だけだ。とりあえずこのアホどもは縄を縛っておきたいが…って、随分と手慣れてるな」

 

「えへへ。よく野生動物が罠に引っかかるので縄は縛り慣れています」

 

 

自己評価の低さが目立つ彼女だが、スペックの高さはやはり田舎というアナログな環境に住んでいるからこそ備わった強さなのだろう。これも百鬼夜行補正って奴だろうか。

 

そのうち化けそうだなと思いながら、不良達は適当に引き渡して俺達は銭湯で汗を流す。

 

その後、待ち合わせ通りに集ってから黒柴大将が切り盛りするお団子屋さんに向かい、黒柴大将からコレか?小指立てたりと揶揄って来たのでお団子の追加を即要求して困らせてやろうとしたが既に用意されていた。

 

やはり百鬼夜行の奴らは手強すぎる。

 

 

 

「それと!それと!レッドウィンターにはデモ活動を併用したプリンを二つも食べちゃう祭りとかもありまして!」

 

「そのプリン推しは一体何なんだ??」

 

 

お祭りオタクと化した彼女のマシンガントークを交えながら夏祭りの準備は進む。

 

 

今日も百鬼夜行は握りかに彩らせ…

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、会いましたね___カナタくん」

 

「今年も来たか____白鳥」

 

 

 

 

 

俺の物語(アーカイブ)は___始発点を超える。

 

 

 

つづく






シュポガキのインパクトに埋もれてたけど里浜ウミカも結構好きなキャラです。めちゃくちゃ頑張り者だからそのアタマをめちゃくちゃに撫で回してヨシヨシ褒めたくなる。あと垂れ下がったケモ耳がとても素晴らしい。たまに片方だけ捕食したくなる。わっしょーい!


ちなみにイズナはカナタに脳を焼かれてるためカナタ以上の男でなければ靡かないのでこのイズナに彼氏はいません。スイーツ部は知らん。


じゃぁな!
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