実は白鳥(連邦生徒会長)の真名はカナタだけが聞き取れない設定を後悔してる作者だけどカナタとか言う箱舟のバグキャラなのでまぁええかと開き直っているこの頃、放課後スイーツ部の栗村アイリって実は可愛いのでは?と最近メモロビ解放時に気づいてしまった。これ絶対彼氏いるだろふざけんな半分寄越せ。シェアしろ。
人生には、幾つかの分岐点が存在すると聞くがその分岐点ってのは案外わかりづらい。
だが、それなりの時間が経ち、ふと…あの時の自分はなぜそうしなかったのか?と後悔に振り向いた時にやっと答え合わせされるから、人生ってのは難易度が激ムズなクソゲーだとまあ好き勝手言われてしまう。
もし人生の100年分が補完された攻略本が金で買えるなら是非、借金をしてでも買いたいくらいだ。なにせ大人というのは後悔の連続を繰り返すしかない生き物だから、これ以上は酷くならないための防波堤は幾らあっても良いと保身に走りたい。そんな俺も。恐らく一人の大人としてしょっちゅう失敗してた気がするから。
気がすると言っても正直、前世は何処まで歩んでいたのかもあやふやな色彩扱いの魂故に、過去を振り返ってもわからないから成り代わった月雪カナタとして今は何を選択するべきか?
そればかり身構えている毎日。
それでもクズノハは難しい事を述べず、ただ健在であれと言ってくれた。特段、月雪カナタとして何かを成せとは一言も告げて無い。この俺が、俺自身が行先を決めるだけ。そうして月雪カナタは箱舟で決まる。
しかし、それでも、成り代わりなんて異常なことが起きている以上、俺は何かを求められてこの箱舟にいるのではないか?と、いらない使命感に駆けられた歪な器が一人歩いている。
それとも神のイタズラが意味もなくこのストーリーテラーを用意したのか?
だとしたらソイツはとんでもなく性格の悪い生産性の無い神なんだろう。
砕け散ったヘイローは答えを得ぬままクルクルと回るだけ。
「久しぶりですね!カナタくん」
「白鳥か。今年も夏祭りに来たか」
「はい!来ました!」
「じゃあ、約束通りに案内するしかないか」
「えへへ、よろしくお願い致します」
それでも用意された出会いと分岐点。
紛れもなくそれは『彼女』なんだと分かる。
だって異質なんだ。
お互いに理解し合っている。
箱舟を箱舟と認識する
憑依者と観測者による『揺れ』の実感。
そこに『浮く』か『視る』で『解』を得る。
何せここはブルーアーカイブだから。
この世界がキヴォトスであるから。
そう脳死で判断を下せるほどにこの世界は透明感に溢れておりそれはもう摩訶不思議だ。
去年の終わり頃にだって栞の形をした化け物に襲われるなど前世では確実にあり得ない経験をしているから。
故に、ココは不思議なことすらデフォルトなんだと銃社会の空気感と倫理観で理解する。
創作物の世界だからこその正当化。
SNSのみの知識であった、が。
しかし充分過ぎるほどに身に染みた。
ああ、ここは碌でもない箱舟なんだと前世の世界観が答え合わせする。
ただ、それでも目の前で喜怒哀楽に勤しむ子供は本物である。
全否定することは出来ない。
その鼓動は魂が込められている証拠。
ココにいる人達は都合よく創られたシステムだなんて思えない充分な証なんだろう。
「おいひぃでふぅ!」
「だな。と、言うか、いつ見ても学生料金として安すぎるな。だって焼きトウモロコシは一本目は50円ですだとよ?駄菓子屋かよ」
「お手軽だね、うぇひひぃ」
「ヨダレ出てるぞ、白鳥」
夏祭りの賑やかさに舌鼓みしながら屋台村を歩き回り、花火が打ち上がるまで、片手間に観光スポットを案内しながら白鳥を連れ回す。
日頃、ハイランダー鉄道学園生徒の車掌として電車で色んなところに回っている彼女だが、このようにしっかりと観光地を回る機会はあまりないらしい。なので余裕を持って訪れたこの日は特に楽しみにしていたらしい。随分と目をキラキラとさせている。
それからある程度歩き回り、携帯画面を確認するとそろそろ花火が打ち上がる時間帯だ。
花火大会の公式配信動画も既に多くの視聴者を獲得して花火はまだかと盛り上がっている。
それなりにお腹を満たした白鳥を横目にポケットの中に携帯をしまいながら、さて、去年のようにどこか腰を落ち着ける場所を探すか。
色々と良い場所を知っている。
楽しいエスコートになるよう脳内で計画を立てていると不意に白鳥が語りかけて来た。
「カナタくん」
「…?、どうした?」
傘型にカスタムされた銃を後ろ腰に回した両手で揺らしながら白鳥は遠い先を眺めるように夏空を見上げる。歩き回っていたお陰で夜と言える時間の暗さになった。花火を彩らせるには最適なブラックアートの世界。ところどころで瞬く星が夜空をデコレーションがしている。
「私はお客様がいない間は乗車席に座り、電車に揺られてながら外を眺めています。窓の外は移り変わる景色の数々。まるで花火のように私達を置いていくから少しだけ焦燥感を覚える。それでも鉄道は同じ場所を通るから同じ景色を眺めることは可能です。しかし戻ってくる時には変わり果てた『解』がそこにあるじゃないかと時折不安になりました」
「過去形ってことは…白鳥にとって『解』を得たと言うことか?今は違う__と、窓際でそう語れるくらいには」
「はい。貴方のお陰です。…と、言ってもたまに不安にもなりますが。えへへ…」
「入る学園を間違えてるだろ。苦痛なら百鬼夜行連合学院に来れば?ココなら箱に詰められる心配も無いから息苦しくなんか無いぞ」
「ふふふっ!それは楽しそうですね!でも大丈夫です。私は恐らく。間も無く。各駅停車を過ぎれば次に乗り換える。そう予定される。残念ですが百鬼夜行に降りる路線はありませんから」
「……その予定は白鳥
「っ……!_____ううん、その切符は珍しく払い戻しができないモノとして決まっていますから。もう車掌さんに拝見させてソレは切っていますから」
「なら千切ってしまえよ。そんな切符」
「荒技ですね。それにハイランダー鉄道学園生徒の私に無賃乗車を望むんですか?カナタくんは酷ですね」
「こんな人間に『解』を求めている時点で白鳥はある意味で『
「いえ、このまま乗りつづけます。だってカナタくんは鉄道管理下にいる私に対してトロッコ問題を引き出す。そんな皮肉で私に『解』を視せてしまった。けれどあの選択が。されどあの分岐点が。あまねく始発点として
「何を言うか。俺は月雪カナタって子供の身分だぞ?あんな答えはガキの無責任な嘆きと捉えているよ。今考えてもめちゃくちゃだよ。車体が半分を超えたらレバーを引いて強引に止めて見せる。題材を忘れた独りよがりな正当性。大人としての模範にはならない浮かれ思考だ」
「でも『選択』なんですよ。それもあるんだと示してくれた。私にとっては移り変わる焦燥感を始発点に戻してくれた。それこそ半端に身を乗り出したタイミングでレバーを引いては強引に私を止めた。お陰で移り変わることない場所で腰を下ろせるから透明感に溢れる空を視る。今日の花火大会だってカナタくんがレバーを引いて案内してくれるから私は楽しい。ねぇ、今年は何処で花火を視るのかな?」
「今考え中だよ。ああ、でもそうだな。乗り換える予定は無いから終点まで行くか。どうせまた蚊取り線香を膝横に置いて眺めてると思う。だからそれまで各駅停車を楽しんでおけ。本路線は区間快速で運行、終点は寺子屋までだ」
「ふふっ」
ポケットに戻そうとした携帯を口元に持っていきアナウンスを行う駅員の真似をする。白鳥はそれが面白かったのかクスクスと笑いながらご機嫌に目隠れた部分の髪を揺らす。今の彼女はとても子供らしい。
「それでも、もし…本当に本当に、砕け散った先で拾い上げる方法がわからなかったら…」
「?」
「すぐに百鬼夜行まで来い。ココなら全てが各駅停車かつ降り場は温かく歓迎してくれる。もちろん偽名に関しても心配するな。そんなの百鬼夜行なら一つや二つ。当然だからな」
「______うん。ありがとう」
側から見たら何の会話だろうか。
ただ日常で__降りる駅を間違えた。
そんな愚痴話に聞こえる。
でもココにいる俺達は視るモノが違うから、箱舟を内側と認識し、箱舟の外側を認知してしまう。そんなプレイヤー視点に近しい憑依者と観測者としてこの箱舟の揺れを感知する。だからその揺れに対して常に『解』を求めようと外れた者同士の邂逅に周りは理解し得ない。
その意味と心理を知らない者からしたら難易度の高い話に付き合わされている気分だろう。
世間一般視点からすれば年相応から浮いたような空気感は正常を惑わせる。
「やはり、ですね」
「何が?」
「同じ路線で、同じ電車で、同じ車両で、同じ鉄道の利用者です。互いに降りる場所はまだわかりませんが。でもココだけは同じなんだ…」
「なんだいそれは?もしや俺達は逢うべくして会ったと言うつもりかい?」
「ふふっ、まるで告白ですね」
「片手で数える程度しか出会ってないのに告白だなんて、好感度足りなくてNO一直線だろ」
「カナタ君補正で好感度はブーストされてるかもしれませんよ?」
「そんなことできる間柄か?正常に寄り添えきれない
「それでも私はロマンチストを忘れたくないと望みます。だって悲観主義者であることも、現実主義者であることも、楽観主義者であることも
許されている情動がこの体にある。ならこの夏祭りに用意された綿飴も、チョコバナナも、焼きトウモロコシも、フランクフルトも、そして家に帰れば冷蔵庫の中にあるイチゴミルクに舌鼓してもそれはおかしくない事ですよね?」
「生きてる限りは、な」
もっと年相応に楽しむべきひと時だが、彼女といるときは何というか、考え事が嫌に進んでしまう。やはり理解し合えた異質な者同士だからだろうか?俺は身勝手ながらも悩ましさを先行させてしまう。しかしどうやら彼女もそれは同じようだ。俺達はあまりよくないな。
「さて、つまらない話はココまでにしようか。どうせ俺達はまだ子供だ。大人になりきれない以上は夏祭りを純粋に楽しむだけ。花火が打ち上がるまで後20分弱だが、なにか忘れ物はないか?」
「はい!私、あの射的がしたいです!」
「普段ぶっ放してるのにか?」
「むむぅ!自慢じゃないですが私は戦闘が苦手なんですよ。だからいつも裏方に回っては銃撃戦から逃れているんです。この銃だってお手入れの時だけしか引き金を引いたことありません」
そう言って屋台から身を乗り出すと景品に狙いを定める白鳥。
パン!パン!パン!
コン!コン!コン!
「全部当ててんじゃねーか」
「苦手なだけですよ」
「でもそれは下手では無いって事だろ?お前
「大人のつまらない話はしませーん。それに私は私がオンリーワンでーす」
「悪かった。でも凄いんだな。射撃間隔がかなり短かったから随分と手慣れてると見た。それともアレか?実は本気出したらめちゃくちゃ強いパターンのヤツか?」
「知りませんよ。そんなこと、ふふっ」
どうやら人は見かけによらないってのはキヴォトスでも健在らしい。いちごミルクの煩悩にやられてるだけの彼女ではないようだ。
「ねぇ、カナタくん!またあの場所で花火を見ませんか?」
「あの場所って……寺子屋の裏庭でか?」
「はい。特等席ですから」
「そうかい。じゃあもう少し遊んでお腹空かせたら色々と食べ物を買って、そしたら去年と同じようにするか」
子供ならではの無邪気な計画。
それとも子供だったから無邪気を覚えてる計画なのか。
それを決めてくれる人なんていない。
まあ、そもそもコレを無邪気なのかどうなのかを考えている時点で子供としてナンセンスな無垢さだ。やはり大人とかいう本当につまらない生き物と化したらしい。
でも、そうでなければ
…
…
重たい役割だな、背負うというのは。
幾つ刻を迎えても慣れない重責の限り。
後悔は無いが___後悔を知り始める。
考えれば考えるほど__知識が訴える。
月雪カナタは____難しいぞ???
「___わかっているとも」
それでも、もしも、を考えたことはある。
この2度目が【責任】の元で始まらない物語ならば、どれだけ楽なのか。
憑依者ではない、ただ転生者として。
産声をあげてゼロからスタートを切る。
無垢に、無計画に、子供のまま俺tueeeeに身を投じれるような、それこそ二次小説に良くありげな二度目だったのなら、それは俺自身の責任として好き勝手にストーリーテラーを描いて見せたんだろう。
それがどれほどに、いちごミルクのようは幸福で無責任に噛み締めれるか、怠惰ながらも比べたことはある。
「わぁ!」
花火が打ち上がり、彼女は感激に声をこぼす。
今年も寺子屋の裏庭に集まり、蚊取り線香を焚いて、焼きそばと、お団子と、綿菓子と、りんご飴を、膝の横に広げて、夏空に彩る花火を待ち望むだけ。
アレは一発が万円以上の価値。
それがほんの一瞬のためだけに用意される。
しかもお祭り好きの百鬼夜行となるとその規模はとんでもないレベルだ。
軽く、億円は動いている。
それが想像に容易い。
「刹那的な光だ。少し羨ましく感じる」
「カナタくんは刹那主義ですか?」
「どうかな。もしそうならば俺は非常に恵まれた生き物なんだろう。でもそうはならないし、そうはなれない。俺は箱舟を知っている側だから」
「現実主義ですね」
「必要不可欠なつまらなさだな。面白くない」
「ふふっ、やはり貴方は大人なんですね」
産声か、もしくは脈絡もなく生じて始められた2度目なら、有頂天で弾けるための火薬の量は己がその過程で選び取れる。
ほんの一瞬だけの瞬きでも、それは大き方が断然良いはず。
そうすれば、確かにそこに存在したと、記憶として認識されるなら、その歩みは幸せだと美しい過去形になる。
それが転生者という無責任な贅沢さだ。
でも、おれは【憑依者】だ。
視て、拾い上げて、コレを始めた。
「花火職人ってすごいな」
「はい」
疑問すら投げずに彼女は肯定する。
俺の言いたいことがわかるから。
だから片手間にりんご飴を齧っている。
俺も自分で淹れた緑茶を飲んで潤す。
この苦さもいつしか甘さになった。
百鬼夜行で変われた証拠なんだろう。
「……カナタくん、あのね」
「?」
花火が打ち上がって30分。
一つの折り返し地点となり、しばらく小休止とばかりに夏空は途端静かになる。
だから急な寂しさは気のせいじゃない。
だから彼女はそれを誤魔化そうと語りかけて来たが、しかし、その声色はまた違った感情を見せている。まるで気丈に振る舞う如く、俺に確認を取ろうとしていた。
「カナタくんは直接を避けて私と言葉を交わしてくれるから、何も言わなかった。でも察しているんだと感じている。だから…その…」
「この
「!!」
「知っているんだろ?何かを成す必要があって求めている事を。この箱舟にとってその解はどのように扱われるべきか。あるんだろ?」
「っ…!!」
彼女はギュッと私服を掴む。
それを許されている者に明かすべきか、それとも終点までその切符を手放さないべきか、彼女は電車のように揺れる。ガタンゴトン。心臓にも訴える。その選択と分岐点。レバーを何処で切り替えるべきか。ハイランダー鉄道学園の生徒としての本分すら問われる。
大人としての責任が______重い。
それ、なら。
「軽くすれば良い」
「え?」
頭のヘイローはくるくると回る。
俺は立ち上がり、白鳥に手を差し出す。
「着いてこい、白鳥」
「ぇ、何処に…?あっ、ちょっと…!」
俺は彼女の手を引いて寺子屋から飛び出す。
祭りを行く人達を、または花火を見上げ足を止めている人達の間を潜り抜けて、俺は人気から少し遠ざかった場所まで彼女を連れる。
「あ、あのっ、カナタ、くん?」
「寺子屋が終点だと思ったか?確かにあそこは終点扱いだが路線はまだ続くんだぞ?悪いが別路線に乗り換えてもらう」
町中を外れて人気が少なくなる。
白鳥は戸惑いながらも足を止めず、おとなしく手を引かれ続ける。
そして___たどり着いた。
「とりあえず、ココで良いか」
「ええと…ここは、川…?」
たまに神秘の訓練で使っている小川。
すると花火がまた打ち上がる。
その水面は賑やかに花火が映った。
「ご覧の通り。川だ。そして水。もしその川に足を踏み出せばどうなると思うか?」
「それは……足が水の中に沈んでしまう?」
「そうだな。俺達は水よりも重たい。物理学が正しいなら質量のまま川の底に落ちてしまうだろう。それが常識の終着点。それは誰もが知っている事だ…」
「……うん」
「しかし!」
「!?」
「俺は!世間一般常識として理解し得る物理学すらも否定してしまう規格外に浮き出た正当化のモンスター!ならば非常識を正常として扱う月雪カナタはこの終着点に溺れ沈むだろうか?それは否っ!ココにいるは『俺』だ。 とある英雄王の言葉を借りるなら『俺がルール』だ!」
静かに、神秘を全身に纏う。
私服がゆらりと揺れ、一瞬だけ円状に空気を押し除け、空間が蜃気楼のように歪む。
白鳥はその場が身を退けるように驚く。
「ならばココこそ月雪カナタの始発点。川の中に沈まない。この旅路は未だ確立されようと神秘に揺れている。でも俺自身。カナタとしての証明は幾らか済んでいる。とある大預言者が導いてくれたから」
そして、一歩を前に。
また一歩を前に。
そして一歩を前に踏み出す。
行先は水の流れを作る川。
踏み出せば足の先から沈み込む。
けれど___
俺は非常識だから、そうはならない。
「っっ、水の上に!立って…る!!?」
彼女が答えてくれた。
沈むことの無い、証明として。
それが月雪カナタの『解』である事を。
「な、なぜ……??」
「俺だから」
「!」
「それができる__月雪カナタだから」
答えになっていない、でもコレが答え。
非常識だから、まともさなど紡がない。
ただ単に、そうである、と、視せる。
「白鳥も、こっちに」
「え?え、でも、そこは……」
「乗り換え先は____ココだ」
「ッ__!!!!」
ただ手を差し出す。
白鳥はそれに対してどうするべきか迷う。
でも、しかし、もしかしたら、と、そう目の奥が揺れており、これはそうなのかと、少しずつ月雪カナタの神秘に期待する。
だって、沈むだけの終着点。
駅に例えるなら終点。
川に堰き止められた路線の筈。
__でも。
__けれど。
まだ、その行先は続いているんだ。
「……っ」
空には花火の弾ける音。
それでも息を呑んだ音は聞こえる。
鳴り止まない鼓動のまま。
白鳥はその手を取ってくれたから__
「ほれ」
「!?」
そして、俺は一気に引き込んだ。
「ひゃん!?」
可愛らしい声が聞こえる。
支えを求めた手がこちらにしがみつき、ピチャっと足裏に伝わり、水紋かゆらりと広がりながら小川の流れにかき消される。
それはいつぞやの、お暇を浮かせられた狐のように、規格外な扱いに少女は知る。
「あ、れ?」
沈むことの無い非常識。
「ぇ…………え!?!?」
追いついた思考が非常識を視る。
水の上に立っている自分が【存在証明】とばかりに白鳥は『解』を得る。
電車の窓から視えていた筈の終着点は。
あまねく始発点として路線を乗り換えていた。
「ようこそ、こちら側に」
「ぁ……ぁ!あ、ああ…!すごい…!!」
飾りのない言葉だ。
しかしそれで充分だ。
なにせ視るための眼が始発点の上でこんなにも綺麗に揺れているのだから。
「あ、手を離すなよ?ヘイロー無しではまだ慣れてないからな」
「う、うん!………え?ヘイロー?」
「実は前まで俺のヘイローが必要で……ああ、そうか。白鳥知らないのか。なら… ほれ。片手出してみろ。触れる事ができるから」
「え?…………ぅぇ、ええええ!?」
適当に頭の上からヘイローを掴み取り、白鳥の手に握られる。
すると想定通りのリアクションが彼女の口から飛び出す。
いつ見ても良い反応だな。
「ぁっ…でも、この、神秘………うん、とても暖かいね…」
「ヘイローが?」
「うん。暖かいよ」
「ヘイローを懐炉扱いされたのは初めてだな」
「じゃあ……この時はカイロー?」
「その発想は無かったなぁ…」
「えへへ、じゃあカイローで!」
どうやら気に入られた上に命名された。
ヘイローが、カイローか。
頭いちごミルクでなければ思いつかない考えだろう。てか本当に暖かいのか?
いやでも、摩擦熱を起こそうと回転させれば熱くらい籠るのか?要検証だな。
もし可能なら『螺旋丸』の真似事が可能になるだろう。あの時は血が混ざっていたから物理的干渉を可能として螺旋丸をぶつけれたし。ただの神秘を形成してぶつけるのは本当に難しい。だから銃弾に神秘を込めてぶつけれることにしたキヴォトスなんだろう。一番手頃でダメージにしやすい手段がそれだから。あと百鬼夜行なら木刀。神秘=エンチャントは正しいな。
「あと、綺麗なヘイローだね」
「そうか?錆びてるだろ」
「ううん。万華鏡みたいだよ」
「……本当に?」
白鳥は顔の前にヘイローを持ってくると月に翳して中身を覗き込む。
するとヘイローは月光を浴びたことでその琥珀色は輝き、そして見る角度を変えては、色とりどりに弾ける花火をヘイローの中に閉じ込めては万華鏡のように楽しんでいる。そう扱えるのはヘイローにも色を閉じ込めれる透明感がたる証だろうか。
……うん??
と、言うより、いつ間にこんなに透き通るようになっていたんだ?
普段なら錆色に見えるんだけど。
そう頭で悩まして___
「______んーっ……chu」
「!?」
不意に、ヘイローに口付けをする白鳥。
…
…
…
え?え?
…
…
…
うええええ???!?
な、な、なに事ぉぉ!?
あ、あ…
待って、あ…
背筋が、甘い、あっ。
「なっぁ、なぁっ、何やっでんだぁアロナァ!?」
「うーん……なんとなく?えへへ…」
彼女は笑う。
イタズラ完了とばかりに。
「なんとなくでするか!?」
「ヘイローが綺麗だったから、ついそれ以上に触れてみたくなっちゃった。えへへ」
「いや、マ、マジでぇ?そりゃ…光の角度によっては琥珀色に見えなくもないけど、でも基本的に錆色のヘイローだぞ??綺麗な花とかならわかるけど、そんな口付けするような透明感は流石に無いだろ?え、ええええぇ……」
「ふふっ。カナタくんもそんな反応してくれるだね。なんか少しだけ嬉しいかな。あ、でも綺麗だったのは本当だよ?」
「そ、そうかい。はぁ……やれやれ。とんでもない来客を乗り換え先に案内してしまったな」
「えへへ。いつもはハイランダー鉄道学園の駅員として客人を案内する側だから、少しだけ嬉しくなっちゃって。でも凄いね!まさか水の上に立てるなんて思わなかったよ。これが月雪カナタとして許された規格外って事なのかな?」
「そうだと思ってるよ。こんなイレギュラーだからこそ可能としてしまった非常識なんだと俺は受け止めている。これが月雪カナタだとする」
「ふふっ、そっか…」
俺の存在証明が伝わったと思う。
こうして遠回しに。
でも明らかな規格外として。
非常識を、常識として扱う月雪カナタを。
白鳥は感じてくれたと思う。
ああ、そう受け止めてくれた。
だからこそ。
この観測者は眼を開いて『解』を求める。
ココにいる__月雪カナタに対して。
「っ…!あ、あのね…!!
カナタくん!わ、私と__!!!」
そしてドーーン!!と、空から響く。
「!!?」
「っと!これはすごい大きいな!」
とんでもなく大きな花火だ。
今日の祭りを大いに歓迎している。
「ごめん、打ち上がるところ見逃したな」
「っ!う、ううん!大丈夫だよ!だって私達が立っている水面に花火が映ったからね!」
そう言ってぴょんぴょんと水面を跳ねる。
もちろん俺の神秘によって浮いてるため川の中に沈むことはない。
彼女は打ち上がる花火と共に跳ねては暫し楽しんでいた。
「しかしさっきのは間違いなく大きな花火だったな。もったいなことしたか」
「ううん、全然大丈夫だよ」
「そうか?」
「うん!だって…!!」
白鳥は夏風に髪を揺らしながら笑う。
ここは町の光が少ない小川だから、代わりに月明かりが多く差し込む。
すると鏡のように小川が映され、そこにいる白鳥を幻想的に上と下で照らす。
思わず見惚れてしまいそうな始発点に佇む彼女は打ち上がる花火の元で。
「また見に訪れますから!」
その言葉は透明感に溢れる。
琥珀色のヘイローはより透き通っているから。
…
…
…
この百鬼夜行を始発点とする時は近い。
つづく
連邦生徒会長の名前なんだろう。
マジでそこが気になる。
明かされる日はいつだろうか。
アビドス編も気になるけどそれ以上に百花繚乱編の続編が待ち遠しいんだよ。勘解由小路ユカリの八重歯コリコリしたあと捕食したい。
また来週の投稿でな!
じゃあな!あばよ!!