なんか俺のヘイロー砕けてね?   作:つヴぁるnet

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なんか勝手に日刊ランキング上がってた。
気づいたら13位だって。マジで??

あとお気に入り2000超えてる。
こんなの久しぶりや。


第17話

 

 

季節は流れ___

 

間も無く年が明けようとする。

 

今日は大晦日、初詣のために百鬼夜行は静かながらも騒がしさを見せる。それでも雪に包まれた静寂さは今日がその日だから。騒ぐと言うより迎えるため。それぞれ目に楽しい彩りある着物を揺らしているが、今日という特別な日は今年の重みを下ろして新たに迎えるため。

 

心機一転の四文字が相応しい。

 

 

では今年の俺は大晦日を、または初詣をどうするのか?

 

去年は妹のミヤコを百鬼夜行の初詣に誘い、それから町を巡り、翌日は餅つき大会に参加して餅を頬張り、新年の始まりを送った。

 

それはとても楽しい時間だった。

また共に巡りたいと思うほどに。

 

 

しかし、今回は彼女との交流は無い。

 

俺は一人、神秘研究に使う小川に居る。

 

少しだけ町から外れたなんて事ない小川。

 

もしくは『始発点』となる場所か。

 

白鳥に神秘を見せた特別な場所でもある。

 

だが、そんな場所で俺は一人佇む。

 

町の騒がしから少し遠退きたかっただけ。

 

もう少しすれば初詣に向かう予定だ。

 

いまは少しだけ、このまま…

 

 

「カナタ、兄様?」

 

「!」

 

 

寒さの中で僅かに微睡そうになる意識が聞き慣れた真っ白な少女の声を拾うことで覚醒する。

 

しんしん、と、降る柔らかな雪の中。

 

一瞬だけ雪女が俺を深いところにまで招こうと誘いに来たかと思った。しかしそこにはいつしか、秋祭りで買ってあげた水色の羽織を厚着代わりにしている御稜ナグサの姿。

 

なぜ?

 

ココに居るのか不明であるが俺はいつも通りの雰囲気を纏いながらその元まで歩み寄る。

 

 

「どうしたんだ?珍しいな、一人で」

 

「ええと、町外れからカナタ兄様の神秘を感じ取った気がしたので、それで確かめようと少しだけ覗きに…」

 

「そうか。よく分かったな。もしくはそれだけ俺のこと意識してるのかい?」

 

「ふぇ!?意識!?ぁ、ぁぅ、いや、ええと、そ、その、ぉ…」

 

「冗談だ。でも3年間の刻を重ねて寺子屋で共に学び合っていたんだ。多少なりその人の神秘が分かるのもおかしくない。実際に俺も意識すればナグサとアヤメが分かるよ。ま、それはお互いになんだろう」

 

「う、うん、そう、だね…!私たち、3年間を百鬼夜行で共に学び合ったね。それで遊んで、お団子を食べて、ヘイローを磨いて、時々不良達に絡まれながらも三人で返り討ちにして、あと祭りとか、祝い事とか、大会とか、総合訓練とか、いっぱい、いっぱいに、三人で楽しんで……沢山だね」

 

 

そうだ。3年間も一緒にいた。

 

日数換算で考えれば1000日近くは居た。

 

良く共に、時間を共有していた。

 

この身は良く覚えているとも。

 

本当に……

本当に……

 

 

 

「感謝している」

 

「!!」

 

 

まだ歪なままだった月雪カナタ。

 

それを確立させてくれたのは環境。

 

その一端となってくれた___未熟な先駆者でしかないこの背をついて来てくれた後輩達。

 

御稜ナグサは月雪カナタの正当化を助けてくれた掛け替えのない人間だ。

 

 

 

「と、言っても、まだ二ヶ月位は百鬼夜行にいるけどな。でも卒業したらすぐだ。俺は月雪カナタを必要とする場所で己を正当化する。そのために踏み越えたい。だから。その時が来たらとても寂しくなるな」

 

「うん、そうだね……ぁっ、でも!あのね!私も頑張るよ!カナタ兄様が遠くに行っても頑張るから!真っ白な私にも貴方の琥珀色がナグサを教えてくれたから!」

 

「!」

 

「もちろん……本音を言ったら凄く寂しいよ。もっとカナタ兄様と一緒に百鬼夜行で楽しいことをしたい。もちろんアヤメちゃんも。だからまだまだ寺子屋で学んで、時には生産性のない事だって三人で。そうしてもっともっと沢山が出来たらって、沢山思っている。でもっ!!カナタ兄様が砕け散ったヘイローだろうとそれが自分だと胸を張って進むのなら!貴方に憧れている私はカナタ兄様の行先を応援したいっ!」

 

「ナグサ…」

 

「だから…だから……だからぁ、カナタにぃさまは、何処までも私達のカナタ兄様だから、頑張ってほしいって、わたし、わたし…」

 

 

積もった雪のように静かな彼女だ。

滅多に感情を荒ぶらせない。

 

でも、今はその慣れない情動の限りに涙を流しながらも、俺を願ってくれる。

 

水色の羽織を握りしめ、それでいて力強く告げてくれる、御稜ナグサという俺の後輩が。

 

 

 

「ああ、頑張るとも。俺は俺を代えるとも。このヘイローと向き合いながら。そしていつしかこの砕け散ったヘイローが、月雪カナタとしての存在証明として箱舟に刻む日まで、俺は箱舟の中で砕けないと約束する。だから安心しろ。先駆者として背を見せれる【大人】になるから」

 

「!」

 

 

二回りほど小さな少女だ。

 

触れれば簡単に折れてしまいそうな白だ。

 

だから折らないように、優しくその頭に触れて撫でる。さらさらと指の間を透き通る漂白な透明感はいつだって変わりない。たまに撫でてしまう頭はもう触れることも叶わなくなる。残り僅かな時間だけが許される。だからこの温度を忘れないように手のひらに彼女の熱を感じ、そして小指に何かが小突いた。

 

 

「コレは……簪か?」

 

「!……うん、前にカナタ兄様がプレゼントしてくれた簪。こうして着物を着飾れるくらい特別な日は付けているの。でも。まだ装飾品を嵌めてないからただの簪なの……あっ!でも!良いんだよ!コレでも気に入ってるから…!」

 

 

秋祭りに買ってあげた……と、言うより、いまナグサが羽織っている衣を買った時にオマケで渡された穴あきの簪。その穴あき部分に適当な装飾品を嵌めて完成させるアクセサリー。

 

2年近く経った今も彼女は特に装飾品を嵌めることなく着飾っている。

 

使ってくれているだけありがたいが、そのままではなんか寂しいな…

 

 

 

 

穴あき___か。

 

なんと言うか___既視感だな。

 

 

 

 

「____見たところ、半分くらいだな」

 

「え?」

 

 

 

想像を当て嵌め、目測でつぶやく。

 

 

 

「ナグサ…その簪、少し良いか?」

 

「ええと、うん……はい、どうぞ」

 

「ありがとう……よし、ナグサ、今から君に完成を願って俺からもう一つプレゼントしよう」

 

「なに、を?」

 

 

 

俺は頭の上に手を伸ばし、そして小さなヘイローを手に取る。

 

それを右手で握りしめ、同時に神秘を込めて一気に圧縮する。

 

握りしめる手元には目に見えて神秘がまとわりつくように乱回転し始めた。

 

俺はひたすらに強く握りしめた。

 

 

 

「カナタ兄様!?大事なヘイローで何を…!」

 

「浮かせている。強固とする形として。もう二度と砕け散らないと言う証明のために月雪カナタの意味をナグサに加える」

 

 

手のひらがとてつもなく熱い。

 

神秘で火傷しそうになる。

 

でもそれを手放さない。

 

込めて、込めて、注ぎ込んで、込める。

 

いつしか琥珀色の光を隠しきれないほど手の中で輝きが溢れ、神秘の圧力で手が震える。

 

 

もう少しだ。

 

もう少しで____彼女に相応しい形に。

 

 

 

 

そして…

 

 

 

「浮いた___そうだった頃の弱さと脆さを表す錆色が俺の手の中で代わることを選んだ…!」

 

 

手を開く。

 

そこには先ほどよりも半分近く小さくなったヘイローの片鱗。

 

そして後悔に染まっていた錆色を剥がし落として綺麗に輝く。

 

圧縮された石炭がダイヤモンドに変わったように、それは美しい琥珀色のヘイローとして手のひらに浮く。

 

 

それをナグサの簪に___嵌め込んだ。

 

 

 

 

「コレが俺からの特別なプレゼントだ」

 

「!、!!」

 

「ナグサに受け取って欲しい」

 

「ぁ…」

 

 

 

彼女の手を握りしめるように手渡す。

 

真冬の月明かりを浴びて光るヘイロー。

 

万華鏡のように彩る琥珀色の片鱗。

 

その簪は、何もない真っ白から__浮く。

 

 

 

「とても似合ってるよ」

 

「………うん……………えへへ」

 

 

ナグサは自分の髪を撫でるように簪に触れては何度も確かめる。指先で琥珀色のヘイローに触れては、もう寂しく穴が空いていない簪である事を実感する。この世に一つだけの証だ。

 

 

 

「ふー、しかし、イテテッ……これは強く握りしめすぎたな。手のひらが痛いや」

 

「ええと…大丈夫?」

 

「手がめちゃくちゃ熱い。まだ神秘がこびりついてグツグツしている感覚だ。あと普通に刺さって痛かった。言っちゃえば輪っかの破片だし」

 

「そう?……あまり、無理しないでね?」

 

「可愛い後輩のためだ。多少なり無茶はしたい時もある。ま、今年最後の大一番だから格好つけたってことにしてくれや」

 

「ふふっ、そうなんだね」

 

 

手をぷらぷらとさせて痛みを誤魔化す。

 

まだ熱が残っているけど放っておけばその内は落ち着くだろう。

 

そうして一仕事終えたように息を吐けば熱を帯びた白が夜空を消える。

 

真冬真っ只中、やはり寒いな。

 

 

「ナグサ、このあと初詣は行くのか?」

 

「うん。実はカナタ兄様を確かめたら神社に行く予定だったの。もうすぐ鐘が鳴るのかな?」

 

「あと20分くらいだな。アヤメは?」

 

「今年はご親族と別の神社だって」

 

「そうか。なら___俺と一緒に行くか?」

 

「!」

 

「ちょいと人混みから離れたい気分になってココに居たんだ。ま、初詣に関しても惰性で向かっていただけだから、もしその時に気分じゃなかったら帰ってたかも。そんな訳で適当にフラフラとしていただけなんだよ」

 

「……今は、行きたくない?」

 

「ナグサが一緒なら、行きたいかな」

 

「そ、そう?じゃあ、一緒にいこう?」

 

「ああ。じゃあ___川を登って行くか」

 

「え?…かわ、を?___ひゃんっ!?」

 

 

俺はナグサの両脇に手を滑り込ませると神秘を使って一気に浮かせる。フワリとナグサを抱き上げて、それで俺は片腕で位置を調整させながらこの背中に放り込み、そして納めた。

 

ナグサを背負った。

 

 

「あっ、あっ!?ふぇ!?」

 

「そんじゃ行くぞ。除夜の鐘が鳴る前に」

 

「お、お、おんぶ、っで!!?このまま!?」

 

「だって川を歩いて神社まで登るんだ。背負った方が早いだろ?」

 

「あわわ、で、で、でも…!わ、わたし!」

 

「何を慌ててんだよ。別にコレが初めてでもないだろ?過去にナグサが怪我した時とか寺子屋まで背負ったことあるし。もちろんアヤメも経験あるし」

 

 

俺は有無言わせず前に川の方まで歩き、全身に神秘を巡回させながら一歩前に出れば決まったように足裏から水面を浮いて、その水面を神秘に歩く。

 

もう随分と慣れた芸当だ。

 

子供一人、背負った程度で沈むこともない。

 

 

 

「年明けたら。最初は何食べる?俺はもちろん百鬼夜行の団子が良いかな。心残り無くなるくらいに食べたい」

 

「わ、わたしは……あま、酒?」

 

「甘酒が食べ物だって?なるほど。君はそのタイプか。つまりカレーは食べ物と」

 

「べ、別にそんな意味じゃないよ…!」

 

「じゃあ飲み物?見た目に見合わず豪快だね」

 

「ち、違うよ!」

 

 

アヤメが居ない時はナグサが標的。

 

それも背負われて逃げ場が無いと来た。

 

もちろん、俺に勝てるわけが無い。

 

こんな先輩を相手にするのは大変だろう。

 

 

 

「こんな事しといてなんだけど寒く無いか?川の上なんだ。冷たさが伝わりやすいかも」

 

「ううん。大丈夫だよ。今日は元から寒い日だから。でも、そうだね。むしろ。今の方が温かいかな…」

 

「そうかい?なら良かった。もし冷たい男だと思われたらもっと構い倒す必要があったな。人付き合いに熱い人間だってナグサに知らしめないとならないところだった」

 

「じゅ、充分だよ…!この3年間で沢山!沢山の沢山だから!」

 

「冗談だ」

 

「ぅぅ、もう……あ、でも、その…むしろ…わたしは…冷たくないかな?」

 

「あったかい。女性特有の高温体質だ。背中から控えめながらポカポカする……けど、遠慮気味に預けられてるからまだ寒いな。隙間風が冷たい」

 

「!………その…髪の毛は、冷たいかもよ?」

 

「さっきヘイローで握力テストしたんだ。逆に顔が温まっている。むしろヒヤリとするなら丁度良い」

 

「……………んっ…」

 

 

背負われても遠慮気味だったナグサだが、コチラの首元に回した細い腕を更に奥まで滑り込ませると体を引きつける。

 

そして遠慮気味に空いていた背中に彼女の体が広く触れる。

 

そうして完全にナグサの全てを預けた温度が背中から伝わり、全身を全身で受け止める。

 

そして肩に彼女の頬が乗っかり、その時に冷んやりとした髪の毛が触れるがナグサの真っ白な香りが鼻をくすぐる。

 

 

彼女の吐息。

 

真夜中を白く染める。

 

 

同時にトクン、トクンと背中から小さな体から大きな鼓動として伝わり、足元に流れる川の音で流される。しんしんと降り注ぐ雪は周りの川岸を白く染める。頭に浮かぶヘイロー達も雪を被ってはクルクルと回り、その白さを払う。

 

しかし背中に感じる真っ白な少女は。払われることも、落ちることもなく、この神秘によって共に浮いている。下流に流れる川の流れを逆らいながら共に登り詰める。

 

一歩ずつ。一歩ずつを確かに。

 

白い息をその場に置いて進む。

 

 

月と雪。

 

琥珀色のヘイロー。

 

この世にただ一つだけの簪。

 

真っ白な雪に劣らない、純白の少女。

 

箱舟から浮いた、規格外の憑依者と。

 

百鬼夜行でその存在を最後に証明する。

 

間も無く、今年が終わるから。

 

そして、その始発点を超えて行くから。

 

 

 

「ナグサ」

 

「……んっ?」

 

「今年だけじゃない。全てありがとう」

 

「…………うん。わたし、も………」

 

 

 

 

 

 

 

沢山をありがとう___カナタ兄様。

 

 

 

 

 

 

 

 

その真っ白に、琥珀色を込めて___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタンゴトン。

 

ガタンゴトン。

 

 

 

 

 

ガタンゴトン。

 

ガタンゴトン。

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____んぁ……ぁぁ?」

 

 

 

 

__夢______か??

 

 

 

微睡から目が覚める。

 

背に伝わっていた『熱』は気のせい??

 

今はクッションに広がる自分の温度は分かる。

 

それほどに背中を預けて落ちていたか。

 

しかし夢だろうと覚えている。

 

あの真っ白から伝わる温度。

 

それは雪の中だからこそ…確かだった。

 

 

 

それでも…

 

少しだけ寂しく感じるのは気のせい___

 

 

 

 

 

シュポ、シュポ

 

 

 

「…」

 

 

 

シュポー、シュポー

 

 

 

「…」

 

 

 

シュポポー、シュポポー

 

 

 

「…」

 

 

 

 

そして耳元で何者かが、囁く。

 

その声から気怠さが感じられて仕方ない。

 

お陰で意識が覚醒してきたが。

 

 

 

「____捻り潰すぞ、シュポガキ」

 

「むー、暴力だめー」

 

 

 

記憶に苦い知り合いが、隣に一人。

 

そして頭を抱えたくなるような目覚め。

 

 

てか、コイツこの電車にいたのか。

 

……と、いうより、片割れは?

 

 

 

「一人で珍しいな。迷子か?」

 

「路線に迷子は無いなーい。あとノゾミは別路線にいるよー、なにせ今日は珍しくボッチ・ザ・ロックの無限列車編の巻。されど一向に改善されない人手不足に今日もハイランダーは悩まされるのだ。ボッチちゃんは逃げても煉獄さんは逃げなかったのにー」

 

「そんな無限列車編があってたまるか…」

 

「なので、お眠りなさーい。今なら特別サービスとしてASMRでシュポシュポと囁くよ。シュポシュポ、シュポシュポ」

 

 

 

なんとも緊張感のない車掌だ。

 

おい、コラ、もう良いって。

 

耳元に顔を近づけるな。

 

 

 

「そんで何用だい?」

 

「切符の拝借をー」

 

「いや俺、電子マネーなんだけど」

 

「むー、むー、百鬼夜行住まいの癖にアナログを大事にしなとは何事かー、この若者がー」

 

「デジタルに甘えて何が悪いし。それと俺はもう百鬼夜行に住んでないぞ?いま引越しの最中だ」

 

「むー?()()を捨てた系男子ぃー?」

 

「別にそんなつもりは無い。てか俺は百鬼夜行に引っ越してきた人間だから捨てた扱いは少し違うな。もちろんあの自治区は故郷のように居心地は良かったよ」

 

「ふむふむ?なら元は何処に添えててー?」

 

「ええと…たしかトリニティだったか?ギリギリそこの管轄だったような…いや、あまり覚えてないな。でも世間の目が厳しい環境だったのは覚えてる。貴族主義と言うか、まあ普通以下の人間にとっては何かと息苦しい場所だった」

 

「トリニティはハードモード。心の弱い者から脱線する天使もどきの羽。僅かでも虚栄心を飲み込んで改札口を通らなければ拒否られれてパキャキャと片道の終点行きー、もしやお兄さんは羽の折れたエンジェルさん?」

 

「どうかな。折れると言うよりは砕けると言った方が正しいかもだが」

 

「ではお兄さんは荒地を踏みしめた百鬼夜行の鎌倉武士。ふむむー、なるほど。煉獄さんタイプだったのかー。逃げずに戦ったお侍さーん」

 

「だと、良いけどな」

 

 

とりあえず切符はないのでスーパーの適当なレシートを渡したらカチンと切ってくれた。

 

……コイツ実は暇では?

 

何が人手不足なんだろうか。

 

 

 

「切符拝見、ありがとうございまーす」

 

「どうも。あと特別なサービスは不評らしいからもうするなよ」

 

「パキャキャー」

 

「わかってんのかな…」

 

 

 

両耳に両手を添えながら車両から車両に移る。

 

ええと、名前はヒカリだっけ?

 

とりあえずシュポガキの片割れであるヒカリは役割を果たして次の仕事のために姿を消す。

 

 

……余韻すら消し飛んだ目覚めだ。

 

せっかく甘い追憶に身を預けていたのに。

 

 

 

「まっ、あまり過去に思い馳せてるとアヤメに女々しい男と思われるな」

 

 

時間を確認する。

 

ちょうどお昼時だ。

 

俺は床の荷物から駅弁を引っ張り出し、目の前の背もたれに固定されているテーブルを引っ張り出し、そこに駅弁と割り箸を置く。

 

輪ゴムを外し、蓋を開ければ良い香り。

 

 

 

「おお!さすが百鬼夜行の…!」

 

 

彩豊かな食材。

 

見ているだけでも楽しい。

 

これを更に食せるとは……美しい。

 

 

 

「いただこう…!」

 

 

 

割り箸を割いて……いざ!

 

頂きま___

 

 

 

「じーーーーぃ」

 

「……」

 

 

視線を感じ、見上げる。

 

すると目の前の席。

 

背もたれの上から顔を出してコチラに覗いてくるのは、一人の少女。何処かしら目にハイライトが無く、わずかながら虚無感を漂わせていたりと明らかに普通じゃない者だと見ただけで分かるため、思わず箸を止めてしまった。

 

え?誰??

 

 

「えへへへ、苦しいですよねぇ、虚しいですよねぇ、空腹は余裕を奪いとり、理性を忘れた獣と化しますぅ…その末路は虚しく悲しい限りですよねぇ…ぅえへへ……だから美味しい香りに釣られてもそれは自然なことだと思いませんか?煉獄さぁん」

 

「ふぁ!?なんだこのお嬢さんは!?」

 

 

 

思わず駅弁を回収して脇に隠す。

 

マジで気配無かった。

 

え?マジで何者やコイツ??

 

 

 

「だ、誰…?」

 

「あぅぅ、すみましぇん…良い香りが空腹を刺激してしまったのでぇ…えへへぇ…自制心が足りない証拠ですよねぇ…ダメですよねぇ…辛いですよねぇ…でも空腹で朽ち果てるのは嫌ですねぇ…」

 

「なら食えばいいだろう」

 

「はっ、まさかそれをですか!?」

 

「いや、自分で持ち込んだヤツを食えよ」

 

「うわぁぁぁん!なけなしのお金で買った後に駅のお手洗いに忘れたんですよ!煉獄さぁん!」

 

「それは不幸だな!あと俺は煉獄さんの名前じゃねぇよ!」

 

「うわぁぁぁん!じゃあ村田さんで!そして私は一人侘しく孤独のボッチちゃんでぇ!!」

 

「よくわからんけど山海経のケモ耳 *1に謝れ!」

 

「じゃあ謝りますぅ!」

 

 

じゃあ、ってなんだよ。

 

あと騒がしいなオイ。

 

この車両には俺とこの娘しかいないみたいだから今のところ大丈夫だけど、まずこの状態が大丈夫じゃない。

 

いやでも___本当に驚いたな。

 

意識してないとは言え、何一つ神秘を感知出来ないなんて…この娘、何者だ??

 

 

「うわぁぁぁん!もやしの入った袋を置いてきてしまいましたぁ!何もないですぅ!」

 

「コレはひどい……」

 

 

どうやら、もやしが彼女のお昼ご飯だったらしい。

 

別にそのまま食えなくはないと思うが、しかしそうしなければならない程に彼女の手元は余裕がないみたいだ。やれやれ…

 

俺はリュックサックのチャックを開けると中身をガサゴソと漁り、ビニール袋の音をパキパキと鳴らしながらとあるもの引っ張り出す。

 

 

「ぁぅ?」

 

「小腹のために買っておいた海老カツサンドだ。コイツで良ければ、あげるけど?」

 

「その大盛り駅弁が欲しいですぅ!」

 

「図太いなコイツ!?」

 

「うわぁぁぁん!あと汗拭きシートとかありましぇんか!この遠征訓練中に全部何処かに忘れちゃいまして!一昨日から何もかも虚しさと共にお無くなりましたぁ!」

 

「うへぇ…ここまで来ると清々しいな……あー、うん、はいはい、わかった。わかったから、もう喚くな。汗拭きシートもあるし、上のキャリーバックにも新品のタオルがあるから化粧室でケアして来い。駅弁も残しておく」

 

「う、うぇへへへぇ、虚しさの中にも救いはあるんですねぇ…!ありがたいですねぇ…」

 

 

駅弁の蓋を閉じ、輪ゴムで締め、上のキャリーバックから必要な道具を引っ張り出して、目の前の席にいる娘に使い切って良いことを告げて渡す。そうして嬉しそうに車両端にある化粧室まで駆け込んだ。

 

と、言うよりまた初等部…いや、中等部か?

 

ともかくキヴォトスって本当にフィジカルウーマン多いな。

 

まあ荒事がデフォルトな世界ゆえに自立能力が早い…と、言うより早めなければならない。

 

守られてばかりでは生きていけない。

何とも弱者にとっては惨たらしい世界だ。

 

しかしそんな世界でも殆どの大人が子供の味方となってくれる百鬼夜行とか、子は宝のスタンスで発展を行う山海経とかはかなり環境が良すぎる。しかしキヴォトスではそれが異質寄りな環境であると来た。この世界おかしい。

 

しかしそう扱われるのは、世界では子供を食い物とする大人で蔓延っているため。そのため未成年者の貧乏くじの引き方が半端ない。だから弱い奴のままでは生きていけないそんな箱舟になっている。キヴォトス終わってんな。

 

だから先程の娘だって何かに追われてしまってああなっているのか。

 

百鬼夜行ではそうあまり見なかった背景だけど俺がコレから行く先はそんな場面で多くなるのだろう。

 

アヤメ曰くロストタウンとかに生徒が集っては組織を作ってるケースは日常的だから気をつけな、とアドバイスを貰っている。

 

百鬼夜行がヌルゲーとは言わないが身構えておく必要は大いにあり。

 

そして俺はコレから腰を構える場所によってもっと接触する可能性も大いに増え……

 

 

 

「えへへ、ありがとうございますぅ、たくさん使っちゃいました」

 

「お、おう……めっちゃ減ってるやん」

 

 

一応汗拭きシートは新品のを渡したんだが8割くらい減っている。

 

随分と念入りに使い込んでくれたらしい。

 

 

もう良いよ。

 

なんならそれあげるから。

 

 

「えへへ、お優しいですねぇ…お心遣いが暖かいですねぇ…嬉しいですねぇ…くんくん…香料のメントールでいっぱいですぅ…2日ぶりにお身体がスッキリしましたぁ…えへへぇ…だから…ちょっとしたお礼としてなんですが…ええと…そのぉ……雑誌で読む限りだとこの場合は…ぅぅ」

 

「?」

 

「すぅぉ…そのぉっ…!きょ、今日限りになるですが…!も、も、もし優しくしてくれるのでしたら…わっ…!わたっ…!わたしをあげますぅぅぅぅう!!」

 

「何処かで聞いたことあるバレンタインのセリフだなオイ!?例えるなら世紀末覇王に土を付けた怒涛なウマの方!」

 

「はひぃ!バレンタインということはチョコレートもあるですかぁ…!?うぇへへ…食後のおやつも頂けるなんてぇ…やはり一期一会にロマンがある電車は最高ですねぇ…」

 

「その図太さが今日この日まで食い繋いで来たんだろうな……と、いうよりチョコレートなんてあったかなぁ………あったわ」

 

「えへへぇ、早めのホワイトデーですねぇ…」

 

「はいはい。もうそういうことにしておけ。とりあえず駅弁はココに取っておいたから食べて良いぞ。俺は名残惜しくないよう発つ前に朝多めに食ったからな。正直サンドイッチでも足りる」

 

「!!……その…本当に、良いんですか?」

 

「良いよ。俺もコレまで助けてくれた人達がいたんだ。なら俺もそっち側の人として立てるように振る舞うさ。だからコレは一期一会のロマンにあやかった施しってヤツだ。チョコレートも遠慮なく食え。お茶も自販機でさっき買っておいた」

 

「ッー!!あっ…あ……ありがとう……!」

 

 

彼女は駅弁を受け取ると前の席に戻る。

 

そして発泡スチロールのパキパキとした音。

 

割り箸の裂ける音と、駅弁の香り。

 

俺も海老カツサンドを開封して食事を__

 

 

 

「あのっ」

 

「?」

 

「ご、ご一緒に食べませんか?虚しくて、寂しくて、冷たいことは多いですが、でも皆と食べるご飯は冷たくても暖かいので…えへへっ」

 

「……なら、椅子を回しな。背もたれに付いてある折り畳みテーブルは使えないけど、まあ容器は丈夫だし、片手で持っても折れたりする問題はないだろう」

 

「うぇ?電車の椅子、回るんですか?」

 

「知らないのか?家族連れとか。あと身体が不自由な人のためにも電車の椅子は回るようになっているんだよ。回すためのレバーが足元にある筈なんだけど…まぁ、俺がやるから一度見ておきな。駅弁とお茶は避難させておけ」

 

「はいですぅ……えへへ…」

 

 

それから椅子を回して向かい合わせる。

 

するとズッシリとしたリュックサックだ。

 

いや、普通のリュックサックじゃないな。

 

遠征向きの丈夫な奴だ。

ミリタリーバックパックってヤツか?

 

めちゃくちゃ雑誌が飛び出しているけど。

 

 

「もぐもぐ…おいひぃ…おいひぃ…もぐもぐ…おいひぃよぉ…おひいぃでふぅ…」

 

「ゆっくり食え。そんで持って多く噛め。消化が悪いと駅弁が多くても満腹にならない」

 

「うはぁい……もぐもぐもぐもぐ…」

 

「子供か。いや、子供だったな」

 

 

俺も海老カツサンドを開封して食べる。

 

肉厚の良い食感を楽しむ。すると目の前から視線を感じる。駅弁を頬張りながらもそれはもう欲しそうに強めの眼差しを飛ばしていたので結局半分だけ渡して俺の昼ごはんはめっきり減ってしまう。まあ到着したら追加で何か食えば良い。どうせあと1時間で着くだろうから。

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

「むにゃ…むにゃ……うぇへへ…」

 

「満腹になって寝たか」

 

 

幸せそうに涎垂らして眠っている。

 

あとメントールの香りも目の前からする。

 

いたれり尽せり、ってヤツだな。

 

ま、俺も百鬼夜行でそんな感じだったが。

 

なんなら既にホームシックすら感じる。

だってあの場所良すぎるんだもん。

 

 

 

「しかし、コレも彼女の願いだ。箱舟を箱舟として認識する月雪カナタを必要とする。コレから起こりうる『解』の数々を視るためにも…」

 

 

電車の窓の外を見る。

 

少しずつ町に近づいている。

 

ただし、百鬼夜行とは雰囲気が違う。

 

だから町と言うより街なのかも知れない。

 

 

「……少し寝るか…」

 

 

シュポガキのせいで眠気がおかしな方向に飛んでいったが、少し食を取ればまた眠くなる。

 

俺は目を閉じて浅く眠りに着く。

 

電車の揺れを感じながら、あと目の前から聞こえる寝息も交えながら、今だけは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチャリ____

 

 

 

 

「っ…??」

 

 

 

肌に伝わる空気。

 

キヴォトスだからこそ聞き慣れた音。

 

それらが穏やかな雰囲気を一変させる。

 

身を守ろうとする意識は完全に覚醒する。

 

 

 

「ひゃ、起きちゃいましたか…!」

 

「……へ?」

 

 

コチラの目覚めを察する声が至近距離から聞こえる。すると目の前から制汗剤のメントールの香りが漂い、同時に膝上にひ柔らかくもズッシリとのしかかる感覚は現実だと訴える。そして俺は目を見開く。

 

 

「!!??」

 

「う、へへ…」

 

 

目の前には___少女の顔だ。

 

そして水色の前髪から覗き込むのは悲壮感を漂わせるハイライトの薄まった眼。

 

同時に座席シートを後ろ限界まで倒されると俺はそのまま押し込まれてしまう。

 

まるで逃げ場を無くすような形で少女は俺の上に馬乗りになり、密着していた。

 

 

それよりなんだこの状態は!?

もしや寝込み襲われてるのか…!?

 

 

 

「し、しー、です…!!き、緊急です…!」

 

「は、は…ぁ??」

 

「前車両が騒がしいです…!怖いですねぇ…」

 

「さ、騒ぎ…?な、何事だ?」

 

 

 

奥から ダダダダッ!と弾ける音。

 

 

今のは前の車両からか?

すると真上に弾が何発か通り過ぎる。

 

え?え??

 

 

「す、すみません…寝込み襲う形になりまして…でも流れ弾が怖くてですねぇ…無防備に撃たれると大変ですから…すみません…でも起こされるならリーダーのような美人さんが一番良いですよねぇ…でも今は私しかいないので…モーニングコールは私で我慢してください…」

 

 

どうやら荒事をいち早く察知した彼女__槌永(つちなが)ヒヨリは流れ弾による被弾から守ろうとするため、俺を押し倒す形で座席シートを後ろに倒して息を潜ませていた。そのために馬乗りだった。びっくりした。

 

すると前の車両から客人たちが何人か慌てるように逃げ出し、後ろの車両に逃げていく。

 

どうやら荒事は本当のようだ。

 

 

「武装は?」

 

「私のですか?椅子の下にあります…」

 

 

弾幕が止んだタイミングで俺はヒヨリから解放されると、俺は腰からサイレンサー付きハンドガンを取り出し、ヒヨリも椅子の下から等身の長いスナイパーライフルを引っ張り出す。

 

 

 

「迎え撃つにしても取り回しキツイだろ」

 

「確かにそうですねぇ。でも直線的である以上はある意味として有利にもなります。その代わり狙撃ポイントを変えることは不可能ですねぇ…」

 

「いつでも逃げれるようにしておけよ。それと前車両の騒ぎはアレか?誰かが暴れているのか?」

 

「みたいですねぇ…ぅぅ…久しぶりに満腹のまま気持ちよく眠れていたのにぃ…うわぁぁぁん」

 

「キヴォトスは空気を読まないから」

 

「読むのは雑誌だけにしてくださぁい!」

 

 

せっかくの至れり尽せりタイムだったのにそれを邪魔されて流石に泣き喚くヒヨリ。

 

なんだか可哀想になってきたな。

 

頭をポンポンとして慰めていると奥から見知った顔の者が一人逃げてきた。

 

 

「お前ら、ひなんしろー」

 

「ヒカリ、無事だったか。そんで?コレってつまりそう言う事なのか?」

 

「キセル行為を注意したら暴れられたー、あのガキどもめぇ。こんなことがあるから喫煙車両の一つは作ろうと言ったのに。これはやはり私自らがCCCに入って改革を促さないとだめだなー」

 

「うぇへへ、中央管制センターとは大きくでましたねぇ…夢はいいですねぇ…でも私には程遠いですねぇ…」

 

「なので避難の準備だ。最後方車両には一人用のポットもあるぞー、なので急いでココから__」

 

 

 

パーン!!___と、音がする。

 

限られた空間だからこそ良く響く。

 

 

 

「!?」

 

 

すると目の前にいたヒカリは車掌帽子を吹き飛ばしながら床に倒れた。

 

 

「ヒカリ!?」

 

「お兄さぁん!この車両に入ってきました…!」

 

 

ヒヨリの焦る声。

 

目の前の通路には倒れているヒカリ。

 

 

「ぐっ…ぅぅ…」

 

 

キヴォトス人だけあって生きているが、しかし本人の神秘濃度がそこまで高く無いのか大きなダメージとしてうずくまっている。

 

それに当たったの頭だろうか?

 

「ひ、なん…し…て…」

 

「!」

 

 

それでも薄く開かれたヒカリの目は俺たち乗客に避難を強く促す。

 

そんな視線を震える意識の中で送っていた。

 

 

普通なら__乗客の俺達は従うべきだろう。

 

乗客の身を案じてくれてるから。

 

 

でも、だからと言ってこの場を退くのか?

 

悪いけど……俺は避難を選ばない。

 

 

 

「ヒカリ、手を伸ばせ…!」

 

「っ!?……ッッ…」

 

 

俺は倒れているヒカリに手を伸ばし、その小さな手を掴むと俺の神秘を使ってヒカリを軽く浮かせ、コチラの方へ一気に引き込んだ。

 

その後、ヒカリを前車両から隠す形で席に座らせ、ヒヨリにバックパックを遮蔽代わりにヒカリの姿を隠すように指示する。

 

 

すると前車両から荒くれ者が顔を出す。

 

よくありげなスケバンだ。

 

キセル片手に蒸かしながら我が物顔で通路を歩いている。

 

あと体格的に高等部か?

そこらの中等部とかよりも強そうだ。

 

 

 

「そこまでだ、スケバン娘」

 

「ああん?なんだぁ?お前ぇ?」

 

 

 

俺はハンドガンを握り、相対する。

 

 

 

「俺か?ただの駅弁のレビューアーだよ。食事後の睡眠もこよなく愛しているんだが騒がしくて起きちまった」

 

「はん!なら良い目覚ましだろ?ぶっといマグナムで耳の中がキンキン響く。それよりもココの車掌さんを知らねぇか?全員取っちめて分らせないとならねぇからな。誰がこの電車に乗っているかをなぁ!」

 

「そんなのしらねぇよ。どうせ車内でキセル禁止を食らってピーピーと喚いてる良くありげなガキだろ?聞き分けのない子供だ」

 

「ああん!?誰がガキだぁテメェ!?ガキはテメェだろぉ!?あっ?なんだぁ??ぐちゃぐちゃに痛い目に会いたい見てぇだなぁ??言っておくがワタシはコレでも合同火力演習では一位になった事ある実力者だぞ??あまりの世間知らずに吠えてるんじゃあこの先を生きていけねぇな田舎もんのクソガキがヨォ…」

 

 

そう言ってキセルを口元に持っていく。

 

すぅぅ…と、口に含もうとした瞬間だ。

 

俺はトリガーを引いて弾を放つ。

 

___キセルをパリンと砕いた。

 

 

 

「___ぁ?」

 

 

「趣味の悪いキセルだな。なんだそれは?品がないと言うか。贋作と言うか。百鬼夜行の外にある嗜好品って外装がお粗末なのか?それともお前自身がお粗末だからその程度の物で満足してるのか?はっ、コレではどっちが世間知らずわからないな。憐れに、かつ、哀れだ」

 

 

「ッッ!!!て、めぇ、エエエエ!!!」

 

 

「来いよ。百鬼夜行仕込みの強さに畏れをなさないなら怖いもの知らずも美徳だろ?」

 

 

「難しい事吠えてるんじゃねぇ!!お前は何度でもガタガタに叩き潰してやる!!」

 

 

頭に血管を浮かべ、目玉をひん剥いて怒り狂うスケバンは足元に落ちたキセルを踏みつけながら俺の方にマグナムを向ける。そしてスケバンはそのままトリガーを弾こうとして__

 

 

 

ズパーン!!!__と、スケバンは頭を撃ち抜かれてしまう。

 

真後ろから聞こえた音だ。

 

 

 

 

「良くやった____ヒヨリ」

 

 

「うぇへへ…」

 

 

 

意識外からの一撃にスケバンは白目を剥く。

 

その隙に俺は神秘を全身に稼働させる。

 

そして、一歩前に踏み込む。

 

足裏に溜めた神秘を解放して__

 

一気にその場から弾け飛んだ。

 

 

 

 

「___は、ぅ、ぇぇ?」

 

 

 

意識が飛びそうになっていたスケバン。

 

俺の姿を捉えようと焦点の合わない眼で追いかけようとする…が。

 

 

しかし、既に遅い。

 

俺は右足はスケバンの顎下を捉え__

 

 

 

 

「しばらくキセルは控えておくんだな」

 

 

 

 

 

車両の天井を大の字に凹ませた。

 

 

 

 

 

つづく

 

*1
中の人がそう






まさか自分から簪にヘイローを嵌め込んでナグサに渡すとかカナタくんもそれなりに重たい男だったらしい。お前どれだけ後輩達の脳を焼けば気が済むんや。まあそのための作品なんで。ブルアカなんざ俗物に塗れた方が倍気持ちええんじゃ。ぐへへ。


いま日曜日分書いてるので更新は未定です!

なので気長に待ってて欲しいですぅ!

え?書け?

良いから書け?

とっとと書け?


うわぁぁぁん!!!

じゃあ書きますぅ!!!


《追記》

書けませんでしたぁぁ!!
やはり虚しいですねぇ…
でもそれがハーメルンですから…
うぇへへ…
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