なんか俺のヘイロー砕けてね?   作:つヴぁるnet

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土曜日分

ココからSRT特殊学園、編。
まあそんなに長くはならない筈。

尚、作者は軍事用語をそう知らない模様。
へけっ!



第18話

 

4時間程度の移動だったが、久しぶりの長時間の乗車で体が固まって伸びが気持ち良い。途中迷惑客の制圧で体を動かせたから困るほど固まってはいないが、普段電車などに乗らないためこの体は然程慣れていない。しかしコレからの所属先によっては乗り物に多く乗るようになるのだろう。地上だけではなく恐らく空もだ。ヘリとかあるのだろうか。

 

 

「遠征訓練、頑張れよ。ヒヨリ」

 

「はぁい、お兄さん。うぇへへ、人生は虚しいことばかりですが…今日の出来事はその中にある幸福なんだと思います。だから本当に色々とありがとうございました…!ぅえへっ!」

 

 

両手に多くのペットボトルのお茶を抱えながら満足気にぺこぺことする槌永ヒヨリ。お見送りとばかりに電車の入り口まで着いてきたが、電車内の入り口付近に置いてある自販機をチラチラ見るもんだから行先の餞別として仕方なく買ってあげたヤツだ。

 

まあ一応、スケバンの額に援護射撃してくれたお礼も込めて餞別とばかりに渡した。

 

そしたら、これと!これに!コレ!あとこれも欲しいです!って感じに強請られた。

 

最後まで図太かったな。

 

 

それから窓際に座る彼女に手を振り、彼女もコチラに手を振って見送る。

 

シラトリ区の先はトリニティだったか。

 

彼女は一体どこまで行くつもりだろうか?遠征訓練と聞いてたからあまり尋ねなかったが。

 

 

 

「ま、あの図太さならなんとかなるだろう」

 

 

 

リュックサックを背負い、キャリーバッグをガラガラと引き、案内板を頼りに改札を出て指定された出口の方まで歩く。

 

駅の外に出ると百鬼夜行とは違った光景が俺を歓迎する。

 

通行人の服装やら、あと雰囲気やらも、毛色が違って色々と目新しく感じてしまう。

 

新天地に来たんだと実感する。

 

 

 

「月雪さんでお間違い無いですか?」

 

「!」

 

 

隣から声をかけられる。

 

ヘイローを浮かべた女性だ。

 

格好は……ヴァルキューレの者じゃないな。

 

 

 

「はい、本人です。月雪カナタです」

 

「かしこまりました。コチラです」

 

 

特段会話もなく名前だけで承認。

 

俺はその後ろをついて行く。

 

ロータリーの脇に止めてある一台の車。

 

なんてことない中型バスだが、そこには俺と同じように案内を受けた者達で集っている。

 

そして当然のようにヘイロー持ちの女性生徒だけ多く集っている。俺含めて10人か。

 

どうやら男友達は望めないようだ。

 

そんでもって……

 

 

 

「だ、男性…!?」

「嘘?…あ、ほんとだ…」

「ヘイローがある……え、あるっ…!?」

「なんかボロボロに砕けてない?」

「また変な奴が来たわね…」

「ふふっ、面白いヘイロー……」

 

 

 

そしてこの反応である。

 

別に初めてでも無い、この展開も。

 

それでも百鬼夜行とは違って反応が露骨に現れてる辺り、環境がガラリと変わったんだなと少し遠い目をする。

 

やっぱり百鬼夜行しか勝たんよな。

 

引っ越す際もワカモがわんわん泣きながらも見送ってくれたくらいだし、あの場所は人情に溢れててもう恋しさすら感じる。

 

 

それから招集が完了し、バスに乗り込むとシラトリ区から街離れた場所に移動する。

 

バスの中で案内から軽い説明を受けつつ、俺たちが行先はこのバスで間違いないことを察して緊張感が増して行く。

 

 

「……」

 

 

バスの中を見渡せばほとんどが高等部上がりたてのピカピカの一年生。中には二年生や三年生らしき生徒も何名かいるが比率的には一年生の方が多い。まあ学年がどうでアレ皆も俺のように推薦を受けて来たのだろう。

 

なのでココの者たちが同期になるか、それとも途中で(ふる)い落とされてしまうか、それはこの先で色々と決まる。もしくはもう既に試験は始まっているかも知れない。あまり不安気な雰囲気は漂わせないように堂々と振る舞うべきか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスの移動中に案内人から頭のヘイローに付いて色々と尋ねられた。

 

それは本物か?

それは機能しているのか?

キヴォトス人で合っているのか?

 

当然の質問である。

 

多少なり濁しながらもほぼYESと答える。

それに対して訝しむ生徒もいる。

 

やはりこの世界で男性がヘイローを浮かばせるのはイレギュラーなんだと、そして同時に百鬼夜行のおおらかさにひたすら助けられていたんだとしみじみ思いながら、バスは止まった。

 

案内人の後ろをついて行く。

 

周りを見渡せば街から外れた何処かの区域であり、自然の中に囲まれている事がわかる。

 

まるで軍事基地だ。

 

所々改装中なのはまだ完成してないという事だろうか?それでも格納庫に戦闘機や戦車が置いてある辺り軍用は進められている証拠。つまり整備士とかは既に配置済みで、後はこの組織の花形となる兵士が必要と言うわけか。

 

しかしその花形になるかは俺達は次第。

 

急に重役だな。

緊張感のあまり震えてる者もいる。

 

そうやってキョロキョロと見回す毎にクルクルと頭のヘイローを回り、それもまた周りから珍しがられながら歩みを進めるとブリーフィングルーム前に案内された。扉を開ける。

 

 

すると…

 

俺達以外にも入校生徒がいたのか、椅子に座って待機していた。

 

 

まあココでも当然…

 

 

 

「あ、あれ?」

「え??男性…?」

「大人の……人でもないみたいね」

「ありゃ?どういう事ぉ??」

「ひゃぁぁ…こりゃまた不思議なぁ!」

 

 

もうお腹いっぱいのリアクションだ。

 

 

ZERO、俺はあと何回…

あと何回、驚かれれば良い?

前任者(ZERO)も何も言ってくれない…

 

いや前任者がZEROシステム扱いってそれなんてアイン君なん?やってる事やばいって。

 

 

改めて周りを見渡す。

 

ざっと見て入校生徒は全20名である。

 

そして殆どが高等部の一年生。

 

もちろん俺を除いて他は女性生徒だ。

 

様々なヘイローが浮かんでいる。

 

そうやって互いに牽制しながらも各々適当に荷物をテーブルなどに置き、適当な椅子に座って待機する。

 

俺も他生徒から視線を受けながら席を適当に確保して、キャリーバッグを脇に置いてリュックサックをテーブルの上に広げる。

 

 

「はぁ…疲れたぁ…」

 

慣れない長距離移動に疲れた。

 

しかもその過程でシュポガキASMRにメントール駅弁娘、あとキセル不良の退治だったりと安全な経路にならなかった。やっぱりキヴォトスって治安そのものが終わってるわ。

 

ドッと疲れが出るのと同時に喉が渇いた事を思い出したので荷物の中からペットボトルのお茶を取り出すと蓋を開けて喉に流し込む。

 

 

「…」

「…」

「…」

 

 

 

そして、視線を感じる。

 

まるで教室に迷い込んで来た野良猫に対して集まる視線のようだ。それがヘイロー持ちの男性となるとその視線は大いに増す。俺はどうやら野良猫以上の扱いらしい。

 

ま、俺的にはこの教室にいるケモ耳に視線を向けていたいのだが、視線がコチラに集まっている中でのケモ耳の観察はリスクだ。

 

ケモ耳観察と言えども女性を見ることになる訳だし。なので大人しくしておく。

 

それならスマートフォンの時間を確認しながら首をコキコキと鳴らし、頭を傾ける度にヘイローは重心に従ってクルクル、ユラユラと惑星のように回る。

 

ちなみに12個あったヘイローもナグサに一つ渡したので現在は11個だ。

 

それでも充分に多いし、普通に目立つ。

 

 

 

「む、百鬼夜行のお茶の方が美味いな…」

 

 

ま、目立つと言っても視線の数々は既に慣れてることなので、そう気にならない。

 

やっぱり注目するかぁ、程度の感覚。

 

もうこの3年で慣れた。

 

だからこうしてペットボトルのお茶を吟味出来るくらいには余裕がある。

 

しかしこのお茶、舌が慣れない。

 

量産型の飲料水とは言え、ちゃんと急須で淹れたお茶はやはり別格なんだと再確認。

 

故に、舌周りが既に恋しさを感じていた。

 

早く荷物届かないだろうか。

 

百鬼夜行でまとめたダンボール箱に急須とか湯呑みが入っている。あと百鬼夜行産の特級茶葉と山海経産の特急茶葉も。移動前にめちゃくちゃ購入した。はやく一息付きてぇ。

 

 

「あなた、百鬼夜行連合学院…から?」

 

「そうだよ。と、言っても学舎は寺子屋だから学園のように大きなところは通ってない。あと今年で高等部。だから百鬼夜行の学院生と言われたらそうじゃないな」

 

「そうなのね。あ、わたしは__」

 

「___トリニティだろ?翼でわかる。あとそのポーチに貼ってある紋章はパテル派か?進学先を蹴ってコチラの方を選んだのか」

 

「!!……良く、分かったわね?ええ、その通りよ。元々は卒業後にトリニティに進学後パテル派へ所属する予定だった。でもコチラの方から推薦があったので蹴ってきたわ」

 

「フットワーク軽いんだな」

 

「ええ、まぁ。けれどそれ以上にね、あんな脳が死にかけた組織なんかに入る価値なんてないと考えたからよ。私はね、私のために道を選びたいの。だから…こんなのは…」

 

 

彼女はそういうとポーチに貼られたパテルのマークを千切り取ってゴミ箱に投げ入れた。

 

 

「ありがとう気づかせてくれて。これで全部大丈夫だわ。あと私がトリニティだからとかあまり気にしないで。()()()()()()のだから」

 

 

 

そう言うと……周りの視線が微かに重くなる。

 

ああ、なるほど。

 

この世界では()()()()()()だったな。

 

 

 

「そんな認識で無くても良いと思うけどな。この推薦は連邦生徒会のモノだろ?キヴォトスという箱舟のために力を貸して欲しいと招集しているんだ。だから捨てると言うより、必要とされたために発ったと言うべきだ。それが己のためであっても推薦自体は連邦の頼みなんだから、そこに頷けたのなら人として立派だろ。ココに選ばれた事を誇れって」

 

 

「「「「___!!!」」」」

 

「あなた…不思議な人なのね。ええ。それは勿論考えたわ。選ばれたことは誇りだもの。でも心の隅にあるのよ。パテルなんてキャリアは別にどうでも良いけれど、生まれ故郷を…何より自国を置いて来てしまったこの負い目に踏ん切りを付けきれない自分がいるのでは、と…」

 

 

この世界では『学校=国営』である。

 

そして生徒は国の『管理者』でもある。

 

なら『所属』を変えると言うことは『自国』を放棄したことになる。

 

それがたとえ連邦生徒会の推薦に導かれたからと言っても、自身はその国を捨てたと考えてしまうのはこのキヴォトスで普通のこと。

 

気にしない者は気にしないだろうが、それでも生徒の力によって成立する世界である以上はその国に生まれた責任が伴う。

 

それが責任感の強い者なら尚更だ。

 

 

 

 

しかし、俺にそんな認識はない。

 

何故なら憑依者として足を付けたから。

 

この世界のルールに浮いているから。

 

そして、皆は___勘違いをしている。

 

 

 

「心にトリニティはあるか?」

 

「え?」

 

「君の心の中ではトリニティなんてのは、もうどうでもいいという扱いなのか?」

 

「っ、そんな訳っ…!」

 

「ならそれで良い。表向きは自国を置いて行った離反者なんだろうけど、でも今もトリニティに心があるのならお前はトリニティの国民だ。今はただ連邦生徒会のために力を尽くそうと国を発っただけ。俺も百鬼夜行を発った人間だけど百鬼夜行を忘れてないし、今だって故郷は百鬼夜行にある。だから俺もお前も。そして推薦を受けてココに来た皆も国の『代表』として__

__SRT特殊学園に集った兵士だ。

なら誇れ。この場に選ばれている俺たちを」

 

 

 

 

そして、ガチャ っと扉が開かれる。

 

 

 

「ええ、その通りです。貴方達は連邦生徒会が選びに選び取った兵士達です。もちろん自国に思い馳せる気持ちは分かります。私だって3年前に生まれた故郷を置いて来ました。けれどこのキヴォトスを守るためにこの制服を身に着ています。そして貴方達もそうなりましょう。SRT特殊学園の制服を纏い、特殊部隊の一員としてこの箱舟を支える柱となるですから」

 

 

「「「「!!!!」」」」

 

 

 

現____連邦生徒会長だ。

 

金色の長い髪を靡かせ、コチラに微笑む。

 

穏やかな雰囲気を身に纏っている。

 

しかし、全てを背負う__眼差しだ。

 

その両肩には計り知れない重責の数。

 

故に重圧感がコチラの背筋をなぞる。

 

只者ではない。

 

選ばれてそこに君臨する。

 

 

そして、それ以上に…

 

 

 

「(オイオイなんだこの神秘は!?穏やかに波打っていると思ったら、底が深くて、波が分厚くて、硬質的で、何よりこんなにも透き通っているのか!?コレをどう言葉に表す!?)」

 

 

 

まさに___神秘である。

 

普通とは違う【超人】という単語がまさにお似合いな規格外が目の前に立っている。

 

 

 

「全員で20名ですね。脱退者も無く…」

 

 

 

それから連邦生徒会長は口を開く。

 

俺達は席を立ち、背筋を伸ばす。

 

全員が緊張しているのだ。

 

無論、俺も目の前の存在に緊張する。

 

 

 

「改めて。良く足をお運ばれになりました。推薦状から招集頂き誠に感謝します。ココはまだ設立されたばかりであり、これから本格的に稼働する秘密裏で運営される特殊学園ですが、貴方達はこれから第一期生として連邦生徒会長直属の法執行機関として活躍を願われます。どうかその力を私にお貸しください」

 

 

物腰柔らかく連邦生徒会長は腰を曲げると頭を下げる。俺も遅れないように頭を下げて応えると周りの少女達もハッとなったのか急いで頭を下げた。それから互いに下げた頭を上げる。

 

 

「…」

 

 

金色の長い髪がゆらりと靡く。

 

高等部の三年生くらいだろうか。

 

俺たちよりも先人であることは確か。

 

 

……組織上の先輩か。

 

長らく忘れていた感覚だな。

 

寺子屋では俺が先輩だったから。

 

 

 

「ありがとうございます。しかしあまり緊張なさらず。特殊部隊と言えど私も皆も学園生徒であることに変わりません。その時その時に力を発揮して頂きます。無論どれも険しい道先に身を投じることになります。しかし私達連邦生徒会が推薦し、そして選び抜いた人達。ならば間違いはありません。だから信じてください。このSRT特殊学園の意味を」

 

 

 

タブレットに送信された推薦状にSRT特殊学園状のことは軽く書かれていた。

 

この特殊学園の意味を。

この特殊学園の意義を。

 

それを改めて目の前にいる連邦生徒会長から説明を受けた。

 

 

ああ__そうとも。

 

この場に来たからには気持ちを今一度引き締めないとならない。

 

学園と言う扱いといえども……

 

他学園よりも厳しい組織として扱われる。

 

 

ならば。

 

改めて。

 

目の前にいる支配者。

 

連邦生徒会長の『私兵』として__

 

 

 

 

「___と、堅苦しい言葉を並べるとなんか疲れちゃうので簡単にまとめますと、SRT特殊学園とは特別対応チームの事でありヴァルキューレ警察学校では対応できない場面や事件が起きましたら、皆様には…こう!バビューンと駆けけて!ドガドカーンと武力介入して!パパっと制圧して!とっとと解決しましょうね!って組織の予定なんですね!そうやって私と皆で一緒に頑張りたいなぁ事なので!だからこれからよろしくね、皆!」

 

 

 

「……」

「……」

「……」

「……」

 

 

 

 

 

どうやら おもしれー女 みたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寮に案内される。

 

森の中にある秘密基地とはいえ設備がかなりしっかりしている。どれも最新の設備ばかりじゃないのか?

 

 

まずエントランスには飲み放題の給水機。

 

次に大型モニターが両サイドに搭載。

 

あと座り心地良さそうな椅子とソファ。

 

マッサージチェアまで置いてある。

 

もちろん床暖房にWi-Fiも完備だ。

これには新築ボロアパートもニッコリだ。

 

 

 

「こんなスペースまで…」

 

 

靴を脱いでくつろげるスペースだ。

 

寝転がれる。

 

あ、人をダメにするクッションもあるな。

 

お?しかもコレ新発売のモノでは?

 

有名な馬が広告塔になっていた商品。

例えるならふわふわなジャパンの方。

 

 

 

「そのクッションは私の趣味ですよ」

 

連邦(れんぽ)ちゃん、いい趣味してんなぁ」

 

 

金色の長い髪を靡かせながら鼻歌交じりにトテトテと前を歩く連邦生徒会長。

 

最初見た時は神秘の分厚さに緊張したが、口を開けばめちゃくちゃ親しみ深い女性だった。

 

やっぱりキヴォトス人ってよく分からん。

 

それで「仲良くしましょうね♪」と語尾に音符マークつけるほどの陽キャムーブに全員戸惑ったけど俺はこういうの嫌いじゃない。

 

なので親しみを込めて「連邦(れんぽ)ちゃん」と呼んでいいかを尋ねたら「ぜひ!」と返ってきた。

 

SRT特殊学園は連邦生徒会長のせいでアットホームなのかもしれない。

 

でもそう見えるのは…

 

 

 

「メンタルマネジメントが早いですね」

 

「ふふっ、法執行機関の元で構成された特殊部隊と言えども学園として扱うことに変わりありません。だからこうしたモノも必要です。メリハリある現場は効率上昇が見込める事を()()()()()からあるように用意できる物はなんでも用意します。貴方達はわたくし連邦生徒会長の大事な私兵です。不自由はさせません」

 

 

本心から放たれる言葉。

 

神秘に揺らぎはない。

 

俺たちが苦楽にメリハリがある学生生活を望んでいる。だからコレほどに用意された。

 

 

「そして次世代のために貴方達は皆の先駆者となることを私は望みます。無論、わたし自身も」

 

「連邦ちゃん自身も?」

 

「はい。私も今年で三年生。来年になれば連邦生徒会で新たな生徒会長が選ばれることになります。そうなれば私も政権交代に…あ、でも、わざと()()()()()()になってもう一年分を同じ場所に構えても良いですけどね。ふふっ」

 

「はい?え?…留年??」

 

「はい、その留年です。もちろんあまり良い印象は持たれませんが、しかし組織の安定を齎すならコレも立派な手段ですよ?」

 

「はいぃ?留年が手段ってどう言うこと?」

 

「コレはたとえばの話ですが。15年前まで存続していたSRTでもそういった事例はあったみたいなんですよ。わざと留年扱いになり、権限を保持しながら居座り、後続の育成がために留年を喜ぶ。そんな留年上等な愚連隊…あっ、失礼!とても優秀な部隊だったみたいです!」

 

「今その愚連隊に加わろうとしている連邦ちゃんに俺はツッコミを入れた方が良いのか?」

 

 

さりげなく15年前にSRTがいた事を知ったのだが、それ以上に中身がヤバかったことも知ってしまった。

 

それよりも留年することで組織を脱退せずに済むというのは学生ならでは手段だろうか?

 

確かにそれなら合法的に居座れるし、考え方としては…まあ、賢いと思う。

 

世間体で考えたら冷たい目の対象だが。

 

 

 

「限りある3年間だからこそ噛み締める。それも学生としての本分でしょう。もちろん私はそれを否定しません。しかし中には己の能力を3年間だからとの理由で脱してしまうのではなく、3年も培って来たからこそ部隊にその遺伝子を落とし込む。旧SRTはその思想の元で強固な組織として活躍していました」

 

「OGじゃダメだったのか?」

 

「もちろんOGの方もいました。しかし学園を卒業し、所属校から外れると言うことは権限の破棄です。そうなると連邦生徒会に融通も効かなくなってしまう。だから所属のまま機能させるなら留年が一番手っ取り早い手段でした」

 

「だから留年しちゃえは荒技過ぎるわ。よく規制されなかったな…」

 

「いえ、過去にされましたよ。毎年二人以上は留年生が現れる留年部隊と連邦生徒会から叩かれまして。それで意図的な留年は禁止にすると規制しようとされました」

 

「だろうな……ん?()()()()()()()()()?」

 

「はい!実はコレが面白い事に!」

 

 

 

なんか、流れ変わったな。

 

 

 

「当時の旧SRTを指揮する総リーダーがレッドウィンター学園所属だったこともあり連邦生徒会にストライキを起こして、それで当時の連邦生徒会長もレッドウィンター学園所属だったためか本人もストライキを起こしてしまい、結果として内部分裂が発生し、旧SRTの保持派と解体派による内紛。しかし学生としての本分を強制させようと防衛省が強行した結果、ストライキを起こした生徒達が全員まとめて旧SRTを去る事件を起こし、当時の連邦生徒会長も自ら解任して旧SRTごと全てが無くなりました。そんな訳では15年前あった旧SRT特殊学園は解体処置で消えてしまい、しかし連邦生徒会の鎮圧能力が下がってしまった事で阿鼻叫喚する羽目になるのはまた別の話。めでたくない〜、めでたくない〜」

 

「ごめん。コレだけは言わせて。

連邦生徒会って実はかなりバカでは??」

 

「あら知らなかったですか?連邦生徒会と言えども今も昔も内ゲバなんて日常ですよ。ふふっ」

 

「これはひどい…」

 

 

もっとしっかりしてるかなと思ったら案外内情がドロドロしてて笑えない。ガンダムにも言える話だけど連邦ってのは身内割れすることがデフォルトなんだろうか?部隊がストライキ起こすのは分かるけど生徒会長もストライキ起こすとか人選ミスも良いところだろ。キヴォトスまじでキヴォトスやな。

 

 

 

「ちなみにこれは余談ですが、何名かがトリニティに流れると旧SRTで覚えた能力を治安維持に繋げようと考え、組織を立ち上げて誕生したのがトリニティ自警団です。今でも正義実現委員会とバチバチに正面からやり合えるのは過去に頭レッドウィンターがいたからですね。だから胆力はあるんです」

 

「間違いなくその当時の自警団はとんでもなくヤバかったのは想像に容易いな…」

 

「逸話によると正義実現委員会がトリニティに自警団など必要ないと物申し、鎮圧しようとしましたが逆に返り討ちに合い、むしろ正義実現委員会側が壊滅してますね。ちなみに200対4人の話です。無論、後者が自警団」

 

「頭ヤベー奴は強さもヤバいんだな。よく分かったよ」

 

 

絶対にSRT時代の武器とかも自警団立ち上げ時に持ち込んでるだろ。

 

そうじゃなければ自警団が正義実現委員会と正面からやり合えないし。

 

マジで15年前の旧SRTヤバいって。

 

 

 

「でもカナタさん。貴方自身もなかなかのぶっ飛び具合だと思いませんか?男性かつヘイロー持ちと言う普通にはない存在。そして規格外に浮き出る証明。素質としては充分では?」

 

「……ちょっと待て。まさかだけど…」

 

「ふふっ、別に皆がそうとは限りませんよ。けれどSRTなんて突飛した部隊を築き上げるなら普通ではダメです。それこそ覆面を被って銀行強盗を出来るくらいの胆力を持ち合わせた者でなければこの部隊はヴァルキューレとなんら変わりない組織。特殊部隊とは本当に特殊なんですから。あ、銀行強盗はダメですよ?」

 

「する訳ないだろ!良識さえ持ち合わせてりゃ普通は強盗なんかしないって!」

 

「ふふっ、分かっています。カナタさんは規格外ですが良識を持ち合わせた人格者。しかしイレギュラーに浮いている存在としては生徒会長的にも手放そうとは思いませんでした。だからよく来て頂きました。貴方の『解』に感謝します」

 

「……俺、ヤベェところに来たな」

 

「そう肩を落とさないでください。留年云々は非常識かもしれませんが、それ以外はまともな部隊として運営します。代わりに特殊部隊としての厳しさを強いてしまうことになる。けれど私は信じている。ココに集われた者達は新たに設立されたSRT特殊学園の一期生として先駆者たらんことを。だから月雪さんも()()()()()()()()()姿()で行先を選んでくださいね」

 

「!!」

 

 

 

そう言って連邦生徒会長は去っていく。

 

自分の【私兵】が健在とあることを願い。

 

それが例え、非常識だろうとキヴォトスのために事を成せるなら、それすらも引き金の先にある自由意志とばかりに正当化する。

 

箱舟を箱舟として認識する俺はそう見えてたまらない。あの人が映し出す眼を。

 

 

 

 

「あっ、それとー!留年しても2年が期限ですからねー!流石に成人した状態で高等部としての扱いは無理ありますのでー!学園生活が楽しくても二十歳までが期限ですからー!そこら辺をよろしくねー!」

 

 

 

「俺だけに言うなぁー!!バ会長ォォ!!」

 

 

 

とても おもしれー女 だけど。

 

同時に やべー女 でもあった。

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 







白鳥「この人クソおもしれぇから推薦するね」
会長「それ自分の時に欲しいからですよね?」
白鳥「それはそう。でも話すと好きになれるよ」
会長「ぇぇぇ?本当かなぁ?(疑心暗鬼ゴロリ)」


《その後》


月雪「じゃ、あだ名は連邦ちゃんで」
会長「きゅん」


ほんまコイツ…



尚、この連邦生徒会長も超人です。


またの更新でな!
あばよ!へけっ
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