なんか俺のヘイロー砕けてね?   作:つヴぁるnet

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日曜日分

今回もたっぷり13000文字。
もう疲れたよパトラッシュ…

後半はブルアカとか、それ以外とか。
好きなBGMを流して読むと良き良き。



第24話

 

 

「ぇ、軽っ……軽すぎんだろ…」

 

「ぎぃぁあ!!」

「うがっっ!!」

「ぐえぇっ!!」

 

 

明らかに栄養不足な肉体だ。

 

外装はそれなりに厚みがあるけど、でも中身があまりにも薄っぺらい。

 

まあ十中八苦、満足の行く食事を獲れずにこのアリウスで生きてるのが原因だろう。

 

中にはすぐに息が上がって動きが鈍くなる兵士もいる。極限的だな。可哀想に。

 

 

 

「な、なんで銃弾が当たらない!?」

「ちきしょう!!この化け物っ!!」

 

「クソ真面目に撃ってる程度で当たるかよ。せめてやるなら一斉射撃だろうが」

 

 

 

と、言うより、どこもかしこもヨチヨチ歩きの兵士ばっかじゃねぇかよ、アリウス。

 

手練れもいたけど、同じく一撃で沈黙した。

 

さては思ったほど軍拡が進んでないなぁ??

 

まあ、それもそうか。

 

ヒヨリ曰く、アリウス自治区内の紛争が終わったのは約4年前とのこと。

 

しかしその頃のアリウスは全てがボロボロのズタズタに傷を負い、疲弊しきったこの自治区をまともに立て直せるわけもない。

 

しかも閉鎖状態にあるアリウスが他国と貿易出来るわけもなく、ほぼ自治区のみで回復するしかない始末。

 

幾らかはベアトリーチェの伝手によって備えれるものもあったみたいだが、それでもアリウスが負った傷口は大きいため全てを賄えきれてないのが現実だ。こうなると軍拡が進まないのは当然のことだろう。

 

その結果としてこのアリウス兵。

 

持っている武装は使えるレベルの代物だが、それを扱う中身はなんとも言えん。

 

これでは未来投資として新兵を育てても栄養のない芽は何も実ることはないな。

 

 

 

 

てか、ぶっちゃけさぁ。

 

 

 

「このタイミングでアリウスの存在を認知できたの連邦生徒会的にはかなりデカいのでは??」

 

 

アリウスはトリニティに対して強い復讐心を買っていることをヒヨリから聞いている。それはお先真っ暗なアリウスを奮わせる対象として敵を作り、そして煽る。

 

そうやって後に、その憎悪を利用して表舞台で悪さする予定だったかもしれないけど、でもその前にアリウスを叩いてしまえばこの半端な戦力を内側から崩せるわけだろ?

 

 

何だったらもうこのまま崩してしまうか?

 

今のアリウスを。

 

 

 

「あ、ヒヨリっ!」

 

「さ、サオリ…?」

 

「む、ヒヨリ、か」

 

 

ヒヨリの家に向かうとアツコとミサキ、それから見たことないもう一人のアリウス生徒が出迎えてくれた。もしやアズサって子か?随分と小さいな。まだ初等部か?え?ヒヨリと同い年?マジで?

 

あとまだこの辺りは徴兵動員が済んでないらしく静かだ。もし動員が済んでたらこの三人と戦わされてた可能性ある訳だよな?だとしたら早めに到着できて良かったわ。

 

 

 

「三人、とも…」

 

「あぁ……もうサオリ、本当に…」

 

「アツコ……心配をかけた…」

 

「リーダー、まだギリギリ生きてたんだ…」

 

「あぁ…わたしが死ぬと、ミサキの自傷癖を、止めれる奴が、いなくなるから、な…」

 

「サオリ、何故こんな無茶を?何故一人で?」

 

「アズサ……これは私のミス、だから…」

 

 

 

感動の再会だ。

 

彼女達は血が繋がってないみたいだが、それでも長いこと身を寄せ合って生きてきた家族なんだと分かるほどだ。

 

サオリもどこか表情が穏やかだ。

 

 

 

「五人とも。悪いがあまり長居できない。ここまでの兵は倒したが、でも俺たちを追いかけるため再編してくる。あまりモタモタしてるとすぐにでも追いつかれてしまうだろう」

 

「もう完全に私達はバレてますねぇ…」

 

「じゃあそうなると姫や私も狙われるんだ…」

 

「ミサキ…」

 

「なるほど、私たちの敵が来るのか」

 

「迎え撃つのは時間の無駄だ。とっととこんなのところおさらばする必要がある。でだ。アリウスを出るためのカタコンベは近くに無いのか?」

 

「あ、ええとぉ、それなら…」

 

「近くに…訓練所がある…そこに一つ地上に繋がるカタコンベが…あるはずだ…」

 

「待てサオリ、日付の関係でおそらく切り替わっている。簡単には通れないだろう」

 

「そ、そんなっ…!」

「アズサの言うことが本当ならどうするの…?」

 

「使えない、のか……それなら…」

 

「いやサオリ、落ち着け。簡単にとは言っただけで別に通れないとは言ってない。カタコンベなんか壊せば良いだろう」

 

「壊す?」

 

「実は私の方でプラスチック爆弾を多く確保している。それを使ってこじ開けれ何とか通れる」

 

「!?、アズサっ、それはいつのまに…」

 

「……待って、いたんだ。もしかしたらと思って用意していた。しかし外を出れたとしても私達アリウスを助けてくれる人が居ないし、反逆者の粛清のため追いかけてくるアリウス兵からお前達を守ってあげることはできない。まだトリニティを憎んで生きるフリをする方が繋がる命。けれど今日はどうやら違うらしいな。この男がこうして脱獄したヒヨリや投獄されてたサオリを助けた。それはつまり幾分か保証があって外に出れる意味だろう。だとしたらこんな二度は訪れないチャンスを活かして当然だ」

 

「この男を……信じるの?」

 

「なら聞くがミサキ、ここまでしてくれるこの男を疑うのか?お前達の家族であるヒヨリに力を尽くすこの者は虚しいだけのまやかしか?」

 

「……」

 

「抗うヒヨリを助けるこの男は真実だ。なら私は出るために協力する。もし私がダメでもせめてサオリやヒヨリだけでも逃すんだ。二人は生きるべきだ」

 

「ぁ、アズサさんも、一緒に出るんですよ!」

 

「もちろんだ。私だって最後まで抗う」

 

「!」

 

「うん…そうね。ココを出よう。ヒヨリが明日を知ってるなら、私もそうしたいな」

 

「アツコ、正気なの…?」

 

「うん、正気。だからミサキも来て」

 

「……」

 

「ね?」

 

「…………はぁぁぁぁぁぁ……わかったよ。まぁどこ行っても変わらないなら別に外でも中でも関係ないか……」

 

「決まりだな。ならわたしはプラスチック爆弾を取ってくる。お前達もすぐに武装しろ。迎撃手段は幾らあっても構わない」

 

 

 

そう言ってアズサを先頭にミサキとアツコは家に戻り、俺とヒヨリと全身を布に包まれたサオリだけがこの場に取り残される。まあすぐに戻ってくるだろう。

 

 

 

「……カナタと、言った、な」

 

「ああ。それで合ってる」

 

「そうか……そのっ…ヒヨリを、ありがとう」

 

「…」

 

「サオリ姉さん…」

 

「何もかも君のお陰なんだろう。ヒヨリがココまで来れたのも。 あと…駅弁を恵んでくれたのも親切なお兄さんだと話してた」

 

「さ、サオリ姉さぁんっ!」

 

「前に遠征訓練から帰ってきたらヒヨリが沢山のペットボトルを抱えていた。5人分のお茶をお土産にな。そのお茶は親切なお兄さんが買ってくれたと喜んでいたんだ。それは恐らく君なんだろう」

 

「駅弁と5本のお茶…ああ、たしかに買ったのは俺だな。でも親切と言うよりかはヒヨリの露骨な目線で飲み物を強請られてね、それで仕方なく買ってあげたってのが認識として正しいな」

 

「お、お兄さぁん!!?あ、ぁぅぅぅ…」

 

「ふっ、そうか。なら後で買ってもらったお金を返さないとな……ただ今のところ待ち合わせは何も無いが…」

 

「気にするなよ。別に良いと思ってヒヨリに買ったんだ。俺からのプレゼントだよ」

 

「……ああ、そうか…なるほど…随分と美味しく感じれたのは、そう言うことなんだろうな…」

 

「おいおい、なに思い耽てんだよ。表に出ればお茶くらい幾らでも買ってやる。なんならお茶に合う善哉とやらも振る舞ってやる。しかも餡子と餅の組み合わせだ。百鬼夜行の振る舞い方で歓迎してやるよ」

 

「ぜ、善哉っ!うぇへへ、食べたいですねぇ」

 

「……表、か」

 

 

 

そして三人は荷物を纏めて戻ってきた。

 

それぞれ武器と盾を装備しており、それからプラスチック爆弾の詰め合わせと思われる鞄をアズサが背負っている。

 

すると…

 

 

 

「サオリ、一応渡しておく」

 

「アズサ…」

 

「フルで点検はしてある。足は動かずとも手は動くだろ?なら足掻け。私を助けてくれたあの時のようにな」

 

「!」

 

「私は諦めない。たとえ虚しくとも__明日を求めるがために諦める理由にはならない」

 

「アズサ………っ、そうだな…ありがとう…」

 

 

会話からすると実は同い年?

 

となると、ココにいる五人はまだ中等部か。

 

それでこの生活環境……?

 

ひでぇな。

 

 

 

「……敵が近いな、数もそれなりに来ている」

 

「ふぅえっ!?」

 

「敵が分かるの?」

 

「分かるよ。ただアリウス兵の神秘がお粗末過ぎて察知にワンテンポ遅れたな。アズサ、ココから指定のカタコンベ、もしくは訓練所はどの方角だ?」

 

「こっちだ。その方向に兵はいるのか?」

 

「いない。逆方向から来ている」

 

「む、追われているのか。なら道脇にプラスチック爆弾を設置して撹乱するか」

 

「もしかして、ゲリラ戦は得意か?」

 

「ああ、かなり得意だ」

 

「ならアズサが先行して仕掛けろ」

 

「わかった。5分で済ませよう」

 

「いや、10分は与える」

 

「!…そうか。なら二倍の密度で仕掛けよう」

 

 

そう言ってかなり早い足で訓練所まで向かうアズサとか言うアリウス生徒。

 

それでいて理解も早い。

 

なるほど、確かに。

 

ゲリラ戦に能力があることがわかる。

 

頼もしいな。

 

 

 

「ミサキとアツコはヒヨリを護衛しながらアズサの後を追え。俺は一度敵を撹乱してからカタコンベに向かうことにする」

 

「プラスチック爆弾で撹乱じゃないの…?」

 

「先に俺が撹乱する。その後はアズサの仕掛けを利用して撹乱する。そしたらアリウス兵は次いでくる撹乱攻撃に対して強く警戒するようになり、進軍する足が異常に鈍くなる。それが新兵混じりの混合部隊なら統率力の立て直しに時間が掛かる」

 

「もし立て直しが早いエリートだけならどうするつもりなの…?」

 

「だったら叩き潰すよ。エリートが固まって来てると言うことはそれが最高戦力だろ?なら後追いが来ても後は雑魚ばかりじゃん。ココが敵地とはいえ先行を取れてるのはコチラだ。しかもゲリラ戦に理解ある仲間が一人。アドバンテージは断然こちらの方にある。負ける要素が無いな…」

 

 

そして腰から閃光弾や煙幕弾を取り出し、ヘイローを一つ掴みながら奥から追って来るアリウス兵を見据える。そこそこいるな。

 

 

っと、その前に…

 

 

 

「ヒヨリ、これを渡しておく」

 

「!」

 

 

俺は腕に巻いてある【KANATA】の腕章を取り外してヒヨリに渡す。

 

 

 

「荷物が何処かに括り付けておけ。何だったら腕に巻いても良い」

 

「え?何故?」

 

「しばし預かっていて欲しい。頼めるか?」

 

「わ、わかりました」

 

 

ヒヨリは腕章を荷物に括り付けた。

 

それに俺は頷き__アリウス兵の敵影にアサルトライフルを構えながら叫ぶ。

 

 

 

「さあ行け!__SRTの力を信じろっ!!」

 

「「「 ! 」」」

 

 

彼女達も兵なだけあるのか、その声に反応してすぐにポイントへ向かう。

 

俺はアサルトライフルの紐を緩めていつでも銃撃戦ができるように用意する。

 

 

 

「さて、と……ココからが本番ってところか」

 

 

これまで殆ど白兵戦に持ち込んで敵を封殺してきた。しかしココからは銃撃戦も交える。

 

必要とあらば弾倉も全て使い切ろう。

 

 

 

 

「なぁ______白鳥…」

 

 

 

誰も近くにいないから、久しぶりに彼女の名前を読んでみる。

 

 

あの夏祭りの始発点の上で___刹那主義に終わらないあの場所で「待っていて欲しい」と願われて、そしていずれSRT特殊学園で白鳥と出会う約束をしている。

 

ま、それでも後10ヶ月の期間は必要だ。

 

なにせ彼女は俺の一つ年下。

 

今もハイランダー鉄道学園の中等部三年生としてあと残り一学年を務める。

 

しかしまだ新学期を迎えて二ヶ月程度。

 

その程度しか時間が経過していない。

 

それにしては、かなり濃密な二ヶ月間。

 

既に半年間のように長く感じている。

 

でも、まだまだ時間はある。

 

彼女と出会うのはまだ先の話。

 

 

 

「てかさぁ…2ヶ月目でこの状況になるなんて一体何事なんだい??」

 

 

 

俺なんてまだ訓練生2ヶ月目のピカピカな新兵だぞ?そんなピカピカの新兵がアリウスとかいう連邦生徒会が目を光らして探していた機密分校に対して一人で威力偵察に向かう現状。

 

これが一年生にやらせることかい?

 

それともコレすらも白鳥が視ている『解』の一つとやらか?

 

月雪カナタに必要な瞬間なのかい??

 

 

 

「いたぞぉ!」

「敵兵発見!」

「構えろぉ!」

 

 

 

お、来たか。

 

ざっと見て兵は30名か。

 

これまで40名削ったから…ええと。

 

軍拡の進み具合を考えたら全兵100に対してあと残兵30はどこかに控えてるのかな?

 

それともまだ控えているのか?

 

スクワッドのリーダーのサオリもすべては把握できてないと言ってたが、アリウスの疲弊具合からして実はそこまで多く無い兵を確保できてないと言っていた。

 

なら、とりあえず100と仮定して__

 

 

 

「相手は訓練兵を卒業したくらいの力量か…」

 

 

 

俺はボタンを押す。

 

次の瞬間4人が吹き飛んだ。

 

 

 

「なっ!?」

「いつの間に!?」

「くそっ!タイヤの裏か!」

 

 

「棒立ちの敵に対して囮を想定せず、また仕掛けを警戒しないと言うことは歩兵のドクトリンすらアリウスは無いみたいだな。だとしたらレベルを上げて物理で殴るがスタイルなんかね?」

 

 

紛争から四年経過した今でも兵を戦える状態にするのでアリウス精一杯か。

 

しかもお腹いっぱい食べれてない。

 

確かにヒヨリが「虚しいですねぇ…」と口癖になる理由もわかる。

 

俺は脳裏で苦笑いしながら閃光弾を敵の間に投擲して物陰に隠れると、アサルトライフルで一人を射抜く。

 

 

「!?」

 

 

少し足が止まったな。

 

よし、慎重になってくれたみたいだ。

 

それから物陰に隠れた俺に対して距離を詰めてくるアリウス兵。

 

俺はタイミングを測り。

 

 

 

「今だな」

 

 

サイレンサー付きのハンドガンを上に撃つ。

 

すると空にふよふよと浮いているモノ。

 

それは輪っか付きのヘイローだ。

 

そのヘイローによって吊り下げられた複数の煙幕弾のピンを撃ち抜き、地上に投下する。

 

するとアリウス兵の間に煙幕が広がった。

 

 

「なんだ!?」

「煙幕か!!」

「固まり過ぎるな!」

「銃撃に警戒しろ!」

「一気に前へ抜けるんだ!」

 

 

そして何名かアリウス兵は煙幕を抜けて俺の隠れる遮蔽物の近くまでやって来た。

 

 

「ちっ、どこだ!?」

「いやアレだ!見えた!」

「前方敵影発見!撃てっ!」

 

 

ダダダッ!と降り注ぐ弾幕。

 

アリウス兵が捉えている人影を撃ち抜いた。

 

 

 

「よし!」

「ヒットっ!」

 

 

 

しかし___

 

 

 

「え?」

「あ、え?」

 

 

それはくくりつけられたヘイローによって浮かんでいた、なんてことない黒い布だった。

 

月雪カナタはそこにいない。

 

 

 

「なっ!?」

「敵はどこに?」

「さ、探せ!近くに__」

 

 

 

バギィ!ドコッ!グシャ!

 

 

 

「「「ぎぃぁあ!!」」」

 

「「!?」」

 

 

 

煙幕の中から聞こえる悲鳴。

 

 

 

「な、なんだと!?」

「まさかこの中にいるのか!?」

「どうやって敵を把握してやがる!?」

 

 

そりゃ、神秘を捉えればある程度はねぇ?

 

水の上に浮いてみろ。

 

至近距離ならすごい伝わるぞ。

 

まあ、俺の特権だけどな。

 

とりあえず煙幕の中から数発ほど弾を放つ。

 

 

 

「がっ!くっ、そ…なぜ、当てれ…」

「あの野郎…!煙幕から狙って!?」

「クソが!とことん舐めやがって!」

 

 

煙幕の外にいるアリウス兵は銃を構える。

 

すると煙幕の中にいるアリウス兵はナニカを察したらしく…

 

 

「お、おい、まさかだけど…!?」

「なっ!おい!待て!撃つな!!」

「中にいるのは私達だ!やめろぉ!」

 

 

ダダダッ!と弾幕が煙幕の中に襲いかかる。

 

しかし。

 

 

その弾幕は煙幕の中のアリウス兵を射抜いた。

 

そして。

 

 

 

「う、撃ってきた!?げ、迎撃!!」

「おい!待たないか!落ち着け!!」

「うおおおお!当たれ!当たれよ!」

「バカ!撃つな!仲間に当たるぞ!」

 

 

「二方向から!?オイオイっ嘘だろ!」

「挟み撃ちで狙われるってまさかっ!」

「フレンドリーファイアーじゃねぇか!」

「やだっ!何も見えないわよ!ぐぁ!」

 

 

「たかが一人だけの兵だろ!クソォ!」

「アリウスを舐めやがってあの野郎!」

「くそっ!どれが本物の敵影だよ!?」

 

 

 

ダダダッ!!

 

ダダダッ!!

 

ダダダッ!!

 

 

 

と、煙幕を壁に応酬の嵐。

 

 

怒りと共に飛び交う銃弾の数々。

 

 

しかし、既にそこに俺は___

 

 

 

 

「よしよし、新兵混じりな部隊だからか統率力が低く簡単に混乱してくれたな。あと何故か付けているガスマスクのお陰で視界も制限されて抜け出しやすい。だがそれにしても敵の神秘を探って察知しないのは本当にお粗末だな?強敵と戦ってる意識あんのかよ」

 

 

 

やはり皮だけ立派で、中身はスカスカか。

 

可哀想に。

 

ま、しばらく撃ち合ってなアリウス共。

 

俺はさっさとカタコンベに向かうよ。

 

 

 

「あ、その前に全部起爆させとくか」

 

 

 

残しておくと勿体無いのでボタンを押す。

 

すると更に爆発が起きる。

 

そうして混乱はますます加速する。

 

悲鳴やら怒声を背中に俺は去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのお兄さんが強力な味方であることを再確認できた私達はサオリ姉さんの救出が完了すると家族と合流した後、訓練所近くにあるカタコンベの入り口まで移動する。

 

途中、爆弾の設置をしてきたアズサと合流してスクアッドの訓練場所までやってきた。

 

しかしまたこうして五人全員が揃うとは思わなかった。夢のようだ。

 

 

 

「うぇへへ、なんかちょっとだけこの訓練所が懐かしいですねぇ…」

 

「うん、そうだね。またこうして五人で集まるなんて思わなかったかな」

 

「別にそんなことはどうでも良いよ…こんな虚しいだけの場所…記憶にいらないから…」

 

「あの男が来るまでだな。待っている間にカタコンベの入り口を確認する。サオリ?立てるか?」

 

「っ、ああっ、すこしなら…すまない…ヒヨリ下ろしてくれるか…」

 

「うぇ!?で、でも、まだ足は…」

 

「私が支えるよサオリ。ヒヨリは少しだけ休んでいて。あとミサキは警戒をお願い」

 

「姫……ああ、助かる」

 

 

 

そう言ってサオリ姉さんは粗布を纏いながらもフラフラとおぼつかない足でカタコンベの入り口まで歩き、アツコさんに支えられながら石の凹みなどを確認する。

 

そして破壊するべきポイントを告げるとアズサさんはプラスチック爆弾をカタコンベの壁に設置する。火力を壁に集中するよう固めたりと手際良く爆破準備を済ませていた。

 

やはりこういう時のアズサさんは本当に頼りになります。こう、淡々と物事をこなすあたりがお兄さんと凄く似ていて…

 

 

 

「お兄さん…大丈夫でしょうか…」

 

「何言ってんの?あの人強いんでしょ?」

 

「ミサキさん…ええと、はい…それは凄く」

 

「なら心配なんて不要でしょ。むしろ心配するのは私達自身。あの人が全部アリウス兵を薙ぎ倒してるけどいざとなったら私たちが戦わなければならない」

 

「それは……はい」

 

「と、言ってもヒヨリ、あんたも現在のバイタルはそこまで高くないよね?あの脱獄から5日で戻ってきたけど…でもそれって病み上がりなんでしょ…?」

 

「!」

 

「30日以上の投獄。そして脱獄中にサオリから背中に受けた実弾。急所は外れても終始ひどい状態には変わらないはず。正直体の方はどうなの?」

 

「…」

 

 

 

確かに、ミサキさんの言うとおり。

 

私はひどい怪我を負い、同時に衰弱していた。

 

あと高熱に浮かされ、同時に体力は削られ、いつ死んでもおかしくない状況にあった。

 

でもお兄さんが熱を和らげてくれたお陰で脳が焼き切れずに済み、SRTの高性能な医療機器のお陰で私はロールケーキをお口に頬張れるくらいに回復した。

 

だが、それでもまだ全力で走れない。

 

筋肉の繊維は完治していないから。

 

 

 

「正直、私も…息苦しいですよ…」

 

「…」

 

「でも、お兄さんが私を拾い上げてくれました。そして責任を持ってくれました。子供である私のために先駆者として務めを果たそうと。なら私はその背をしっかり追いかけれる脚でなければなりませんから…」

 

「……そう…」

 

「はいっ。だって私はあの人に『背中を預けれるって関係』だとそう言ってくれた。 ならこの足で追いかけて、そして預からないと、ただ虚しいだけの『子供』ですから」

 

「!!………そう…」

 

 

 

それ以上は何も言わないミサキさん。

 

元より状況整理以外あまり会話をしない人。

 

でもこの機会に少し想いと胸を伝えれた私はホッとしている。

 

そして、また家族とこうして会話ができる。

 

その事に、わたしは喜んでいる。

 

だから、あと少し。

 

あと少しで!

 

私達はアリウスの外に___!!

 

 

 

 

 

 

『大人の言いつけを破るのですか?』

 

 

 

 

 

「「「「!!!、???、」」」」

 

 

 

 

その声は子供の私達を縛り付ける。

 

それも、かなり、容易く。

 

 

 

 

「マ、マダム…!」

 

 

『錠前サオリ、何故そこにいるのです?』

 

 

「ッッ!?」

 

 

『虚しいと分かっていながら何故そこにいる?この世界の外を目指す?何を得ようとする?何も成し得ない子供が何を得るのです?』

 

 

「っ、ぅ、わ、わたし、は…!」

 

 

『忘れたのですか?

 この虚しいだけの世界に__救いなどない』

 

 

「そ、そんな筈は…ないっ!救い…は…」

 

 

『もしや大人に歯向かうのですか?子供が??』

 

 

「!!!」

 

 

 

空中に浮くモニター。

 

そこに映る大人は__ひどく恐ろしい。

 

アリウスを…

 

アリウスの子供を…

 

全てを掌握してそこにいる。

 

支配者だ。

 

私達子供の支配者なんだ。

 

子供は大人に逆らえない。

 

 

 

「ぁ__ぁ__」

 

 

 

私達はもうすぐ出口に手が届く。

 

あともうすぐだ。

 

あともうすぐで光が届く。

 

 

でも__

 

たげど___

 

けれど____

 

 

子供の足が、何一つ動かない。

 

そこにいる大人に、子供は逆らえない。

 

大人に、叱られて、息が重たい。

 

 

 

怖い。

 

怖い。

 

怖い。

 

怖い。

 

怖いっ!

 

怖くて、怖くて、怖くて!

 

怖くて、恐くて、強くて!

 

 

だって!

 

大人に歯向かった愚かな私達(こども)だ!

 

私達はその大人に『叱られて』いる。

 

 

身がすくんでしまう。

 

この震えが許しを乞う。

 

大人に『ごめんなさい』を訴える。

 

 

 

 

『戻りなさい』

 

 

 

「「「 ッッ!! 」」」

 

 

 

 

その声に__

 

大人の存在に__

 

見下ろされている恐怖に__

 

子供程度では抗えないその支配に__

 

このような小さな体では…

 

 

 

 

 

『今すぐ、戻りなさい』

 

 

 

 

「ぃ…や…だ……」

 

 

 

 

『今すぐ、戻って来なさい』

 

 

 

 

「っ、い、い、や、だ…」

 

 

 

 

『今すぐ、私の元に戻って来なさい』

 

 

 

 

「わっ、わたしっ、はっ__!!」

 

 

 

 

『戻れ』

 

 

 

 

「____」

 

 

 

 

 

ただ、一言。

 

ただ、一言が響く。

 

それが、小さな体を貫く。

 

 

 

ああ…

 

 

 

怖いのは……嫌だ。

 

苦しいのは……嫌だ。

 

逆らって叱られるのは、もう嫌だ。

 

 

これ以上、大人に……

 

私達は___怒られたく、ない。

 

 

 

 

 

「黙れ!こんなところに意味などない!」

 

 

 

 

しかし、その小さな体で誰かが叫んだ。

 

 

 

 

「ア、アズサ、さん…?」

 

 

「虚しさだけが全てだと?ふざけるな!何も得れないから虚しいだけが世界なんてそんなの受け入れる理由にはならない!」

 

 

「ア、アズ、サ……」

 

 

「私は抗う!ただ虚しいだけだとしても抗わない理由なんかにはならない!絶対にだッッ!!」

 

 

 

小さな体で、常に打ち勝って来た。

 

何度も反逆し、教育のために叩きつけられ。

 

でもアズサは反抗心を止めなかった。

 

ただ一人、それを繰り返した。

 

それが 白洲アズサ という女の子。

 

 

 

私は__そんな彼女を昔から見ていた。

 

だから…

 

 

 

私にもあったんだ『参考』となる力が。

 

 

 

「その、通りです、っ!」

 

「ヒ、ヨリ……??」

 

 

 

だからわたしも精一杯の体で訴える。

 

体は小さくとも、明日が欲しい願いは。

 

大人よりも、大きいと信じているっ!!

 

 

 

「ここは虚しいだけが命になる世界です!私もそう思っていました。でもっ!リーダーと外に出て知りました!アリウスの上には明日のために生きていけるんだと知った…!リーダーがたくさんそれを教えてくれたんです…!」

 

「!」

 

 

 

一歩を___大人の前に踏み出す。

 

 

 

 

『!?』

 

 

 

 

すると大人の顔が少しだけ歪んだ。

 

 

 

 

 

「虚しさによって挫けました…悲しさによって泣いていました…でも!そんな時にリーダーがいつも外の話をしてくれる!虚しくなんかない!生きていれば希望はあるんだと!私はリーダーのお陰でそれを沢山知っているんですっ…!」

 

 

 

『ッッ!?…ただの子供が言う事かァ!!』

 

 

 

「言いますッっ!!!!」

 

 

 

『!!??』

 

 

 

 

恐怖にガチガチと鳴らす声。

 

でも明日が欲しいから訴える。

 

槌永ヒヨリのために『私』は叫ぶ。

 

そうなりたいと__!!

 

そうでありたいと__!!

 

虚しくない明日を欲しいと__!!

 

明日に『浮き出る』ことを『私』が望む!

 

それが『槌永ヒヨリ』の『正当化』だから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

" その通りだ "

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「!!」」」」

 

 

『この声ッッ、貴様っ!?』

 

 

 

 

そして、マダムとはまた違う__

 

大人のような、琥珀色に浮き出た声。

 

子供の後押しとならん責任を果たす。

 

私達の前に先駆者(おとな)が現れてくれた。

 

 

 

「待たせた」

 

 

「っ、おにぃさぁん…!」

 

 

「どうした?誰かに泣かされたのか?」

 

 

「ぁ、ぅ…ぅぅ…!」

 

 

 

とてつもない___安心感だ。

 

故に__震えはピタリと止まった。

 

でも、やはり涙に震えてしまう。

 

そこに『正解』があるから抑えきれない。

 

けれど、この震えはなにも痛くない。

 

涙を受け止めれる人が居てくれるから。

 

 

 

「すこし遅かったな、カナタ」

 

「誰かさんのせいでかなり迂回した。てか仕掛けすぎだろ。やはり5分で縛れば良かったか?」

 

「ふむ、カナタ程の強い奴がそう言うのなら効果は"きしめん"と言ったところか。勉強になる」

 

「なんだ?案外勉強好きか?あと『きしめん』じゃなくて『てきめん』な?外に出たら色々学び直すと良い」

 

「む、そうか。なら後で教えて欲しい」

 

「俺が?…まぁ、考えといてやるよ」

 

 

 

お兄さんは変わらぬ頭の調子でアズサと一頻り会話を挟む。

 

そのお陰で緊張感が少し和らいだ。

 

マダムとは正反対の暖かさ。

 

 

 

「さ、て」

 

 

 

そんな、お兄さんは___顔を上げた。

 

ココにいる子供達の大人(マダム)を見上げた。

 

 

その刹那___

 

喉が焼きつく威圧感がこの周囲を襲った。

 

 

 

 

お前が、ベアトリーチェか??

 

月雪、カナタ…ァァッッ!!

 

 

 

 

「「「 !!?? 」」」

 

 

 

パラパラと、柱から塵がこぼれ落ちる。

 

お兄さんはただ一点を眺めているだけ。

 

なのに私達はその怒りに睨まれたと勘違いしてしまう程に、背筋から震え上がる。

 

大人のような___本当の怒りを込めて。

 

 

 

「確かに、姿()()()は大人だな」

 

『!』

 

 

 

しかし、それは急に鎮まる。

 

お兄さんはまるで嘲笑うかのように吐く。

 

 

 

「今からココにいる子供達は明日のための希望を与える。テメェは指を咥えてそこで見ていろ」

 

 

『貴様っ!私の意味を奪ったつもりか!!』

 

 

 

コレまで見た事ないほどに荒げるマダム。

 

いくつもある眼が憤りに染まる。

 

 

 

「ヒヨリからそれらしい話は聞いているよ。どうやら俺の神秘が気に障ったらしいな?そのためいずれは俺を消す必要があるんだと恐れているみたいだな。ええぇ〜?引き金がこんな子供相手にか?」

 

『貴様のような紛い物の器は関係ない!勘違いをするなァっ!!その体に備わる【反則行為】が大人の理想を嘲笑うかのように健在している…!!それがこの先の楽園に残ることは到底許されないからだ!!」

 

「なんだなんだ?もしやこの程度の【責任】がお前の理想を壊すのか?ははっ!それは随分と弱々しい傲慢だな!まあまあそれもそうか。ベアトリーチェというのは子供がいなければ自身の理想を確立できないお山の大将だもんな」

 

『その口を閉じなさい!!子供は大人のためにすり潰されるべき舞台装置!!ソイツらを崇高すべき対象として扱うことを許すな!!子供は搾取されるべき存在っ!楽園に踏み入れるのは救いを知る然るべき大人の役割!すり潰されるべき子供なんかに選択など存在はしないっ!』

 

「そう駄々こねる子供みたいに荒げんなよベアトリーチェ?大人なら余裕を持って据えようじゃねぇか!いや、そうも言ってられないか?なにせ余裕持って見据えたせいでお前は子供一人に否定されたもんな!!」

 

『何を言う!そもそも貴様は『子供』では__!!」

 

 

 

「おいおい、何を勘違いしているんだ?」

 

 

 

『!?…勘違い…?』

 

「ああ、そうだよ、勘違いさ、勘違い。

 だってお前を否定した"子供"ってのは、さ__」

 

 

 

 

お兄さんは笑みながら、振り向く。

 

その表情は先ほどの威圧感が嘘のように優しい雰囲気を纏って、そして_

 

 

 

 

「俺じゃなくて___【ヒヨリ】だろ?」

 

 

『____!!???』

 

 

 

私の方に指を刺した。

 

 

 

「ぇ……………えええええ!!??」

 

 

「おいおい何驚いてんだよ?ここまで漕ぎ着けたのは全部ヒヨリだろ?アリウスの外を望んだのも、俺に駅弁欲しがったのも、アリウスから脱獄したのも、でもサオリを助けるためにアリウスに戻ったのも、それも全部は槌永ヒヨリって女の子が起こした、あまねく始発点」

 

 

 

そしてまた鋭い目を持ってマダムに視線を戻すお兄さん。

 

 

 

「俺はあくまで連邦生徒会の指示の元でアリウスを攻略しただけ。でもこれら全ては…キヴォトスに生きる子供にのみ許された引き金の先にある【自由意志】の象徴。つまりそれを成したのは間違いなく『槌永ヒヨリ』という小さな子供である。その『はい』という選択があったからこそ大人のお前は支配していたはずの子供の『いいえ』によって否定された。違うか?」

 

 

ッッー!!!!!!?

 

 

 

見たことないほどに、マダムは歪んだ。

 

そして幾つもある眼がギンっと見開かれる。

 

アリウスを支配しているマダムがここまで感情を露わにした姿は初めてだ。

 

だがそれはお兄さんはマダムにとって嫌悪するべき対象だからこそ、その怒りを助長させているのだろう。

 

でもまさか、私が引き金となっていることに今も驚きを隠せない。

 

 

 

『わたし、が?大人である…わたしが?ただの子供に…否定、された??』

 

 

「まだ『ただの子供』と言うかテメェは。お前は槌永ヒヨリの何を知ってそう言い切れる?ああ、そうかそうか、なるほどな?どうやらベアトリーチェって大人は知らないようだな。ならば俺が教えてやるよ!認知症じゃないならよく聞いておけベアトリーチェ!!」

 

 

『!』

 

 

「槌永ヒヨリという子供はなぁ!駅弁とぉ!海老カツとぉ!新品のボディーシートとぉ!自販機の緑茶が5本をなァ!それはもう贅沢に求めたがる遠慮無しだからァ!かなり図々しくてッ!それからがめつくてッッ!それからもう途方もなく図太くて仕方ない程に明日を求める強かな子供なんだよ!!槌永ヒヨリっていう未来に可能性が秘められた生徒(こども)はな…!!!

 

 

 

 

その声は__響き渡る。

 

ココにいる誰もがその言葉を聞いた。

 

 

 

 

ドクン。

 

 

 

 

心臓が___奮える。

 

 

 

それは、それで良いと、己に訴える。

 

 

大人が子供にそうであって欲しいと。

 

 

永久までに赦し、願ってくれる___

 

 

それは、まるで…

 

 

____忘れられた神々のためのキリエの様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うむ、良いヘイト稼ぎだ」

 

 

 

ドゴーン!!!

 

後方のカタコンベから爆発音が聞こえた。

 

 

 

「よし、綺麗に破壊できたぞ」

 

「っ、皆、急いで!」

 

 

 

アズサがカタコンベを破壊するとアツコの声によって皆はハッとなる。

 

 

 

『っ!!待ちなさ___!!』

 

 

 

「行け!キヴォトスの子供達!!」

 

「「「 っ!! 」」」

 

 

マダムの声を容易く遮る。

 

皆はカタコンベの方に移動する。

 

私も一歩遅れてカタコンベまで走った。

 

 

すると同時に__

 

奥から多くの足音が聞こえて来た。

 

 

残りの___アリウス兵だ。

 

 

 

「っ、お兄さん!早く!」

 

 

 

私はカタコンベの中で未だマダムと睨み合うお兄さんに声をかける。

 

しかし…

 

 

 

 

「行かない、俺にはやるべき責任がある」

 

「!?」

 

 

 

お兄さんはアサルトライフルを構える。

 

 

 

「ヒヨリ、君の上着にはSRTのGPSが付いている。外に近づけばGPSを頼りに連邦生徒会の管理下にあるSRT特殊学園とヴァルキューレ警察学校、あともしかしたらトリニティ総合学園がアリウスの制圧のため来てくれる。君はそこで保護してもらうんだ。そのSRTの上着が信頼の証として目印になってくれる」

 

 

 

それはつまり、お兄さんは追ってくるアリウス兵の足止めのために残るということ。

 

 

 

「なら私も!お兄さんのっ、背中を…!」

 

 

 

カタコンベの外に出ようと私は踏み出す。

 

しかし…

 

 

 

「行くのはダメ」

 

「っ!」

 

 

 

ミサキさんに腕を掴まれて止められた。

 

するとお兄さんはこっちに顔だけ振り向き。

 

 

 

 

「アズサ、頼む」

 

 

「ああ___わかった」

 

 

 

 

そして、残っていたプラスチック爆弾は天井の壁を崩壊させてしまう。

 

道が崩れようとしているのだ。

 

 

 

 

「あっ、あっ!!?ああああああああ!!?」

 

 

 

 

背中が、失われていく。

 

私を背負いあげてくれた、あの姿が。

 

彼だけを__虚しい世界に置いて。

 

 

 

 

 

「いや!いやっ!!いやァァァ!!」

 

 

 

 

 

私は届かない手を伸ばそうとする。

 

しかしミサキに押さえつけられてしまう。

 

 

消える、消える、失われていく。

 

私の目の前から、それが消えゆく。

 

 

虚しいだけの世界に取り残されていった。

 

まるで残り全ての残酷を背負わせるように。

 

 

子供の…

 

私達の…

 

その代わりとして…

 

 

背負うべき責任をそこに残して__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

" ヒヨリ "

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

 

 

琥珀色の眩い光がアリウスを染める。

 

 

もうそこに 絶望 も 失意 もない。

 

 

ただ、ただ、規格外に浮き出る。

 

 

ひたすらに【正当化】する役割のみとして。

 

 

子供の明日を願ってくれる【大人】として。

 

 

他の誰でもない【月雪カナタ】として。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

" あとは任せろ "

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その責任を果たさんとする先駆者。

 

 

それは『先』に立つ『人』である形。

 

 

子供を後ろにし、大人が前に征く。

 

 

だから私は___初めて見たんだ。

 

 

月雪カナタと言う【先生(おとな)】の姿を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 






最初は御稜ナグサのシリアス(17話)を中和するためのギャグ描写としてシュポガキ左のついでに出された筈の槌永ヒヨリ。しかし気づいたらコレよ。素材力として高いのは知ってたけどまさかブルアカ宣言したヒフミ枠になるまでとは思わなかったわ。それはともかくカナタ君お前やりすぎや。すこし落ち着いて♡インフレやばいねん。

また来週な!
じゃあな!!








《18:39 追記》

って思ったけど現在の熱量と展開を考えるとさっさと投稿した方が良いと思うので来週に持ち越さず明日の月曜日と明後日の火曜日をなんと二つも投稿しちゃいます!!ついでにプリンを二つも食べちゃいます!!


いつも通り18:00でよろしく頼む。
じゃあな!また明日!!
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