なんか俺のヘイロー砕けてね?   作:つヴぁるnet

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第28話

 

 

「うえぇ!?カナタん、何やってるの!?」

 

「リーダー!こんな時に携帯触ってる場合じゃないよね!?この模擬戦で負けたらこの灼熱の中で追加訓練だよ!」

 

「そ、そうですよ!今はふざけてる場合では!」

 

「心配するなって。遮蔽から顔を出さない代わりに携帯で奥を視認してるだけで…ほら来た手榴弾だ!」

 

 

 

俺は腰からSRT製のハンドガンを取り出すと遮蔽物から体を半分出し、宙を舞う手榴弾に狙いを定める。すると放たれた弾丸は手榴弾の側面を掠めるようにカン!と音を立てながら通過した。

 

 

 

「「「「え?」」」」

 

 

すると手榴弾は投擲された位置にクルクルと舞い戻り、奥の遮蔽物から「「「ぎゃー!?」」」と愉快な声が響き渡る。そして敵チームが手榴弾から逃げる様に一気に顔を出した。

 

 

 

「ほら出た!カトンボ!狙い撃て!」

 

「リーダー、マジでぇ!?」

 

「何でも良いや!うえぇぇえい!!」

 

「カナタんさいこぉー!ふーふーぅ!!」

 

 

 

 

 

コチラの一斉射撃が敵チームを屠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱSRTのハンドガンは最高だな」

 

「いや武器性能だけで出来る芸当じゃないと思うんですがそれは…」

 

「カナタんの狙撃はスナイパー顔負けだねぇ」

 

「とりあえず追加訓練なーし!やったー!」

 

 

 

「「「「ひぃん…」」」」

 

 

 

狙撃を褒めてくれる仲間たち。

 

半分は予測射撃なんだけど、そろそろ投げるんじゃね?って感じに構えていたら本当に飛んできたので、あとは狙ってみた。

 

そしたら上手く当たった。

 

実戦で決めれるかはまた別問題だが、敵さんの出鼻挫くならこのくらいの芸当にも意味があるだろう。

 

 

 

「リーダー、お疲れ様」

 

「お疲れ様、ウリエ」

 

「見事な狙撃でしたね。観戦席からどよめきが上がりましたわよ。観戦モニターの不具合かと疑うくらいの」

 

「半分くらいは外れると思っての射撃だったけどな。まあ当たったから良かったが」

 

 

外野からは「カナタんずるいー!」と抗議の声が上がっていたが教官にズルズルと引きずられて追加訓練の刑である。

 

と、言ってもやることは基礎訓練だから1時間で戻って来れると思うけど、この灼熱の暑さで野外訓練はなかなかにきついな。

 

早めに上がれて良かったわ。

 

 

 

「さて、俺は追加訓練組のために冷茶でも作っておくか」

 

「百鬼夜行の茶葉は美味しいですからね」

 

「お隣の山海経の高級茶葉も美味しいけど、やはり飲み慣れた百鬼夜行が一番だな」

 

「あら、お紅茶は飲みませんの?」

 

「もちろん紅茶も飲むぞ。誰かさんのせいで決まってロールケーキばかり出てくるからな。そういう時に限って舌が紅茶を求めるようになってしまったわけだ」

 

「あら、それはとても親切な方ですわね。お紅茶の楽しみを教えてくれるなんてリーダーは幸運の極まりです」

 

 

満足気に天使の羽をパタパタとさせる副隊長に「お前だよ」と視線を飛ばしながら腕立て伏せ中の追加訓練組を横目に、寮に戻る。

 

夏場だろうと訓練時間が縮むことは無い。

 

むしろ暑い季節だからこそ厳しい環境に耐えれるような根性を育てるべきと教官は手を抜かないし、他の学園が夏休みだろうとSRT特殊学園は関係ない。だから今日も明日も俺達はSRTの厳しい訓練に耐え抜くだけ。頑張ろう。

 

 

 

「それでもちゃんと定期的に非番があるのは嬉しいことだ」

 

「それは確かにですわね。ただ週1.5回ってのがまた絶妙ですわね…」

 

「その日の午前は頑張って、その後の午後は休みって扱いは何かと優越感あるけどな。それで翌日は決まって全休だから早めに一抜けできた気分になれたりとテンション上がるし、俺は嫌いじゃない」

 

「言いたいことはわかりますわ。でもリーダーはその半休を2日後に用意する善哉の買い出しに使ったりと自分のために使うことがあまりないですわよね?」

 

「別にぃ?俺が善哉食いたいだけだしー、あと帰宅のついでだしー、だから気にしてないしー」

 

「ふふっ。リーダーのそういうところ皆好きですよ」

 

「そう?じゃあこの後の買い出しも頑張るか」

 

「あら、買い出しってことは今日のリーダーは訓練が午前中だけでこのあとは半休で翌日はそのまま非番ですか?」

 

「ああ。この後は外食して、映画に行く。そしたらいつも通りに買い出しだな」

 

「そうですか……ふふっ、貴方のような規格外な方でも羽を伸ばすところを見ると皆安心するわね」

 

「俺たちは兵士として発揮するべき瞬間を裏切らないように研鑽を積み続けるだけで、それ以外は学生なんだ。なら学生の部分は()()()()()をする。それで良いだろ?」

 

「はい」

 

 

その後は寮に戻り、シャワーを浴びてから普段着になると携帯片手に映画の上映情報をまとめながら追加訓練組のために冷茶を作る。

 

しばらくすると灼熱の中で教官にしごかれた隊員達がフラフラしながら戻ってきた。

 

冷房の効いたエントランスの中で力が抜ける隊員達に出来上がった冷茶を知らせるとケモ耳や羽をピーンと反応させる。

 

渇いた喉に冷茶はうまいよな。

俺も百鬼夜行にいた頃は夏場よく飲んでた。

 

 

 

「おいひぃ!」

「うんまぁいぃ」

「あ"あ"あ"いぎがぇるぅゔ」

「動いてたからあっついよぉ〜」

 

 

 

予測通りの反応に笑いながら俺は後片付けをすると、ちょうど非番の時間になった。

 

ここからは自由時間だ。

 

つまりプライベート。

 

今日と明日、どの様に楽しむか。

 

 

 

「じゃあ皆、行ってくるわ」

 

 

「「「いってらっしゃ〜い」」」

「「「楽しんで来てねぇ〜」」」

 

 

冷茶を片手にした同期達から見送られながら俺は今だけSRT隊員であることを忘れてシラトリ区に向かことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、パスタの前にパスタがいる」

 

「だーかーらー!キャスパだってっ!!」

 

 

 

映画の前に昼飯を済ませようと考えなぎらシラトリ区の巨大なアウトレットモールを歩いているとパスタ専門店を発見。

 

店から漂うソースの香りによって昼食はパスタにしようかなと適当に考えていたら、パスタ専門店の前にキャスパリーグこと杏山カズサが店の中を覗きながら財布の中身を確認していた。

 

 

 

「てか、あんた、何でこんなところに!?」

 

「映画を観にやってきた。カズサは?名前負けしてるから専門店でも睨みに来たのか?」

 

「だからパスタ言うなし!うっざっ!」

 

「百鬼夜行の箱入り娘 *1 に負けるような奴はパスタで充分だろ」

 

「ア、アレは…!ぅぅ、いや、アイツはたしかに強かった、けどさぁ…!でもパスタ絡みはやめろ!」

 

「伸び代あると思うんだけどなぁ」

 

「それ茹で上がってる意味で言ってんだろ!」

 

「お、頭の回転は早いな。ただの不良少女じゃないらしい」

 

 

秘密機構のSRT特殊学園に通っているなんてまだ言えないのでカズサを弄ることで適当に誤魔化すことにする。そうやってキャスパリーグの柔らかそうなケモ耳を目の保養にしている…

 

 

 

「むむ?もしや、カナタか」

 

「?」

 

 

俺はその声に振り向く。

 

すると天使の羽を揺らしながらコツコツと速足でこちらにやってくる少女が一人。

 

それからあと、もう一人いる。

 

その二人は俺も良く知っている生徒だ。

 

 

 

「アズサか、ココで会うのは珍しいな」

 

「カナタこそ、珍しいな」

 

「こんにちは。月雪さん」

 

「ヒフミもこんにちは。昼間からアズサとデートかい?夏の暑さに負けないお熱さだ」

 

「デ、デート!?」

 

「む、デートとは何だ?カナタ」

 

「大好きな人と出かけることだ」

 

「なるほど。つまりヒフミは私のことが大好きだと言うことか」

 

「ふぇ?ふぇぇぇ!あ、あ、えと…えと!そ、そう言うことでは!」

 

「!……そ、そうか…いや、すまない…私だけが舞い上がっていて……そうか、ヒフミは私のことが好きじゃないと言うことなのか…」

 

「ち、違うよ!私はアズサちゃんのこと大好きですよ!今日こうやって一緒にお出かけできて嬉しいんですよ!」

 

「本当…か?」

 

「うん!だって私は今日楽しみにしていたんですよ!夏休みになったらアズサちゃんと一緒にペロロ様のグッズ探そうと前から計画立てていたんですから!」

 

「な、なるほど!じゃあヒフミは大好きになってくれたのか!」

 

「!…あはは…そうですね。はい。そうです!私はアズサちゃんのこと好きですよ!これからも一緒にペロロ様巡りしましょう!」

 

「もちろんだ!」

 

 

 

あぁ^〜、この二人めちゃくちゃええなぁ。

 

気ぶりおじさんになっちまう〜。

 

 

 

「友人とは、素晴らしいな」

 

「私からすると、またこうやってアンタの無駄に広い人脈に溺れさせられそうになるの、本当に勘弁してほしいんだけど…?」

 

「別にそんなつもりないんだけどな?勝手に人が集まっているだけだし。そう!例えるならフォークでパスタを絡めとるような…!」

 

「だーかーらー!パスタやめろってのぉ!」

 

「あっ、そうだ。アズサ達はまだお昼ごはん食べてなかったりするのか?もし食べてなかったら目の前にあるパスタ店とかどうだ?奢るぞ」

 

「無視かよ!?」

 

「む?良いのか?カナタ?」

 

「構わないよ。ヒフミもそれで良いか?」

 

「えっ、ええと……い、良いんですか?」

 

「ええよ。あまりお高いのは困るけどオーソドックスなメニューなら四人分は余裕だな」

 

「っ!でしたら、ご馳走になります!」

 

「カナタ、席は確保した。いつでも行ける」

 

「アズサちゃん!早いよ!?」

 

「助かる。おい、カズサ。置いてくぞ」

 

「……はぇ…?私も?」

 

「店員には四人ってアズサが言っちまってるから来てくれないと困る。ほら早くしろ。パスタが伸びてしまう」

 

「まだ頼んでも無いだろ!?てかっさぁ!ぐぬぬぬぬ!!ああもう!!なんだよぉもぉぉお!またかよぉぉぉお!!」

 

「うるさい早く来い、キャズパ」

 

「略して混ぜんな!」

 

「(お友達じゃないんでしょうか?)」

 

 

 

それから席に座り、水と食器類を貰ってメニューを開き、各々好きなモノを注文する。

 

俺はバジルソースを頼み、アズサが肉類のパスタに目を光らせていたのでハンバーグ付きのミートソースを頼み、ヒフミは慣れたようにカルボナーラを注文する。

 

最後に残されたカズサは人に奢られ慣れてないのかメニューを眺めながらも、どうするべきか戸惑っていたので俺が勝手にペペロンチーノを頼んでおいた。

 

 

「ところで、ええと……その方は??」

 

「紹介してなかったな。コイツは杏山カズサ。俺が百鬼夜行にいた頃に一度出会った事があってだな。そしたら今日一年ぶりに会った」

 

「なるほど、つまりカナタの友人か」

 

「なっ!違う違う!こんな変なヤツは友人でもなんでもないから!」

 

「ふむ。確かに変なところはあるがでも悪いヤツじゃないのは確かだな。何故ならカナタは私を救い出してくれた人だ」

 

「救い、出す??……なんかよくわからないけど、でもコイツは悪いヤツだ!何かある度にパスタ呼ばわりして!本当に腹立つ!」

 

「仲良しに見えるな」

 

「それはない!!」

 

「む?そうなのか?ヒヨリの雑誌に書いてあったが誰かにそれだけ弄られるというのは可愛がられている証拠なんだと知った。つまりカズサはカナタに可愛がられている対象なんだろうが違うのか?」

 

「は?はぁ!?いや!違うから!?てか、コイツに、か、かわい、可愛がらっぁあ!?いっ、いやいいやいや!意味わかんないんだけど!」

 

「どうなんだ?カナタ」

 

「色んなソースに絡み合うパスタのようなヤツで俺は面白いと思っているな、カズサに関しては」

 

「それ揶揄いたいだけだろ!?」

 

「最初はそんなつもりは無かったけど、でも噛めば噛むほど味が出て、あと良い感じに噛み応えも良くて、そして茹で時間次第では食感も変わる……はっ!やはりパスタか!」

 

「うがぁぁぁあ!良い加減にしろカナタぁ!」

 

「なんだ?杏山パスタ」

 

「鎌倉パスタみたいに言うな!」

 

「ふむ、やはり仲が良いな。私もカナタともっと仲良くなりたいから参考になる」

 

「あはは…」

 

 

それから注文した料理が届き、それぞれ届いた料理に手をつける。専門店と言うだけあって麺が非常に美味しく、またハンバーグ入りのミートソースに目をキラキラさせているアズサはとても印象的だ。

 

ああっ頼む!

食べろ!もっと食べてくれ!

俺が許可するから!!

 

 

 

「そう言えばカナタ、今日はどうしたんだ?」

 

「午後が休みなので映画を見に来た」

 

「なるほど」

 

「ふーんアンタが映画……なに観るの?」

 

「ええと、タイトルが…」

 

 

俺は携帯を取り出してこの後観る予定の上映タイトルを確認する。たしか…

 

 

 

「ペロロジラvsペロゴリラvsダークライ」

 

 

「ペロロ様!!」

「ペロロか!!」

「ペロロねぇ…」

 

 

「俺どっちかと言うとダークライの方が一番気になるんだよなぁ……なんでココに???」

 

 

どこだろうと巻き込まれる彼に俺は涙を禁じ得ないが残念、それが奴の運命。

 

どう足掻いてもこのパスタの様に巻き込まれてしまう運命なんだろう。確かに悪夢だな。

 

 

 

「映画、気になるか?アズサ?」

 

「もちろんだ!」

 

 

お口にミートソースを付けながら頷く。

 

 

 

「映画、気になるか?ヒフミ?」

 

「はい!とても!」

 

 

お目をキラキラさせて返事をする。

 

 

 

「映画、気になるか?カズサ?」

 

「いや、別に…」

 

 

と、ぶっきらぼうに応えるがカズサだが、しかし、ケモ耳を見る限り興味3割といったところだろうか。つまり観れるなら観たいと。

 

 

「とりあえず四人分の仮予約が完了した。上映は2時間後だから。よろしく」

 

「待って!?また何勝手にさぁ!?」

 

「良いのか!?カナタ!」

 

「良いんですか!?月雪さん!」

 

「良いぞ。全員で誰がVSで勝つか行先を見守ろうじゃないか」

 

「良くないんだけど!?何勝手に予約済ませちゃってんの!?」

 

「アズサとカズサの名前が似てるから?」

 

「関係なくねっ…!?」

 

「お菓子もジュースも沢山あるよ。映画館に」

 

「!」

 

「アズサちゃんはキャラメル味のポップコーンって知っていますか?」

 

「ポップコーン?何だそれは?気になる」

 

「つ、釣られないからな…!」

 

「でもケモ耳は絶賛興味を示してるぞ」

 

「!」

 

「百鬼夜行で培ったケモ耳専用観察眼から逃れることなどできぬぅっ!」

 

「何コイツこわっ!?」

 

 

それから食事を終え、会計を済ませるとパスタ専門店を出る。

 

3人には上映時間30分前に映画館前に集合と伝えて一時解散。

 

あとカズサには「仮予約だから気にするな」と伝えてある。

 

決済はまた改めて映画館で行うから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時間までどうやって暇潰すか…」

 

 

アウトレットモールを適当に歩き、モモトークの未読を解消しながらウィンドウショッピング。

 

夏休みだけあって人が多い。

 

そして俺が歩くたびに「男性にヘイロー?」と注目を浴びてしまう。

 

百鬼夜行にいた頃は「そんな事もあるのか」「それより団子食ってけよ!」「俳句読め!」みたいな環境故にあまり気にされず受け入れられてたが、シラトリ区といった都内になるとまた注目度が違う。

 

なんなら先月のチーズ転がし祭りの時にそこそこ有名になっちまったからな。もしかしたら俺のことを知っている者がいるかもしれない。

 

ただそのためウリエからは、もしゲヘナに行く時があったら誘拐されるなよ?と軽く警告を受けてしまった。どうやらゲヘナ生徒は有名人や金持ちを狙っては身代金を要求するような無法地帯らしい。なかなか怖いねぇ。

 

 

 

 

「油絵…?」

 

 

ゲヘナに行く予定があるかはともかく、引き続きアウトレットモールの中で目的もなくふらついていると、道の一角にひっそりと開かれている展示会に目が付いた。

 

 

 

「また人が集まり辛そうな展示会だな…」

 

 

夏休みブーストが掛かっているにも関わらず配備されたスタッフの数も少なく、展示会自体の規模もそう広くない。なんだか寂しい展示会になっている。

 

 

「和芸ならある程度嗜みはあるけど、こういった諸芸はからっきしだな」

 

 

寺子屋にいた頃はナグサとアヤメで一緒にけん玉やったり、輪投げやったり、祭りの時は3人縦に並んで獅子舞したり、まあそれなりに和芸は体験してきたが、画用紙に芸術を刻む様なことは花絵とか書道以外に経験はない。

 

なので油絵といった芸術は何を見るべきかあまりわかっていない。

 

 

 

「ここだけ静かだな…」

 

 

 

ただ綺麗だなと、思うだけ。

 

そうやって適当に眺めていると…

 

 

 

 

 

「ええ。それで良いのです。飽和性が無いからこそ暗がりに明かされた作品は素晴らしく、騒がしくないからこそ動かぬ芸術は一つの光りと知り得る。ああ。解は常に一つとは限らない。自己解釈とは常に探究心と好奇心の延長線にあるのだから。そう思わないか?」

 

 

 

 

 

___異質な雰囲気を感じ取った。

 

 

 

 

「誰だ?」

 

 

突如、横から話しかけられ声に反応する。

 

それはまず、ひとりの男性の声だ。

 

 

しかし機械的な電子音じゃない。

 

カタカタと、軋ませる古めかしさ。

 

 

しかしそのタキシード姿は似合っている。

 

それが許される立場だから、なのか。

 

 

 

 

「その問いこそ私が求めるもの…ああいえ。そのままで結構です。すぐに解を求めることは探究心の終着点。貴方は常に完成へと至ろうとする通過点に私は望みますから」

 

 

「似てるな___あのオトナに??」

 

 

「アレと一緒にしないで頂きたい」

 

 

「いや、それは俺が決める」

 

 

「だとしても私は否定しよう。その有様を」

 

 

「……何者だお前?」

 

 

 

俺は腰にある拳銃から秒で射抜ける様に頭の中で状況を揃える。

 

しかし奴からは敵対心が感じられない。

 

 

する奴はギギギィと軋ませながら目の前にある油絵から視線を外して、コチラに振り向く。

 

 

 

「本日はたまたま出会ったまで。なのでそう軋ませないで頂きたい。貴方ほどの神秘に当てがわれてしまえば否定できないこの見窄らしい体に亀裂が入り、それはますます己の根底に痛みを知る。だからどうかそのままであってほしい」

 

 

「そうかい。なら何もしなければここにある額縁を揺らす事もないだろう」

 

 

 

俺よりも背が高い___大人の証。

 

それは人とはいえない異形の存在。

 

 

だが、俺はソイツを【大人】だと認識する。

 

何故なら…

 

 

 

 

「初めまして____正当化の色彩」

 

 

 

 

 

その者は自身を【芸術家(マエストロ)】と呼んだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員、時間通りだな」

 

「うむ!」

「はい!」

「まぁ…」

 

 

ヒフミとアズサは分かるが、カズサも予定通りに来るとは思わなかった。

 

いや来てくれて嬉しいけどね?

誘いに乗ってくれるのは喜ばしい。

 

なので映画のお供となるポップコーンと飲み物を全て最大サイズで歓迎しよう。

 

チェロスも良いぞ。

 

2時間前にパスタ食べたばかりだけど腹に入るなら何でも頼んでくれ。

 

 

「お手洗い済ませておけよ。映画は止まらず流れ続けるから」

 

「なるほど。ならば先に済ませよう」

「たしかに…!わかりました!」

 

 

アズサとヒフミからポップコーンと飲み物を預かり、片方はカズサに持ってもらいシアターの入り口で待つ。平日故に人が少ない通路。そして映画館特有の薄暗さがこれからの楽しみを助長させてくれる。

 

 

「カナタ、何かあったの?」

 

「え?」

 

「少しだけ険しい顔してたから…」

 

「!!……そう見えるか?」

 

「まぁ…」

 

「……なに。とある人とすこしばかし大人の会話をしていてな。思ったよりも難しい話をしたから考え込んでいただけだ。だから気にしなくて良い」

 

「……じゃあ、なんでもない。忘れて」

 

「ありがとう。カズサは優しいな」

 

「は!?な、何でそうなるの…」

 

「優しさは関心からだぞ?他者に対して無関心な人間には絶対に出来ないとする」

 

「別に…た、たまたまだから。あまり変なこと言うと帰るよ」

 

「それは困るな。じゃあペロロの話をしよう。俺はペロロに関してあまり知らない。カズサはどこまで知っている?」

 

「あまり興味ないから…特に。あ、でも生産数が少ない限定グッズに関してはブラックマーケットで高く売れるって聞いたことがある。なんなら手のひらサイズの缶バッチでも億単位する白物があるらしい」

 

「根強いコアなファンがいる訳か」

 

「モモフレンズにも色々あるから」

 

「ヒフミが言ってたな。奥深いんだって」

 

 

あのペロキチ娘、モモフレンズの話になると止まらなくなるんだよな。でもアズサは羽をピコピコさせながら興味津々になって聞くし。互いに良い友人を持ったな。ヒフミにはこれからもアズサの良き友であって欲しいと俺は願う。

 

 

 

「あ、二人、戻って来たよ」

 

「だな。それじゃ、楽しむか」

 

「まっ…ここまで来たなら、見て帰るし」

 

「ああ、是非そうしてくれ」

 

 

 

その後、四人で映画を楽しんだ。

 

 

内容は素直に面白かった。

 

 

ペロロジラが内閣総辞職ビームしたり、ペロゴリラがヒゲの配管工に一泡吹かされたり、最後は共闘したりとかな。カオスな内容だったがまあそんな映画だと思えばけっこう楽しめたのでヨシとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにダークライは生存ルートだった。

 

援軍に来たディアルガとパルキアに泣いた。

 

 

 

 

 

つづく

 

*1
勘解由小路ユカリ







ペロロジラとペロゴリラは痛み分け。
つまり勝者は勝ち逃げしたダークライ。
やっと勝てたね!!
良かったねダークライ!!へけっ!

パルキアは理不尽にバカヤローと言われた。

-完-




それとアズサはアリウスから来たことをヒフミに語らず、これまで不自由なところにいたと説明してるだけで詳しい内容は語っていない。後に話すと思うが、それはともかくカナタに助けられたことは真実として話しているのでヒフミは月雪カナタにちょっと焼かれている。ばにたすやきたーたす。ほんまコイツ。



明日は未定や!
そんなわけでよろしくな!またな!
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