なんか俺のヘイロー砕けてね?   作:つヴぁるnet

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そういやこの小説ってもっとええタイトルなかったんかなぁ?(今更)


第46話

 

 

 

高性能なアサルトライフルから数発だけ放てばオートマタは次々と地に伏せる。

 

地上に群れをなす雑兵はその身体能力になすすべなく凌駕されてしまう。

 

上空に飛んでいるヘリコプターも侵入されてしまえば内側から破壊された。

 

ならばと重装甲が待ち構えていたが神秘と共に回転する万力鎖が砕いてしまうだろう。

 

 

 

この兵士を前に何を用意するべきか?

 

 

 

何も用意するな__全て無意味だから。

 

 

「くそっ!コイツ!?捉えれない!!」

「なんなんだよ!あの化け物は!!?」

「嘘だろ!80の兵がもう消えた!?」

「上空にあるヘリコプターも半壊ッ!」

「戦車は残り半分しかありません!!」

「あり得ない…あり得なさ過ぎる…!」

 

 

空から降り注いだ光を受けた筈だ。

 

なのに奴は部隊を破壊すべく駆ける。

 

銃も、短刀も、クナイも、万力鎖も、全てを引っ張り出し、それは化け物と早替わり。

 

 

だからカイザーPMCは目の当たりにする。

 

過去のデータなど全く当て嵌まらない。

 

月雪カナタの全力はこれほどなのかと。

 

 

そして、アレを相手に足りなさ過ぎる。

 

駄目だ、この戦力は多いのに圧倒的に足りない。

 

カイザーPMCは慄きを止められない。

 

何故なら___キヴォトス全土に存在するカイザーの戦力の半分近くを集めてこの劣勢である。

 

それほどに目の前の存在は__規格外だ。

 

 

 

「強いのは分かっていた…!けれどこんなにも強かったのか!?嘘だろ!」

 

「SRTの力を舐めた事はないが、しかし…」

 

「それは部隊的な話と思っていた、思っていたんだ…」

 

「部隊的な話だと??ならこの目の前の惨状はなんだ??たった一人だろ??こちらは精鋭を含めた全勢力の4割近くを持ってきたんだぞ??ゲヘナ風紀委員会とそう変わらない物量なんだぞ!?作戦前は過剰だと思われた程だぞ!?」

 

「見たところ、衛星砲が直撃した跡はある。ならばダメージも受けている。だが戦闘を継続してしまうあの強さ……は、はは…」

 

「このっ、化け物、め…!!」

 

 

 

歩兵を400、戦車を20、空戦を6。

 

数字にすれば少ないか。

 

それとも、多いのか。

 

もし組織同士の衝突なら足りない。

 

だが対立するはたった一人の子供。

 

ならば過剰と判断するにおかしくない。

 

しかし…

 

カイザーPMCは壊滅が目の前にある。

 

 

 

「ヒエロニムス」

 

「「「!!??」」」

 

 

 

月雪カナタは、肩に絡みついたを引っ張りながら『パン!』と手を合わせる。

 

すると視覚化可能な神秘が集まり、カナタの後方に大きなナニカが形成された。

 

それは固体にはならずとも神秘の色を現す青色の粒子がローブを被った大男を、それを月雪カナタの望むがままに浮かせて造りあげる。

 

 

 

「消え失せろ」

 

「「「!!???」」」

 

 

ゴォォォォォオオ!!!

 

ヒエロニムス(色彩)は祈り合わせたような手を開き、その両手にエネルギーが集約する。

 

それを地面に放り投げ……

 

 

 

「「「ギィィァァァァアア!!!」」」

「「「ガァァァァアッッッ!!!」」」

 

 

神秘を秘めない者を殺す__衝撃波。

 

無論、オートマタは神秘を秘めていない。

 

故にカイザーPMCは瞬く間に砕け散る。

 

バチバチと火花を弾かせ、爆発する。

 

響き渡る断末魔のまま機能停止。

 

瞬く間に二桁の兵が絶命した。

 

 

 

「行けっ、ヒエロムニス…!」

 

 

恐怖を知り、反転を受け、解釈を得て、それら全ての条件をその身に満たし、とある芸術家と共に時を超えてきた成功体験者は色彩として扱われる【設定】である。

 

故にヒエロニムスを生成するに月雪カナタという存在は苦労どころからそれを『正当化(とうぜん)』として扱い、この箱舟に存在を浮かせた。

 

 

無論、カイザーPMC達はそれを知らない。

 

何故なら目の前にいる者は子供。

 

視覚的情報としてしか判断出来ない組織。

 

だから月雪カナタの規格外を知らない。

 

そして理解できる事は永遠とないだろう。

 

何せ、この者は___

 

 

 

 

「次はお前達だ」

 

「「!!」」

「「!?」」

 

 

正当化の色彩である。

 

ただの力で勝つことは叶わないだろう。

 

 

カイザーPMCはカナタに身構える。

 

正真正銘の規格外たる絶対強者が立っている。

 

 

 

「っ………動きを止めると、これか…」

 

 

だからと言ってカナタは無敵ではない。

 

衛星砲のダメージは無視できない。

 

だから動き続ける事でズタズタにされた神秘を循環させ、回復をさせる。

 

実際に神秘を使う事で回復していた。

 

まだまだ戦える。

 

だが、肉体は追いついていない。

 

少し足を止めれば身体が思い出す。

 

この身体はダメージを受けている、と。

 

 

 

「おい!お前!」

 

「?」

 

 

 

一人の兵士がカナタに叫ぶ。

 

そこには…

 

 

 

「このガキがどうなっても良いのか!」

 

「ぁ、ぁ、ぅ…」

 

 

形勢逆転を狙って一人のカイザー兵が倒れていたアリウス兵を乱雑に掴み上げた。

 

ガスマスクは外れており、そこにはなんて事ない少女の顔だ。

 

 

「大人しくしないと__!!」

「おいバカ!何を見て判断した!」

 

 

もう一人のカイザー兵が叫ぶが、遅し。

 

カナタの姿は消え、そして__

 

 

「ぁ、ぇ?」

 

オートマタの首が一つ跳ね飛ばされた。

 

 

 

「言わんこっちゃねぇ!!」

「くそっ!隙なしか…!!」

 

 

アリウス兵に重ねているヘイローに飛雷(とん)でいた。

 

 

 

「カ……ナタ……?」

 

「待ってろ、すぐ助ける……ヒエロニムス!」

 

 

カナタは生成した青色のヒエロニムスに声をかけながら他のアリウスの元に瞬間移動し、救出者をまとめるとヒエロニムスはそのアリウス兵を守るようにその元に着く。見上げれば顔も素性もわからない大きなヒトが見下ろしている。けれど恐怖は感じ取れない。むしろ父なる安心がある。

 

 

 

「これで全員だな」

 

「カナタ…なぜ…そこまで…」

 

「君たちを助けたい。それじゃダメか?」

 

「わか…ら、ない………わからない…よ…」

 

 

ガスマスクを付けていたリーダー格のアリウス兵は震えながら答える。

 

どうしてだ。

どうしてなのか。

 

 

背中を……その背中を見た。

腕章を、明日として約束した。

 

だからこうしてるのだろう。

 

でも、どうしてもそれができるか。

 

狙われた身で、それでいて私達アリウスは都合よく利用されて、そしてこの有様である。

 

見捨てられても、そのまま見殺しにされても、何も言えないはずなのに、でもこの者はアリウスを捨ておかず、汚れた泥水から掬い上げようと、真実から救い上げようとするために背中を見せて戻ってきた。

 

 

 

「全部終わったら陽の下で話をしよう。そしたらもっと知れることもある。真実も明日も。子供には選択があることを。アリウスが全てにならないための事を。幾らでも語る。(かた)るんじゃなくて語るんだ」

 

 

カナタはリーダー兵の手のひらから落ちそうになる腕章をもう一度グッと握らせて、それは明日の約束だと押し込める。青色のヒエロニムスは集めた5人の元から動かず、カイザーPMCと牽制し合い、またカナタもアサルトライフルを構えながら残りの雑兵を見据える。

 

人質になる者はもういない。子供達の未来を大人の都合で縛られることもない。ここには月雪カナタがいる。アリウスの大人役だった筈のベアトリーチェですら見せなかった大人の責任がこの場にある。

 

 

 

「宇宙からの攻撃だったな……まさかだと思うが……吐かせる、か」

 

「!?」

 

 

そう決めてからの一歩は早く、カナタは手を伸ばしてカイザー兵の喉元を掴んで建物の壁に押し込み、剥き出しの部位に銃口を押し付ける。

 

 

「おい、先ほど降り注いだ攻撃はなんだ?」

 

「ぐぅ、ぐっ、それを…言うと思__」

 

「じゃあいい」

 

「へ?」

 

 

オートマタの首がまた飛んだ。

 

神秘を纏った短刀が刎ねたから。

 

そして再び、別の敵に踏み込む。

 

 

「く、くるなぁ!!」

「う、撃てぇぇ!!」

 

 

カイザー兵達は迎撃するがカナタは道端に落ちていた盾を拾い上げ、それを斜めに構えながら突貫し、銃弾を上に逸らしながら一人に接近して蹴り飛ばし、敵から奪ったショットガンを使い捨てるように数発ばらまくと、怯んだ敵を掴み上げて地面に叩きつけ、もう一度地面に叩きつけ、そして片足をへし折る勢いでもう一度地面にグチャりと叩き潰し、建物の壁に押し付けながら胴体をガコッ!と一部凹ませる。そして視覚化可能な程に分厚い神秘で威圧感を放ちながらカイザー兵に語りかける。

 

 

 

「言え…先ほど降り注いだ攻撃はなんだ??アレはカイザーのモノか?本当におまえらの兵器なのか!?言えッッ!!」

 

「そ、そ、そ、それ、は!言えない!言うことは…ぐぎゃァァァ!!」

 

 

ガタガタと震えながら答えるカイザー兵。またカナタの分厚く漏れだす神秘の圧力に圧されているのかモノアイをチカチカとさせながら意識が途絶えそうになる。だがカナタはもう一度建物にグシャ!とカイザー兵を押し付けて痛みで意識を繋がせ、吐かせようとする。

 

 

「吐け…さもなくばこのまま潰す…!!」

 

「ま、ま、待ってくれ!あ、あ、アレは!そ、そら、からぁ!」

 

「そ、ら?」

 

「そ、宇宙(そら)の衛星[ピピピッッ]ァァ!?そんな!!!??」

 

 

 

カイザー兵から異常音が鳴り響く。

 

カナタは嫌な予感と共にそのカイザー兵を手放して、次の瞬間。

 

 

ピピピー、ドカーン!!

 

 

 

「なっ…」

 

 

カイザー兵の頭が爆発した。

 

 

 

「喋らせないように仕込んでいた…?コイツらってただの民間軍事会社じゃねぇのかよ?なんだよこの徹底ぶりは…」

 

 

カナタからすればカイザーPMCは量産に優れながらも数がやたら多いだけで脅威にとらない軍事会社として認識して、場合によってはヴァルキューレにすら引けを取るような組織力。そのため今回も数だけは多いと思っていたが余計な情報を喋らせまいと徹底させている。非道だろうと構わないこの用意周到さにカナタは、今回のカイザーは何か違うと嫌な予感に汗を伝わせる。

 

何か……何かだ。

 

コイツらは徹底したい何かを秘めている。

 

少なくとも月雪カナタに対しての__

 

 

 

ダン!ダン!ダン!

バン!バン!バン!

 

 

 

「!?」

 

 

 

追加の銃撃音。

 

しかしそれはカナタに向けられた銃声ではなく少し離れた別の場所から。

 

カナタは銃声音の元まで駆ける。

 

すると、そこには…

 

 

 

 

「その子を放しなさい!!」

 

「ならば銃を捨てろ!小娘!」

 

「ぅ、ぅぅ…!」

 

 

傘銃を構えて警告するのは白い制服に水色の髪を靡かせたキヴォトスの観測者。

 

それは__連邦生徒会の生徒会長

 

砂埃に汚れた制服と、やや荒れた長髪が目立つ。

 

ここまで急いで来たことが伺えた。

 

それから人質となっているのは…

 

 

「スズミっ!それと…白鳥!?なぜお前がここに来ている!?」

 

「カナタくんっ!」

 

 

「ぅぅ…」

 

「おい!それ以上近づいてみろカナタぁ!この小娘の頭が吹き飛ぶぞ!!」

 

 

守月スズミは気絶した状態でカイザー兵に背首を掴まれて銃口を額に押し付けられていた。

 

それを見てカナタは憤る。

 

 

 

「おい!何が民間軍事会社だ!やってる事はチンピラのソレじゃねぇか!その子を離せ!」

 

「黙れ!SRTを建前に武力介入を正当化してきた奴が言うことか!貴様こそ我が社に多大なる損失を与えてきただろうがァァ!!」

 

 

カイザー兵はスズミを捕まえていた。

 

カナタでも気づかないほど上空のドローンがその映像を捉えており、カナタがスズミの元から離脱した瞬間にカイザーは捕らえに入った。

 

無論、スズミは抵抗した。

 

しかし__カイザーから支給された武器のトリガーが急にロックされ、攻撃手段を奪われた。

 

敵の武器を当てにした代償である。

 

 

 

「(数は10。兵はまだ新品。予備の兵か?)」

 

「カナタくん、わたし…」

 

「白鳥、話は後で聞く。今は…」

 

「ッ…うん…!」

 

 

「オイ!聞こえてるのか!小娘は銃を!カナタは銃とヘイローをその場に置け!さもなくば!」

 

 

声を荒げるカイザー兵。

 

カナタは白鳥の眼を。

白鳥はカナタの眼を。

 

チラリと交わして__

 

 

 

「それなら!後ろにある私の連れてきたドローン達は置かなくて良いって事ですね!!」

 

「っ、なに!?」

「「!!、??」」

 

 

カイザー兵は後ろを振り向く。

 

カナタの使用兵器は研究済みだ。

 

奴はドローン兵器をあまり使わない。

 

 

しかしこの少女は全く知らない。

 

そのためカイザー兵達は振り向く。

 

振り向いてしまった。

 

 

だが、そこには何もなく__

 

 

 

パン!パキーン!

ダダダ!バン!バン!

 

 

「がぁ!」

「ぎゃぁ!」

 

「ぐはっっ!」

「がぁぁあ!」

 

「「「!!?」」」

「「「!!?」」」

 

 

カナタが左を2体、白鳥が右に2体。

 

編隊を組んだ端側の計4体が倒される。

 

すると意識は倒れた左右に分散された。

 

この数秒、カナタから視界が外れる。

 

その隙にカナタは踏み出した。

 

懐から投擲される短刀は左に。

 

それと手榴弾を、やや大きく右側に。

 

 

「しまっ、迎撃を__!!」

 

「遅いっ!」

 

 

スズミを人質に取っていたカイザー兵の額に短刀が突き刺さる。するとスズミはカイザー兵の手元から放り出されてしまうが、カナタは片手を伸ばしてスズミを掴み取り、それと並行しながら1人のカイザー兵の胴体を切り裂く。

 

 

 

 

「百鬼夜行の射的よりは簡単ですね」

 

「!?」

 

「あと、景品は要りませんよ!」

 

「しまっ…!」

 

 

白鳥はカナタが放り投げた手榴弾を狙撃。

その爆発で3人を撃破した。

 

 

「カナタぁ__!」

 

「キヴォトスの子供に手を出すなァ!」

 

 

手元に溜めていた螺旋丸の回転によって既に遠心力を込めていた万力鎖はカナタの手のひらから鋭く放出される。それが残り1人のカイザー兵の胴体を抉り砕いて貫通した。

 

 

バタ。

バタ。

ドタ。

バタ。

ズタッ。

ガチャン。

ジャラ。

ドゴン。

グシャ。

グギギ、ギギ……バタ。

 

 

 

「数だけバカに揃えやがって…」

 

「流石ですね。SRTというのは」

 

 

SRT最強のカナタが『超兵』であるのとするならば、連邦生徒会長の器である白鳥は『超人』であろうか。

 

つまりカイザー兵が10人集ったところでこの二人に勝ち目はない。

 

このガラクタの数々がその証明だろう。

 

 

「それよりも……白鳥、なんでこの場所に?」

 

「っ、カナタくん!貴方のお伝えしなければならないことが!」

 

 

カナタは気絶しているスズミを両手で抱えながらこの戦場に来ている白鳥に疑問を投げると、白鳥は焦ったようにカナタの元までまで駆け寄って告げる。

 

 

「ここから!逃げてください!このままだと貴方は宇宙の光に存在を否定されます!」

 

「宇宙の光??なんのことだ??」

 

 

急な内容に混乱するが、しかし『宇宙の光』と言う言葉にカナタは傷の痛みと共に思い出す。

 

 

「もしかしてだけど……さっき降り注いできたアレなのか??」

 

「!?……も、もしかして…」

 

「ああ、この辺を直撃だった。あと数秒離脱遅れてたらめちゃくちゃやばかったな…」

 

「ぇ?…直撃……なっ!?ま、ま、まさか…!もしかしてですがアレを受けたのですか!?」

 

「え?…まぁ、アリウス生を守るためにちょっとだけ遅れたと言うか……そうだな、うん」

 

「うん、じゃないですよ!?待ってください!アレを受けたのですか!?うそでしょ!?ええ!?あ、貴方はバカですか!?それで…そのままコレらを相手に!?受けても尚!?ええ!?な、なんと言うか貴方は…そのっ!こうっ…やはりバカですか!?バカなんですか!?頭いちごミルクですか!?」

 

「頭いちごミルクのお前に言われちゃおしまいだなぁ…」

 

「そんな冗談言ってる場合ですか!ほ、本当にあの光を受けて、生きているんですか!?」

 

「ちょっとだけな。まあ神秘ズタズタにされて回復に時間かかったけど、でもコレらを相手にするくらいなら、なんとか動けたな…」

 

「!?………し、知っていましたけど、やはりカナタくんって頭がおかしいです…おかしい」

 

「ひどい言われようだ」

 

「っ!!…でも、無事で良かったです」

 

 

心の底から安心したように力が抜けてしまった彼女の姿を見て、緊張感と銃声やかましかった雰囲気は幾分か和らいだ。

 

それでもまだ油断はできない。

 

気づけば白鳥まで参戦している。

 

宇宙の光を伝えるために来てくれたか。

 

カナタは再度白鳥に尋ねる。

 

 

「それで、宇宙の光ってなんだ??アレは本当にカイザーのモノなのか??」

 

「っ…いえ、アレはカイザーが……今のキヴォトスで作ることは到底叶わない過去の産物。言わばオーパーツ。しかしカイザーは何かしらの手段で手に入れることに成功した…と、いうことになりましょう。この場合なら」

 

「なら、それは兵器で良いんだな?」

 

「はい。そうです。その通りです。だから私はそれをカナタくんに伝えたくて来たんです。何せあの光は間違いなく!!」

 

 

 

ドゴーーーンっっ!!

ピュューーーーウウウ!!!

 

 

 

「!!??」

 

 

空を滑るような音。

 

全身から警告音が鳴り響く。

 

しかしこれは宇宙の光じゃない。

 

これは…

 

 

 

「これって、迫撃砲!?」

 

「カイザー!?まだ俺を諦めないのかっ!!」

 

 

大戦力を削っても尚、まだ襲ってくる。

 

カナタはこの諦めの悪さに苛立ちながらも焦りを生む。もうただの小競り合いではない。やっているこれは戦争だ。しかも連邦生徒会の会長がいる状況に対しての砲撃。そのことに奴らは気づいてるのかどうかはわからないがここまで来たら言い訳が付かないほどである。

 

例えそれを理解していたとしても奴らはその覚悟の上で月雪カナタを討ち滅ぼしたいらしい。

 

 

 

「白鳥っ!」

 

「!」

 

 

カナタは手を伸ばす。

 

瞬間移動のために。

 

 

 

しかし___ドクン、と心臓が叩く。

 

ここで限界が訪れた。

 

 

 

「うぐっ……あ、ぐぅ…!」

 

「カナタくん!?」

 

 

カナタは胸を押さえ、片膝をつく。

 

ここまでの激戦、またそれよりも前に受けた衛星砲の攻撃、いくらSRT最強だろうともカナタのバイタリティは無限ではない。蓄積したダメージを思い出させる。これ以上は危険だと。

 

 

 

「カナタくん…!」

 

「しら、とり…!?」

 

「カナタくんは私が守るからっ!」

 

「ダメだ…っ、逃げ…ろっ!」

 

 

白鳥は迫り来る迫撃砲から守るようにカナタを抱きしめて備える。

 

 

 

そして___辺り一体が爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆撃を確認した。

 

三つの子供が吹き飛ばされた。

 

それと同時に青色の物体も消えつつある。

 

つまりカナタの神秘が弱まったと言うこと。

 

そしてそれだけの神秘を使い、追い込まれたと言うことになる。

 

 

 

「対象の神秘濃度98%!標準はヨシ!」

「衛星砲の出力も100%!発射可能です!」

 

 

オペレーターの声が響く。

 

全てが完了した。

 

 

 

「くくくっ。最初はかなり驚いだぞ。一撃目は20%程度の出力とはいえまさか直撃しながらもアリウスの子供をその神秘で守り。それでいて耐えながら自身も攻撃から離脱するとは。その後は200あるだろう戦力を一人で壊滅させてくれた。やはり規格外に極まったと子供ということだろうか、とんでもない所業を見せてもらった。むしろ感謝もしたくなるな」

 

 

悪い大人は愉快に喜ぶ。

 

やや薄暗いオペレータールームで大型モニターを眺めながらこの状況に腕を組む。

 

その大型モニターではコンクリート道路が迫撃砲の爆発と火炎によって燃えており、モニターをズームした先には3人の子供が倒れている。

 

一人は元から気絶したまま。

 

もう二人は……微かに動いている。

 

 

 

「しかし、まさかこの計画に連邦生徒会長までお越しになるとはな。それほどにあの兵士が大事と見た。ふむ…本来なら計画に入らない異分子まで巻き込むことはビジネスとして成立させるに少々不安を強いることになるが…まあ良い」

 

 

悪い大人は「問題無し」と下す。

 

何故なら、アリウスがいる時点で何もかも巻き込むことは織り込み済み、なんならそこにいるカイザーPMCすらもまとめる予定だ。

 

無論、ある程度の撤退猶予は残している。

 

しかし月雪カナタを討ち滅ぼすにはある程度の犠牲、言わばコラテラルダメージ。

 

噛み砕いて言えば__これは必要経費。

 

なに、軍隊ならまた揃えれば良い。

 

金など幾らでも生み出せる。

 

今回はそれを支払うための計画。

 

ここで月雪カナタという遺伝子を潰しておけるならばカイザーコーポレーションは上々として両手を大いに叩けるのだから。

 

 

 

「これも全て貴様が食われるだけの子供として終えなかった故に起きてしまった代償だ。それをカイザーコーポレーションが最終決裁として支払わせてやろう。ただし舞台費用はこちらが用意しよう。盛大なデモンストレーションのためだ。是非協力致しますよ?非常識なお客様…くくく!」

 

 

 

悪い大人__ジェネラルは手を挙げる。

 

そして、無慈悲に振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

「最大出力で___放て」

 

 

 

 

 

 

 

 

引き金は___大人の都合で決まる。

 

大人の都合は__ある種の悪意で決まる。

 

 

では、その悪意とは___??

 

 

 

 

 

それは…

 

 

 

 

それは……

 

 

 

 

それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女は見上げる。

 

青色のヒエロニムスは消え掛かっている。

 

そのため空がよく見える。

 

だから、気づいた。

 

上から伝わる圧迫感の正体を。

 

 

 

「ぁぁ…アレは…」

 

 

代わりに空が青白く迫る。

 

何もかもを消そうと白くする。

 

それは、全てを終わらせるような光。

 

カイザーから何も知らされていない。

 

ただカナタを弱らせろと言われただけ。

 

もしくは神秘を引き出させろと言われた。

 

そうすればカナタを討てる…と、甘い話に誘われてしまい、私達アリウスはこの有様である。

 

だから理解する。

 

あの光がカナタを消すための手段。

 

そしてアリウスは捨て駒だ。

 

虚しさと怒りに飲まれた結果として悪い大人達の都合を悟れず、ここで捨てられる。

 

もう、何もできない。

 

何も、動けない。

 

無意識に__腕章を強く握りしめる。

 

 

 

「ごほっ…げほっ…」

 

「!」

 

 

近くまで吹き飛ばされたアリウス生。

 

それは守月スズミ。

 

迫撃砲の爆発でこちらまで吹き飛ばされて…いや、カナタが投げたのだろう。

 

消え掛かっているとはいえヒエロニムスの元ならば安全と判断して投げたのだろうか。

 

しかし爆発によるダメージはある。

 

スズミは咳き込んで、立ち上がれない。

 

 

 

「待ってろ…!ぐっ…!」

 

 

アリウス兵のリーダーは痛む体を引きずって腕を伸ばす。

 

しかし、手が届かな……いや、届くっ!

 

この腕章が…!明日のために託された腕章が届かないその分を縮めてくれるから。

 

 

 

「守月っ!手を伸ばせ!早く!」

 

「ぁぅ、リーダーっ…?」

 

 

それはまるで彼女にも明日を届かせようと繋いでくれるように、その分を与えてくれる。

 

 

「手を…!伸ばしてくれ…!」

 

「っ!?…ぅぅぐ、ぐっ…!」

 

 

スズミは手を伸ばすとリーダーの握りしめる腕章に指が届いた。

 

スズミは食いしばってそれを掴み取り、リーダーは消えかかるヒエロニムスの下に引っ張る。

 

これでアリウス兵は全員集った。

 

 

「スズミ…」

「もり、つき…」

「先輩……ぅ、リーダー……」

 

 

皆はホッとする。

 

アリウス自治区が倒壊した後も、意味があるのかわからない虚しさを隣にしながらも、それでも共に時間を得てきた仲間だから再度集まれたこの時に心を撫で下ろす。

 

しかし見上げた空には全てを白くしようとする光が迫っている。

 

 

恐らく__私達は終わる。

 

カナタが明日に繋げてくれようとした。

 

しかし、その明日はあまりにも遠いか…

 

だから明日を得れずに終わるのだろう。

 

これが真実から目を逸らした者の末路…か。

 

 

 

「皆、すまない…」

 

「「「!?」」」

 

 

 

リーダーは仲間に謝罪する。

 

何もかも己が抱えた真実で振り回した。

 

 

 

「私は……昨日ばかりを……見ていた…」

 

 

 

ここまでの刻は…無意味だった。

 

 

あの真実を前に…知ってしまった。

 

 

虚しさの教えは…ただ虚しいだけと。

 

 

終わってから全てを理解した。

 

 

何も、成せなくて悪戯に朽ちてゆく。

 

 

そう思い…

 

 

 

「いえ…私は……それでも……明日を…明日はちゃんとあるんだと……知れたから…」

 

「スズミ?」

 

 

 

しかし、否定する。

 

 

 

「無意味なんて思いません……知ったことを嬉しく思います……虚しくなんて……なかったですから……」

 

 

 

スズミはこの中で誰よりも真実を疑いながら真実を知ろうとしてきた。

 

それ故に明日を誰よりも早く知った。

 

そしてそれはリーダーも気づいていた。

 

守月スズミは虚しさに溺れてなかった子供なんだと。

 

 

 

「そう、か………お前が、そう思うなら……そう、かもな…」

 

 

 

なら、無意味なんかじゃない。

 

明日を知れた。

 

虚しいだけじゃないと知れた。

 

ならば、それは明日の糧になる。

 

私達に、もう明日は訪れないだろう。

 

恐らく、私達は光に飲まれて消える。

 

でも、明日はあるんだと知れた。

 

明日というのは存在するとわかった。

 

それなら……

今は虚しくなんて、ないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かな、た、くん……にげ、て…」

 

 

 

少女は望む。

それは、無くなってはならない。

 

 

 

「貴方を失うことは……絶対に……ダメ…」

 

 

 

少女は望む。

これを、消されるなんて結末は。

 

 

 

「案内は……もう……充分……だから…」

 

 

 

少女は望む。

彼方に、その魂が浮かないで欲しいと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この身は臨まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぇ…?」

 

 

一人の青年は立ち上がる。

 

体を軋ませながらも、果たそうとする。

 

 

 

 

「子供のために、先駆者とならん事を…っ!」

 

 

 

 

ボロボロの身体はもう無理なはず。

 

ズタズタの神秘はもう無理なはず。

 

 

証拠にヘイローは少しずつヒビが入る。

 

次、何かをすれば……割れるような歪み。

 

 

けれど彼は終わらせない。

 

終われない正当化のために立ち上がる。

 

 

だから決してこの場を逃げない。

 

子供がまだ、明日を見てないから!!

 

 

 

「俺が…この、俺がァァ…!ここで果たさずして何が責任だと言うんだァァ!!」

 

 

 

シラトリ区を ドン と揺らす。

 

足元はバキバキと地割れを起こす。

 

溢れんばかりの神秘がカナタを染める。

 

全てのヘイローは琥珀色に光輝く。

 

何もかも救わんとする__救世主のように。

 

 

 

 

 

 

 

そして____光が落ちてきた。

 

 

 

 

 

 

「このォォッッ!!!!」

 

 

 

両手を掲げて、その大腕を広げる。

 

光を___その手のひらに 浮かせる

 

 

 

 

 

 

 

「ウォォォオオオ!!」

 

 

 

背中を丸めず、全てで受け止める。

 

光を___その手のひらに 浮かせろ

 

 

 

 

 

 

 

「ウォォォォオオオオ!!!」

 

 

 

責任に折れず、この二度目を果たす。

 

光を___その手のひらに 浮かせよ

 

 

 

 

 

 

 

「ウォォォォォオオオオオ!!!!」

 

 

 

役割に朽ちず、大人としての意味を!

 

光を___その手のひらに 浮かすんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それは一人で背負うのにあまりにも重たすぎる責任だった。

 

 

 

ピキピキ……パキッ!!

 

 

 

 

「か___はっ」

 

 

 

 

ピキピキピキピキ……パキッ!!

 

 

 

 

 

「___ぁ、ぁ、ァ_____」

 

 

 

 

 

 

 

___証たる、ヘイローが砕け散った。

 

 

 

 

 

 

 

「カナタぁぁぁっ!!!!??」

 

 

 

 

また、もう一つ。

 

ヘイローが砕け散る___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。

 

月雪カナタも、砕け散っ___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ、だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ォォォォォォォォォォォォ

 

「「「 っ…!! 」」」

 

 

消えかかるヒエロニムス。

 

しかし消滅間近の体で光を抑えていた。

 

子供たちに降り注がないように。

 

 

だが、カナタも、時間も、問題だ。

 

この光は天使を否定するまで止まらない。

 

全てを消さんとするまで。

 

 

 

ぁぁ……これで…ぜん、ぶ…

 

 

 

 

 

 

 

しかし___終わらない。

 

消えない。

潰えない。

 

ヘイローは砕け散りながらも琥珀色に輝く。

 

 

 

「ぇ…?」

「ヘイロー、が…?」

 

 

 

アリウス兵達に重ねられたヘイロー。

 

それが眩い琥珀色の輝きを放つ。

 

 

何故か___直観的に分かる。

 

このヘイローが光から守ってくれる。

 

 

しかし、リーダーは気づいた。

 

足りない。

 

一人だけ、琥珀色が足りない。

 

 

 

 

「リーダー?」

 

 

スズミはリーダーの優れない表情に対して心配そうに伺う。

 

するとリーダーはぎこちなく笑った。

 

 

 

「スズミ、君はこっちだ」

 

「え?」

 

 

リーダーは重ねられていたカナタのヘイローを掴み取ると、スズミのヘイローに重ねる。

 

 

 

「リーダー、なにを??っ!まさか…!」

 

「スズミ」

 

 

あまり、笑わなかった、顔だった。

 

ガスマスクに囚われた、顔だった。

 

狂気にばかり曲がった、顔だった。

 

 

でも今は、なんとか、わかる。

 

これは、狂気でも虚しさでもない。

 

これは…

 

 

 

 

「待ってください!リーダー!そんなことはダメです!このヘイローはリーダーが重ねてください!リーダーが!リーダーは明日をやっと!!」

 

「___スズミ」

 

 

 

頬に手を添えられる。

 

頭の上とは違う、別の暖かさ。

 

 

 

「明日は君が求めるべきだ。私は明日があることを知れただけで……充分だから…」

 

「!」

 

 

代わりにリーダーは腕章を腕に巻く。

 

しかし、その腕章になんの効果は無い。

 

ただ『KANATA』と刻まれているだけ。

 

この光を守る力は込められていない。

 

けれど……

 

 

 

「カナタ……わたしは……あなたが……真実として……来てくれた……のなら……」

 

 

 

もしもアリウスに来たのがベアトリーチェではなく、月雪カナタが来てくれたらどれほどに良かったか。あの力ならアリウスの紛争だって止めてくれるはず。あの真実なら紛争後に疲弊したアリウスに明日を与えてくれるはず。あなたがアリウス生徒会長としてその背中を見せてくれたのなら私達は間違いなく…

 

 

 

「「「リーダーァァ!!!」

 

 

「___ああ、虚しくなんて…ない、から…」

 

 

 

 

 

その光によって___天使は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カナタ」

 

 

 

迫る光に触れる、彼女の手。

 

それは途端、迫る光が軽くなった。

 

彼女も同じように、受け止めたから。

 

 

 

 

 

し、し、■、ら、と、り…?■?

 

 

 

「貴方をその先まで案内をさせない」

 

 

 

 

 

少女は__全てを捧げる。

 

 

コレが終着点だとしても。

 

 

琥珀色の案内人は道連れない。

 

 

彼のアーカイブはまだ続いていく。

 

 

だから…選択する。

 

 

 

 

 

 

 

 

責任は____私も背負うからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、全てが____光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 







【責任】と【選択】
【二週目】と【二度目】

その先にある物語の【解】とは??








あ、ちなみに明日(18:00)も更新する
錠前サオリだ、よろしく頼む。


ではまた
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