なんか俺のヘイロー砕けてね?   作:つヴぁるnet

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久しぶりです。
この年は忙しいね。
書きたいのに書けないっす。

しかし投稿が遅れたこの責任は全て!!
この槌永ヒヨリが背負います!!
うわぁぁぁぁぁぁん!!!!!!




あ、本作品はノンケ一般向けのためあまり余計で低欲な要素を極力入れないように心がけています。そのためにキヴォトスでは恥ずかしくない作品を目指している所存、決して淫夢要素など爛れた構文はございませんの安心してこの作品をお楽しみください。よろしくお願い致します。






第49話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、よーい、スタート。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対に咲き還って見せると決意した男のアビドス砂漠横断RTA!!

 

はーじーまーるーよー!

 

 

さてさて、何故か砂塗れになっちまったアビドス自治区が本RTAの舞台なのですが…

 

いや本当に何で砂漠化しちまったん??

 

 

バックボーンも記録もがあまりない不思議な不思議なアビドスの背景は非常に気になるところさんですが本命を忘れることなかれ、この辺りの考察はまた次の機会と致しましてさぁ今回のRTAを始めるに当たってスタート地点とゴール地点は決めておく必要があります。

 

まずスタート地点に関しては現在後方に見える列車砲シェマタから数メートル先にある寂れた看板を開始位置とします。

 

そしてゴール地点はまだインフラが生きている街にたどり着いた時と致しましょう。インフラが生きてる判定は例えるなら、良く整備されたコンクリート道路とか、まだ電気が通ってる自販機とか、もしくは公園の蛇口を捻ったら水道水が出るとか、色々あると思います。

 

ともかく、生きている街に触れることができたらその時点でタイマーストップしてゴール扱いとしましょう、そうしましょう。

 

 

あとちなみにですが本RTAは実のところまだ試走すらしてないんですよね!へけっ!

 

 

は??

 

 

まあ本RTAは私が最初の走者なので、どのみち私が世界一ってことになっちまうから気にするだけ無駄ですよ。てか砂漠横断RTAとか生粋のマゾさんしかやらないので。ぐへへ。

 

なのでこのあと発生するだろうクソガバプレイも込みで新記録叩き出すことになりますが、とりあえず完走することを第一優先。

 

というより元からライフ一つだけなので再走すら叶わない一発撮りですし、おすし。

 

それでも後生のためにチャートにはちゃーんと書きましょうね!(激うまギャグ)

 

 

 

 

それでは長々と語ったところで始めましょう。

 

看板を横切ってタイマーをスタート!

 

 

 

行くぞ!!

デッ!デッ!

デデデデッ!カーン!

 

 

 

 

 

 

動いてるからあついよぉ~

 

 

てか現在の季節は…夏ぅ!!

暑すぎるわ!!干からびるわ!!

 

は?これで横断するとかバカなの?死ぬの?

 

 

おう、実のところ一度死んでるんだわ。

そんで光になったんだわ。クソワロタ。

カイザーしね。

 

 

一応、日差し対策としてシェマタの中にあった外套を拝借してるが、まあそれでも外の熱気がすごい。

 

そして何処に続いてるかも不明な線路をトコトコと歩いて早くも1時間が経過、ペットボトルの中にある水の消費を考えて引き返すべきか今のうちに考えた方が良いなコレ。

 

別に砂漠の環境を舐めてたわけでも無いし、何ならSRTでも砂上を想定した訓練とかもしてたし、炎天下は慣れてると言える。

 

しかしこの弱り果てた肉体はこれまで重ねてきた経験量に追いつくだろうか?

 

この身はSRTだったからと過信はできない。

 

 

 

「(この道のりを根性論だけで何とかしようとは思わないことだな…)」

 

 

体に熱を溜めすぎないように呼吸は浅く、また可能な限り日陰を歩き、そして口に含んだも水も少しずつ喉に流して喉の乾きを誤魔化したりと工夫する。

 

心拍数を高めすぎないように歩くテンポも一定にしながら、高低差のない場所を選んで進む。

 

余計な体力は使うな。

 

水の入ったペットボトルは5本持ち込んでいるが2日以上の横断を想定するんだ。

 

むしろ足りないと思った方が良い。

 

 

 

「さて、夜はどのくらい冷え込むか…」

 

 

つーか、一番の問題はこっち。

 

暑さに関しては水と日陰でどうにでもなる。

 

ただし夜はどうにもならない。

 

焚き火も無ければテントもない。

 

防風用のシートとかあればサバイバル技術で仮テントとか作れるんだけど荷物は極力減らした結果として…と、いうより普通にあの場所に何もなさすぎたと言った方が正しいか。使うかもわからない列車砲の砲弾だけはたらふく置いてあるのにな。

 

何が雷帝やボケなすぅ。

はー、つっかえ。

やめたらこの仕事?

 

そりゃRTA御用達の厄災リンクでも出来りゃ固形物にそこら辺の意味はあるんだけど、お生憎様このRTAは弱体化した俺の身体ひとつでどうにかするアビドス砂漠横断だ。一発即死縛りのダクソもニッコリ。お前Mかよ。

 

正直リハビリ代わりとか言って横断してる場合ではないのだが、しかしあの場所に踏みとどまっている方が危険だ。

 

そりゃ列車砲の中は電気が通ってて住み心地は良かったよ?しかし期限切れの保存食に頼っていると幾らキヴォトス人でも栄養不足等でジワリと死ぬし、いずれ干からびる。

 

過去アリウス自治区まで威力偵察を建前に乗り込んだ時に見た生徒らしき白骨とか本当に笑えんかったぞ。俺も選択を誤れば誰も知らない砂漠の何処かでアレになる。絶対にごめんだ。

 

 

 

「ヘイローで何かしら悪さしてケツワープとか出来たらこのRTAも相当楽だろうけど、この濁りきった3つのヘイローじゃなんとも言えんし…」

 

 

そもそも現在この力がどの程度あるのかも再確認しないとならない。

 

琥珀色の面影もない錆色に濁りきったこのヘイローでもこれまで通りに何処ぞの二代目火影(リスペクト先)のように瞬間移動先として便利に使えるのか、それとももう誰かにヘイローに重ねたり、また文字通りに浮かせたりなど反則行為に等しいカナタの神秘として扱えるかもわからない。

 

最悪ただの飾りになってしまったか。

 

だとしたら百鬼夜行時代に軽く皮肉ってたアクセサリー扱いが本当になったかもしれないな。

 

前任者ぁ本当にごめん。情けない先駆者で申し訳ない。ふしだらな成り代わりと笑いなさ__

 

 

 

「!」

 

 

 

マイナス思考が__ピタリと止まるような気配を感じ取り、俺は即座に岩陰へ隠れる。

 

 

 

なんだ?

 

なんだ、この、感じ??

 

なにか、砂漠にいるのか???

 

 

 

 

ゴゴゴゴッッ!!

バシャァァァァンッッ!!

 

 

 

 

「ギュオオオオオオ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「………は?」

 

 

 

なんか遠くからご立派ァ!なのが出てきた。

 

え?なにあれ?

蛇?それとも鯨??

 

いや、でも…

 

うわ、すげー!

なんか、かっけー!

 

 

てかキヴォトスってあんなのもいるのかよ。

本当になんでもありだなこのゲーム。

 

 

 

「と、いうより間違っても俺じゃないよな?」

 

 

何が理由で急にあんなのが砂中から飛び出してきたのか分からないが、少なくとも俺が原因で無いことを祈りたい限りだ。弱りきっているこの状態で何とか出来る自信はないからな。

 

 

あと砂漠横断RTAの邪魔や。

おらぁ!遅延行為やめろ!

再送とか無理なんやぞ!こっちよォ!

 

 

 

「あ、潜った」

 

 

もしかして、息継ぎでもしてるのか?

 

蛇でもあるが、鯨でもあるのかな。

 

もうこれわかんねぇな。

 

 

 

「これならまだ鯨繋がりでジエン・モーランの方がマシだな。もしくは蛇繋がりでガララアジャラの…いやアイツはダメ。特に亜種は許すな」

 

 

仮にガララアジャラが出てきたとしてもこんな身体では龍歴院お達しのエリアルスタイルなんて元気な戦法は無理だ。はぁ…なんか段々とこの砂漠横断RTAも不安になってきたわ。これも全部ラギアクルスとかいう海竜のせいやな。おら早く罪を認めろ。

 

 

あ、ちなみに言うて砂漠の上は歩いてない。

 

歩いてるのは基本的に荒野。

 

何処に続いてるかもわからない線路は基本的に砂漠の上ではなく荒野に続いてるからな。

 

てか砂漠の上に線路は敷けない筈。

 

敷けたとしても砂塵塗れな砂上に線路は愚策だろう。

 

元ハイランダー鉄道学園の白鳥が居たら色々詳しく聞けたんだろうけど今はアロナと化して約束の箱庭で待っている。その時が訪れた時に迎えに行かないとな。話を聞くのはそれからだ。

 

 

 

「RTAの遅延行為は重罪やぞ、まったく…」

 

 

デカブツの気配が無くなったので岩陰から出て早足でこの場を去ることにする。

 

あと緊張を誤魔化すために少し多めに水を飲んで一気に離れることにした。

 

ここら辺はオリチャーだが致し方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になった。

夜風を凌ぐ場所は運良く見つかった。

 

 

 

「あまり暴れると砂埃が酷くなるな…」

 

 

暮れる前に見つけたのは電車。

 

それも脱線して、転がった車輌だ。

 

何輌か逆さ向いてたが、一輌だけ無事だ。

 

半開きの扉を開けて中に入る。

 

砂を被った椅子だがまだ使えることを確認すると今夜使うスペースだけ砂を払い腰掛ける。

 

それから空腹を少しでも満たすために非常食を荷物袋から取り出す。非常食は一度火を通して熱した物だ。焦げる手前までを何度も熱したことで熱処理はしてあるが、その代わりかなり固くなってしまった。まあ主にドライフルーツを使った非常食なので水を含みながら口に放り込めば咀嚼は可能。ただあまり美味しくない。

 

 

 

「このままだと栄養失調に一直線だな。と、いうより既に下唇が乾き始めてる。栄養不足の証拠か。水分も足りてないし、早めにこんなところ横断しないと…」

 

 

まだなんとか保てる。

 

肉体も、意識も、精神も。

 

SRTとして鍛えてきた成果はある。

 

しかし、いつ何処で倒れるかもわからない。

 

インフラのない場所で倒れてしまうなんて冗談キツい。

 

まあそもそも、ペットボトル数本に賞味期限切れの保存食を持ち込んでの地図も無く方角もわからない砂漠地帯を歩くとか大胆な自殺行為だ。

 

まだ線路が道標になっているけど未知数を頼りに進むなんて危険なことに変わりない。

 

それに夕暮れ前に見たあの機械のデカブツだって何処までが行動範囲としているか分かってないんだ。自動マーキングが使える千里眼スキルが今すぐ欲しい。

 

 

 

「寝よう。寝て…明日早めに出て…それで…」

 

 

呟きながら脳内で計画を立てる。

 

外が暑くなりすぎる前に早朝を利用して一気に砂漠を横断すること。

 

可能な限り、手早く行動が出来るように。

 

すると段々と寝息に変わり始める。

 

疲れが明白になってきたからだ。

 

このまま眠りに堕ちれば楽___

 

 

 

 

 

カラン、コロン!

コロコロコロ…コン。

 

 

 

 

 

 

___立てかけていたバールに手を伸ばして俺は飛び起き、遮蔽となる椅子の裏に隠れる。

 

転がったペットボトルは隙間風程度では倒れないように設置しており、また扉が動けば医療用の縫い糸がペットボトルを引っ掛けて倒すようにしているため、人の手でなければこのように音を響かせて倒れない筈。

 

そのため意識は覚醒し、万が一のための退路を脳内で描きながら音のした方に意識を向ける。

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

タッタッタ!!

ガキンッッ!!

 

 

 

俺は急接近してきた突きつけてきた銃口をバールで弾いて射線をズラし、足元にわざと溜めていた砂を正面に蹴り飛ばして目眩しを行う。

 

 

 

「ぐぅ!?…このっ!」

 

 

すると俺よりも小柄な相手は目元を腕で防ぎながら回し蹴りを放ってきた。

 

それに対して俺はバールを横に伸ばすと吊革に引っ掛け、更にもう片方の手では直接吊革を掴み取り、その場から半身分上に飛んで回避する。

 

 

「なっ!?」

 

「よっと」

 

 

吊革を利用してその場で宙に浮き、そして相手の回し蹴りに対して両足で挟んで受け止めると一気にその場で捻る。すると相手は挟まれた足に引っ張られて椅子に打ちつける。

 

 

「がっ!ぅ、げっほ!げっほ!」

 

 

相手は砂まみれの椅子に顔から打ちつけて咳き込んでいる間に俺はバールの先端を相手の手放した銃に引っ掛けて奪い取り、そのまま頭上にある荷物置きに投げ飛ばして無力化する。

 

 

「くぅ!」

 

 

相手は椅子から飛び起きて距離を取る…が。

 

 

「へ?うぁっ!?」

 

 

ペットボトルを踏みつけて後ろに転んだ。

こりゃまた尻餅が痛そうだ。

 

俺はバールを突きつけることでチェックメイトと訴えれば___そのオッドアイは月明かりに照らされた俺の姿を視認して、大きく目を見開かれた。

 

 

 

「この神秘、やはりそうだったか」

 

「なっ!?」

 

「久しぶりだな___小鳥遊ホシノ

 

「!、!!??」

 

 

 

SRTで活動していれば【強者】と出会う。

 

彼女はその内の一人であると、言うこと。

 

 

 

「な、なぜ、あなたが…ココに??」

 

「色々あって…としか、言えないな」

 

 

あまりにも場違いな月雪カナタの姿に彼女は驚きを止められず、そして俺はこの状況どう説明するべきか迷いながら、このエンカウントはRTA的に失敗だなとため息を吐き、状況終了を示すようにバールをクルリと肩に乗せる。

 

 

 

さて、どうしたものかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キヴォトスの犯罪率をご存知だろうか?

 

外の世界と比べてこの世界は銃社会故あまりにも治安がよくない。

 

だがそれがキヴォトスなんだと、誰かは言う。

 

だから銃撃の鳴らない1日なんてのは寧ろ異常として受け止められる。

 

 

 

が、アレは2年前の出来事だ。

 

その日、銃撃が鳴り止んだことがある。

 

と、言ってもそこはトリニティ自治区だけ。

 

 

しかしトリニティ自治区はかなり広大だ。

 

キヴォトスで5本指に入るほどの大きさを占めている。

 

そんな自治区は広さ故に何処かしらで銃声が鳴り響き、正義実現委員会が慌ただしく動き出せば、嗚呼__今日もキヴォトスらしい日々なんだと誰もがこの日常にいつもの安心を覚えているだろう。

 

 

 

しかしそんな広大な自治区でも、1日だけ銃声が響かなかった日があると聞いた事がある。

 

 

キヴォトスで嘘のような話。

 

銃弾こそ挨拶変わりない世界だと言うのに。

 

しかし、銃声の鳴らない1日の話が本当ならそれは異常な出来事である。

 

 

だが、本当の出来事として話は届いた。

 

 

あの銃社会のキヴォトスで、それも広大な自治区として構えるトリニティに犯罪率ゼロの静かな日があった。

 

 

何故__銃声の響かない日が起きたのか?

 

誰もが口を揃えて行った。

 

 

 

 

『天に立ち昇る【光】を見たから』

 

 

 

 

それは早朝に観測された光。

 

地上を突き破り、天を貫く光。

 

自然と脳内に響く【正当化】という言葉。

 

何故ソレが過ぎるのかは全くの不明だ。

 

しかし、ただの光ではないことは確か。

 

その光は__なんというか。

 

そう、例えるなら____怖かった。

 

その光は【恐怖】でもあったんだ。

 

触れてしまえば裏返ってしまいそうな威光。

 

 

飽きるほどに白に染められた雪地でもある我がレッドウィンターからでもその光は観測できる程の眩さだった。

 

だからその光を見た者はその日は非常におとなしくなってしまい、その日やる予定だったデモ活動も人が集まらず中止になった。

 

その【光】とはそれほどだったから。

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

その光から2年後。

 

次はキヴォトスに降り注いだ。

 

 

 

 

 

「なん…だ??」

 

 

 

会場内の賑やかさに負けないよう私達は連邦生徒会にデモ活動をしていた。

 

だが途中、何かのトラブルが発生したのかその賑やかさはパニックと化していた。

 

ヴァルキューレも数が増えている。

 

緊急事態故にレッドウィンターだとか関係なく会場から下がるように言われてしまい、仕方なく会場から離れようとした、その時だった。

 

 

ナニカがキヴォトスに到来した。

 

 

 

 

 

「_____ぇ」

 

 

 

 

 

遠くから観測できた降り注ぐ一本の光は一瞬にしてこの場を沈めてしまう。

 

 

会場外の騒がしさがピタリと止んだ。

 

なにが、起きた??

 

 

 

 

魂が___怯えている。

 

 

 

 

 

「あ、れ?」

 

 

するとデモ活動をしていた仲間は頬に手を当てて何かに困惑する。

 

 

一雫だけ、涙が流れていた。

 

しかし彼女だけじゃない。

 

他の者達もだ。

 

 

「ぁ、ぅ?」

「なんで…?」

「あ、あれ…?」

 

 

 

次々と目から雫をこぼすキヴォトス人。

 

それは誰問わずである。

 

 

 

 

本能(てんし)が訴える。

 

あの光は____ダメだ。

 

 

 

私も握りしめていたメガホンが指からするりと落ち、地面に打ち付けられる音が響く。

 

 

しかしそれに気づかないほどに揺れ動く。

 

何をどうしたら、鳴り止むのか。

 

この震えと慄えを。

 

 

 

 

「何、が?起きて…???」

 

 

 

どのくらいの時間が経ったのか。

 

それほどに不気味なほど静まっていた。

 

 

しかし会場内の銃声はまだ聞こえる。

 

誰かがハッとなりこのパニックを鎮圧しようと格部活が動き出し、中には協力しようと動き出している。

 

私達もデモ活動だけが脳じゃない。

 

何かできるなら手助けの一つは__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォオオオオオオオオ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「___________ぁ 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、シラトリ区は静寂に包まれた。

 

なぜならキヴォトスの天使達は。

 

その光に___怯えているから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の名前は梔子(くちなし)ユメ!よろしくね!」

 

「奇遇だな。俺も()()()()って言うんだ」

 

「えええ!?そうなの!?」

 

「言っても死人に口無(くちな)しの方だけどな」

 

「ええー!??」

 

「あまりにもひどい冗談ですよ、それ…」

 

 

歓迎したり驚いたりと感情賑やかなアビドス生徒会の梔子ユメ、それから呆れたようにジト目をする小鳥遊ホシノ、そして新鮮な水を飲めて満足な俺こと月雪カナタである。

 

そしてココはアビドス自治区にある学校だ。

 

 

 

「ねぇねぇ、カナタくん」

 

「?」

 

「カナタくんって……あのカナタくん??」

 

「ああ、あのカナタくんだ」

 

「おおー!」

 

「いや、どのカナタくんですか」

 

「そりゃ、アレだよ、アレ」

 

「そうなんだ!えへへ、すごいすごーい!」

 

「……」

 

 

なんか諦めたような顔をするホシノを無視して俺はコップの水を飲み干して客人用の椅子にもたれかかる。あー、クソ暑かった。早朝に移動したのに朝であの暑さだ。夏はやばいな。砂漠を抜けたらマシになったけど急な温度の変化はそれはそれでしんどかった。鍛え直しだな。

 

 

 

「あ、でも、そうなると……シラトリ区のニュースにあった話ってのは…」

 

「ああ____アレは本当だ

 

「!?」

「……」

 

 

 

ホシノから聞いた、シラトリ区の惨状を。

 

 

 

__な、何故?貴方が…アビドスに??

__どうしてこんな所に居るんですか!?

__だって貴方はっ!あの話が本当なら!!

 

 

 

バールを引っ込めた後、互いに落ち着かせると情報を交換した。

 

そうなれば当然、SRT特殊学園の月雪カナタがアビドス自治区の砂漠にいて、それでいて連日ニュースになっている月雪カナタの消滅はキヴォトスから存在が亡くなったと扱われているのに、しかし小鳥遊ホシノの目の前に月雪カナタが立っている。

 

ホシノは激しい混乱に襲われていたが俺は「連邦生徒会長の力によってこの場に逃れてきた」と彼女にとって半信半疑な説明をした。

 

これを真実として受け止めるにホシノは苦悩を強いられたし、激しくコチラを疑っていた。

 

しかし俺の弱り果てた神秘やら、あと修復塗れな服装やらを見ると嘘偽りとして扱うにはあまりにも難しいと判断するしかなく、なによりSRTの兵士の武装がバールのみというキヴォトスの常識も合わせて信じられない姿でいた。

 

そのため、今は月雪カナタ本人の口から出た言葉を信じるしかないとホシノは一旦受け止めてくれた。とても助かる。

 

それから「アビドス砂漠を抜けたい」とホシノに相談すると一度そのまま電車で休み、早朝になると移動を開始。

 

そのまま現在のアビドス高校まで案内され、バールと外套、荷物袋も回収されて奥の席に案内される。つまり逃げられないようにされたって事だ。当たり前だけどまだ警戒されている。

 

それからアビドス生徒会長の梔子ユメが登校して顔合わせ、この状況である。

 

 

 

「確かに消し飛ばされたな、あの光に」

 

「なら、何故ですか…?」

 

「電車でも言ったように連邦生徒会長が最後の力を使って俺を逃がしてくれてな。それで目覚めたらアビドス自治区の砂漠奥だった。代わりに装備も何もかも失ったし、連絡手段も無い。砂漠奥にあった格納庫で期限切れの水や食料で動けるまで回復して、それで横断しようと決めたわけさ」

 

「改めて聞くと、本当に無茶しますね…」

「う、うん。それは、それですごいね…」

 

「線路はこの辺まで繋がってたからな。なんとかなるだろうという算段の元、運良く夜のパトロールに出ていたホシノと出会ってな。いや助かった」

 

 

実のところあの電車からアビドスの街まではそう遠くなく、あと1時間くらい歩けば辿り着いていた。確かに広大な砂漠であるが、休みなく歩けば列車砲シェマタからまだ生きている街まで1日と数時間でたどり着けるらしい。まあそれでも過酷な横断だったが。ちゃんと休みたい。

 

 

 

「それで…貴方を追い込んだ敵ってのは…」

 

「わかっているんだろ?」

 

 

 

ホシノは理解している。

 

連日のニュースから情報を得ているのだろう。

 

 

 

「カイザー、コーポレーション……」

 

「!!」

 

「ああ、その通り。ニュースではどのように報道されているのか細かくは知らないが、でも世間は理解しているんだろ。俺はアイツらと対立した。月雪カナタ存在其の物が利益としてマイナスになるからとし、そして都合よく衛星砲を手に入れたことで勝算を見出したカイザーコーポレーションは俺を抹消することを決めた。結果としてアイツらは成功した。俺はこのザマさ…」

 

 

頭の上に浮かんでいるヘイローは三つ。

 

濁り切った錆色としてあの頃に戻った。

 

その濁り具合は疲弊しきったような証だ。

 

俺も、そのように見えるのだろう。

 

椅子に預けている身体がひどく重たい。

 

このまま泥のように眠りたい程である。

 

 

けれど…

ここでは無い、な。

 

俺はコップをテーブルに置く。

 

 

 

「お水、ご馳走」

 

「え、あ、うん!……え?」

 

 

俺は椅子から立ち上がる。

 

するとホシノは握りしめていたショットガンに力が入る。

 

俺は「何もしないよ」と目で訴え、外套と荷物袋が置いてある荷物掛けに手を伸ばし…

 

 

 

「待って、その体で何処かに行っちゃうの?」

 

 

 

一人の少女は違った。

 

 

 

「ああ。ここでは君たち二人に迷惑をかけてしまう。だから…」

 

 

外套を掴もうとする手が……あれ?

 

なんか……遠いな。

 

それよりも手指に感覚が……ぐっ。

 

 

 

「っ…」

 

「「!!」」

 

 

 

視界が揺れる、膝が地面につく。

 

頭を抑える、意識が……遠退きそうだ。

 

 

 

「だ、大丈夫っ!?」

 

「ぁ、ああ……少し、眩暈しただけ」

 

「っ、ダメだよ!そんな状態で歩いたら!さっきの話が本当ならカナタくんはずっとボロボロで苦しいよ!なのに砂漠も歩いて来たんだよ!そんな状態で銃も無しに歩くなんて危険だよ!」

 

「けれど、俺は……あまり…」

 

「絶対にダメ!」

 

「!」

 

 

すると体を引き寄せられる。

 

まるで擦り減らそうとする痛みを和らげるようにこの身体を受け止める。

 

そして視界が柔らかく埋まった。

 

 

「そんなに傷ついて…そんなに苦しんで…そんなに追い立てられて…そんなにボロボロになっているのに…頑張るのは痛いよ。ダメだよ。無理しないで」

 

「……」

 

「カナタくん、ここで休んでよ」

 

「……だが、それは

 

「私とホシノちゃんが貴方を守るよ」

 

「なっ!ユメ先輩!」

 

「ホシノちゃん。コレは会長命令だよ。苦しんで困っている人を放っておかない。私は傷ついているカナタくんを助けるよ」

 

「…っ」

 

「カナタくんが嫌と言っても、私は朽ち果てそうなカナタくんを放っておけないよ…」

 

「……」

 

 

柔らかな雰囲気の中に秘められている強固な意志と感情に濁りなど存在しない。

 

梔子ユメの言葉は__良くも悪くも痛く感じてしまう。なんて深々と暖かいのか。

 

すると…

 

 

 

「……しばらくの間、ですよ」

 

「!」

 

「一応、彼には……借りがありますから」

 

「ホシノちゃん!」

 

 

 

 

借り、か___それは昨年、テラーワールドから帰還した数ヶ月後の冬、とある自治区でヘルメット団同士の大規模な抗争が発生。

 

ヴァルキューレでは手の負えられないレベルだったため鎮圧のためにSRTが駆けつけることになった。

 

するとそこに一人の少女が戦っていた。

それは__小鳥遊ホシノ。

 

抗争に巻き込まれたらしいが、しかし何人かを薙ぎ倒し、彼女はしばらく無傷でいた。

 

しかし『伝説のスケバン』と称される所属不明の生徒と交戦し、その怪力と多すぎる手下達の猛攻撃によって次第に追い込まれていた。

 

そして爆弾で眩んだところに戦車が一台上から投げ込まれ___飛雷神で助けた。

 

ほんの数刻程度の出会い。

 

コチラとしては借りを作ったつもりはなく、SRTとして助けるべき人を助けたまで。

 

だが小鳥遊ホシノにとっては『借り』のようなものらしいから、彼女は…

 

 

 

「でも傷が治ったらすぐにアビドス自治区から去ってください。私達には私達の問題があるのですから、これ以上の厄介ことは…困ります」

 

「もう、ホシノちゃん!」

 

 

 

厄介事…か。

 

まあ___そうだな。

 

月雪カナタたらしめた結果がコレだからな。

 

 

 

 

「……すまない……迷惑を……かける…」

 

「ううん。気にしないで!沢山休んでね!」

 

「……」

 

 

 

出会っても間もない筈だ。

 

しかし梔子ユメという底抜けにお人好しなアビドス会長の優しさによって俺は許される。

 

だから___俺はこの傷を治すためにしばらくアビドス自治区で身を潜めることになった。

 

皮肉にも砂以外何も無いアビドス自治区だからこそ他からは見向きもされず、その自治区にいる俺はカイザー達に見つかることもないのだろう。

 

まあ元より亡き者として扱われているため、探される心配は無いに等しいが、それでも月雪カナタは悪い大人達に狙われた人物だ。無害とは言い難い。それは俺もよく分かっている。

 

 

 

だが……今はこの優しさに甘えていたい。

 

 

 

 

 

___疲れているんだ。

 

すごく、疲れていることを思い出した。

 

だからしばし、休ませてほしい。

 

ああ、大丈夫、だよ。

 

元に戻ったら、月雪カナタをするから。

 

だから、だから…

 

少しだけ、時間を貰いたい。

 

そしたら、いつも通りになる、筈だ。

 

筈だから……少しだけ……休みたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちの部屋空いてるから使ってね!」

 

「…」

 

「あとお風呂はこっち!それからお手洗いはこっち!あ、私の部屋はココだからね!」

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった??

 

 

 

 

 

つづく

 

 








同い年の男性と女性が同じ屋根の下で二人っきり。
何も起こらない訳がないじゃんね⭐︎







ちなみにホシノに『借り』が無かった場合さっさとアビドスを去ることを選ぶことになるカナタくん。回復を目的とするため何処かの他校また他自治区から人目に付き辛い場所を考えた結果として極地のレッドウィンターか閉鎖的な山海経を選ぶことになる。幸運なことに進む方角に双方の学園はあるので何処かに行き着いたらと希望的観測の中、度重なる疲労と栄養失調のせいで倒れてしまう。しかし倒れた場所は山海経の近くだった。すると山海経高級中学校に所属している朱城ルミに拾われる。彼女はちょうど集荷中でありそのままカナタ荷台に乗せた。しばらく魘されるカナタ。悪夢の中で謝罪の数々を言葉にするカナタの姿をルミは痛ましく思いながら介抱することを選ぶ。山海経は基本的に他校との関わりを嫌がるがルミはむしろ逆の性質であった。それからカナタは朝昼晩栄養満点の料理で療養しながらルミに感謝し、それと同時にルミの知人である竜華キサキと出会い、彼女の伝手で身体に効く良薬を貰い、そしてリハビリのため太極拳を学ぶと体の神秘を今以上に感じ取りやすくなる。クズノハの教えを今一度思い出したからだ。それからは色彩扱いのヘイローに頼らずとも体内に秘めた薄い神秘でも分厚く扱える神秘を今一度学び直した結果として何処かの世界線にいるらしいゲヘナの気高き猛獣に伴って八門遁甲を開けるようになったとか。衛星砲ノヴァによってズタズタにされた身体だったがヘイローで頭を守り続けていた右脳と左脳は未だ健在。故に二門までしか開けないとされていたがそれでも尋常な身体能力は仙丹を求める申谷カイにとって興味の対象でもあり警戒の対象、故に月雪カナタの存在を外に密告することにしたカイによってカナタはコレまでお世話になったルミとキサキに感謝を告げると山海経を発ち、そして万全になったカナタはバラバラになったSRTを集めるとカイザーコーポレーションの天下を終わらせる。衛星砲ノヴァの機能も断ち切ったことでキヴォトスに平和を齎せ、その大役は終わりを告げ気がした。それからカナタは再校したSRT特殊学園で無事に卒業し、それから山海経に訪れると恩を返すべくルミとキサキの元に訪れた。すると申谷カイが報復のためキサキにの毒薬投じられようとするタイミングでカナタがそれを防ぐ。そのためキサキは原作のように弱ることなく玄龍門の門主として君臨することになった。それからは山海経と良好な関係を築きながら月雪カナタは生徒を卒業後も変わらずキヴォトスの何処かで奔走している的な展開が!!みたいな感じのあるんやろうけどまあ恐らくないやろうからまあそれはいいとして、それよりもホシノがカナタくんをあっち行け!しっし!したからユメ先輩は原作通りにカラカラ砂漠してしまい予定通りに深い傷を負ったホシノおじさんは後にアビドスユメモドキと化しちゃうけどまあそれがあってこその小鳥遊ホシノなので作者的にはヨシ。



じゃあな!
またな!!
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