なんか俺のヘイロー砕けてね?   作:つヴぁるnet

58 / 61
第58話

 

 

 

「FOX3、あまり無理するな…!下がれ!」

 

「この程度…っ、どうって事ないわよ!」

 

 

目の前には3メートル以上の高さはあるだろうパワードスーツタイプのオートマタがシラトリ68区の中央地帯から離れた外周付近で5体が待ち構えていた。機動力に向かないタイプだからこそ敢えて激戦区と化している中央地帯を避けて後ろからSRTを挟撃しようとしているのか、それとも68区の外区から駆けつけた援軍か。ともかく寂れたゴーストタウンで正面からエンカウントしてしまいFOX隊は応戦。

 

物量はアチラの方が上であり、それ以上に…

 

 

「くっ!!」

 

 

数名の精鋭機も交えての混合隊。

 

SRTは68区を広く、浅く、この地区を制圧しようとする。激戦を強いられる中央区は実線経験の多い高学年が対応し、経験の浅い低学年は激戦区から遠のいた外周地区を任されている。そのためまだ実践経験浅い高等部一年のFOX隊は激戦区から離れた外回りを持ち前の機動力で回り込み、挟撃する事で68区の駐屯地を制圧しようと動いていたが、運悪く精鋭部隊と衝突。

 

 

いや、精鋭隊程度なら問題ない。

 

SRTだって全員が精鋭だ。

 

互角以上は保証されている。

 

 

しかし、パワードスーツタイプのオートマタは最新のタイプなのかSRTに支給された銃火器でも撃ち抜く事を困難極める。

 

 

何より数が多い。

 

こちらは四人の編成。

 

相手はパワードスーツタイプが5体にその他雑兵が20体。弾幕の量が激しくタンク役のクルミはヒビが入り始めるシールドに苦虫を噛み潰したよう顔で耐え、隊長のユキノは下がるように指示を出す。

 

 

ダン!!

パキン!

 

 

奥の1体のパワードスーツタイプのオートマタはモノアイに弾が貫通し、後ろに倒れる。

 

 

 

「FOX3、出過ぎないで。そのままだとシールドが壊れるよ」

 

「分かっている…わよ!でもココで私たちが退くことは許されないっ!先輩達が中央地帯を制圧するまでこの大多数を四人で抑えるのよ!」

 

 

 

迅速な挟撃が求められている以上、少数で動く必要がある。その際に敵と衝突するくらいの覚悟はしていた。相手の方が多いことも理解している。だがやや荷重に感じられる量とエンカウントしてしまい、FOX隊の進軍はこの場で止まっていた。

 

しかしクルミは怯まない。

 

敵のヘイトを集め、仲間の盾となる。

 

 

 

 

 

「(私は…!あの人に…!憧れてSRTに入った…!こんな程度に押されてしまうなんて許されない…!だってあの人はこの何十倍の数をたった一人で相手していたのよっ!!)」

 

 

 

 

 

ある日、中継で見ていた。

 

腕章を付けた一人の青年が建物上に瞬間移動した後、テロリストを制圧する。

 

SRT特殊学園に……

 

ではなく、そこにいた先人の姿にクルミは憧れを抱く。

 

 

だが、同時に__背中に感じる心強さ。

 

これは存在しない記憶だ。

何故そう感じられたのかもわからない。

 

しかし、あの一瞬を見て落ち着かない。

何故あんなにも心が揺さぶられるのか。

 

 

それからもSRTの活躍の声が届いた。

 

その際にいつも確認した__この落ち着かなさを与えてくれる『彼』がどのように活躍し、その名を轟かせようとしているのか。

 

 

気になった。その人が。

 

気になったんだ。その人のことが。

 

 

それから連邦生徒会の直々な招集を受け、選ばれた喜びのままSRT特殊学園に入り、そして正式にFOX小隊が編成されると教官役として良く耳にしていた彼が受けてくれた。

 

 

SRTの大黒柱、月雪カナタ。

 

一眼見て、私は理解した。

 

やはり__私はこの人から感じる。

 

知らないけど、でも知っている。

 

 

 

「(何十歩も前を行く私達の恩師っ!私がその背に追いつく日は恐らく彼方の先……でもっ!けれどっ!いつかはその背を預け合えたらって願わずにいられない!一瞬だけでも良いからっ!記憶に覚えのない熱だとしてもあの人と同じになれるならっ!この憧れが正当化できるなら!こんな程度で私は退かないっ!絶対に負けられないっ!)」

 

 

 

シールドを傾けながら反撃し、相手の攻撃に怯まず、その場を退かない。

 

無論、シールドの耐久値を意識しながら訓練通りに効率良く、そして理性を持って戦う。

 

けれど感情は加速させる。

 

兵士である以上に、たった一人の生徒としてその先駆者に憧れているから。

 

 

 

「この程度でSRTが退くと思うなァァ!!」

 

 

 

 

「クルミ……」

 

 

FOX隊の隊長__七度ユキノは呟く。

 

クルミはこの隊の中で精神力は未熟な方だ。

 

感情的であり、副隊長のニコとは正反対。

 

けれどいまの彼女は鬼気迫る勢い。

 

 

コチラの練度に対して相手は数と性能。

 

しかしそれすらを押し切るクルミの情動は確かにFOX隊を退がらせず、コチラも攻撃に専念できる。着々と殲滅は捗っていた。

 

 

だが__装備は無限じゃない。

 

 

 

「っ、グレネード!気をつけて!」

 

「!?」

 

 

FOX2のニコが叫ぶ。

 

クルミの上から攻撃が降ってきた。

 

それも二発同時にだ。

 

着弾し、爆発する。

 

それを盾で受け止め__盾が粉砕した。

 

 

 

「FOX3っ!!本当に退がって!」

 

「ッ!?」

 

 

感情的な彼女でも流石にシールドの無い状態で前衛は務めようと思わない。

 

クルミは後方にある遮蔽物を確認し、そちらに逃げ込もうとして__また何かが落ちてきた。

 

 

 

「っ!?これは閃光弾…ッ!!」

 

 

気づいた時には遅く、クルミの足元で閃光弾は爆発し、クルミを援護しようとしていたニコも巻き込まれて閃光に目が眩む。

 

 

 

「っ、オトギ!」

 

「隊長!行って!」

 

 

ニコは眼をくらませながらも体は厳しい訓練を覚えていたのか遮蔽物に隠れて追撃を凌ぐ。

 

 

それよりもクルミだ。

 

完全に三半規管が閃光弾で狂わされた。

 

七度ユキノはクルミの援護に向かう。

 

しかし、パワードスーツタイプのオートマタが盾を展開しながらクルミに接近し…

 

 

 

「オラァァァァ!!」

 

「がぁ、はっ…!!」

 

 

大型の盾で突進を受ける。まるで大型トラックにでも衝突されたかのような勢い。小柄のクルミは吹き飛ばされ、建物の壁に体を打ち付ける。

 

 

ダダダッ!!

ダン!ダン!

 

 

「くっ!!?」

 

 

援護に向かおうとする仲間を邪魔するように弾幕が展開され、数メートル先にいるクルミに届かない。なんとか復帰したニコも動けず、オトギも建物に遮られて狙撃できない。

 

 

 

「クルミっ!立てぇ!」

 

「ぅ、ぅぐ、げっほ…」

 

 

 

ドスン、ドスン、コンクリートにヒビを刻むように踏みしめながらクルムに迫るパワードスーツタイプのオートマタ。

 

 

 

「くたばれや!小娘ェェ!!」

 

「!?」

 

 

パワードスーツタイプのオートマタは盾を大きく振りかぶり、クルミに振り下ろす。

 

幾ら丈夫なキヴォトス人でも、それに対抗して強化された大型オートマタの打撃なんて受けたらどうなるか。想像に容易い。

 

 

 

「ぅぅぅぅ…!!!!」

 

 

 

しかし反撃のための銃も、身を守るための盾も手元に無い。クルミは顔を守るように腕をクロスして攻撃に備えて視線を逸らす。迫り来る攻撃に少しでも耐えれるよう本能的に意識を切り離そうとして…

 

 

 

 

「FOX3…!?」

 

「クルミちゃんっ!!」

 

「クルミィィ…!!?」

 

 

 

 

仲間の声だけが、悲痛に響くだけ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___よく耐えたな、オマエら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぇ」

 

 

 

 

 

声が、聞こえた。

 

 

 

銃声の喧しい中で、それは鮮明に。

 

 

 

でも、同時に記憶の熱が騒ぎ立てる。

 

 

 

だからそれが答え合わせになった。

 

 

 

待ち望んでいた者が___到来した、と。

 

 

 

 

 

「螺旋丸ッッ!!」

 

「なにっ!?グォアァァァ!!!」

 

 

 

 

一人の先駆者がこの戦場に到来した。

 

手元に乱回転させた神秘を形成し、それを巨大なオートマタにぶつけると何メートルも先にいるオートマタ達に吹き飛ばす。

 

 

 

「ぁ、ぁ………ぁぁあ!」

 

 

クルミは誰よりも近くでその者を視認する。

 

その背中を忘れるはずがない。

その背中を忘れるはずもない。

 

いつか、こんな自分でも、その大きすぎる背中を預け会えたらと高望みに想いながらも、純粋な憧れと、記憶に無いが、しかし確かにある熱と共に追いかけ続けてきたSRTの先駆者。

 

もう二度と__会えないと思っていた人がこの場所にやって来た。

 

 

 

「よぉ」

 

 

 

変わりない調子で声をかける。

 

その先駆者はFOX隊に振り向き…

 

 

 

 

 

「待たせたな、殻のついたヒヨッコ共」

 

 

 

 

失われたと思われたんだ……あの日から。

 

でも……そんなことは無かった。

 

 

 

 

「カナ、タ、せんぱ、い…?」

 

 

「ああ。ケモ耳好きのカナタだよ」

 

 

 

 

 

__大事な後輩を助けに来たぞ。

 

そう言って笑い、錆色のヘイローを揺らす。

 

 

 

 

 

「ぁ、ぁぁ、ぁっ!」

 

「う、そ…」

 

「来て、くれた…!!」

 

 

 

 

生きた…!!

 

生きていた…!!!

 

生きていたんだ…!!!

 

 

 

その姿を目にして、それしか言葉が巡らない。

 

だが、それは何らおかしくない。

 

だからクルミは顔を守るために構えていた腕を口元におろし、流れそうになる涙を堪えながら口元を手で隠す。けれど彼が生きてこの場にいてくれる事実に耐えれず、まだまだ果てしなく遠く感じるその背中に安心感を覚えるから、やはり涙が落ちてしまう。よかった。よかったっ。生きて帰ってきた!

 

 

嬉しさと、嬉しいが、冷静沈着なSRTとして鍛えられたはずの精神力を押し除けて、心のままに涙を溢させるんだ。

 

ニコも、オトギも、ココが戦場であることを忘れてしまいそうになり、そしてユキノも…

 

 

 

「月雪、隊長……!」

 

 

 

敬愛して病まない__私達の先人。

 

それが未だ健在として立っている。

 

彼の名を小さく溢して…

 

 

 

 

「FOX小隊」

 

「「「「 」」」」

 

 

 

ケモ耳はピンッ、と伸ばして反応させる。

 

反射的に動いた。

 

ここにいる誰よりも早く、声を拾うつもりで。

 

聞き逃してたまるものか。この人を。

 

 

 

 

「まだ戦えるか?」

 

 

 

 

アサルトライフルを揺らしなが前を向く。

 

月雪カナタの到来に驚きすくみ、その威圧感に思わず後退りしてしまうカイザーPMC達。

 

しかも後方では大型の人型が敵を薙ぎ払っている。

 

__ヒエロニムスだ。

カナタが浮かして精製した。

 

そうして戦線の空気は一変して裏返る。

 

 

 

「もち、ろん…よっ!!」

 

 

 

涙の跡を誤魔化す気もなく目元をグローブで拭ったクルミは立ち上がり、腰にあるサブウェポンのハンドガンを引っ張り出して戦闘継続の意思をカナタに見せつける。

 

もう盾は無いが、けれど戦いは終わらない。

 

 

だから彼の声にFOX小隊の誰よりも早く…

 

 

 

いや、違う。

 

ここにいる四人の中で私っ!クルミが月雪カナタの声に応えて示そうと生意気に応える。

 

 

 

「なら背中は任せたぞ、FOX3」

 

「!!!」

 

 

 

月雪カナタは対等に、それを任せる。

 

そうして一人先に進軍する。

 

ニコは先陣を切るカナタに反応するとユキノに声をかけ、ユキノもハッとなりオトギにポイントを変えるように指示を出す。

 

 

 

「クルミ!」

 

「っ!」

 

 

 

__背中は任せたぞ。

 

そう意味を現した言葉に放心していた。

 

彼方先にあると思われた熱だった。

 

でも、それは不意にながらも案外早く届いてくれて、同時に存在しない記憶が触れる。

 

 

 

 

 

__ヘリは任せたぞ、FOX3。

__気をつけなさいよ、BULLET 1。

 

 

 

 

 

 

同じSRTの兵士として。

 

特別な感情はそこに持ち合わせず、ただその名前に信頼を置くだけの関係。

 

でも、選ばれた者による無条件の信頼。

 

それは間違いなく誇り高い証だ。

 

 

 

「すぅぅ……っ!」

 

 

 

呼吸し、意識を戦場に。

 

SRTの兵士が前を務める。

 

その背中を任せられたのなら__果たせ。

 

なぜなら私は!

対等なSRTの兵士だから!

 

 

 

「FOX小隊!!RABBIT 1に続くわよ!!」

 

「「「っ!!」」」

 

 

 

カルバノグRABBIT(うさぎ)を見たキツネ達は目の前の悪意を食いちぎろうと駆ける。

 

 

 

こうなれば負ける事は無いだろう。

 

何せ、ここにいる選ばれた者達は。

 

SRT特殊学園の生徒なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リーダーっ…!」

 

「悪いなウリエ、しばらく任せてさ」

 

 

分かっていたけど、やはりSRTは優秀だな。

 

俺はFOX小隊と共に外周区域を突破し、そのまま作戦通りに中央区域に割って入り、挟撃すると68区の制圧は完了した。

 

一度、武装の補給を行おうと中央区域を正面突破するための主力部隊と合流し、FOX小隊と制圧基地に向かった。

 

 

で、まぁ予想はしていたけど。

 

作戦中にも関わらず全員が「「リーダー!!」」と駆けつけて俺の生存を喜び、中には頬をペタペタ触ったりと本物かどうか確認するなどしばしもみくちゃにされていた。

 

まあ物資補給中だから小時間の休憩だという事で放っておくと、戦況を纏めていた副隊長の軽沢ウリエが戻ってきて__

 

 

 

「リーダー…!リーダーっ!!」

 

 

 

タブレットを手元からするりと落としてコチラに駆け寄り、飛びついて来た。

 

 

 

「……まだ作戦中だぞ」

 

「ごめんなさい…でも、ちょっとだけで…お願いだから………わたし…わたし…ぅぅ…っ」

 

 

 

制圧したとはいえ一応ここも敵地なのであまり足を止めすぎるのもよろしくないのだが、しかし子供を振り解くのは可哀想かな。

 

なので軽くポンポンと背中を叩いて応える。

 

それから彼女の呼吸が落ち着いたことを手のひら越しに感じ取り、声をかける。

 

 

 

「全員、聞け」

 

「リーダー……」

 

「「「「ッ!!」」」」

 

 

 

全員の気持ちは同じだ。

 

握りしめた銃器が力んで震える。

 

 

 

「現在69区はヒエロニムスが先陣切って攻めている。その間に俺達は補給を済ませ、準備が済み次第また攻撃に入る……皆、ここから先はSRT特殊学園を嘲笑ってきた分キッチリと返し、もう二度とキヴォトスで武力証明ができないよう徹底的に叩き潰す、そのつもりだ。これは戦争だからな」

 

 

ウリエを離して、全員を見渡す。

 

ところどころ疲れが見える。

 

でも、だからと言って頭を垂れない。

 

疲労など関係ない。

 

全員がこの日まで研いでいた。

 

握りしめた銃器は今すぐにでも敵を後悔させてやろうと慄えてたまらない。

 

 

 

「ここにいる全員は選ばれた者達だ!それを唯一無二の誇りとして抱き!キヴォトスの安息を望んだ連邦生徒会長の私兵としてSRT特殊学園は役割を執行する!!」

 

 

 

 

悪しき者達を討て!!

 

カイザーPMCを滅ぼせ!!

 

そしてッッ!!

 

俺達でキヴォトスを取り戻すぞ!!!

 

 

 

 

 

 

それから69区は瞬く間に制圧した。

 

士気が最高潮になっているSRTを抑え切れるわけもなく、カイザーPMCは蹂躙される。

 

まあその3割はヒエロニムスなんだけど。それと試しにヒエロニムスでビックバンアタックを撃ってみたら基地が抉れて更地になった。これは使い所注意だな。マエストロに出会えたら芸術は爆発だ!ってのは危険だから安易に使うなと言っておこう。

 

 

 

「?」

 

 

69区制圧のタイミングで携帯が鳴る。

 

俺はそれ取り出し、メッセージを見る。

 

しかし、その内容は俺の怒りを誘った。

 

それも、かなり、強烈に、湧き上がった。

 

 

 

「ウリエ、70区の掃討を任せる」

 

「え?」

 

「FOX小隊、着いてこい。突破するぞ!」

 

「「「「 了解!! 」」」」

 

 

ピーン!となったキツネのケモ耳を久方ぶりに目の保養として飲みながら俺はヒエロニムスのギャリック砲で中央をこじ開け、後方はウリエ達に任せると親玉がいるだろう建物に俺達5人は飛び込んだ。

 

 

 

「あの野郎ッッ!!よくもやったな!!

この罪は万死ノルンに値するッッ!!」

 

 

 

気分はS覚醒暴力のアサルトバスター。

でもこの怒りはバンシィノルンそれ相応。

 

そしてここ最近気に入ってきたバールで迎撃に飛び出てきたオートマタを捉えきれない速度で接近するとモノアイを突き砕き、時にはバールの逆手で首を跳ね、神秘を纏った素手で胴体を貫いてコアを引きちぎり、最後にチート技の神羅天征でオートマタをまとめて吹き飛ばす。

 

 

「アレでまだ50%だと?本当なのか…?」

「ふふん!月雪先輩は最強なんだから!」

「なんでクルミが誇らしげなのかな?」

「あはは、でもなんか凄く怒ってるね?」

 

 

次々と出向くオートマタを処理する。

 

しかし段々と兵士の数が減ってきた。

 

これは……なるほど。

 

 

 

「FOX小隊、退路を確保しろ」

 

「月雪隊長は?」

 

「この奥にいるクソ野郎を後悔させてくる…」

 

「……この場は、私達にお任せください」

 

 

 

助かる__と、残して奥に進む。

 

散発的ながらもまだ現れるオートマタ。

 

しかし落ちて絶命しているオートマタを拾い上げると神秘で浮かして軽量化し、弾幕の盾にしながら接近し、バールを逆手に持ち変えると通りすがりに全て首を跳ね飛ばし、最後の一体には刃のように鋭い神秘を纏ったバールを手裏剣の如く水平に投げ飛ばし、その胴体を真っ二つに切断した。

 

 

 

「……」

 

 

 

そして___たどり着いた。

 

センサーが反応して分厚い扉が開く。

 

 

オペレータールームに踏み込む。

 

そこに___悪しき敵が立っていた。

 

 

 

 

「来たか、月雪カナ___」

 

 

 

「俺の大事な妹を人質にしようと差し向けやがったなァァァ!!!貴様ァァァ!!」

 

 

 

口を開こうとするクソ野郎を視認すると俺は飛び蹴りを放ち、一気に蹴り抜いた。

 

 

 

「グォァァァア!!!?」

 

 

 

大型モニターまで蹴り飛ばす。

 

すると奥にある大型モニターの中央にジェネラルはビターン!と大の字に埋まる。

 

モニターに全てヒビが入る。

 

それからモニターの破片と共にジェネラルは地面に崩れ落ちた。

 

ジェネラルは咳き込む。

 

 

 

「ぐ、ぅぬぅ…っ、この、ガキぃ…!!」

 

 

「それはこっちのセリフだ!!このクソ野郎ガァァァ!!何処まで子供を苦しめれば気が済むんだお前らはァァ!!」

 

 

手元に螺旋丸を形成してその場からジェネラルの真上に飛び込み、腕を伸ばす。

 

 

ジェネラルは真横に回避する。

 

だが__バギィ!と片腕だけ削り取った。

 

 

「グォァァァ…!!!」

 

 

悲鳴をあげるジェネラル。

 

痛覚があるかはわからない。

 

でも関係ない。

 

俺の攻撃は基本的に神秘属性だが__その中に色彩の効果を込めれば振動属性を複合として敵に外傷を与えれる。

 

ジェネラルの片腕を千切り取った時に与える振動属性は痛覚関係なく体内にあるコアに衝撃を与えて、オートマタを内側から破壊する。

 

言った筈だ。

 

___後悔させてやると。

 

 

 

「衛星砲の光はこんなんじゃなかったぞ」

 

「はぁ……はぁ……っ!!」

 

「更に言えばあの光でアリウスの子供の明日を奪い取りやがったよな?っ、子供のために大人をしないその命!このキヴォトスで生かすに値しない下衆の極みとし、滅ぼしてやる!!」

 

「ぐ、ぬぅ、うッ!!このガキがァァァ!!」

 

 

 

ジェネラルはハンドガンで攻撃する。

 

かなり大きな口径だ。

 

それを片手で撃ち、反動を受け止めている。

 

オートマタの強みだな。

 

けれど…

 

 

 

キンッッ!!!__と、切り裂く。

 

 

 

「なっ、ァァっ……!!??」

 

「どっかの喫茶店(リコリス)娘とか、とある風紀委員(クソボケ)ほどじゃないにしろ眼は良い方なんだよ。弾に怯えて生きてた故…この身は恐怖が良く視えて仕方ない」

 

 

お前如きがこの俺を射抜けるものか!!と物資補給時に貰ったコンバットナイフをジェネラルに投擲しハンドガンの真横を通過。

 

そしてハンドガンはコンバットナイフに纏っていた神秘の刃に触れ、ジェネラルの手元で爆発する。

 

 

 

「き、き、貴様ァァァ!!何が生かすに値しないなど傲慢にほざきやがる!!まさかこの世界の神判にでもなったつもりか!?だとするなら子供の身を偽ったお前は一体何者だァァ!!」

 

 

「俺は月雪カナタをする者!!それ以上でもそれ以下でもない!!お前ら大人を絶対に許しはしない!!白鳥が望んだ二度目のためにも!子供のために明日を運ぶこの箱舟をカナタが沈ませしない!!だから戻って来たんだ!!」

 

 

「そんなご都合主義が認められるものか!!」

 

 

「黄昏の邂逅にて月雪カナタは認識した!!この役割は止められない!!ならば俺は責任を持ってお前をこのキヴォトスから葬り去ってやるッッ!!」

 

 

 

アサルトライフルを構える。

 

だがそれよりも早く、ジェネラルはスイッチを押す。するとオペレータールームの天井から銃火器が展開される。それが全て俺の方に向く。

 

 

 

「それでも死ぬのは貴様の方だァァァ!!」

 

 

「!?」

 

 

 

そして天井から現れたマシンガンやら、小型ミサイルやら、もうこのオペレータールームごと破壊するつもりで弾幕を展開する。

 

その間にジェネラルは片腕を抑えながら避難路に退避しようと動く。

 

対して俺は狙われた状態で動けずにいた。

 

しかし俺はアサルトライフルをその場で手放すと両手を広げる。

 

 

眼を__白鳥と同じ、空色に。

 

頭に浮かんでいる3つのヘイローは錆色から琥珀色に瞬かせ、神秘が全身に収縮し…

 

 

 

 

「 神羅天征ッ!! 」

 

 

 

迫り来る弾幕は視覚化不可能な斥力(せきりょく)で押し除け、それを周りに弾き飛ばす。

 

すると反射された弾幕は天井や壁にある銃火器に向けて槍のように放たれ、次々と破壊する。

 

 

 

「なんだ、と__グゥォォォォア!!!」

 

 

 

ジェネラルは悲鳴をあげる。

 

何故なら神羅天征によって反射された弾幕に巻き込まれてしまい、あと数歩で届きそうだった避難路から押し飛ばされてしまったから。

 

モノアイが、胴体が、残っている腕が、反射された多量の弾丸が突き刺さる。

 

そしてガラクタのように転がった。

 

 

 

「ガ、ガ、ガ、ナ、なん、だ、と…??」

 

 

ギギギと、体を軋ませるジェネラル。

 

俺は展開していた両手を解除すると、カナタの神秘で浮かせてその場でクルクルと回していたアサルトライフルをパシッと掴み取り、モニターの破片を、機材のケーブルを、天上から崩れ落ちた銃火器の片鱗を、溢れ出る神秘で踏みつけながらジェネラルの方まで。

 

 

 

「ば、けもの……メ、が……おの、れ……カナ…タァァ…おま、エは……貴様は……カイザーの、ありと、あらゆる…し、支配ヲ…!」

 

 

 

壊れた機械のように喋るジェネラル。

 

俺はガラクタを見下ろすようにアサルトライフルを構え、その銃口を向ける。

 

 

 

「ならば月雪カナタである俺が全てを裏返す。

 子供のための先駆者として箱舟を箱舟とし。

 このキヴォトスで明日を望むそんな人を!

 俺はこの青春物語(ブルーアーカイブ)をもう一度と…!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダン ______ と、光る。

 

 

 

 

 

 

 

「___カ___ナ___タ___」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶命した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウィーーン!!

ウィーーン!!

 

 

▽▲▽▲WARNING▽▲▽▲

▽▲▽▲WARNING▽▲▽▲

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

まだ機能しているオペレータールームは警告音を放ち、部屋は赤く光る。

 

するとヒビ割れた大型モニターに何かのデータ映像が展開される。

 

 

それは…

 

 

 

「っ、まさか………これ、って!?」

 

 

 

俺はジェネラルに振り返る。

 

しかしガラクタの様に奴は事切れていた。

 

バチ、バチと、電気が飛び出るだけ。

 

すると…

 

 

 

「月雪隊長!」

 

 

 

ユキノがオペレータールームまで来た。

 

どうやら残りの雑兵を制圧したようだ。

 

建物の外にも次々と神秘を感じる。

 

制圧を済ませた仲間も来ているようだ。

 

 

 

「ユキノ、一度建物から撤退するぞ!」

 

「っ、何があったんですか!?」

 

 

 

俺は再確認するように大型モニターを見る。

 

するとユキノも釣られるようにモニターに眼を向ける。

 

そして、彼女は声を漏らす…

 

 

 

「こ、これは…!!」

 

「ジェネラル……カイザー……何処までこのキヴォトスに悪意を注ぐつもりなんだ…!」

 

 

 

大型モニターに見える衛星砲らしき情報。

 

そして残り32分__と、刻まれている。

 

ターゲットは『KANATA』と表記。

 

それはつまり__俺を狙っている。

 

まだカナタの神秘を捉えているようだ。

 

 

 

「ど、どうにかして、書き換えは…!?」

 

「いや…無理だな。制動操作可能距離を超えて既に標的を絞って動いている。つまり…もう遠隔操作は受け付けずに標的へ飛来し、着弾するその時までこの衛星砲は絶対に止まらない」

 

 

衛星砲ノヴァは銃口もコアも砕け散ってもう光を落とせないが、しかし本体は辛うじて動くらしく、そして未だ月雪カナタの神秘を捉えて衛星砲ノヴァは狙っている。

 

その本体をキヴォトスに向けて。

 

 

そしてサイズは__約32メートル。

 

わかりやすく例えるなら__ラギアクルスの最大金冠サイズ。それが流星の勢いでこのキヴォトスに落ちて来るって事だ。

 

やっぱラギアクルスって最低だな(暴論)

 

 

 

 

「急げ!! 敵の親玉は死んだ!!」

 

「りょ、了解!!」

 

 

ケモ耳をピーンとさせたユキノは後方で警戒中のFOX小隊に指示を出し、撤退を開始する。

 

俺も倒壊しそうになるオペレータールームを出ようとして__

 

ガラクタとなったジェネラルを一瞥し。

 

 

 

 

「奇跡は否定させない___絶対に」

 

 

 

 

時間を惜しく、その場を去る。

 

そしてオペレータールームの天井が落ちる。

 

ガラクタを埋葬するように、音を立てて。

 

奴の天下はこの場で終えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな…っ!

 

そんな…ッッ!

 

そんなことっ!!

 

 

 

「ダメです、リーダー!だめです!」

 

「ウリエ…」

 

 

この基地を制圧したが、まだ作戦行動中。

 

しかし私は己が副隊長であることを忘れて取り乱し、目の前の隊長を説得する。

 

けれど隊長はそんな私に向けて困ったように笑いながら、この名を呼んでくれる。

 

 

「せっかく!…あぁ!せっかくあの衛星砲から生きて戻って来たのにまたアレと相対して受け止めるなんて!っ、っ!他…に!もっと他に方法があるはずです!それに!別に真正面から受けずともカナタなら飛雷神で…!!」

 

 

まだ作戦行動中なのに彼のことを総隊長と呼ばず「カナタ」と馴染み深い名で呼んでしまう。

 

必死なって私は止めようとする。

 

けれど、彼は首を振る。

 

 

 

「確かに…飛雷神を使えば制動甘い本体特攻は避けれる。しかしその際に衛星砲がカナタの神秘を捉えきれず、着弾地点がこの場所からズレたとして、もし民間人の住まうシラトリ区に誤って落ちてしまうなら、それは絶対に避けなければならない」

 

 

「っ! っっ、っっ…!!!」

 

 

彼の言うことは分かる。

 

万が一のことがある。

 

 

もしそうなってしまったら??

 

この残り20分と足りない避難時間で民間人を移動させれるか??無理だ…

 

 

 

「時間が惜しい、皆はこの場所を撤退しろ」

 

「っ…ぁぁ………」

 

 

分かっている。

 

カナタなら、なんとか出来るのだろう。

 

衛星砲ノヴァを撃ち抜き、こうして私達の元に生きて帰ってきた、連邦生徒会長が選んだすごい人だから。

 

 

けれど、理性が彼を離したくない。

 

私達が敬愛してやまないこの人を、また彼方先へ置き去りにして、私達は、また彼だけに全てを背負わせて、私達は、私は…っ

 

 

 

 

ポンッ

 

 

 

 

「ウリエ」

 

「!」

 

 

己が副隊長であることを忘れそうになっていた私の頭に手を置き、彼は宇宙を視る。

 

 

 

「俺はキヴォトスの大地をもう二度と大人の悪意で傷つけさせたくない。アレが落ちる事でこの箱舟を沈めんとする奇跡の裏返しをこの月雪カナタが許せんと訴えるんだ」

 

 

「!」

 

 

 

手が震えている。

 

それと同時に彼の頭の上に浮かんでいる3つの錆色のヘイローが琥珀色を交え、濁らせるように光らせ、その身に訴える。

 

 

 

月雪カナタがやる。

 

 

この者がやる。

 

 

正当化する。

 

 

そうさせまいと……だがそうであると。

 

 

伝わる__伝わるんだ。

 

 

この存在から___そのために在ると。

 

 

 

「全SRTに……告げるわ。今すぐにこの制圧地を放棄し、速やかに撤退を………するっ!!」

 

「「「 !! 」」」

 

 

私は最後に__カナタに敬礼し、仲間と共にこの場を去る。

 

ヘリやトラックに乗り込み、シラトリ区の69区から撤退しする。

 

一人の仲間を置いて。

 

 

 

 

「ぁぁ、どうか……ぁぁっ、どうか!あの人がまた戻って来れるようにっ!どうか…!!」

 

 

 

私はトリニティの生徒であることを捨てた。

 

祈るなんて行為はもう無かったはず。

 

SRTの兵士であることが誇りだから、

 

けれど、今だけは愚かにも願う。

 

あの人が無事であることを…どうかっ!!

 

 

 

 

 

「ぁぁ…!!!」

 

 

 

 

 

そして、宇宙が燃える。

 

一筋の光が迫り来る。

 

それは月雪カナタを消さんとする悪意。

 

衛星砲ノヴァの姿だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユメ、どうか奇跡を貸してくれ」

 

 

 

 

懐からハンドガンを取り出す。

 

口径が小さく、頼りない銃口。

 

しかし、今の俺にとってそれはありがたい。

 

 

 

 

 

 

そして、もう一つ。

 

懐から、とある物を取り出した。

 

 

それは…

 

この世界に来て久方ぶりに見たモノだ。

 

だからこれが応えてくれる。

 

 

 

俺は、ソレを頭の上に掲げる。

 

手に持った板状の、ソレとは___

 

 

 

 

 

 

 

「ネフティスさん、借りるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大人のカードを取り出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今___カナタの【責任】を果たすとき。

 

 

 

つづく

 






ハーメルン内にブルアカ作品が沢山ありますがここまで来たらカナタ君が最強ってことで良いですよね!!?



それと明日(18:00)も更新する事にした。
錠前サオリだ、よろしく頼む。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。