第一話「アビドス」
アビドス。その名を聞いて思い浮かべるのは壮大に広がる砂漠だろう。かつてはキヴォトスでもトップクラスのマンモス校だったアビドス高等学校は、その広がる砂漠の餌食になり、何度も分校を変えた。
アビドス砂漠には「宝」が眠っている、という噂を聞いたことがある。だが、そんなのどれも相手にしない。それもそうだな。たとえ子供でも宝を探し出すことが不可能だとわかる。そこにロマンがあったとしても。
さてさて、今現在俺はアビドス高等学校に向かっている。背中に先生を装備して。まさか、なんの準備もなく数日分の水しか持ってきてないとは思わなかった。
「"ごめんね。迷惑かけちゃって"」
「別に構いやしね〜よ」
背中越しでもわかる。本当にこの人は「先生」として「大人」としても俺のことを見ている。
やはりこんなところで死なせるわけにはいかない。キヴォトスの未来を守るためには、アンタに死なれたら困る。
「"それにしても凄いね、ここは。どこを見ても砂だらけだよ"」
「まぁ、そうだな……いつからだったか。いつの間にかアビドスは大量の砂によって埋もれていった。それが自然によるものなのか、それとも何者かによる意図的なのか、俺の中で疑問は尽きない」
「"……?"」
「あぁ、気にしなくていい。アンタにゃ関係ねぇよ」
「"初めて会ったあの時から疑問に思ってたけど、君は一体……"」
その問いに俺は答えない。もうそろそろアイツがここを通るはずだから。
「ん、黒嶺先輩?」
後ろからかけられた声に振り向けば、自転車に乗りながら困惑したように俺を見るアビドス高等学校の生徒である砂狼シロコの姿があった。
「よう、ここを通ると思っていたよ」
「ん、それはいいけど、その人は?」
「シャーレから来た先生だよ。アビドス高等学校に用があるんだとよ」
「じゃあ、久しぶりのお客様だ。黒嶺先輩も来る? ホシノ先輩喜ぶよ」
ホシノ……小鳥遊ホシノ。キヴォトスにおいて俺を除けば最強格に近い存在だ。俺を持ってしても一撃で仕留めるのは難しい防御力に諦めないタフさを持つ生徒だ。
そして、アビドス生徒会副会長。本当なら俺も会いたいけど……
「悪い。やることがあるからまた今度な。あ、先生頼むわ」
自転車を止めて足をつけたシロコに先生を託し、俺はその場を翔び立つ。一足でビルの上に降り立つと、困惑しながらも先生を背負ってアビドス高等学校に向かうシロコを見る。
「悪いな」
〜〜〜〜
「"彼は一体……"」
シロコに背負われながらアビドス高等学校を目指す私は、ふとそんな事を考えていた。
私がこの世界の外で遊んできたブルアカ。正式名称ブルーアーカイブには、彼のような男子生徒は存在しないはずだった。
突然このキヴォトスで目が覚めて、夢の中で誰かにキヴォトスを託された。私は「大人」で「先生」だ。このキヴォトスに住む生徒達を守る義務がある。
だからこそ知りたい。私にとっては正体不明の男子生徒のことを。
「ん、黒嶺先輩のこと?」
「"うん"」
「黒嶺先輩はキヴォトス最強なんだよ」
キヴォトス最強……? 最強格ではなく?
「誰も黒嶺先輩には勝てないらしいよ。負けたところを見たことがないんだって」
「"そ、そうなんだ……"」
なんだそれ。絶対にゲームだったらプレイアブルキャラにならない系統じゃんか。おそらくストーリーにおいてお助けキャラみたいな立ち位置にはいると思うけど。
「多分黒嶺先輩についてはホシノ先輩のほうが詳しいと思う」
小鳥遊ホシノ。私が「先生」になる前のまだ一人の「プレイヤー」だった頃から推しキャラだった人物だ。キヴォトス最強格の一人で、アビドスの副会長。
そんな推しに会えると思うと、今からドキドキしてくるよ。
アビドスの状況は原作知識で既に知っている。だけどあんまり頼りにする気はない。私が知らなかった男子生徒である彼が存在している以上、必ずしも原作知識の通りに物語が進行するとは思えないからだ。
でも、それでも……私にはやらねばならないことがある。そう、カイザーだ。奴らだけは絶対に潰さなければならない。
え、ゲマトリアはどうするかって? 正直ベアトリーチェと地下にいたやつ以外には割と好印象持ってるから、可能な限りは敵対したくはないよ。一人の大人としてはね。
もちろん先生としては敵対するけどね。
どうだったかな?
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ヒロインは誰?
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小鳥遊ホシノ
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守月スズミ
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聖園ミカ
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鬼方カヨコ
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氷室セナ
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黒崎コユキ
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小塗マキ
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美甘ネル
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天童アリス
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箭吹シュロ
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連邦生徒会長