キヴォトス最強の生徒   作:プロトタイプ・ゼロ

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第四話「バイト先……?」

 

 

 

 

 

 

 アビドス高等学校の借金を先生が知ったその夜、俺はアビドス砂漠に埋もれかけているビルの上にいた。月は天に登りその光が俺の影を大きくする。

 

 夜風が気持ちいい。コートの裾が風で靡いていてまるでアニメのキャラになったかのようだ。

 

「……お待たせしました、黒嶺優斗さん」

 

 俺の後ろに出現した黒い渦のようなゲート。そこから姿を表したのは、全身黒尽くめの男。スラリとした高身長に黒いスーツ。顔は影の様に黒く無機質で、右目にあたる箇所は白く光っていて、そこから顔全体に亀裂が走っている。

 

「別に待っちゃいねぇよ……黒服」

 

「ククク……そこは嘘でも「今来たところだ」、くらいは言ってほしいものですね」

 

「なんでお前なんざにそんなことを言わなきゃならん」

 

 黒服。先生と同じくキヴォトスの外から来た謎の組織「ゲマトリア」に所属する謎の人物だ。本名は別にあるらしいが、昔ホシノがそう呼んでたからなぜか気に入ったらしく、以後自分から「黒服」と名乗っている。

 

「あの契約を結んだ日からお前とコンタクトを取れなかった……お前ならある程度のことは把握してると思ってる」

 

「ククッ! 流石に買いかぶり過ぎでは?」

 

「いいや、俺は知っている(・・・・・)。俺が開けたあの大穴に落としたアイツが生きてるかどうかをお前が知っていることを」

 

 2年前、とある人物を助けるために俺は一人で砂漠に住む怪物と戦った。キヴォトス最強と呼ばれている俺だが、あの時は俺自身にある程度制限が掛けられていたこともあり死ぬかと思うほど傷だらけになってしまった。

 

 黒服は神秘を研究し、とある存在と敵対できる力を身に着けようとしている。そのためにホシノの前へ現れ、研究のための材料になってほしいと思っている。そんなの俺が許さない。だからこそ、俺は2年前黒服がホシノに……そしてアビドスにこれ以上手を出さないように契約を結ばせた。まぁ、かなり手こずったけど。

 

「クククッ! えぇ、えぇ!! もちろん知っていますとも。私としてはまだまだ会話を楽しみたいところですが、それはいつでもできますね。では、言いましょう。貴方が大穴へ落とした存在――ビナーは生きてます」

 

「そう、か……」

 

 確実に倒す気でいたのに、倒しきれなかった。当時の俺が持つ最大火力で殴ったにも関わらず、やつは生きている。

 

 思わず殺意が溢れ出す。それだけで周囲の砂が吹き飛び、黒服は少し驚いたように一歩だけ後ろに下がった。

 

「ククク……やはり、何度考えてもその力は理解できませんね。貴方がただの生徒ではないことはわかっています。なにせ、あの連邦生徒会長と似た存在であるのですから」

 

「……」

 

「えぇ、えぇ。わかっていますよ。貴方のことは契約もあって誰にも言いません。我々ゲマトリアにも、ね。それに、わざわざ貴方を敵に回すくらいなら、その神秘の力を――いえ、大罪の力を研究したほうがいい。それもあって私は貴方の守りたいものに手を出さないようにしているのですから」

 

 大罪。憤怒、色欲、暴食、怠惰、嫉妬、傲慢、強欲といった7つの罪を力として宿した俺だけのものだ。今は訳あって憤怒以外の力を使えないけど。

 

「ご安心を。貴方が私に研究材料を提供してくださる限り、私が裏切ることはありませんので」

 

 そう言うと黒服はその場を後にする。俺は地面に尻をつき、ゆっくりと夜空を眺めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セリカのバイト先?」

 

「"うん。優斗くんなら知ってるかなって"」

 

 朝になり先生と合流した俺は、突然そんなことを聞かれた。いやセリカがバイトしてたことすら知らんけど。

 

 俺はアビドスとはそこそこ交流があるが、それはホシノとシロコとノノミだけだ。ぶっちゃけ今の1年と話したことはなかった。むしろ今回が初めてですらある。

 

「なぁ、先生。いくら俺でも知らんぞ?」

 

「"ホントに〜?"」

 

 なんか今日の先生ウザいんだけど。変なものでも食べてねぇだろうな……? まぁ、ここには毒耐性を身につけるために、毒系の食べ物を食べまくったバカ()がいるけど。もちろん腹は壊したけどな。

 

「っていうか俺に聞かずに、ホシノ達に聞けよ……そっちのほうが早いだろ」

 

「"それもそうだね。それじゃあ行こうか"」

 

「あ、俺も行くんだ……」

 

 先生と一緒にアビドス対策委員会の教室に向かった。なお、ホシノ曰くセリカという猫耳少女のバイト先に検討があるらしい。

 

 あれ、おかしいなぁ。アビドスでバイトできそうな場所に俺も覚えがあるんだけど……。

 

「いらっしゃま……なんでここに来るのよ!?」

 

 そういうことで俺達はセリカのバイト先であろう紫関ラーメン店にやってきた。あ~最近食べに来てなかったから凄くお腹が空いてきた……。ここのラーメンめっちゃ上手いもんな。

 

「うへぇ〜、やっぱりここだよねぇ〜」

 

「ホシノ先輩のせいかっ!!」

 

 間延びした口調でホシノが勝手知った我が家の如くズンズンと足を進め、テーブル席に座る。

 

「"5人だけど、大丈夫かな?"」

 

「先生も!? それに黒嶺先輩まで!?」

 

 あ、俺は関係ないよ? ただラーメンが食べたいだけだよ? ホントだよ? オレ、嘘ツカナイ……タブン。

 

「おう、いらっしゃい! って、優斗じゃねぇか! 随分と久しぶりだな」

 

 店の奥から出てきた二本立ちの犬……もとい紫関ラーメンの店長が、俺を見た瞬間抱きついてきた。

 

「あ、どうも……ご無沙汰してます」

 

「"あれ? 知り合いだったの?"」

 

「まぁ、うん……一時期アビドスに暮らしてた時にバイトしてたから」

 

 2年前はよくホシノとユメが食べに来てたな。二人が本当に美味しそうによく食べるから、俺もだんだんラーメンを作るのが楽しくなってきて、本気で店長に弟子入りしようと思ったくらいだ。

 

 まぁ、砂漠に大穴を開けた後アビドスに来るのが気まずくなってたから、しばらく食べに来てなかった。

 

 みんなでラーメンを注文して美味しく食べた。なお、金は先生が払った。太っ腹と言いたいところだが、先生が黒いカードを取り出したのを見て冷や汗が流れたのは秘密だ。

 

 

 

 

 

 




どうだったでしょうか?
良ければ感想などをくれると嬉しいです!
それではまた次回でお会いしましょう!

ヒロインは誰?

  • 小鳥遊ホシノ
  • 守月スズミ
  • 聖園ミカ
  • 鬼方カヨコ
  • 氷室セナ
  • 黒崎コユキ
  • 小塗マキ
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  • 天童アリス
  • 箭吹シュロ
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