「悠仁!!俺の後ろに居るんだ!お前のもとへは塵一つ通さん!!!!」
ツインテールの男、改め脹相はそう声を張り上げて全身に呪力を巡らせる。
「調子のいい奴だなあ…さっきまで殺そうとしてたクセにもう兄貴面してんだもんなあ」
脹相の横には呆れ顔の妓夫太郎が鎌を両手に構えている。
「……虎杖、アンタもヤバい奴なのね」
「いや違うから!!俺も何が何だかわかってねぇよ!」
術式の影響で血の繋がりを察知できる脹相と鬼ゆえの超感覚とでも言うべき嗅覚で理解した妓夫太郎はともかく、釘崎と虎杖は急に寝返ってお兄ちゃんだと叫ぶ狂人に若干以上の恐怖を抱いていた。
「あーあ、脹相は裏切るし羂索は一人で楽しそうな事してるし…参っちゃうよ」
四人に対峙するのはただ一人、人が人を呪う肚より生まれし呪霊。
特級呪霊、真人である。
「血鬼術【飛び血鎌】!」「赤血操術【赤縛】!!」
鎌から放たれた飛ぶ血の斬撃が真人の胴体を切り裂き、分かたれた上半身と下半身とを血の網が捕縛する。
しかし、真人の顔から薄ら笑いが消える事はない。
「無駄無駄、魂が傷付かない限り肉体の損傷なんて無意味さ
お前らだって服が破れたぐらいじゃ死なないでしょ?」
ぐにゃぐにゃと粘土のように身体を歪ませ、血の捕縛から抜け出ると事も無げに身体を繋げる真人。
これこそが真人の生得術式、名を【無為転変】…文字通り、触れられる事が死に直結する攻守において無敵と言って差し支えない程に強力な術式である。
「クソッ、おろしたてのブランド物とかだったら死にたくなんだろ!!」
釘崎がデコハンマーを強く握り締め反論する…違う、そうじゃない。
「ぐにゃぐにゃ、ぐにゃぐにゃ…気持ち悪ぃ奴だなあ!」
「気を付けろ妓夫太郎、奴の手に触れればお前も
妓夫太郎と脹相の二人は、理想的な前衛を全うしていた。
陽の光以外では死なず、兄妹故の…二人で一つの鬼が故の特殊な魂の構造が真人に容易に手を出させない。
脹相もまた体内の血液を操作する【赤鱗躍動】と呪力強化により卓越した身体能力を発揮し、真人の攻撃をいなし続けていた。
特級呪霊である真人をして、この二人を相手に勝利するのは並大抵のことではない。
しかし…それは二人とて同じ事である。
先程から、もし攻撃が効いていたと仮定すれば…優に数十回は祓えているであろう程の攻撃を二人は真人に与えていた。
しかし、結果はこの通り…真人の呪力すらマトモに削れていない現状である。
二人は完全に真人を抑え込めている…現状は。
そう、現状は……しかし、技量や体質で抑え込んでいる二人に対し真人はただ好き放題に暴れ回るだけ。
均衡はいつか崩れる…それも、都合の悪い方へ。
「惨めだねぇ…効きもしない攻撃をバカスカと、クックック
地球はお前らを中心に回っちゃいない
残念ながら何も備えていないバカの思い通りにはならないんだよ
信じていれば願いは叶うとか、絆の力で勝利するとか…糞みたいなセリフを言ってみろよ」
嘲笑う真人…しかし、二人の背後に居るその男だけは瞳に闘志を滾らせていた。
「妓夫太郎さん、それから…えっと……」
「お兄ちゃん、俺はお前のお兄ちゃんだ!!」
すかさず挟み込まれたセリフをあえて無視しながら虎杖は続ける。
「ツインテの人、なんとかアイツの隙を作れねぇかな?」
「隙?何だあ虎杖、お前…なんか作戦でもあるのか?」
「うん…多分、イケると思う」
虎杖がそう言うと、二人は首と拳を鳴らしながら真人を睨みつける。
「どう…?なんとかなりそう?」
「フッ…違うな悠仁」
虎杖の不安気な声に、脹相は──お兄ちゃんは笑った。
「弟のお願いをお兄ちゃんが断る事など、ありはしない!!
「いつから俺は虎杖の兄貴になったんだあ…?」
脹相からの気持ち悪い温度感に呆れを通り越して困惑しながら妓夫太郎は構える。
「デカいのを出す、
両手を突き出した体勢から、妓夫太郎は大きく息を吸い…放つ。
それは、妓夫太郎が持つ技の中でも最大級の威力と範囲を持つ大技。
突き出した腕から血の鎌を暴風のように吹き荒れさせ、辺り一帯を吹き飛ばす…名を【円斬旋回・飛び血鎌】。
当たれば真人とて、竜巻に舞い上げられた紙屑のように引き裂かれる。
「おっと…流石にコレは避けとくかな」
しかし、眼の前に居るのは特級を冠する怪物。
真人は肉体を縮めると、血の暴風を縫うように切り抜ける。
「はい、無駄な努力ご苦労様…ッ!?」
妓夫太郎の技の打ち終わりを見てそう嘲笑う真人の眼の前に、赤い…小さな塊が宙を舞っていた。
「【超新星】」
脹相の声と共に、極限まで圧縮されていた血と呪力の塊が爆ぜる。
質量にして数十リットルもの血液が解放の歓喜と共にショットガンのように周囲へバラ撒かれ、至近距離にあった真人の頭部を吹き飛ばす。
「いやさ、確かに凄い曲芸だけど…俺の話聞いてる?効かないんだって」
もこもこと失った頭部を再生させる真人。
完全に再生させるまでに1秒と掛からず、ゆったりと余裕をもって目を開く。
眼の前には、拳を構え今まさに踏み込んだ虎杖悠仁。
硬く、握り締められた拳が真人の顎を貫くようにかち上げる。
「お前さぁ…観てなかった訳?あの二人でも効いてないんだからそれ以下のお前がはしゃいでも…?」
ぼたぼたと、真人の顔を生温い何かが伝った。
不思議に思い顔を撫でると、真っ赤に染まった手がその正体を真人に知らせる。
「なん…」
「フンッ!!」
困惑する真人に間髪を入れず叩き込まれる右ハイキック。
きりもみ回転で吹き飛ぶ真人を見ながら、虎杖は細く長い息を吐いて安堵していた。
「なんで…なんでお前なんかが……!!
お前如きがなぜ知覚している!魂の
ドボドボと滝のように血を流しながら吠える真人。
虎杖の放った2発だけが、その余裕を打ち崩した。
「あんがと…球磨川」
呟くように漏れ出た言葉、虎杖の眼が妖しく光る。
その『眼』は、かつて世界でたった二人の
かつては球磨川禊と対峙した人吉善吉に譲渡され、巡り巡って他ならぬ球磨川禊の手から虎杖悠仁へ譲渡されたそのスキル…名を【
相手の視界を覗き見る、埒外のスキルは魂を視認する真人の視界を寸分違わず虎杖に見せていた。
「ナイスよ虎杖!」
血を流しながらも未だに立ち直れない真人、しかし虎杖の攻撃を見て誰よりも早く動いた者が居た。
釘崎は地面に染み入る真人の血痕の上に藁人形を放ると、それらを目掛け五寸釘を打ち込む。
「芻霊呪法【共鳴り】!」
釘崎の術式、芻霊呪法は丑の刻参りに端を発する由緒正しき呪術。
対象の一部を媒介とし、その繋がりを以てして呪いを飛ばすその性質上──肉体と密接な繋がりを持つ魂を術式対象に選択する事は、容易い。
「がぶっ、ふっ…ッ!??」
真人の腹から背を貫くように巨大な釘が出現する。
そして、再び夥しい量の血液が周囲へバラ撒かれる。
「やっぱりね、アンタの術式聞いた時に…コレは効く気がしてたのよ」
「なんだなんだあ…お前、このガキ共の攻撃はしっかり効いてんじゃねぇか!」
「流石は俺の弟だ!!!!お兄ちゃんとして鼻が高いぞ!」
妓夫太郎達が再び虎杖達を庇うように前へ出る。
「後はもう詰めるだけだなあ」
「ああ、俺達は弟を信じて体を張るだけで良い」
脹相は手に血の刃を、妓夫太郎は血を圧縮した球を片手にジャラジャラと鳴らす。
真人はゆっくりと立ち上がり、虚ろな目で何事かを呟く。
「あと少し…あと少しで、
「行くぞ妓夫太郎!これより全力で、お兄ちゃんを遂行する!!」
「だから、俺は虎杖の兄貴じゃねぇよ」
恵の心配をよそに、三人と一人は真人を追い詰めていた。
それが、大いなる間違いとも知らずに。
玖番目︰【地球意思】
順転、反転問わず式神が完全破壊された場合にその式神を触媒とし降臨
特殊調伏条件:召喚者が【草薙京】【八神庵】【神楽ちづる】の場合調伏不可
捌番目:【魔人探偵】
特殊調伏条件:召喚者が【桂木弥子】の場合無条件で調伏可能
漆番目:【白面の者】
特殊調伏条件:一切の悪感情を持たずに名付けを行う事で調伏可能
陸番目:【ジョーカー】
ヘンダー城が存在しない為、戦闘調伏不可
伍番目:【致死量】
特殊調伏条件:詳細な雇用計画書を提示し、本人が納得した場合雇用可能
肆番目:【界王神でも倒せる】
特殊調伏条件:特殊な技術などで身長を伸ばせるならば逆スカウトの形で調伏可能
参番目:【人王】
憐憫の獣たる魔神王、人の悲しみと苦しみを最も理解し忌み嫌う彼の残滓にして新たなる生と共に遂には人間を理解した彼が『負け続ける事を決定づけられたこの世の誰よりも貧弱で儚い男』を見た時何を思うだろう
そして、そんな男が世界の不平等を嘆く事なく立ち上がり…立ち向かい続ける姿を観た時
そんな姿に何も感じないのならば、彼はもとより獣へ堕ちてはいない
特殊調伏条件:【虎杖悠仁】及び【球磨川禊】との対話
弐番目:【世界を紡ぐ者】
特殊調伏条件:召喚者のアライメントが『秩序/善』もしくは『混沌/善』の状態で対話を選択する事で調伏可能
壱番目:【Dr.ジャッカル】
戦闘調伏オンリー
戦闘調伏不可
感想読んでて思ったけど、男の子っていくつになってもエロゲとダイの大冒険とGetBackersが好きだよね