伏黒「クソみてぇな術式」   作:悲しいなぁ@silvie

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金に目が眩んで星漿体を助けようとする一般通過フィジカルギフテッドwithマーガレット・マカロン

「サウンズ『ファ』!」

 

マカロンの杖から拳のような形状の楽譜が放たれ、真っ直ぐに五条へ向かう。

 

(……何だコレ…?)

 

五条はそれを余裕を持って躱しながらも不機嫌そうに観察する。

 

(術式じゃない…?そもそも生得術式を持ってねぇし、呪力特性で説明しようにも()()()()、呪力量はミソッカスみたいなモン……何だコレ?)

 

六眼(りくがん)】、一目で相手の生得術式の詳細と呪力量やその特性までもを看破する規格外にして埒外の魔眼。

これこそが、五条悟が天才と言われる所以…本来は初見殺しが横行する呪術戦において自身のみが完全なるアドバンテージを得るうえ、六眼の所有者は並外れた呪力操作技術とそれからくる超高効率での呪力運用を約束される。

十全に扱うには分子単位での呪力操作技術を要求されるが十全に扱えたとすれば比類無き力を齎す【無下限呪術】と、【六眼】の抱き合わせ…それが五条悟。

万の賛辞すら陳腐なものとする天才、その五条が…生まれて初めて己の目を疑った。

 

マカロンの固有魔法『サウンズ』は、音に関連した魔法。

そう───【魔法】なのだ。

呪力を使い作用する【呪術】ではない。

魔力を使い作用する【魔法】なのだ。

五条悟の──否、この世界の誰も知らない原理と元理で構築された技術体系。

 

故に、五条は回避を優先した。

無下限呪術による無限の防護膜では呪力を介さないマカロンの魔法を防ぎ得ない可能性を考えて。

 

「サウンズ『オーケストラ』!!」

 

先程とは比べ物にならない轟音と共に巨大な楽譜が五条目掛け殺到する。

 

マカロンに非はなかった。

五条をして初見である魔法で攻め、面制圧にて逃げ場を無くし仕留める。

その策にはなんら非はなかった。

 

あるとすれば、ただ一つ───五条悟が天才であるという一点のみ。

 

「……力不足…の冬ね…」

 

マカロンの頬を冷たい汗が流れる。

視線の先には、マカロンの魔法を正面から受け切った五条が喜色を(たた)えた顔で品定めするようにマカロンを睨んでいた。

 

普通、ある一定以上の領域(レベル)に至った者、又はその領域に至れる者は物事を理論的に分解・組み立てる能力を有している。

それは例えば、『目が良い』と言われるものであったり『才能』と形容されるもの。

知識と経験の蓄積による対応力の形成、それは裏を返せば『完全なる未知』への無力宣言。

極めるとは、時としてその他を排する事に似る。

 

『最強』自他共に認める、その領域まで至った五条悟ならば必ず起こる筈だった。

自身の知らぬ原理の事象への『困惑』、自身の理外の現象への『恐怖』、自身の知識に無い力への『思考停止』が…起こって当然───の、筈だった。

 

「どういう原理かわっかんねぇけどさぁ!最終的に起こる『結果』が音なんなら…その音っつー振動を無限で止めりゃあ良いだけだよなぁ!!!」

 

五条悟は、全くの未知数である魔法を()()()()()()()()()()()()()

自身の理外、無知、非常識…それら一切の感情・情動を無視し昆虫のように眼の前の事象へ対応する。

言葉にすればただそれだけ…しかし、今まで自分が築き上げてきた全てを無価値と断じ即座に最適解をとれる人間が一体どれだけ居るか…言うまでもなく。

 

五条悟───正に、天才

 

進化する天才は、魔法(未知)にすら対応する。

 

(ここまでは…ここまでは予想通り

私が賭けたのは、ここからよ)

 

しかし、マカロンもまた()る者。

己の喜怒哀楽、その全てを闘争に注ぎ込んだ埒外。

戦闘に飽きれば決闘を、決闘に飽きれば戦争を、戦争に飽きれば闘争を、闘争に飽きれば戦闘に。

遊びよりも、食事よりも、睡眠よりも、セックスよりも…全てをおいてなお治まらぬ───闘いへの飢え。

そんな日常は、いつしかマカロンに一つの特異な耳を与えた。

 

マカロンは、自身と他者の強さを音で知覚する。

 

その耳で、マカロンは嫌と言う程に五条と自身の力量の『差』を理解していた。

 

「いつぶりかしら…私の音が、低く聴こえるのは」

 

マカロンの耳が聞き取った五条の強さは、文句なしの『ド』。

ドレミファソラシドの最上位…そして、マカロン自身の音が『レ』。

常ならば『シ』として聴こえる自身の音が、あまりの力量差に低く聴こえる。

『レ』と『ド』…五条とマカロンには、1オクターブに近い差が──如何様にもならぬ『格差』があった。

 

しかし、マカロンは────笑った。

まるで、年端もいかぬ少女が初めて恋を知ったように。

まるで、妙齢の貴婦人が意中の相手を誘惑するように。

まるで───野生動物が、己の勇猛を誇示するように。

 

 

「サウンズセコンズ『デスゴング』!!」

 

 

荒れ狂う膨大な魔力の奔流、2本線のみに許された魔法の精髄。

セコンズは、固有魔法の真の力を引き出す…その威力、その威容は──1本線のそれとは一線を画す。

ましてや、マカロンの奥の手…サウンズセコンズは例え3本線相手にも引けを取らぬ、正に切り札。

 

セコンズの発動と共に、大きな鐘が二人の頭上に現れる。

この鐘は1分後に鳴り響き、音を聞いた者を…2キロ以内の全ての者の意識を刈り取る、死の鐘である。

 

「デケー鐘が急に出るわ、マジでワケわかんねー…けど、お前を急いで殺らなきゃヤバいってことぐらいはわかんだよ!」

 

呪力による身体強化、無限による引き寄せる力と押し出す力の運用により五条は最速の術式と呼ばれる【投射呪法】の術師を上回る速度で迫る。

五条の拳がマカロンの眼の前に迫る…その瞬間、マカロンの姿が視界から掻き消えた。

 

「私との鬼ごっこ…勝てるかしら?」

 

マカロンのもう一つの奥の手、それがこの高速…ならぬ音速移動である。

音に乗ることにより、音速で移動する術者と1分後に鳴り響く死の鐘…今までにこれを攻略した者は──たった一人のみ。

あまつさえ、五条はマカロンの魔法対策として全ての音を無限にて拒絶している。

故に、音に乗るマカロンの魔法を純粋に目で追う以外なく…

 

パチン!

 

この音速移動はかつて、神に等しき力を得たイノセント・ゼロすらをも翻弄している。

結果的に対応されたとはいえ、魔法に関しては他の追随を許さない男ですら暫くの間見に徹する必要がある魔法…と言えばその異質さが伺える。

ましてや五条はつい先程魔法の存在を知ったばかり…マカロンの闘争への誠心により磨き上げられた魔法は知識も経験も無い者が見破れるような練度では決してない。

 

再びマカロンの姿が消え、五条の背後へと───

 

「がっ…ハァ……ッ!?」

 

五条の脚が、マカロンの腹部へと深々と突き立てられていた。

 

ある一定以上の領域(レベル)に至った者、又はその領域に至れる者は物事を理論的に分解・組み立てる能力を有している。

人はそれを、才能と呼ぶ。

五条悟は天才、他と隔絶した存在。

 

未知への適応が───終わろうとしていた。

 

「『ナルコス』!!」

 

マカロンがゼロ距離から杖を振る。

唱える魔法は、基礎魔法の一つ。

ただ魔力を飛ばすだけの魔法…出力も汎用性も、全てが固有魔法を下回る。

しかし、五条にとって未知である魔力そのものを飛ばす魔法である。

 

「タネの割れた手品ほど、つまんねぇもんもねぇよ!!」

 

魔力の弾が、五条の手前で滑るように後ろへ逸らされる。

無限の防護膜が魔力を選別し有害であると判別する…それは即ちマカロンの、あらゆる手段を無力化したに等しい。

もはや、マカロンのセコンズすら通用しないであろう。

マカロンの敗因はただ一つ…相手が五条悟であったこと。

 

マカロンは、涙を堪え切れなかった。

悔しいのではない、恐ろしいのでもない。

今、マカロンの脳内を支配するのは───

 

(美しい……なんて、美しいの)

 

───強者に逢えた喜悦。

 

(嗚呼…貴方に比べればモナ・リザのなんて不細工なこと

私には見えるわ、ダビデ像が嫉妬しミロのヴィーナスが臍を噛む姿が!

嗚呼!あんな完成しそれ以上を失った芸術達のなんて陳腐なこと!!

今まさに美しく熟れていく真っ赤な果実…!

生きとし生ける全てに…そして、私を生んでくれたパパママありがとう…!!)

 

「幸せの…夏ね…」

 

マカロンが涙と共に放ったのは、先程と同じ魔力弾(ナルコス)であった。

先程と違う点があるとすれば…

 

(コイツ…何処狙って……ッ!?)

 

五条ではなく、五条の背後まで伸びてきていた『鎖』を狙った事である。

 

マカロンの狙った鎖…特級呪具【万里ノ鎖】は両側の終端を観測されない限り、無限の距離を持つ呪具。

それが、マカロンの魔力弾により(たわ)み…五条へとその先端を叩きつけるようにしなる。

その先端に括り付けられた呪具こそ、甚爾の──術師殺しの奥の手。

その刃に触れたあらゆる発動中の術式を強制解除させる効果を持つ刀剣、特級呪具【天逆鉾(あまのさかほこ)】。

 

普段の五条ならば、万里ノ鎖の接近に気付かない筈がない。

だが、極度の疲労と睡眠不足に加えマカロンの固有魔法であるサウンズの対処として全ての音を遮断していた今の五条ではその接近に気付けない。

 

マカロンの決死の策、五条はマカロンに対しある種の信頼があった。

 

(ここで、無意味な攻撃してくる奴じゃねぇ…!)

 

五条は無限での防御という択を捨て、天逆鉾を受け止める。

目前まで迫ったソレを右手を犠牲にする事でなんとか受け止める…呪具が五条の手へ突き刺さった。

 

「は…っ!ギリギリだったが、俺の勝ちだ!!」

 

「ええそうね…ギリギリだったけど、私の勝ちよ」

 

五条の手に天逆鉾が突き立てられたまま───

ジャスト1分…死の鐘が、鳴り響いた。

 

 

一人が気を失い、崩れ落ちる。

 

勝者─────()()()

 

「ハァッ!ハァッ、ハァッ…!」

 

五条はマカロンの言葉を聞いた瞬間、自身の無下限呪術が解除されている事を悟りセコンズの鐘が鳴るより早く…自身の右手を斬り飛ばしていた。

抜いていては間に合わないと判断し、即座に利き手を捨てる。

 

最善手ではあった。しかし、それをノータイムで選択し実行する胆力と判断力…

 

五条悟が、最強と呼ばれる所以である。

 

「行かねぇと…傑と、天内が……待ってんだ…」

 

ふらふらと、五条が歩き出す。

反転術式で斬り飛ばした右手を再生させながら、ゆっくりと歩く。

 

「負けるかよ…っ!

俺と傑は誰にも負けねぇ…負けるワケねぇんだよ…!!

俺は───俺達は、最強なんだ」

 

ふらふらと、しかし…決して隙は見せず歩く五条。

 

その身体を、一本の螺子が貫いた。

 

「……は?」

 

『ったく、嘆かわしいぜ

僕はギャグ漫画に急に挟まれるテコ入れ感丸出しのバトルシーンが大キライなんだよ』

 

視線の先には…嫌悪感が、立っていた。

言葉にするにも怖気が走るような、人の嫌がる全てを書き出せばこうなると言わんばかりの『ナニカ』が立っていた。

 

『そもそも、マカロンちゃんも甘ぇよ

こんな才能丸出しのプラス野郎なんて螺子伏せちまえば良いのにさ』

 

五条の両肩と両膝が、螺子に撃ち抜かれる。

 

「なんで…術式が……」

 

『……が、その甘さ…嫌いじゃあないぜ』

 

五条が意識を失う前に見たのは、不敵に笑う最悪の姿だった。

 

『あ』

『それではみなさんご唱和ください───』

『It’s All Fiction!!』

 

最悪は、全てを台無しに──帳消しにして嘲笑う。

 

この後…しばらくすれば甚爾がアミバ達を連れて来る。

マカロンが勝ったのだと、なんの疑問も持たずに五条を抱えて行くだろう。

天元はアミバが秘孔を突いて若返らせるだろう。

そうなれば天内理子は星漿体としての役割を失い、死ぬ必要もなくなる。

夏油は、最強である親友も無敵ではないのだと思えるだろう。

そうなれば、彼はきっと踏み止まれる。

ああ、だからこそ─

 

めでたしめでたし、世は事もなし

 

『ああ───また勝てなかった』

 

 

 


 

 

伏黒甚爾

たんまりと貰えたので満足。

なお、五条からはやっぱり殺すリストに入れられている。

 

アミバ

天才は何をしても許されるが限度がある。

アミバ流北斗神拳って言ってればなんでも許されると思うなよ。

 

クレマンティーヌ

今回は特に活躍なし。

マカロンと五条の戦闘跡をみてドン引きしていた。 

 

マーガレット・マカロン

五条に勝てはしなかったが楽しめたので満足。

本来、五条との力量差は万回やっても万回五条が勝つレベル。

今回のは初見殺しかつ甚爾の協力の上でのハメ殺しに近かった。

 

七番目:【梅毒】

調伏難易度で言うと実はかなり簡単。 

 

六番目:【戦士】

調伏難易度で言うとかなり難しめ(戦闘調伏オンリー)。

 

五番目:八握剣異戒神将魔虚羅

調伏難易度は…お察しください。

 

四番目:【切なさが見つからない】

調伏難易度で言うと実質最高難度(戦闘調伏オンリー)。

 

三番目:【負完全】

調伏だけなら一番簡単。

 

二番目:【フルコース詠唱おじさん】

調伏不可

 

一番目:【もう一つの真実、もう一つの世界そのもの】

調伏不可

 

五条悟

気がついたらなんか丸く収まってた。

 

夏油傑

闇堕ち回避成功。

 

天内理子

黒井さんと幸せに生きて…

 

黒井美里

理子ちゃんと幸せに生きて…

 

天元

人間時のイラストがあまりにも美人なのでみんなもコミックス23巻を買おう!!!

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