転生したら直斗のお兄ちゃんでした 作:どけ!俺はお兄ちゃんだぞ!
直斗のシャドウは腕から光線を放ち侑斗を追い詰めようとするが、侑斗はそれらを容易く躱して直斗のシャドウへと迫るが、シャドウは紙一重で後退する。
《……っく、どうして》
シャドウがポツリと呟いた。
そして、間をおいた後、ヒステリックに叫んだ。
《どうして当たらない!どうして届かない!どうして!どうして僕の手は兄さんに届かない!どうして振り向いてくれない!?》
侑斗は無言でシャドウへと肉薄し攻撃する。
《兄さん……兄さん!あなたは僕のたった一人の兄なんだ!僕を、僕を拒絶しないで!》
「──っ!」
侑斗の動きが一瞬鈍った。
その瞬間を見逃さなかったらシャドウは光線銃のような腕を侑斗に向けるが、侑斗はそれも構わずシャドウへ肉薄する。
《─────あはっ》
直撃の確信と共にシャドウは裕斗へと光線を放つ。
放たれた光線は奇しくも、侑斗のシャドウが放った弾丸が突き刺さった場所と同じ場所に突き刺さり、貫通した。
しかし、侑斗は勢いのままシャドウは突撃し……
剣を手放して、直斗のシャドウを抱きしめた。
《………………え?》
「へ?」
素っ頓狂な声を上げたのは、直斗のシャドウと、その戦いを何もできずに見守っていた直斗自身だ。
しかし、侑斗は何も言わずに直斗のシャドウを抱きしめ続ける。
《に、兄さん……やっと僕の元に……!》
「……俺は、元からお前の近くにいたつもりだった」
《……え?でも、兄さんは──》
「俺は別に結果が大事だと思っているわけではない」
《でも、僕と話している兄さんは、苦しそうで、兄さんは僕なんか》
「不慣れだっただけだ、年の離れた妹が居た経験がなかったからな」
一つ誤解を解くたびに、侑斗はより強くシャドウを抱きしめた。
そんな二人の元へ、直斗本人が歩み寄る。
「……兄さん、その言葉は──本当ですか?」
「あぁ、不甲斐ない兄ですまない」
「そんなことはありません。でも、一つだけわかるのは──そこにいるのは、本当にもう一人の僕だということ」
「幼い頃から、貴方は僕よりも遥か先にいた。その大きな背中を追ううちに、僕はいつのまにか、初めに抱いた気持ちを閉じ込めてしまった。『もっと兄と遊びたい』と、泣きそうになる小さな僕を」
侑斗が抱きしめていたシャドウを離すと、それは少しずつ姿を変えて元の白衣を着た直斗の姿へと戻る。
「そうして探偵をしているうちに、色んな小さな悩みやコンプレックスがそこに絡みついて、男になりたい、大人になりたいと思っていた。……でも、本当に僕が望んでいたのは、ありのままの君を受け入れること、ありのままの僕を兄さんに受け入れてもらうこと」
「……兄さんの言葉を聞いて安心したのがその証だ。君はいつだって僕の中にいた。僕は君で…君は僕だ」
その言葉にシャドウは頷くと、光となって消えていった。
「……直斗、無事か?体に異変は?」
「僕よりも兄さんです!脇腹に二度も銃撃を──あれ?」
直斗は、兄の脇腹からの出血が止まっている事に気がついた。
「……先程の戦いで見たように、俺はモノを創る力を持つ。それを応用して失った器官や組織を創り、結合させれば傷は癒える。……まぁそんなことは良い、お前に何事もなくて良かった。さて、帰ろう」
侑斗はそう言うと、直斗の手を引いてマヨナカテレビの出口へと向かった。