突然だが君の子供の時の夢は何だっただろうか?野球選手?トラックの運転手?そんな夢もあっただろう。もしかしたら消防車になりたいと人間という枠から外れていないと無理なものを夢見ただろう。さらには空想上のものになりたいと願い、焦がれ、妄想もしただろう。
だがこれらには得てして共通点がある。それはある程度大人になるとその夢が消えてしまうことだ。例えば二十歳を超えてなお野球選手になりたいなどと言った人がいたら抱腹絶倒ものでいい加減現実見ろや!と夢から覚ましてあげたりもするだろう。
竜になりたいと願った純粋な少年も大人になり、現実を知り、夢から覚めてしまう。
だがそんな冷めた大人が再び竜となる。目的のためにもう一度夢に溺れる。
これはそんな物語だ。
prrrrrrr‥prrrrrrr‥
桜もそろそろ散りそうな時期の定時付近とある社会人のポケットから電話が鳴った。
(げ、マナーモードにし忘れた。何やってんだ俺)
慌ててスマホを取り出し液晶を見てみると数年ほど見ていなかった五条悟の3文字が浮かび上がっていた。その文字を確認した瞬間無言でスマホの電源を切り、カバンの奥深くへねじ込んだ。そのまま仕事を再開しようとキーボードを叩こうとした時、
「竜崎さーん。ご家族の?の五条さんがお父様の訃報の連絡だそうで‥」
そう言われた。
溢れ出た殺意を理性で抑えつきながら急いで事務の方が取り次いでくれた電話に向かい、受話器を取った。
「はいもしも」
「あ!竜崎ぃーーーー!!!おっひさー!!!いやー何で僕の電話無視するのかなーひどくなーい?こーんな可愛い可愛い先輩にそんな仕打ちなんてさー。まあ可愛さで言えばそんな少年の夢代表みたいな術式持ってるこーはいの方が可愛いけどさー。」
「‥御託はいいです。地雷を踏んででも言いたいことがあるならさっさと言ってください。」
「んーこーはいマジギレ!本題なんだけどちょっと頼みた」
案の定厄介ネタぽかったので速攻電話を切り、困惑顔の事務員さんに受け渡す。近くのホワイトボードに「電話を取り継いだやつから吊るす」と書いた。案の定周りからは変な目で見られたが気にしない、事務員さんに謝れられても気にしない。あんな業界ともう一度関わるぐらいならこのくらいは必要経費だ。
その翌日、昼間は昨日と比べて特に何もなく素晴らしい仕事時間で、少しいい気持ちで家に帰り、鍵を開けようとした。
「ん?開いてね?え?空き巣?」
なんか開いていた。
荒事の経験は文字通り死ぬほどあるが空き巣は初。少しばかり緊張しながら家に入ると白髪目隠黒服高身長の見覚えしかない奴がお玉を持ちながらながらこう言った。
「お帰りなさい!あ♡な♡た♡」
回れ右した。
表札を確認し、幻術の類じゃないことを警戒しながらもう一度家に入る。
「ご飯?お風呂?それとも‥わ?た?し?」
理性の蓋が開いた。
殴り掛かろうとする直前に無下限のことを思い出し、無駄だと悟った。
「で?要件は‥なんですか?」
冷蔵庫の中からペットボトルを2本取り出し、片方を投げ渡しながらそう言ってしまった。
(こーゆーことするから俺はダメなんだろうな)
何が面白いのかわからないが五条がケラケラと笑う。
「いやーそれなんだけどねー両面宿儺の器を見つけたんだよ。」
「とんでもない厄ネタじゃないですか。俺に教えてもいいんですか?呪術師やめて結構経つんですよ。上層部とかに狙われません?」
「うん狙われるね。」
(おい)
「まあこれからやってもらうことで嫌でも関わるしいいでしょ。こーはいの実力ならよほどのことがない限り逃げ切れるし。
ねえ?竜崎一級?」
「そのやってもらうことが要件ですか‥で?言ってみてくださいよ五条家当主現代最強さん。」
「イヤミだねーw。ま、要件なんだけどね‥宿儺の器、教えてみない?ついでに教師にならない?こーはいって七海みたいに社会に適応できないでしょ。イカれてるし。呪術師しか向いてないよーw。」
(んーなるほどなるほど‥そーゆーことなら)
飲みかけのペットボトルを机に叩きつける。
「お断りです。他当たってください。」
竜崎骸
主人公
色々拗らせてる
最強さん
後輩の家に無断で入り込むやべーやつ。