空想の竜を降ろすモノ   作:ホンビノス貝

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5cザーディはいいぞ


第二話 大人として

叩きつけたペットボトルが少し凹む。

「宿儺の器とか秘匿死刑もんでしょう‥そんなモノに関わったら今の生活が送れなくなります。」

「具体的には?」

家主の目の前で寝転がりながらそう言う。

「平凡な毎日ですよ。朝起きて飯食って仕事行って家帰って寝る。あの時には到底できないであろう健康で文化的な生活ですよ。人並みでいいです。人並みで。呪術師やっているよりかは1000倍いい。」

「平凡な毎日送るためにリーマンねぇ‥」

心底つまらなさそうな表情で水を飲んでいる。

「とゆーかそんなモノに対して教育ってなんなんですか?指食べて死刑にならないって‥何で‥もしかして‥またですか?!?!まぁた五条家パワーでゴリ押したんですか?!」

「あったりー!どーせ死ぬなら全部食べさせてでも遅くはないでしょ。」

「その間に暴走したらどうするのですか?!即刻死刑にすべきです!」

思わず立ち上がり、そうまくし立ててしまった。

「大丈夫。僕最強だから。」

その勢いのままヘナヘナと座ってしまった。

(そーだこの先輩そーゆーこと言うやつだった!先輩が存在しているというメリットがありすぎるせいで全部のデメリットが帳消しになってそのまま押し通す人だ!御三家の力なんて関係ない!数年話していなかっただけでこんなことも忘れていたか!こんちくしょう!)

思わず水を投げたくなる衝動に襲われるがキレてしまったらこちらの負けだ。

活を入れる意味合いも込めて水を飲む。

 

こいつ相手には無意味な言いたいことも何もかも流しこむ。死刑にすべきだという今しか考えない思想。危険性という未知を恐れすぎている自分。そして何より宿儺の器をおそらくだが自分より年の低い守るべき子をモノ扱いした自分に対する情けなさを。

 

ペットボトルはいつの間にか空になっていた。

(まだ足りない。)

2本目を取り出しそのままラッパ飲みする。

思考の方向性を切り替える。五条悟がいるというメリットを最大限にまで使う。死刑されるのは確定事項。ならそこまでをどうするのか。自分が選びたい本音は?

(なら…そうか…だから先輩は…)

2本目もいつの間にか空になっていた。

 

「質問がいくつかあります。」

 

「ん?いいよ。言ってみ?」

 

「その子の年は?」

 

「15。」

 

「呪術師の家系?」

 

「一般人。」

 

「指食べた経緯。」

 

「もともとその子が通っている高校に指があったの。そのあといろいろあって食べてた。」

 

あの時はほんとに焦ったねーと、寝転がりながら器用に水を飲み、けらけら笑う。

(ひっどい説明。まあだけど分かったことはいろいろある。元一般人で、呪いののの字も知らない。おそらく覚悟も知識も何もかもが足りない。先輩はこんなちゃらんぽらんだけど一応は最強。修行させる時間を外注させる目的と…呪術師はいつも人手不足。ほかの呪術師に頼むには時間が足りない。なら呪術師やめたやつをこき使う。あわよくばそっちの業界に戻ってくれてまた任務に人生を溶かしてくれるかもしれない、そんなところか。だけどこれには違和感がある。)

「先輩が考えたものじゃないでしょ。この計画。先輩は結局全部自分でできるって考えるタイプだし。夜蛾さんか…」

「まあ正確にはこーはいを上層部側に引き込みたい奴らが計画したものなんだけどね。学長胃痛めてたよーw」

「そっすか…お金の問題は五条家が出せばいいから問題なしと。」

「そゆこと。で?もっかい聞くけどやるの?やらないの?」

飲み切ったであろうペットボトルを一瞬でつぶしゴミ箱へシュートする五条。こちらには捨てられていないペットボトルが2本。

 

まるであんなところに残してきたのがあるのでしょうと言いたげだった。

 

ボトルを手でつぶし、残らずゴミ箱に入れる。

「わかりましたよ。やらせていただきます。」

「え?まじ?さっきはだめって言ったのにどうい」

「ただし!」

ここまでしてもいまだ後輩の家でダラダラと居座っている奴に対して啖呵を切るように言う。

「俺はその子に呪術師をやってほしくありません。死刑が決定されていてもしばらくは執行はされないんですよね?ならその間は一般的な幸せを送ってほしい、曲がり間違ってでもモノのように若人の青春が消費されていいはずがない。呪術師なんていうくそみたいな仕事にたとえそんな事情があっても簡単になってほしくない。」

「俺はその子に呪術師がどれだけくそか。一般的な幸せがどれだけ素晴らしいか。大人として、先輩としてそれを呪術師をやめさせるために教えます。」

そうまくし立てた。

先輩は何がいいのか少しニヤニヤしている。

「加えて教えるとしても土日だけでお願いしますよ!」

追加でそう言った。

先輩はすっごくニヤニヤしていた。

「ん、わかった。それでいいよ。じゃあ今度の土曜日に高専に来てね。」

「それで以上ですか?ならさっさと帰ってください。明日も」

「1年生の副担任として!!!全員に自己紹介してもらおうか!!!」

 

 

はぁ?!?!




竜崎骸
高校生に自己紹介することになった社会人

五条悟
最後にドッキリ仕掛けたやべーやつ
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