俺はディオ!ジョジョの親友で、本当の紳士を目指す者さ!   作:バケギツネ

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ふぁんとむ・ぶらっど...?

 

 

 この物語は、メキシコから発見された“謎の石仮面”に纏わる、2人の少年の冒険譚である!

 

 ...はずだった。

 

 

 

 

 

『...ォ!...おい、ディオ!!』

 

 うぉっ!?俺寝てた!?

 

 耳に響いたのは、聞き覚えのない皺がれた声。椅子に座ったままグッスリと眠っていたらしい俺は、その声によって飛び起きる。

 

「あれ?」(CV○安武人)

 

 俺は確か、大学のサークル打ち上げで飲み過ぎてぶっ倒れ...ヤッベ!それ以降の記憶がねえ!!

 

「ここどこ!?知らない天井!?」(CV 子安武人)

 

 ありゃ、昨晩酒を飲みすぎたせいかな?

 俺の声がやたらと低い気がするな。

 

 いやそんな事より!

 

 辺りを見回してみると、どうやら室内の様だが...ボロっ。部屋の白い壁は汚れだらけで、幾つもヒビが入っている。

 

「ん、なんだコレ?」

 

 自分の手には、なんだか分厚くて難しそうな本が握られていた。全部英語だ。

 

「????????」

 

 え、どうなってんの?

 これ、夢...?

 

『オイ!さっきから聞こえねえのか、ディオ!!』

 

「!!!!」

 

 同じ部屋のベッドには、知らないヨボヨボおじいちゃんが横たわり、めちゃめちゃ咳き込んでいた。

 

 なんだかすげえ苦しそう!

 状況はよく分からんが、とにかく助けなくては!!

 

「だ、大丈夫ですか!?おじいちゃん!!救急車呼びますか!?」

 

『ん、きゅうきゅうしゃ?ナニ寝ぼけてやがんだ、ディオ。ちょっとこっちへ来い!息子のおめえに話がある...』

 

 どうやらこのおじいちゃんは、俺のことを自分の息子さんと勘違いしている様だ。

 

 名前から察するに、外国の人なのかな?

 “でぃお”さんって。

 

『俺はもう長くねえ。分かるんだよ、直に死ぬ...だから、』

 

「ちょ、ちょちょ、ちょっとその遺言っぽい奴ストップ!!」

 

 何か凄く大事なことを言い遺しそうな雰囲気だったので、慌てておじいちゃんを静止する。

 

 そう言うのは、本当の息子さんに聞かせないとでしょ!無関係の俺に聞かせてどーするよ!?

 

「おじいちゃん、しっかりしてください!俺は、息子さんじゃありませんよ!」

 

『いーかげんにしろッ!!いつまで寝ぼけてやがる!その鮮やかな金髪に、腹が立つほど整った顔立ち!間違うはずがねえ!!お前は俺の1人息子、ディオ・ブランドーだ!!』

 

「いや、困ります。そう言われても」

 

 このおじいちゃんには、一体ナニが見えてるんだ?

 

 俺、髪は黒いし、顔は良くて普通止まり。ましてやバリバリの日本人だぞ?

 

 俺が、“でぃお・ぶらんどー”さんなんて事はありえな...ってアレ?

 

 動き回ってみて気付いたのだが、何だかいつもより体が重いぞ。それに着ている服にも見覚えがない。

 

 いや、まさか。まさかな。

 

『ディオ...?』

 

「ちょ、ちょっと待ってて!おじいちゃん!!」

 

 俺は慌てて、今自分のいる部屋を見渡してみる。

 

「鏡、鏡...あ、アレでいいか!!」

 

 俺は部屋の窓へと近付いて、そこに映る自分の姿を確認した。

 

「...誰?このイケメン」

 

 そこにはおじいちゃんの言う通り、鮮やかな金髪に、腹が立つほど整った顔立ちをしている、知らない外国人の姿があった。

 

「なんてこったい...」

 

 自分の顔を思いっきり引っ叩く。クッソ痛かった。どうやら夢ではないらしい...

 

 俺は確かに、“ディオ・ブランドー”とか言う別人になってしまっている...!

 

「え、どゆこと?異世界転生、的な?」

 

 もう、わけがわからない!!

 俺はこれから、一体どうすれば...

 

『おい、ディオ。さっきからどうし――』

 

「お父さーーーーん!!助けてーーー!!!」

 

 もうこうなれば、この世界で頼れるのは俺の父親と思われるこのおじいちゃんだけ!!

 

『ディオ、お前道端に生えてる汚ねえキノコでも食ったか?いつもと様子が違いすぎるぞ』

 

 ギ、ギギギギクッ!!怪しまれてる!!

 

 だってしょうがないじゃん!本物のディオさんがどう言う感じか、全然わからないんだもの!せめて、俺が転生する前までの記憶くらいは引き継がせて欲しかった!!

 

 いくら何でも、転生の仕様がハード過ぎんだろうが!

 

「い、いつもと違う!?HAHAHA、そんなまさか〜」

 

 転生の事を正直に話すか?

 いや、ダメだ!信じて貰えるわけがない!

 

 万が一、転生者だという理由でこのおじいちゃんに見放されでもしたら、俺はこの異世界で生きていけないだろうし!

 

「ご、ごめんよ。父さんが、もう長くないって聞いて、その、柄にもなく動揺してしまったんだ...」

 

『ディオ、おまえそこまで俺の事を...!』

 

 ごめんなさい、おじいちゃん。

 全部口から出まかせです。

 

『ディオ、お前は父親思いのいい奴だな...』

 

 うっ!!

 

 何だかおじいちゃんを騙しているみたいで、心が痛む!!

 

 罪悪感に押しつぶされそうな俺を他所に、おじいちゃんの話はどんどんヒートアップしていった。

 

『思えばおまえには、苦労をかけちまったな。何度も酷え事を言っちまった。なのにお前は、金がねえのによぉ〜、チェスの賞金で毎日欠かさず俺に“薬”を買って来て...』

 

「そ、そうだね〜」

 

 そうだったの!?

 

 ディオ・ブランドー、メチャメチャいい奴じゃん!聖人かよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 実際のところ、本物のディオ・ブランドーが毎日用意していた“薬”は、父親を徐々に弱らせて死に追い込む為の毒薬である。

 

 しかし、この世界に転生してきたばかりの偽ディオは、そんな事を知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディオさん、お父さんの事が大好きだったんだろうなぁ〜。自分で稼いだお金を全部、薬代に充てていたなんて。

 

 まあ、それも当然か。

 ディオさんにとっては、父親だけが唯一の家族だったみたいだし。

 

『ディオ、俺が死んだら...この手紙を出して、この宛名の人んとこへ行け!』

 

 かなり呼吸が辛そうになってきたおじいちゃんは、震える手で俺に一枚の手紙を差し出した。

 

「と、父さん?これは...?」

 

 俺は受け取った手紙を眺める。不思議と、そこに書かれている英語を解読する事ができた。

 

 そういや俺、外国人であるおじいちゃんとも普通に会話できてるしな。もしかして、これが唯一の転生特典!?

 

 どれどれ、手紙の宛名に書いてある名前は...

 

 ジョースター?

 

『ソイツなら、きっとお前の面倒を見てくれる。きっと、学校にも行かせてくれるだろう』

 

 マジっすか!?か、勝った!!!!!

 

 俺の異世界生活に希望が見えてきたぞ!

 

「でも、そのジョースターって人は、何でそこまで?もしかして、父さんに何か借りでも?」

 

『お、おう...』

 

 

 

 

 

 ディオの父、ダリオ・ブランドー。

 

 ジョナサンの父親、ジョージ・ジョースター。

 

 2人が出会ったのは、12年前の雨の日だった。

 

 実際のところは、馬車の事故で気絶したジョージが、自身から金品をせしめたダリオを、命の恩人だと勘違いしたというもの。

 

 何ならその勘違いも、後に全ての真相が判明する事となるのだが...

 

『じ、実はな、ディオ。俺ぁ、その貴族の命の恩人なんだ』

 

「え、そうなの!?」

 

 父親として、1人の男として、自身を想う息子()を前にダリオは見栄を張った。

 

 彼はどこまでも、自分のちっぽけなプライドに固執する男だったのだ。その辺りは、彼の“本物”の息子に受け継がれていたのかもしれない。

 

「その話、詳しく聞かせて欲しい!!」

 

『お、おうよ!最期に教えてやらぁ、この俺の武勇伝をなあ!!』

 

 彼が息子に語ったのは、ありもしない出鱈目な過去だった。

 

『ジョースター卿の馬車が崖下に転落しててな。死にかけてたソイツを、俺は命懸けで助けたってわけだぁ!』

 

「凄い!カッコいいよ父さん!!」

 

『へ、へへへッ、そうか?ま、まあ、紳士として、当然の事をしたまでよ!ハハハハッ!!』

 

 転生者である偽ディオはそれを信じ込み、その結果...

 

 

 

 

 

「俺はディオ・ブランドー!父、ダリオ・ブランドーのような、本当の紳士を目指している者だッ!!」

 

 その結果、ジョースター家の一人息子であるジョナサン・ジョースターの生活は、それまでよりも少しだけ、楽しいものになったとか、ならなかったとか。

 

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