俺はディオ!ジョジョの親友で、本当の紳士を目指す者さ! 作:バケギツネ
◇
俺はディオ・ブランドー!転生者であり、父・ダリオのような本当の紳士となる事を目指す男だ!!
この異世界で天涯孤独となってしまった俺は、かつて父・ダリオに命を助けられたという、ジョースター卿の家に転がり込む事となった。
そして彼の屋敷へと向かうその道中に、何やら男同士が喧嘩をしているのを発見!!スーツ姿の青年が、ガラの悪そうな不良2人に寄ってたかってフルボッコにされていたのだ。
本物の紳士を目指す者して、見過ごすわけにはいかない!!
シャン!!
俺は特に意味もなく大ジャンプをして、不良2人の前にその姿を表した。
「君たち、暴力はやめたまえ!!」
バァーーーン
良し、決まった!!
『おまえも見ねえ顔だな〜!?』
「俺の名は、ディオ・ブランドー!!本物の紳士を目指す男だ!!」
とりあえず、自己紹介はしておくとしよう!
『ディオ・ブランドー?知らねえなぁ!!』
『その澄ました面を、潰れたトマトみてえにグチャグチャにされねえうちに、とっとと失せやがれッ!』
「フフフフッ、そこまで言わなくてもいいじゃん...」
なんだこのゴロツキ達、やたらと口悪いな...
さて、咄嗟に飛び出してしまったものの、ここからどうしたものか。
俺の前世は、一般的な大学生。特殊な訓練なんてものを受けているわけでもないし、格闘技全般は疎か、まともに殴り合いの喧嘩をした事すら無い。
ハッキリ言おう。俺は貧弱貧弱ゥ!!なのだ。
ディオさんの
『ヘッ、なんだお前。黙りこくってぇ!!』
『俺たちにビビってんのか!?』
「フフフフッ、はい!!」
そんなんビビってるに決まってんだろ!
だが、本当の紳士を目指すものとして、苦しんでいる人がいるのに見てみぬふりをすることはできない!!
ゴロツキ達の足元を見ると、奴らに乱暴されたと思われる身なりのいい青年が、苦しそうに蹲っていた。その少し離れたところには、人形を抱えた金髪の女の子が心配そうにこちらの様子を伺っている。
この2人を、必ず助け出してみせるッ!!
それは父・ダリオや本物のディオさんのような、聖人へと近づく為の長い道のり、それを踏みしめる大切な一歩であり、頼るところの無かった俺を家族として迎え入れてくれるジョースター卿、彼への期待に応えるための行為でもある。
「お前たち、よく聞け。」
呼吸を乱す恐怖を、俺は息ごと飲み込んだ。そのまま、目の前に立ち塞がるゴロツキ達に不慣れながらも搾り出した罵声を浴びせるッ!!
「バーカ。」
『『........は?』』
奴らがキョトンとしているうちに、振り返ってダッシュ!!逃げるんだよォ!!!
『あ、あの野郎!!』
『待ちやがれッ!!!』
ゴロツキ達は怒り狂いながら、俺のことをまんまと追いかけてくる。俺が奴らを引きつけている間に、襲われていたスーツの青年や女の子は、無事に逃げ切る事ができる筈だ!!
戦って勝てないのなら、戦わずして勝てばいい!!
「ハッハァァ!!かかったなゴロツキども!!これぞ我が逃走経路!!バーカバーカ!!」
奴らの注意が俺だけに向くように、ゴロツキ共には罵声を浴びせ続けておくとしよう。
『あの野郎ぉ、舐めやがってぇ!!!』
『後悔ッ、させてやるッ!!』
怒りに顔を歪ませながら、俺を必死に追いかけてくるゴロツキ達。だが俺は、逃げ足に関しては前世から自信があるのだ。そう簡単に捕まったりは...
『てめえッ、ちょこまかと逃げやがって!!』
『“男らしく”、正面から戦いやがれッ!!』
「!!!」
“男らしく”、その言葉に思わず反応してしまう。人を助けるためとはいえ、相手を罵り、背を向け、逃げる。
今の俺のやり方は、紳士としてはアウト寄りなのではッ!?
そんな考えが、頭をよぎってしまう。
「うぉっ!!」
集中が一瞬途切れた俺は、僅かに地面から迫り上がっていたレンガ塀の跡に足を取られて、盛大にずっこけてしまった。
『ヘッ、間抜けがッ!!』
『俺たちは相当アタマにきてるんだぜッ!!ちーっと殴ったくらいじゃあ、気が済まねえなぁッ!!』
俺に追いついたゴロつき達は、倒れていた俺の胸ぐらを掴んで無理やり立ち上がらせてくる。
『お前ッ、いい服着てやがるなあ!!どっかのボンボンかぁ!?』
『お高くとまりやがってよぉ〜!!思い知りなッ!!』
ゴロツキの1人に顔を殴り飛ばされる。口の中をしょっぱくしながら倒れ込んだ俺は奴らの足に踏みつけられた。
ディオさんとダリオさんの家に唯一残っていた上等な服、今日のために引っ張り出した彼らの形見ともいえる一張羅に、奴らの靴跡が刻まれていく。
「やめ....ろ......!!」
『やめて“ください”だろうがぁ!!』
『ボンボンのくせにぃ、敬語も使えねえのかよぉ!!』
抵抗しようにも、奴らに暴力では敵わない。何度も蹴られた身体が悲鳴を上げ始める。
カッコよく人助けのつもりだったが、なかなか上手くいかないものだな。本物のディオさんだったら、もっとスマートに解決できたんだろうか?
俺が、不甲斐ないばっかりに!
『なんだコイツぅ、口ほどにも無い野郎だぜ!!』
『きっと“ブランドー家”ってのも、全員コイツみたいな腰抜けの一族なんだろうなぁ!!』
「っ...!!!」
俺のことをいくら罵ろうがッ、殴ろうがッ、それは構わない。争いごとに首を突っ込んだ以上、そうなる“覚悟”はできているッ!!
だが、俺の尊敬する人まで侮辱されるのは、どうも看過できないッ!!!
「撤回しろ!!!!我が父ダリオもッ、本物のディオさんもッ、気高い信念を持った立派な人達なんだ!!腰抜けなんかじゃあ無いッ!!!!」
『なんだコイツッ、急にキレやがった!!』
『ワケ分からねえこと言いやがってぇ!!そのクセー口を閉じなッ!!』
鼻血を垂れ流しながらも、震える足で立ち上がった俺の眼前に、ゴロツキ達のゴツゴツした拳が迫ってくる。
「っ...!!!」
反射的に目を瞑る俺だったが、いつまで経っても殴られた痛みがやってくることはなかった。
「...............え?ん、誰............?」
恐る恐る目を開けた俺は、目撃してしまう。俺を庇うように立ち塞がり、ゴロツキ達の拳をあっさりと受け止めていた、
“金色の人型モンスター”を。
「え、えーっと、どちら様でしょうか?」
【...................】
俺が声をかけても、人型モンスターは返事をしてくれない。
「あ、あの、聞こえてます.........?」
【........................】
「誰なのぉ!?怖いよお!!!!!」