俺はディオ!ジョジョの親友で、本当の紳士を目指す者さ! 作:バケギツネ
◇
俺はディオ!!
転生者であり、父・ダリオのような本当の紳士となる事を目指す男だ!!
さてさて。前回までのあらすじ!!
今日から俺を引き取ってくれる事になっている、スーパー・太っ腹・聖人・大貴族のジョースター卿。その1人息子である爽やかイケメン、ジョジョとお友達になりました!!
このジョジョも、父親に負けず劣らずの聖人で、この世界に転生してきたという俺の話を、秒で信じてくれたのだ!
凄くね!?普通なら頭おかしい奴認定されてもおかしくないというのに!おかげでサクサクと情報の共有ができたぜ!!
彼となら、この作品のメインヴィランと思われる、俺に取り憑いている悪霊。あの金ピカ人型モンスターも、ぶっ倒せるはずだ!!
次会った時は、覚悟しとけよ!あの悪霊め!!
多分だが、俺が転生したこの作品の原作は、ファンタジー系バトル漫画なのだろう。で、そこでも本物ディオさんとジョジョは、一心“同体”のパートナーだったんだろうな〜!
俺たちも、そんな感じで頑張っていきたい!
とりあえず今日から、修行というかトレーニングというか、そういうのを始めてみるか!
今の貧弱貧弱ゥ!!な俺では、まるで戦えそうにないし。ジョジョに置いていかれるのも嫌だしな。
『ディオ、もうすぐ着くよ。アレが僕たちの家、ジョースター邸さ!』
さてさて。
ジョースター家の執事である爺やさん。彼が運転する立派な馬車に乗り、俺とジョジョは新たなマイホームへと向かっていた。
ジョジョは馬車の窓から、お城みてーなクソデカい建物を、今日から俺が暮らす事になる、邸宅を指差す。
「お、おお!やっべえ、やっぱチビりそう...」
『緊張する事はないさ。普段通りに過ごしてくれれば良い!今日からキミも、あそこの人間なんだから!』
「そ、そうだな!!」
異次元の大豪邸を前にド緊張し、身体をバイブさせている俺を、ジョジョは優しくフォローしてくれる。
キャッ、イケメン!
ジョジョのおかげで気持ちが少し楽になった!彼と一緒なら、新しい生活もきっと楽しいものになるはずだ!リラックスしていこう!!
『ほら、着いた!運転ありがとう、爺や!!』
「あ、ありがとうございました!!」
ジョジョは爺やさんにしっかりとお礼を言うと、先に馬車から降りて俺に手を差し出してくる。
『ほら、ディオ。気を付けて!』
「ああ。」
この世界での初めての友達、ジョジョ。
彼こそまさに、本当の紳士だ。人を思いやる真っ直ぐな心を持って、分け隔てなく人と接している。この作品の主人公であるはずの俺より、よっぽどヒーロー気質だよな〜。
きっと原作でも、ジョジョは主役を差し置いて人気投票でトップを取るような、人気の相棒キャラだったんだろう。
なんせ彼の精神性は、我が父・ダリオや、本物のディオさんと同レベル!!!
《褒めています。偽ディオに悪気はないのです。》
俺の憧れの人物が、また1人増えたな。友達として、その紳士っぷりを近くで見習わせて貰おう!
『そうだ、ディオ。キミに紹介したいヤツがいるんだ!きっと、すぐに仲良くなれると思う!!』
紹介したいヤツ?誰だれ?
ジョジョは俺の後ろに視線を向けると、笑顔で手招きをする。
『ダニィーーー!こっちだ、おいでーー!!』
彼の呼んだ生き物は、四足歩行で元気にトットコ走ってくる。
あ、アレはッ!!!!!
『この子は僕の愛犬でね、ダニーってんだ。利口な猟犬だから、人を噛んだりはしない...』
「ぎゃあああああああ!!犬ううううう!!!」
『ディオ......?』
頭を丸めてその場にうずくまり、ガタガタと震える俺を、ジョジョは怪訝な表情で見つめる。
やめてぇ!そんな目で見ないでぇ!!
『もしかしてキミ、犬が苦手...』
「いや違う!!怖いんじゃあないぞ!!昔野良犬に思いっきし噛まれたのがトラウマになっているとか、そんなんじゃああない!!いいか!?決して怖いんじゃあないぞ!!」
憧れのジョジョの前で、カッコ悪い姿を見せたくない!犬がこれから何をしようと、俺は決してビビってはならん!勇気を見せろ!!
顔に血管が浮き出る程の引き攣った笑顔を浮かべながら、ビームが出そうな程に目を血走らせた俺は、ダニーを呼び寄せた。
「ほ、ほら、こっちおいで〜。怖くないよ〜!怖くない〜、怖くない怖くない、怖くないよぉッ!!!!」
『ディオ、怖いって。』
ダニーは俺を一瞥すると、此方に突撃してくる。俺は震える手で、その小さな身体をホールドした。俺の振動が伝わって、ダニーの身体もブルブルと揺さぶれる。
か、かかかかかかかかったな!アホが!!
こうして抱きかかえてしまえば、この犬っころの生殺与奪の権は俺が握ったようなもの!(混乱)
ダニーとかいうヤツ!このディオが、おまえを地獄の淵に沈めてやる!!(大混乱)
『なあディオ、あまり無茶しない方が...』
「だ、大丈夫だ!!!!!問題ない!!!!」
これは試練だッ!!
過去の悲劇に打ち勝てという試練と、俺は受け取ったッ!!人間の成長とは、勇気を出して未熟な過去に打ち勝つ事ッ!!
「ほ、ほら。ち、近くで見ると、結構可愛い顔してるじゃないか!こんなの、全然平気...」
次の瞬間、ダニーの舌が俺の顔をペロペロと舐め始めた。
「
『ディ、ディオーーーーーーーーッ!!』
この生暖かさッ!独特の匂いッ!!あの日と同じ、犬の唾液ッッ!!!!!!
マズイ、散滅してしまう!!!!!
余りの恐怖にダニーを離し、失神しかけて倒れる俺。その身体は、逞しい腕によるお姫様抱っこで支えられた。
「あ、すまない。ありがとう、ジョジョ!!」
『い、いや、僕は何も...それよりディオ、キミの身体が宙に浮いて...』
「え?」
じゃあ、俺を抱きかかえるこの力強い腕は一体...俺はその正体を薄々察しつつも、恐る恐る上を見上げる。
【.............】
そこには、俺の身体をガッシリと掴んで離さない、金色の悪霊。その仏頂面があった。
「
『ま、まさか出たのか!?悪霊が!?ど、どこにいるんだ!?』
ジョナサンには、この悪霊の姿が見えないらしい。メインキャラの彼ならワンチャン見えるかもと思ったんだが、やはり俺にしか見えないのか!?
全く、最悪な主人公補正だな!!!
「クッソ、離せ!消えろ!!って、うぎゃっ!!」
無我夢中でジタバタしていると、悪霊は煙のようにその姿を霧散させる。全く何なんだ、アイツは!?
尻餅をついたままの状態で、俺は考える。
あの時と同じだな。あの悪霊は、アホみたいなパワーを持っているくせに、消える時はマジであっさりと消える。何か、弱点でもあるのか?
そういえば前も、
「離せーー、悪霊!!その薄汚い手で、気安く触るなよマヌケーーー!!尻尾を巻いて、とっとと失せろーーー!!」
俺が罵声を浴びせた瞬間に、あの悪霊は消えていた。まさかアイツ、悪口に弱いのか!?
よし、分かったぞ!奴の弱点、それはメンタルだったのだ!!
今度現れた時は、思いつく限りの罵声を浴びせてやろう!!
『ディオ、大丈夫かい!?悪霊の奴は...』
「あ、それは平気だ。もう消えた。」
『...そうか、それならひとまず安心だ。』
わけが分からない様子でその場をウロウロしていたダニー。一息ついたジョジョは、その子を抱えあげる。ひとまず危機は去った筈なのに、彼の表情はどこか暗いものだった。
さて、ここで問題だ!今のジョジョにどうやって接する?
3択―ひとつだけ選びなさい
答え①
ハンサムのディオは、気の利いたジョークを挟んで場を和ませる。
答え②
通りすがりの陽キャが、ジョジョを励まして去っていく。
答え③
直接聞く。
やはり答えは……………①しかねえようだ!
「この俺とかけまして、ルイ・ヴィトンのバッグと、ときます。その心は、どちらもブランド(ー)物(者)でしょう。」
『???』
「.......................」
『......................』
「......で、どうしたんだ?暗い顔して。」
答え...③
答え③
答え③
『いや、すまない。助けになると大見得を切ったくせに、キミのいう悪霊を前にして、僕は何もできなかったと思ってね...』
「ちょ、そんな事を気にしてたのか!?」
良い良い、そんなの気にしないでも!いくら何でもいい奴がすぎるぞ、ジョジョ!!
「こっちが一方的に巻き込んでしまっただけだろう!?ジョジョが気負う必要なんてどこにもない!それに、こうして友達でいてくれているだけで、俺がどれだけ助かってるか!!」
実際、ジョジョというズッ友ができた事で、俺は大いに救われている。
この先、どんなインフレが待っていようとも、彼と一緒なら何やかんやで着いていける、そんな希望を持てるようになったのだ。
『ありがとう、ディオ。でも、やっぱり少しは気負わせてくれ。僕だって、友達を守りたいんだ!』
「ジョジョ...こちらこそ、ありがとな!!」
本当に俺は、この異世界で人に恵まれたな。
『たとえ世界中がキミを疑っても、僕だけはキミを信じ抜いてみせるッ!!ジョースター家の名誉にかけてッ、誓ってもいいッ!!』
俺の全てを受け入れて、心から信じてくれる、親友・ジョジョ。
『ジョースター卿は、貴方をジョナサン坊ちゃんと同様に扱うよう、使用人達に徹底しております。』
紳士として受けた恩に報いる為に、赤の他人であるはずの俺を家族に迎えてくれた、誇り高き紳士・ジョースター卿。
『いいか、ディオ。お前は頭がいいっ!誰にも負けねえ、世界で一番の金持ちになれよ!!』
命懸けで他人を助けられるだけの勇気を持ち、命を終えるその瞬間まで、息子の事を思っていた偉大な父・ダリオ。
(*セリフは偽ディオのイメージです。)
『父さんは、カッコよくて優しくて、最期まで家族を愛してくれた最高の紳士だ!彼と同じ血がこの身体に流れている事を、俺は誇りに思う!!』
貧乏な中、大好きなお父さんの為に毎日欠かさずお薬を用意していたイケメン好青年・本物ディオさん。
『ワン、ワン!ワン!!ハッ、ハッ、ハッ、ハッ!!』
先程から俺の肩に飛び乗り、その顔を舐め回しているダニー...
「
『ディ、ディオーーーーーッ!!!!!!』
その日の俺の絶叫は、街中に響き渡ったのだった。
◆
“ジョジョの奇妙な冒険”の悪役、ディオ・ブランドーに転生した現代人。
ディオの父、ダリオ・ブランドーが死んだ今、偽物である彼と本物のディオとのギャップを知るものは、誰もいない。
そのはずだった。
『バカな、そんなはずはない...!あんな腑抜けが、“この世界”のディオ・ブランドーだと...!?』
闇の中に、偽ディオの異常さを知る人間が、1人。