ガールズ&パンツァー 少年の女子高戦車生活   作:ダオダオ

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捜索

 

「何で自動販売機にはマテ茶がないんだ」

 

少年はそんなことを言いながら、自動販売機で水を買って飲んでいた 因みに今は戦車道履修登録者全員(生徒会を除く)が戦車の捜索をしていた そして少年はとりあえず誰の探さなそうな校内の駐車場を探すことにして、喉が渇いたので休憩がてらベンチで水を飲むことにした

 

「さすがにこんな簡単には見つからないか」

 

立ち上がろうとしたその時、「あ、あのー」と背後から声が掛かった 振り返ると、息を切らせた秋山が駆け寄ってくる

 

「あー 秋山さん 戦車は見つかったか」

 

「あっ いえまだ見つかっておりません ジョン殿はここで何を」

 

「少し休憩中 灯台下暗しと思ってこの辺りを探してみたがあては外れたようた」

 

「やはりそう簡単には見つかりませんね 他の方々は」

 

「生徒会に聞いたところ、歴女チームは池のあたり、バレーボールチームは崖の中腹あたり、一年生たちは図書館で資料を集めているそうだ」

 

「そっ、それで西住殿はどちらに」

 

秋山は前のめりになって尋ねた

 

「いや、聞いていないが… 西住さんを知っているのか」

 

「はい 勿論です 西住殿は戦車道をやるものの中では憧れですから 勝利よりも仲間のことを思いやる姿には感動しました」

 

去年の全国大会での西住の行動は、多くの生徒の心を掴んでいたようだ

 

「そうだな なら… いたな」

 

少年が西住たちを探そうと視線を彷徨わせると、少し離れた場所に彼女たちの姿が見えた

向こうもこちらに気づいたようで、手を振りながら近づいてくる

 

「ジョン君 戦車は見つかった?」

 

そう言いながら、西住が少年に話しかけてきた

 

「いや、まだ見つかっていないが まさか君らもこのあたりを探していたのか」

 

「そうだよ だって戦車も車なんだから駐車場にあると思うでしょ?」

 

「………」

 

発想は突飛だが、結論は少年と同じだったことに少年は愕然とした

 

「それでジョンさん あちらの方は?」

 

五十鈴に促され後ろを振り返ると、秋山は少し距離を置いて所在なさげに立っていた やはり内気な性格なのだろう

 

「あっ あの よければ私たちと戦車を探しませんか?」

 

少年が秋山を呼ぼうとするよりも早く、西住が声をかけた 普段のおとなしい西住からは想像もできない積極的な行動に、少年は一瞬驚いた

 

「あっ はい こちらこそよろしくお願いします 私2年c組秋山由香里です」

 

「私、武部沙織 よろしくね!」

 

「五十鈴華です よろしくお願いします」

 

「あっ 私は…」

 

「はい 存じ上げいます西住みほ殿ですね よろしくお願いします 西住殿 武部殿 五十鈴殿」

 

「…自己紹介は済んだようだな それで次はどのあたりを探すんだ?」

 

「うーん やっぱりあの森かな 何とかを隠すなら森の中っていうじゃない?」

 

「木ですよ 沙織さん」

 

「…他に探すところも代案もなさそうだな」

 

そう言い、五人は森の中へと足を踏み入れた

 

 

 

 

「なんか、花の匂いに混じって、ほんのりと鉄と油の匂いが…」

 

森に入ってしばらくすると、五十鈴がそう呟いた

 

「花の匂いって 花道をやっていると嗅覚も敏感になるのか?」

 

「いえ、わたくしだけかもしれませんけど……」

 

少年も五感には自信があったが、鉄や油の匂いは全く感じ取れなかった 他に手がかりもないため、彼女の言葉を頼りに進むことにした

 

「…ここは風下だから こっちの方角だな」

 

少年はそう言って、北西の方角を指し示した

 

「それではその場所に向かってパンツァー、フォー!」

 

「パンツのアホっ!」

 

秋山の言葉に、武部は間髪入れずに突っ込んだ

 

「違う、パンツァーフォー 確かドイツ語で戦車……」

 

「『戦車前進』って意味だよ ジョン君」

 

「…そう そうだった」

 

失念していた少年に、西住がさりげなくフォローを入れる 少年が思い出したような素振りを見せると、他の四人は呆れたような視線を送ってきた

 

「まあ、とりあえず風上に向かおう パンツァーフォー」

 

少年は誤魔化すように言い、先頭に立って歩き出した。彼女たちもそれに続く

 

しばらく森の中を進むと、茂みの奥に黒い塊が見えてきた 近づいて確認すると、それは間違いなく戦車だった

 

(まさか本当にあったとは)

 

少年は半信半疑だったが、五十鈴の言った通り風上にあったことに改めて驚かされた

 

「これは……」

 

「38tのC型軽戦車」

 

五十鈴の問いに、西住が即座に答えた

 

「なんかさっきのより小っちゃい……それに傷だらけでポツポツしてるし」

 

「そ、そんなことないです! 小さい戦車ですがこれはすごい戦車なんですよ! 38tはロンメル将軍が……」

 

秋山は嬉しそうに38tに頬ずりしながら、熱弁を始めた 彼女の戦車への愛情は相当なものらしい 

「あ!因みにですけど、38tの『t』というのは、『チェコスロバキア製』という意味であって、重さの意味ではないんですよ! ……はっ!」

 

熱中して語っていた秋山は、ふと我に返ったように口を噤んだ

 

「今、生き生きしてたよ」

 

「……すいません……」

 

秋山は顔を赤らめて謝った

 

「まあそれはいいとして …ほら」

 

そう言って、少年は秋山にハンカチを差し出した

 

「えっ はっ」

 

戸惑う秋山に、少年は自分の頬を指で示した 彼女はすぐに意味を理解したようだ

 

「あっ ありがとうございます」

 

秋山は遠慮がちにハンカチを受け取り、頬についた汚れを丁寧に拭き取った

 

「ありがとうございました こちらは洗って返しますので…」

 

「別に構わない 帰って洗濯するだけだからな」

 

少年はそう言って、ハンカチを受け取りポケットにしまった

 

「「「……」」」

 

他の三人はそのやり取りを複雑そうな表情で見守っていたが、少年は全く気付くことなく戦車に近づき、ハッチを開けようとした しかし、長年放置されていたためか、ハッチは固く錆び付いていて簡単には開かなかった

 

「ジョン君手伝うよ」

 

いつの間にか、西住が手慣れた様子で戦車に上がってきていた

 

「いや、俺一人で十分だと」

 

二人で力を合わせればすぐに開くだろうが、それは少年のプライドが許さなかった

 

「でも…」

 

「まあ見てな」

 

少年はそう言い、懐からフラスクボトルを取り出した 蓋を開け、中に入った見慣れない液体を一口飲むと、再びハッチに手を掛け、深く息を吸い込んだ

 

「いっせーのーせ!」

 

掛け声と共に力を込めると、バキッという音と共にハッチが僅かに動いた 

 

「もういっちょ!」

 

もう一度力を入れると、ついにハッチは重い音を立てて開いた

 

「ふぅ〜」

 

少年は額の汗を拭い、ハッチから手を離した。 

 

「すごい!」

 

「まぁな」

 

「流石です!」

 

「まあざっとこんなもんだ」

 

彼女たちに褒められ、少年は少し得意げになった

 

「えっと…ジョン君これ何が入ってるの?」

 

西住は興味深そうに少年のフラスクボトルを手に取り、中身について尋ねた

 

「さあ 成分はよくわからないが、何でも飲めば体力、気力、スタミナ、ありとあらゆる症状が回復し、体が活性化するらしい」

 

「……大丈夫なの?」

 

「ああ、世界各国で認可されているもので作られている 何も問題はない」

 

少年はそう言いながら、返してもらったフラスクボトルを懐にしまった

 

「さてと… …やっぱりな」

 

そう呟きながら戦車の中を覗き込むと、むっとするような強烈な臭いが鼻をついた それは以前、建物の中で見たIV号戦車の比ではなかった。長年雨風に晒され、放置されていた戦車と、屋内に保管されていた戦車との状態の差は歴然としていた

 

「どうだった?」

 

「ひどいもんだ 20年間放置されてただけのことはある まあ見たところ破損した形跡はなかったから、清掃して整備すれば問題ないとは思うが…」

 

「動くんですね ジョン殿!」

 

秋山は目を輝かせた

 

「ああ とりあえず生徒会に連絡しよう 残りの3両も見つかっているかもしれないからな」

 

そして五人は、発見した38t戦車と共に戦車倉庫へと戻った

 

戦車倉庫に戻ると、他の生徒たちもそれぞれ発見した戦車と共に集まっていた

 

「…意外と早く見つかったんだな」

 

少年がそう呟くと、生徒会らしき人物が声をかけてきた

 

「ああ、ご苦労であった」

 

発見された戦車の場所について報告をすることになった

 

「それで戦車はどの位置にあったの?」

 

小山が地図を取り出し、戦車の発見した位置を尋ねた

 

「裏の森の中だ 位置はここだ 残りの戦車はどこに?」

 

少年は発見した戦車の位置の地図にマークして他の戦車があった場所を尋ねた

 

「崖の中腹に一両、池の底に沈んでいたのが一両、ウサギ小屋にあったのが一両だ」

 

(冗談だろ?)

 

戦車が池に沈んでいたというのはまだ理解できるが、なぜ崖の中腹やウサギ小屋に戦車が置かれていたのか、少年の常識では到底理解できなかった

 

「今、自動車部が回収を行なっている 貴様も森の中にあった戦車の回収を頼む」

 

「了解 俺は森の中にあった戦車を回収してくる」

 

少年はそう言い残し、再び森へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで全部だな」

 

少年は、戦車倉庫の前に整然と並べられた五両の戦車を見渡しながらそう呟いた 見つかったのは、八九式中戦車甲型、38t軽戦車、M3中戦車リー、三号突撃砲F型、そしてⅣ号中戦車Ⅾ型だった

 

「がっちりしてますねぇ!」

 

バレーボール部の面々は、八九式中戦車を興味深そうに眺めている

 

「いいアタック出来そうです!」

 

一方、歴女チームは三号突撃砲の周りに集まっていた

 

「砲塔が回らないな」

 

「象みたいぜよ」

 

「ぱおーん」

 

「たわけ!Ⅲ突は冬戦争でロシアの猛攻を打ち返した凄い戦車なのだ!!フィンランド人に謝りなさい!」

 

「「「すいませんでした!」」」

 

彼女たちは北欧の方角に向かって深々と頭を下げた。そもそもこの船の現在地を彼女たちが正確に理解しているのかは疑問だった それに、少年の知る歴史では、三号突撃砲がフィンランドで活躍したのは冬戦争ではなく、その後の継続戦争だったはずだが、それぞれの歴史認識があるのだろうと、あえて口には出さなかった

 

一年生たちは、二つの砲塔を持つM3リーを珍しそうに見上げていた

 

「大砲が二つ付いてる!」

 

「大きくて強そう…」

 

彼女たちの言う通り、M3リーの最大の特徴は、車体前部に固定された75mm砲と、砲塔に搭載された37mm砲だった

 

どうやら、それぞれのチームが見つけた戦車に愛着を持ち始めているようだった

 

「どう振り分けますか 会長?」

 

川嶋が、会長に問いかけた

 

「見つけたチームが見つけた戦車に乗ればいいんじゃない?」

 

「…そんな適当でいいんですか?」

 

小山が会長の適当さに呆れながら言った

 

「俺もそれに賛成だ 適性などを判断するのは難しい それなら各自見つけた戦車に乗るといいだろう 見つけなのも何かの縁かも知れないからな」

 

少年もその意見に賛成だった

 

「決まりだね それで私たちはIV号と38どっちに乗ればいいの?」

 

会長が尋ねると、少年は資料を確認しながら答えた

 

「38tで頼む 資料によるとIV号戦車は5人、38tは4人必要らしい」

 

「りょーかい!」

 

「でもそれでも1人足りないけど…」

 

小山が指摘する

 

「そこはカバーするしかないだろう」

 

少年は有無を言わせぬ口調で言った

 

「つまりチームの振り分けはこれで問題ないな?」

 

こうして、大洗女子学園の戦車道チームの最初のチーム分けが決定した

 

【Aチーム、Ⅳ号戦車】

西住 みほ

武部 沙織

五十鈴 華

秋山 優花里

 

【Bチーム、八九式中戦車】

磯辺 典子

近藤 妙子

河西 忍

佐々木 あけび

 

【Cチーム、Ⅲ号突撃砲】

カエサル

エルヴィン

左衛門佐

おりょう

 

【Dチーム、M3リー中戦車】

澤 梓

山郷 あゆみ

丸山 紗季

阪口 桂利奈

宇津木 優季

大野 あや

 

【Eチーム、38(t)戦車】

角谷 杏

小山 柚子

河嶋 桃

 

とりあえず、大洗女子学園の戦車道チームが、ここに結成されたのだった

 

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