ガールズ&パンツァー 少年の女子高戦車生活   作:ダオダオ

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戦車搭乗

 

(まあ何とか間に合うだろう)

 

少年は普段より少し出るのが遅れてしまったため、徒歩ではなくバイクで登校していた 徒歩なら数十分かかる道のりだが、バイクであれば数分で着くので、それほど焦ってはいなかった

 

「…ん」

 

その登校中、少年は西住が大洗の生徒に肩を貸して登校しているのを目撃した

 

「…何があったのか…」

 

少年はバイクを止めて西住に声をかけた

 

「あ… ジョン君 この人、具合が悪そうで」

 

少年は西住が肩を貸している人物を確認すると、それはよく授業をサボる冷泉麻子という生徒であった

 

「…ツラい」

 

冷泉は辛そうにそう言った 確かに彼女の顔を見ると青ざめており、健康的には見えなかった

 

「相変わらず朝に弱いな 前世は吸血鬼だったのか」

 

「…うるさい」

 

「ジョン君、この人と知り合いなの?」

 

少年と冷泉のやり取りを見て気になったのか、西住が少年に尋ねた

 

「多少な それより後数分で遅刻になるぞ、西住さん」

 

「えっ、もうそんな時間?」

 

西住は自身の携帯を見て時間を確認した

 

「…渡りに船だ」

 

そう言うと、冷泉は少年のバイクに跨り、少年にしがみついてきた

 

「…何やってんだ」

 

少年は呆れながら質問した

 

「早くいけ 遅刻してしまうぞ」

 

どうやら冷泉はこのまま学校に向かうようだ

 

「…西住さん、…乗るか?」

 

「えっ?」

 

「どのみち今からでは走っても間に合わないと思うぞ」

 

「でも3人乗りは…」

 

「心配するな。ここは船の上だ 道路交通法は適応されない」

 

少年がそう言うと、西住もバイクに跨り、前の冷泉につかまった。そして少年は2人を乗せ、学校に登校するのであった

 

「うわぁっ!」

 

「ふぅー、間に合ったな」

 

キーンコーンカーンコーン

 

少年がチャイムが鳴る直前にバイクを運転したまま校門に入った

 

「ほら、着いたぞ」

 

少年はバイクを停めて2人を下ろした

 

「ご苦労」

 

「あっ、ありがとう」

 

そう言いながら2人はバイクを降りた

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

そう言って来たのは、先程悲鳴を上げた風紀委員の園みどり子であった

 

「何だ、そんなに荒げて」

 

「あなた、学校にバイクで来ていいと思ってるの? それに二人乗りはともかく、3人乗りで、しかもヘルメットを被らないなんて、風紀違反にも程があるわ!」

 

「バイク登校に関しては生徒会に許可を貰っている あとの二つに至っては風紀は関係ないと思うが」

 

「別の関係があると思うけど」

 

二人のやり取りを見て西住はそう呟いた

 

「とにかく、風紀違反で拘束よ! 行くわよ、みんな!」

 

彼女の合図でどこからか大量の風紀委員が現れ、少年を拘束しようとした

 

「…捕まったら面倒だな… 2人とも急げよ」

 

少年は西住と冷泉にそのように言い残し、バイクのスロットルを回し、風紀委員から避難するのであった

 

「…悪かったな」

 

「えっ、いや、お礼ならジョン君に…」

 

「いや、途中まで運んでくれただろ この借りは、いつか必ず返す」

 

そう言い、2人はそれぞれの教室に向かうのであった

 

 

 

 

 

 

午前の授業が終わり、午後に成り、戦車道履修生達は戦車格納庫に集合して教官の到着を待っていた

 

「遅いから心配しました」

 

「そうですね。ジョンさんはともかく、西住さんが遅刻をするなんて 何かあったんですか?」

 

「何で俺は前提なんだ それに遅刻はしていないぞ」

 

「あはは、ちょっと寝過ごして出るのが遅くなったのと、人助けをしていて」

 

「教官遅〜い 焦らすなんて大人のテクニックだよね」

 

そんなことを言いながら時間を潰していると、空からジェットエンジンの独特の轟音が聞こえて来た 上空を見上げると、航空自衛隊のC-2改がこちらに接近して来た。 C-2改は着陸するわけではなく、低空飛行を開始し、後部のハッチを開けて、そこから陸上自衛隊の10式戦車を空挺降下して来た 着地した10式戦車は、駐車場に停めてあった赤い車に激突し、赤い車はそのまま吹っ飛ばされた

 

「学園長の車が!」

 

「あ〜、やっちゃったね〜」

 

「…次のレース大会、自動車部との一騎打ちか(勝っても特典は着くのか)」

 

小山さんは驚いていたが、会長はいつも通り干し芋を食べながら軽そうにそう言った。  少年に至っては、次のレースの特典のことを考えていた

 

10式は方向転換し、こちらに前進して来た 尚、方向転換した際に学園長の車は踏み潰されてしまった

 

「…あれじゃ再起不能だな」

 

少年は踏み潰された学園長の車を見ながらそう呟いた

 

10式戦車はこっちに向かって来て停車し、戦車のハッチを上げた ハッチから自衛隊員と思われる女性が姿を現した

 

「こんにちは!」

 

その女性隊員は大洗の生徒に元気よく挨拶をしてくれた しかし、みんな目の前の出来事に呆気に取られてしまっていた

 

「特別講師の戦車教導隊、蝶野亜美教官だ」

 

「みんなー、よろしくね!」

 

「騙された」

 

武部は不満そうに頬を膨らませながらそう言った 会長からはかっこいい教官が来ると言われていたので、男が来ると思っていたのだろう

 

「お気の毒に」

 

少年はさりげないフォローをした

 

「でも、素敵そうな方ですよね」

 

五十鈴の言う通り、服などには一切の乱れがなく、立ち振る舞いなどの動作一つとっても機敏でカッコよかった 会長の言ったことに嘘はなかった

 

「戦車道は始めての人が多いと聞きますが、一緒に頑張って行きましょうね」

 

(正確には1人を除いては全員初心者だがな)

 

「…おや、西住師範の娘さんじゃないですか 師範にはお世話になってるんです お姉さんも元気?」

 

教官は生徒を見渡していると西住に気づいて西住に話しかけた

 

「あ…はい」

 

西住はなるべく目立たないように振る舞っていたが見つかってしまい、顔を俯向かせる

 

「西住…師範?」

 

「有名なの?」

 

教官と西住のやり取りを見た他の戦車道メンバーが疑問に思ったようだ 他のメンバーからすれば、西住が戦車道の経験者であったことも聞かされていなかったので当然の反応である

 

「西住流は戦車道の中でも由緒ある流派なんですよ」

 

教官は西住流について他の生徒に説明した 説明を聞いた生徒はそれを聞いて西住を評価した しかし、少なくとも今の状況はあまり良くないようなので、何か話題を変える必要があるようだ

 

「教官、戦車道の教官ってモテるんですか?」

 

武部の雰囲気を察したのか、少年が質問する前に話題を変えるようにそう質問した

 

「モテる、というより…、狙った獲物を外した事はないわ。撃破率は120%」

 

(その20%はどこから出てきたんだ?)

 

「それで教官、今日はどのような訓練を行うのですか?」

 

次に秋山が質問する どうやら秋山は今すぐにでも戦車の訓練を受けたいようだ

 

「本日は本格戦闘の練習試合、さっそくやってみましょう!」

 

「は…」

 

少年は予想外の答えが返って来たので間抜けな声を出してしまった

 

「い、いきなり実戦ですか?」

 

どうやら少年以外の生徒も同じ気持ちだったようだ

 

「何事も実戦あるのみよ。大丈夫、戦車なんてバーッと動かして、ダーッと操作して、ダンッと撃てばいいんだから!」

 

教官は何ともアバウトに答えた どうやらこの教官は口などで説明するタイプではなく、実践で学ばせるタイプのようだ

 

「それじゃあ早速戦車を動かして、各々地図の印の所まで向かってちょうだい」

 

教官の号令に生徒達は戦車倉庫に向かった

 

「ジョン君ね 久しぶり」

 

「…はい」

 

少年は戦車には乗らないので見学しようと高台に移動しようとしたら教官に呼び止められた それにどうやら教官は少年を知っているようだ

 

「どこかで会ったことが…」

 

しかし、少年には教官との面識はないようだ

 

「ええ、6年前よ 島田師範のお嬢様を打ち破った子でしょ?」

 

どうやらあの試合を知っているようだ

 

「いや、アレは新聞の見出し通り『謎の少女』が勝ったんだ 俺とは無関係だ」

 

少年はその場を凌ごうと新聞のことを話に出した

 

「いえ、あなたでしょ 私の目が誤魔化せないわ」

 

「……」

 

どうやら教官には通用しなかったようだ

 

「…仮に俺がそれだとして何か?」

 

「あなたはやらないの? 戦車道」

 

「…男は出れないはずだが」

 

「公式試合はね それはあなたも知っているでしょう」

 

おそらく6年前のエキシビジョンマッチのことを言っているのだろう

 

「つまり練習などは問題ないから、俺も戦車に乗れと?」

 

「察しが良くて助かるわ。さあ、早く早く!」

 

そう言われながら少年も戦車倉庫に向かった

 

戦車倉庫に入るとまだ誰も搭乗しておらず、何やら話をしていた

 

「どうやって動かすの、これ〜?」

 

「知ってそうな友達に訊いてみようか」

 

「ネットで聞いた方が早いんじゃない?」

 

一年生チームは戦車を取り扱ったことがないようなので、どうしていいのか分からずに困っていた

 

「ここで頑張ればバレー部は復活する! あの廃部を告知された日の屈辱を忘れるな! ファイトー!」

 

「「「おおお!」」」

 

バレーチームは円陣を組んで号令を上げていた 少年には何を言っているのか理解できなかったが、士気が高まったのは確かなようだ まあ、彼女らも戦車が扱えるのかどうかは疑問ではあった

 

「初陣だー!」

 

「車懸かりの陣で行きますかねぇ〜」

 

「ここはパンツァーカイルで」

 

「一両しかないじゃん!」

 

歴女チーム達はバラバラの意見を何とかまとめようとしていたが、なかなかまとまらない様子であった

 

「河嶋〜!」

 

「はっ!」

 

生徒会は会長が戦車に乗り込もうとしたが身長が足りなかったので、仕方なく河嶋が戦車の前で四つん這いになり、角谷はそれを台にして戦車に乗り込んでいた

 

「まだしばらくかかりそうだな」

 

少年はその場の状況を見てそう呟いた

 

「みんなー、注目!」

 

教官は手を叩いて注意を引いた

 

「練習試合の内容を言うわ 今日の実戦演習、本当は全車両によるバトル・ロワイアルにするつもりだったんだけど、予定を変えるわ 本日の実戦演習はチーム対抗戦よ チーム分けはAチーム対B、C、D、Eの四両チームね」

 

「チーム戦…」

 

少年の聞き違いでなければ、1vs4でチーム戦とは別のものが今から始まるようである

 

「それで西住さん、あなたはAチームで隊長をお願いしたいの」

 

「ええ、私がですか?」

 

「それはいくら何でも!」

 

「そうですよ〜。それに1vs4なんて!」

 

「大丈夫よ。なんせあなたのチームには助っ人がいるのですもの」

 

「…まさか」

 

「そうよ。あなたもAチームに参加してもらうわ」

 

「…」

 

少年は無言でAチームに合流した 先程の例もあり、おそらく決定事項だろう

 

「じゃぁ、各チームそれぞれ役割を決めてくれる 3名のチームは車長と砲手、操縦手。4名はそれに加えて装填手。5名は通信手ね」

 

「何とか長とか何やら手とか、何が何だか分からない!」

 

武部は頭を抱えながら叫んだ どうやら彼女には難しかったようだ

 

「まあ、わかりやすく言えばリーダー、弾を打つ奴、弾を装填する奴、戦車を移動させる奴、味方と通信をする奴って考えればいい とりあえず俺は通信手だな」

 

少年は誰でもわかるような説明をして通信手に志願した

 

「えっ、でもジョン君、私たち味方がいないから…」

 

「そうだ だからこそ俺なんだ 試合に出れない俺には十分だろ それで他はどうする?」

 

「勿論! 西住殿コマンダーですよね!」

 

「えぇ、無理無理!」

 

「では、どうしたら?」

 

「もうくじ引きでいいよぉ〜」

 

「…準備がいいな」

 

しかし、このままでは埒が明かないのでそれしかないようだ

 

「あの〜先輩、戦車ってどうやって動かせばいいんですか〜?」

 

少年がくじの様子を見ていると、後ろから一年生チームが話しかけて来た どうやらネット検索では分からなかったようだ

 

「戦車の中にそれぞれのマニュアルは置いているはずだが…」

 

「えっ、本当ですか?」

 

「おーい、なんかあったよー!」

 

そう言い、戦車の中にいた生徒が資料を持ってこちらに手を振って来た

 

「アレだ とりあえずアレを見ればわかると思う それでもわからないことがあれば相談してくれ」

 

「あっ、はい! ありがとうございます!」

 

一年生達は少年に礼を言い、自身の戦車に戻って行った

 

「ジョン、決まったよ」

 

「…で、誰がどれだ?」

 

少年が一年生の相談に乗っている間にくじの結果が決まったようだ

 

「私が砲手であります!」

 

「私は操縦手です!」

 

「私が装填手…かな?」

 

「そして私が戦車長だよ!」

 

くじの結果は、西住が装填手、武部が車長、五十鈴が操縦手、秋山が砲手になったようだ。そして5人は戦車に乗り込んだ

 

「鉄臭いです!」

 

「狭い上に暑苦しい。こんなんでドライブすんのぉ〜?」

 

と五十鈴と武部が戦車の中の不衛生さに不満を言った

 

「文句を言うな! これでもずいぶんマシになったもんだ!」

 

「そうですよ! これでこそ戦車です!」

 

秋山はむしろ気に入っていたようだ 西住に関しては経験者であることから特に気にしていない様子だった

 

『それでは、全戦車パンツァーフォー!』

 

そして蝶野教官の号令の元、各自言われた地点に向かうのであった

 

 

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