ガールズ&パンツァー 少年の女子高戦車生活   作:ダオダオ

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聖グロリアーナ戦2

 

「…まあそううまくはいかないか」

 

少年はクルセイダーとすれ違いざまに砲弾を放ったが砲弾はクルセイダーには命中せずに地面に着弾した 少年はそのままクルセイダーの横をすり抜けて少し行ったところに停止した

 

ドォーン

 

その直後、Aチームがいた場所から砲弾が発射される音が響いた 

 

少年はAチームがいた岩陰を見てみると砲塔から白い煙が上がり移動を開始して、敵本体がAチームを追撃しているのを確認した 

 

「狼煙がわりにはなったようだな」

 

少年はこちらの作戦を開始したことを知り、そう呟いた 

 

『Fチーム、すいません 外してしまいました 今から敵本陣をキルゾーンに誘導します』

 

無線から西住の声が聞こえてきた 見た通り彼女らは作戦を開始したようだ

 

「お互い様だ こっちも物の見事に外した それより気をつけろよ そこから先の道は狭い 回避運動はとりずらいだろうがなんとか避けてくれ」

 

少年はそう返した 

 

『わかりました ジョン君も気をつけてね』

 

西住から無線でそう届き、無線は終了した

 

「…了解」

 

少年は誰にも聞こえない返事を1人で呟き、無線機を収納した

 

「おっほっほー 発見ですわ」

 

その直後、大きなエンジン音と誰かの声が近付いてきて、少年の上空を何かがよぎった よぎったのは航空機などではなく、クルセイダー巡航戦車であった そしてその戦車のハッチから姿を出していたのはローズヒップであった クルセイダーは地面に着地してすぐに、こちらに向き直してきた 

 

「さっきはよくもいきなりぶっ放してくれましたわね」

 

ローズヒップはこちらにそのように言ってきた どうやら先ほどの不意打ちに不満のようである

 

「さっきのことか あんなのは挨拶みたいなもんだ それにしても相変わらずな口ぶりだな」

 

少年はへらず口を叩き、彼女の変わらない口ぶりを指摘した

 

「ええ、ダージリン様直々にあなたをぶちのめすように命令されてますの」

 

彼女はそのように告げできた

 

「…ちなみにあの人はなんで命令したんだ」

 

少年はローズヒップにそう尋ねた おそらく先ほどの命令は彼女なりにダージリンの命令を理解して発言したのだろう 少年には彼女がそんな発言をするとは思えないのである

 

「さっき言った通りですわ ダージリン様からは執事さんをぶちのめすように承っていますわ」

 

「……」

 

どうやら聞き間違いや彼女の解釈などではなく本当に彼女の命令のようであるようだ 

 

「…まあ、所詮人間なんてそんなもんか」

 

少年は落胆したように呟いた 

 

「さあ、ぶちのめさせていただきますわ」

 

ローズヒップは少年のことなどお構いなしにそう宣言してきた

 

「その前にいいか なんでティーカップなんて持ってるんだ」

 

少年は戦闘が始まる前に、というより、向かい合った時から気になっていたことがあった それは彼女がティーカップを持っていることだ おそらく中身は紅茶であろう しかし非常に揺れる戦車の中でそんなものを持っているなど正気の沙汰ではない

 

「これが聖グロリアーナの戦車道ですわ」

 

ローズヒップはそう言った どうやら彼女だけではなく、他のものも皆紅茶を片手に戦車に乗っているようだ

 

「大道芸でも目指してんのか」

 

「どんな走りをしようとも一滴たりとも紅茶を溢さない それが聖グロリアーナの戦車道ですわ」

 

ローズヒップはそう言ってきた しかし明らかに彼女が持っているティーカップには、溢れた形跡があった というより今もなお、溢れているように見えた

 

「…さっきから溢れていないか(というよりさっきの着地で殆ど残ってないだろ)」

 

「…まあ細かいことはいいのですわ 行きますわよー」

 

ローズヒップ再び気を取り直し、戦闘態勢に入った

 

「オーケー いざ参る」

 

 

 

 

 

「なるべきジグザグに走行してください こっちは装甲が薄いからまともに食らったら終わりです!」

 

少年とローズヒップが交戦を開始した頃、Ⅳ号Aチームはチャーチルを始めマチルダからの砲撃をジグザグに動きながら回避して、キルゾーンに誘導していた

 

「了解」

 

冷泉は西住の言われた通り蛇行運転をして的を散らしながら走行を開始した すると向こうの砲弾はかなりそれた場所に着弾するようになった

 

それに速度ではIV号戦車の方が優位なので距離が取れるようになった これで相手からの攻撃をもらう確率は低くなっていた

 

「秋山さん 五十鈴さんこちらも応戦しましょう 少なくとも威嚇にはなるはずです ただし砲弾には限りがあるので攻撃は最小限でお願いします」

 

西住はそう指示を出した 

 

「わかりました 秋山さん装填をお願いします」

 

五十鈴は西住からの指示を受け、砲塔を敵戦車に向け始めた

 

「了解です」

 

そして秋山は、砲弾の装填を開始した 

 

「打ちます」

 

五十鈴はいそういい砲撃を開始した

 

 

 

 

 

「思っていたよりやるわね」

 

ダージリンは感心したように呟いた 

 

「はい、相手の操縦士の方の練度はとても素晴らしいですね このままでは離れていく一方です」

 

オレンジペコは感心しながら、状況を分析していた

 

「ええ、それに向こうも砲撃を開始してきました まあ行進間射撃なので命中制度は高くはありませんがそれはこちらも同じです それに距離は離れていっています どうしますかダージリン」

 

アッサムも現状を把握ながらダージリンに指示を仰いだ

 

「そうね 速度を上げて追うわよ」

 

ダージリンはそう号令した聖グロリアーナの戦車隊は加速し始める チャーチルとマチルダは速度は速くはない しかしそれは路上の話である 悪路などでは一定の評価があるのだ

 

その証拠にIV号戦車との距離はだんだんと縮まってきた

 

 

「どんな走りをしようとも我が校の戦車は一滴たりとも紅茶を零したりしないわ」

 

ダージリンは誇らしげにそう言った 

 

「はい」

 

オレンジペコはそう返事して装填をした 

 

「……」

 

そしてアッサムは無言で集中して的を絞り砲弾をIV号戦車めがけて発射した

 

 

 

 

 

「! 麻子さん もっと速度を上げてジグザグに動いてください」

 

西住は向こうが速度を上げたことを確認し、操縦士の冷泉にそう指示をした

 

「わかった」

 

冷泉は淡々と答えた 速度を上げてよりジグザグに走行した 

 

その直後、向こうの砲弾がさきほどまでいた場所に砲弾が命中した 先程までの操縦では砲弾をもらっていただろう

 

そしてそれからは向こうの砲撃の命中精度も下がった

 

「ふう…」

 

西住は危機を回避して一呼吸おいた 

 

「みぽりん、危ないって!」 

 

前方のハッチから武部が顔を出して西住に声を掛けた どうやら車外に体を出している西住が心配のようである

 

「えっ!?ああ、戦車の車内はカーボンでコーティングされているから大丈夫だよ」

 

西住はそう説明して、武部を安心させようとしたようだ どうやら若干話が噛み合っていないようだ

 

「そう言うんじゃなくて、そんなに身を乗り出して当たったらどうすんの!」

 

武部が言いたかったのはそういうことではなく、車外に体を出している西住に対して心配しているのである 彼女も車内が安全であることは知っているが車外は別であり、当たればタダではすまないだろう

 

「まぁ、こうしていた方が状況が分かり易いし…それに射線にさえ入らなければ当たることはないから」

 

西住は淡々と答えた おそらく彼女にとってこれは当たり前なのだろう 特に危険を意識しているわけではなかった

 

「でも、みぽりんにもしもの事があったら大変!!中に入って!」

 

しかし武部にとっては危険であることには変わりはない 武部は西住にそう促した

 

「でも…」

 

「…もしみほに何かあったら私も… …ジョンも悲しむよ それでもいいの」

 

武部は若干言いづらそうにそう言った

 

「そっ そうかな …心配してくれてありがとね。じゃあ、お言葉に甘えて」

 

西住は顔を赤らめ嬉しそうに車内に戻った

 

(ジョン君… 無事かな…)

 

西住は少年がいるである方向を見ながらそう思った

 

 

 

 

 

「おっほっほ 私の敵ではございませんわね」

 

「くそ、調子に乗り上がって」

 

戦況はローズヒップが優勢のようである スピード、装甲にはお互い大きな優位性はないが、モーリス戦車は固定砲、クルセイダーは砲塔がついており、向こうにアドバンテージがある 乗員数も向こうは3名、こちらは1名なので役割が多々あり一つのポジションに集中できない それになりより…

 

(流石に試乗なしでの操作は厳しいな)

 

そう、少年はこの戦車で試合はおろか演習や練習などを一度もしたことがなかったのだ なので素人同然の動きで戦っていた

 

「どうしましたの 口ほどにもありませんわね」

 

ローズヒップはそういいこちらに向かって砲撃を放ってきた 少年はそれを躱わして距離を取ろうとした しかしクルセイダーから距離を取るのは困難で先ほどから逃げに徹していた

 

「固定砲じゃ ろくに応戦もできはしない クソッタレ」

 

少年はそうぼやきながらローズヒップから距離を取ろうとした 少年がぼやいた通り少年の乗っている戦車は固定砲で前方以外への攻撃はできないので戦い方が限定的になってしまう

 

「いつまで逃げていますの さあ正々堂々勝負ですわ」

 

ローズヒップはこちらを追跡しながらそのように言ってきた

 

「…正々堂々… 生憎そんな精神は持ち合わせていない」

 

少年はローズヒップにそう答えた しかしそれが聞こえているのかはわからない

 

『ジョン君』

 

クルセイダーと交戦している最中に、少年に西住から無線が入った おそらくキルゾーンに誘導して河嶋の作戦を開始したのだろう だが彼女の声色から察するにあまりいい状況ではないようだ

 

「悪い知らせか」

 

少年は西住に尋ねた 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前

 

「…たるんでいる」

 

キルゾーンに待機している河嶋がそのうように言った

 

「革命!」

 

「しまったどうしよ〜」

 

一年生は車体の上で大富豪をして時間を潰し、

 

「いつも心にバレーボール!」

 

「そ〜れ!」

 

バレー部チームは、バレーのトスの練習をし、

 

「チェックメイトだ」

 

「あー負けた」

 

歴女チームはチェスをして敵が来るのを待っていた 

 

「全く、それにしても遅いな 何をしている」

 

河嶋がそれぞれのチームの待機中の姿勢に悪態をつきながら、愚痴をこぼした 

 

「待つのも作戦の内だよ〜」

 

生徒会チームは、角谷はビーチチェアに寝そべりながら河嶋を宥めた

 

「いや、しかし…

 

『Aチーム、敵を引きつけつつ待機地点にあと3分で到着します』

 

河嶋がそう言いかけた時、西住から無線が届いた どうやら誘導は成功したようだ

 

「Aチームが戻って来たぞ!!全員戦車に乗り込め!」

 

河嶋が皆に指示を出した

 

「えーうそー」

 

「折角革命起こしたのに」

 

と一年生チームは残念そうに言った

 

そして各自戦車に乗り込み戦闘準備をとった

 

『あと600mで敵車両射程内です!!』

 

西住が皆に無線を送り、砲撃準備に入った

 

「撃て撃てー!!」

 

河嶋がⅣ号を敵と誤認してしまい攻撃命令を出し砲撃を開始した 他の戦車もそれに釣られて砲撃した

 

「あ、待って下さい」

 

西住は味方から砲撃されてるなど思いもよらず焦って叫び砲撃を中止させた

 

「味方を撃ってどうすんのよ!!」

 

武部が味方からの砲撃を食らって怒鳴った これでは敵に位置と作戦がわかってしまうので伏兵の意味がない

 

「こんな安直な囮作戦わたくし達には通用しないわ」

 

その様子を見ていたダージリンはそのように呟き、二手に分かれて包囲を始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うん、逆包囲されちゃって…」

 

西住は状況を説明した 

 

どうやら河嶋の作戦は失敗したようだ 正直成功確率はそれほど高くはないとは思っていたがまさかそのような失敗をするなど想像ができず戸惑ってしまった

 

「…離脱できそうか」

 

少年はすぐに気分を切り替えて西住に尋ねた おそらく留まっていては長くは持たないだろう

 

『…それが… 相手に退路を捕捉されて かなり厳しいと思う』

 

西住はそう答えた

 

「…どうやら想像以上に悪いようだな」

 

少年は思った以上の劣勢にそう呟いた どうやらこちらの動きは向こうに読まれていたようだ

 

『ジョン君のほうは』

 

西住がこちらの戦況を尋ねてきた

 

「こちらも芳しくない」

 

少年はこちらの状況を歯噛みしながら答えた

おそらくこちらも時間の問題だろう 少年は西住たちが交戦している位置と自身の場所を地図を見て確認した およそ4、5分ぐらいで到着するだろう

 

「西住さん あと5分防衛できるか 俺が包囲網を破りにいく …面倒なのを連れてな」

 

少年はそう切り出した このままでではお互いジリ貧なので少年はローズヒップを引き連れたまま西住たちに合流しようとしていた

 

『うん、大丈夫だと思うけど… リスクが大きいんじゃ』

 

西住が少年の案に対してそう指摘した 

 

「全くだ だがうまくいけば切り抜けられる 代案があるならば言ってくれ」

 

少年は、再度西住に問いた 少年にはこれ以外の選択は思いつかなかった

 

『わかりました なんとか粘りますから速く着てください』

 

西住は少年の提案を乗り、無線を切った おそらく向こうもかなり切羽詰まっている状況なのだろう

 

「…了解 さてと」

 

誰にも聞かれていない独り言をいい、少年は進路を変更し、西住たちのいる場所へ移動を開始した

 

「おっと 逃しませんわよ」

 

ローズヒップはそういい少年の後に続くのであった

 

 

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