ようこそ青春を目指す教室へ   作:雪印のフラン

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今回は番外編です。本当は本編をつくっていたんですが、番外編のアイディアとしていいものを途中で思いついたのでネタにしてみました。本編よりも先の謎時間軸で矛盾が発生しています。まぁそんなのなので気軽に見ていってください。


番外編
騒動カケルくん人形


龍園視点

 

「騒がしいな」

 

俺はいつも通りの時間帯に登校していた。バカどもが騒がしいのはいつものことだが、今日はいつもよりも騒がしい。バカどもが盛り上がるイベントでもあっただろうか。まぁいいか。俺は教室のドアを開ける。いつものクラスであればバカな話をして盛り上がっていたり、端末などを弄っていたりするのだが、今日は違った。全員が全員、何かを触っている。あのいつも本を読んでいるひよりでさえ、本を読まずにその何かを触っている。一体何だ?

 

「あ、おはようございます龍園さん」

 

石崎が俺に気づいてこちらに声をかけてくる。

 

「石崎、これは何の騒ぎだ?」

 

「そうっすよ、見てくださいよ龍園さん」

 

そうして石崎は騒ぎの原因である何かを見せてくる。それはマスコットぬいぐるみであった。そのぬいぐるみは男性をモチーフにしており、髪が長く首筋まで伸ばしており、目付きが悪い……いや、ちょっと待て

 

「おい、これは……」

 

「マスコットぬいぐるみで確か名前は……【カケルくん】って名前です」

 

「俺じゃねぇか!!」

 

ぬいぐるみ特有のデフォルメ化がされているが間違いなく俺であった。というか名前はまんま俺じゃねぇか!!

 

「ちょっと待て石崎、じゃあクラス全員触ってるのは」

 

「はい、カケルくんっすよ」

 

どういうことだ。新手の嫌がらせか。俺のマスコットぬいぐるみをクラス全員が持ってるとは。

 

「It's cute」

 

「ほら、龍園さんアルベルトもお気に入りだそうですよ」

 

アルベルトがこちらに近づいてきてぬいぐるみを示してくる。しかしそのぬいぐるみの顔は奴の力によって潰れていた。

 

「『It's cute』じゃねぇんだよ。顔潰れてるだろうが!!かわいいと思っているのならそれ相応のかわいい持ち方しやがれ!!」

 

するとアルベルトはギャルピースをしながらこちらを見てくる。

 

「違げぇよ!!お前がかわいくなろうのしてどうする!?あとまだ顔潰れてるじゃねぇか!!」

 

「他にも」

 

石崎は端末の写真を見してくる。

 

 

一枚目

【頭に釘が刺されているカケルくん】

 

「怖えよ!?あと絶対これやったの時任だろうが!!」

 

 

二枚目

【服を破られたカケルくん】

 

「追い剥ぎにあってるじゃねぇか!?」

 

 

三枚目

【謎の魔方陣の上に置いてあるカケルくん】

 

「何の生け贄にする気だよ!?」

 

 

「とまぁこんな風に今朝配られてから好評ですよ」

 

「これのどこが好評だよ、私怨混じってるじゃねぇか!?あとこれ全部今朝あったことかよ!?」

 

こいつら俺が登校してくるまでの間何してやがる。

 

「フッ、甘いわねあんた達、それじゃあカケルくん検定三流ってとこかしら」

 

突然、伊吹が声をあげる。なんだコイツ急にどうした?というか【カケルくん】言うんじゃねぇよ。そもそもなんだ今朝配られたばかりのもので検定とか三流とか。

 

「どういうことだよ伊吹」

 

石崎が代表して伊吹に質問する。俺はもう疲れた帰っていいか。

 

「わからないなら教えてあげるこのぬいぐるみの真骨頂を!!」

 

そうして伊吹はぬいぐるみの腹を握る。

 

『鈴音ぇ~』

 

「ちょっと待て!?」

 

今、ぬいぐるみから俺の声がしたぞ。

 

「これがカケルくんの真骨頂よ」

 

「「「「「……なんだと」」」」」

 

「Oh my god」

 

クラスの奴ら全員が目に見えて落ち込んでいる。ってんなことどうでもいいだよ。

 

「おいお前ら、今すぐぬいぐるみを寄越せ!!」

 

「何よ、アンタも欲しいわけ?ちゃんとアンタの分もあるから心配しなくていいわよ」

 

「そんな事心配してねぇよ!!いいから全員寄越しやがれ!!」

 

俺は伊吹からぬいぐるみを奪おうとする。

 

「な!?離しなさいよ私のカケルくんよ!!」

 

「まずその呼び方辞めやがれ!!」

 

『す、す、す、す、す、す、す、す、す、鈴音ぇ~』

 

「アルベルト、お前は何回も握ってんじゃねぇよ!!

 

 

チッ、結局回収するのに昼休みまでかかちまった。入学当初より疲れるはめになってんだか。にしてもこんなふざけたことをする奴なんて一人しか心当たりがねぇ。俺は目的地に着くと乱雑に扉を開ける。

 

「落合!!てめぇ!!」

 

「どうした龍園?」

 

「これはてめぇの仕業だろ!?」

 

俺は座って飯を食っている落合の目の前にぬいぐるみのカケルくんを差し出す。それを見て鈴音がお茶を吹き出していた。

 

「これは……カケルくん。俺たちが製作したものだが」

 

「やっぱりか!!」

 

こんな無駄なことに才能と金を使う奴なんてコイツしか居ないからな。

 

「お前、これを作って何する気だよ?」

 

「これを販売して一儲け」

 

「人をモチーフにしたぬいぐるみで何しようとしてやがる!?」

 

「安心しろ。理事長や生徒会長の許可は取ってある」

 

「先に本人に許可を取りやがれ!!」

 

そうして俺はカケルくんを投げつける。それを落合は難なくキャッチするが、キャッチした際に腹部を握ってしまった。

 

『鈴音ぇ~』

 

教室内にいた何人かが吹き出す。

 

「い、いいじゃないの龍園くん……あなたの数倍は可愛げがあるわw」

 

ハンカチで口元を拭いながら鈴音がこっちに向かってやって来る。

 

「黙ってろ鈴音」

 

『鈴音ぇ~』

 

「ッwwやめなさい落合くんwww」

 

「本当に黙ってろ鈴音!!あと落合も止めやがれ!!」

 

『どうした。何を動揺してる』

 

「俺の真似をするんじゃねぇよ落合!!っていうか何で知ってやがる!?綾小路お前の仕業か!?」

 

何でこいつが学年末試験のときの俺のセリフを知ってやがるんだ!?クソが声帯模写を完璧にできて、こんなくだらないことに使うのはコイツだけだろ!!あと、このぬいぐるみの声、間違いなくコイツがやりやがったな!!

 

「落合、今すぐこれの生産を止めやがれ!!」

 

「それは出来ない。これは俺の計画の第一歩だからな」

 

「計画だと」

 

「そうだ、あれは数ヶ月前に遡る……」

 

こいつ回想を始めやがった。

 

 


 

落合「暇だ」

 

……よしぬいぐるみを作ろう

 

 


 

……というわけだ」

 

「何もわからねぇよ!?」

 

「とりあえずこれの生産は止められない、これの製作には多くの人が関わっているからな」

 

「なら俺もいれろよ!!モチーフになってんのになんで完成まで知らされてないんだよ!?」

 

「知ったら止めるじゃん」

 

「当たり前だわ!!」

 

ついにそんな当たり前のことまでわからなくなりやがったかこの野郎。

 

「……ちなみに誰が関わっていやがるんだ?」

 

そいつらもしばく。

 

「まず清隆、次に情報提供としてお前のクラスから伊吹と西野。Bクラスから姫野、Aクラスから有栖、神室、鬼頭、それから先輩が南雲先輩と朝比奈先輩そういえば堀北先輩や橘先輩もいて、あとは……」

 

「もういい、やめろ。聞きたくねぇ」

 

伊吹の奴グルだったのかよ。しかも西野も関わってやがったとは。落合の野郎の口からは共犯者が埃のように出てきやがる。しかも生徒会に話を通したり無駄に凝ってやがる。

 

「そういえば今日テスターとしてサンプルをCクラス全員に配ったはずだが」

 

「お陰様で朝からそこ話題で持ちきりだよ」

 

「そうか嬉しい」

 

こいつは皮肉が通じないから余計たちが悪い。思わず溜め息をついてしまう。

 

「はぁ……」

 

「どうしたんだ龍園、溜め息なんてついて」

 

もはや俺はこいつがサイコパスな気がしてきた。もういい諦めよう。ここはもう、諦めてこいつからポイントをぶん取ろう。

 

「……ちなみに正式にはいつ発売する予定なんだ?」

 

「今週中にはする予定だ。生徒会にもそういう手筈で伝えている」

 

あの南雲とかいう奴も生徒会長に就任してぬいぐるみの販売を手伝うなんて夢にも思っていなかっただろうな。

 

「もう、なんでもいいから分け前はよこせ」

 

「わかった」

 

 

<数日後>

 

「どういうことだ?」

 

何故か俺のプライベートポイントに15万ポイントも振り込まれてやがる。振り込んできたのは落合か。早速俺は落合に電話をかける。

 

「落合、このポイントはどういうことだ?」

 

「前に話しただろ【カケルくん】の分の分け前だ」

 

カケルくん……あぁ、あのぬいぐるみか。ん、待てぬいぐるみ。確かに分け前を寄越せとは言った記憶がある。

 

「カケルくんが飛ぶように売れてな、予定していた600体が完売したんだ。それで分け前としてお前に半分の金額を送信しておいた」

 

「そうか」

 

なるほどな……ん?600体?

 

「……お前そんなに作ってたのか?」

 

「暇だったからな」

 

何十年経とうと俺がこいつの思考回路を理解することは無さそうだな。いや……待て?

 

「お前全部売れたって言ったか?」

 

「あぁ、売れた」

 

「この学校にいる人間のほとんどが買っても足りないだろ」

 

「あぁ、()()()()()()()()たくさん買ってくれた」

 

ん?今聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ。学校内の人たちもって言ったか。

 

「坂上先生も買ってくれたそうだぞ」

 

それはどうでもいい。いや、買ったのかよ坂上。

 

「ちょっと待て()()()()()()()()って言ったよな。どういうことだ?」

 

「あぁ、実はだなこのカケルくんは理事長と協力して外部の人たちにも買えるように高育のホームページで買えるようにしたんだよ」

 

 

は!?

 

俺はすぐさま端末で学校のホームページを見る。そこには大々的に『高育宣伝キャラクターカケルくん』と書かれていた。そうして例のぬいぐるみのページへといった。

 

【カケルくんマスコットぬいぐるみ】*1

お腹を押すと音がなるとの説明がしてあり、音声も聞けるようだ。

 

『どうした。何を動揺している』

 

さすがに鈴音の名前を出すのはやめたらしいな。

 

 

「何やってくれてんだ!?」

 

「世間からも好評価を受けてるやったな龍園。第二弾も考えている」

 

「んなこと聞いてねぇよ。てめぇ!!ホームルーム始まるまで教室で待ってろよ!!」

 

俺は急いで支度をして、部屋から出る。途中で何人かがカケルくんをカバンにぶら下げていたが無視だ。

 

(絶対、落合をぶん殴る)

 

そう決心して俺は落合の居るであろう教室へと向かった。

*1
500円




自分もそんなぬいぐるみがあったら欲しいな。それでは今回はここまでです。最後まで見ていただきありがとうございました。
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